アンナがラストスペルである”解放『パンドーラ』”を発動させた途端、
霊夢の直感がとてつもないほどの警鐘を鳴らし、撤退を推奨する。
しかし霊夢は逃げずに、槍のように長いお祓い棒を構えていた。
「うっ・・・うがあああああああっ!!!」
アンナの苦痛を表す絶叫が響き、彼女が膝を付く。
そして・・・
”炎と氷が羽根のように、アンナの背中から突き出てきた。”
「・・・・・・はぁ?」
破壊と再生をつかさどる獄炎の不死鳥”フェニックス”。
時間と空間をつかさどる氷獄の獣”フロスト”。
かつて、教会が幾多の時間と、数多もの犠牲を払ってようやくアンナの内側に封じ込めた存在。
なぜアンナがこんなものを内側に封印していたのか、なぜ墓守人と呼ばれるようになったのか、実を言うとこの二匹は元々教会の神獣でもあるのというのは・・・今説明すると長いので割愛する。
そんな二匹は、長年共に生きてきたアンナにすっかりなついており、正直に言えば今からやろうとすることに関しては協力的だ。
だが・・・本人に底知れぬ苦痛と痛みを与えるということを除いては・・・
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
滝のように嫌な汗を流し呼吸を荒くさせ、それでもなお霊夢を睨みつけているアンナ。
今この時でも、アンナには気が遠くなるような痛みと狂ってしまいそうなほどの苦しみ、そして干からびてしまいそうなほどの魔力消費が襲い掛かっている。
やがて、背中から生えていた炎と氷の羽が切り離され、そこから件の”フェニックス”と”フロスト”が出てくる。
片方は、翼が燃え盛る大鷲。もう片方は、鬣が凍り付いている雄獅子。
両者ともに、神々しさの中に荒々しさと恐ろしさを感じさせる風貌である。
持っていた双剣の片方を杖にして無理やり立ち上がるアンナ。
「お願い・・・・・・アイツを・・・倒して!!」
アンナの声に呼応し、二匹の神獣が咆哮をあげる。
炎の大鷲は飛び上がり、氷の獅子は自らの足元に氷を作ることで空中を縦横無尽に走り回る。
そして、二匹の攻撃が始まった。
最初の攻撃は霊夢だったのだが、フロストはアンナを氷の壁で囲うことでその攻撃を無効化させている。
そして、攻撃してしまった霊夢に対してフェニックスは油断なく攻撃をする。
前に出たフェニックスが、羽を羽ばたかせれば何もないところに燃え盛る炎の矢・・・いや羽が出現する。
それもあちらこちらから・・・霊夢が見えない一から、挙句の果てには壁を貫通させてまで、しかし霊夢はそれをすべてかわし続け、とても素早く変態的な軌道で回避し続ける霊夢だが、なにぶんその弾幕の数が多く、着々とグレイズの数を増やしていった。
そしてフェニックスの弾幕が途切れた瞬間、
フロストが前に出て、氷の弾丸がフロストの周りに生成され霊夢に向けて発射される。
フェニックスの弾幕と比べ、数は少ないのだがその分弾がとても速い。
そして的確に、まるで予知の能力があると言わんばかりの弾幕の嵐で、霊夢もグレイズだけではなくかすり傷を作り始めてしまっている。
だが霊夢とて負けてはいなかった。
先ほどまで分からなかった分の弾幕も段々と勘が働いてきたのかよけ始めている。
流石の様子に、フェニックスもフロストも焦りの様子が見える。
フロストの弾幕が途切れた途端、今度は二匹同時に前に出る。
フェニックスの”ゆっくりとした弾幕だがその密度のある攻撃”と、フロストの”数の少ない攻撃だが、正確で速度のある攻撃”が同時に霊夢に襲い掛かる。
もちろんそうなれば、霊夢の避ける場所などほぼ無くなる。だがしかし、
「っ!」
霊夢は何と弾幕と弾幕の隙間をグレイズすることですべて避け始めていた。
だが、フェニックスとフロストのこの弾幕はアンナにとって”ラストスペル”。
フェニックスもフロストも負けられぬ維持と気合で大量の弾幕を展開させる。
・・・だが、
「私の、勝ちね。」
霊夢には届かなかった。
アンナの最期の力が付き、倒れ伏す。
それに合わせて、フェニックスとフロストが心配そうに駆け寄る。
「・・・どうして」
アンナが今にも消えてしまいそうな瞳で、霊夢を見上げる。
もう視界も意識も定かではないだろう。
「どうして、あなたは・・・いま、さらに・・・なって・・・」
霊夢があの事件の時に居れば、マリアはそもそも死ぬことはなかったのではないか。
なぜ博麗の巫女は2代そろって、マリアを諦めさせようとするのか。
「わたしたちは・・・ただ、まりあを・・・・・・マリアをすくいたい・・・だけ、なのに。」
「そう、でもごめんなさい。私は貴女たちをボコボコにするしかないの」
博麗の巫女とは元来そういうものだ。
博麗の巫女は幻想郷において、異変起こし事件を起こし、人に危害を加えたものを捌く必要がある。
そこにどんな理想、理念、思い、感情があろうと博麗の巫女は押しつぶす必要がある。
「せめて・・・・・・さくやちゃんだけは、どう・・・か。」
おそらく本心なのだろう、咲夜にだけは手を出さないでほしいとアンナが懇願する。
一番つらい思いをしてたのはレミリアもそうだが何よりも咲夜もそうであった。
母と慕っていた人物が、ある日突然死んでいなくなったのだ。
絶対に隣にいると思った人物が、誰よりも強いと思っていた人が、誰よりも暖かかった温もりが無くなったのだ。
だが、そんなアンナの願いでさえ。
「・・・ごめん、なさいっ。」
霊夢は押しつぶすのだ。
「お母様!私です・・・咲夜です!!」
目を覚ました。
優しい雰囲気で、温かい目で私を見てくれている。
ああ、うれしい。間違いなくお母様だ。
この雰囲気も、この気配も、この暖かさも。
「よかった・・・ほんとうによかった!!」
でも何なんだろう、この不安感は。
ペッタリとした何かが首筋をなぞって仕方がない。
無意識に足の付け根に隠している暗器に意識が向いてしまう。
「・・・貴様は、誰だ。」
「っ!?」
そして、暗器を抜いた瞬間には・・・
「どう・・・・・して・・・・・・」
私は、腹を”黄金の剣で”貫かれていた。
ifがあるとしたら
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マリア生存ルート(最終的に暴走)
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マリア生存ルート(幻想郷に行かない)
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マリア×レミリア
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マリア×フランドール
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マリア×美鈴
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マリア×咲夜
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マリア×パチュリー
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マリア×アンナ