咄嗟のことで、ビクッとなるフランたち。
「お、お姉様?どうしたの?」
「・・・行かなきゃ。」
目を紅く光らせたと思いきや、かなりの衝撃波を放って未だに妖精が覆い尽くしている紅魔館に飛んで行った。
「あ、・・・ぶなっ」
霊夢の母が、咄嗟に霊夢のより強力な防御結界を展開したおかげで家具や、ちゃぶ台の上にある物もフランたちも全員無事であっ
た。
「ふ、フランちゃん。レミリアちゃんがあんな事になったことってあるの?」
霊夢の父がフランに聞くが、フランもあんな状態のレミリアは見たことがなかった。
呼び掛けにも答えずに、太陽が輝いている中あんな猛スピードで飛んでいくなんて・・・
「一体、何が起きてるって言うんだ?」
「わからない、でも・・・とっても怖いことだと思う。」
霊夢の母の目が少し鋭くなり、フランはなにか嫌な予感を感じ取っていた。
「ここ・・・よね。」
霊夢は、アンナを倒し奥に進んだ。
そしてその奥にあった扉の前で・・・思わず立ちすくんでいた。
その扉の奥から感じ取れるのは、扉越しでもすくんでしまうほどの重圧感。
そして、紅魔館地下への入り口や外なんかとは比べ物にならないほどの力のたまり具合。
「うだうだ考えていても仕方ないっ!」
考えることが面倒になった霊夢が、その扉を蹴とばす。
バァン!!
「・・・はぁ?」
扉を蹴とばすと、そこは緑豊かな自然が広がっていた。
間違いなく言えることは、これが紅魔館の地下室・・・その最奥の部屋の光景だという事。
間違いなくここは日の当たることのない地下室で、さらに言えば誰も立ち寄らない最も奥にある部屋だ。
だというのにこの光景は・・・
「・・・やっぱり、私の勘は当たっていたの?」
そう呟き、一歩踏み出した途端。
霊夢の四方八方からレーザーが放たれた。
「あっぶなっ!?」
先ほどまで立っていた場所がかなり穴だらけになっている。
咄嗟に前に飛び出したおかげで霊夢自体もグレイズで済んだのだが・・・
「間違いなく、歓迎ってことね。」
「いや、迎撃。と言った方が正解だがな。」
聞きなれない声が聞こえたので、霊夢がその声のした方向に向けて御札を何枚か飛ばす。
だが、その飛ばした御札は焼き払われてしまい、弾幕としての効果はなくなっていた。
「こんにちは、博麗の巫女。私は、”妖精の王 アリア”という。聞いたことはないだろう?」
そこにいたのは、そう。マリアによく似た女性。しかし、姿が・・・羽の色が違う。
アリアと名乗った彼女の容姿は、白い色のドレスを身にまとい虹色の水晶のような羽根を持っている。
その右手には、ツタが巻き付いた木の杖が握られている。
「でもアンタは私を知ってる。てことは、昔幻想郷にいたってことよね。」
「ああ、ご明察。私は昔の・・・そうだな、初代博麗の巫女の頃の話・・・そしてその時代に私は滅びたはずだった。」
「・・・じゃあ、アンタはなぜここにいるの?」
「さて、な。私にもよくは分からない。さて、無駄話はここまでにして始めようじゃないか。もちろん、命の保証はしないがな」
「・・・・・・ええ。」
釈然としないまま霊夢とアリアが戦い始める。
霊夢が御札と針の弾幕を展開し始めるが、そのすべてはアリアに当たる直前に、まるで壁に出も当たったかのように消えていってしまう。
思わず霊夢が舌打ちした直後、左から右へとレーザーが順番に発射され始める。それを右端によることで回避する霊夢だが、今度は逆再生がされたかのように逆の順番から発射され始める。驚く霊夢だが、冷静に左端に移動することでそのすべてを回避した。
「まずは小手調べといこう。『
互いの最初の一撃が無意味に終わったところで、アリアが一つの魔法を使用する。
氷のような薄い水色の魔法陣が展開されたと思いきや、その中心からチルノが出てくる。
「チルノ!?」
「このものはあくまで私の作りだした幻影。本人ではないさ」
アリアがそういった途端、チルノが両腕を構えて弾幕を発生させる。
ツララの弾幕が出現したと思いきや、それが霊夢に向けて”落ちてゆく”弾幕。
(『アイシクルフォール』?それならっ・・・)
アイシクルフォールには一つの弱点があった。
イージーモードのアイシクルフォールには、チルノの正面に大きな安置が発生する。
今発動させているアイシクルフォールは、イージーなのかそれともハードなのかは分からないがとにかくチルノの正面に移動する。
しかし飛び込んだ直後、霊夢は急ブレーキをかけて反転する。
反転した直後、安置だと思われていた場所が”黄金の武器”で串刺しになっていた。
「なるほどっ・・・」
小さく声を零しながら、アイシクルフォールを避け続ける。
おそらく弾幕を放っても防がれるだけだと霊夢は勘づいているので避けることだけに専念する。
そして、アイシクルフォールの発動時間が過ぎた途端、チルノの幻影がスゥーッと消えてゆく。
「流石に当たらないか。さすがは博麗の巫女だ」
「はん、今さらチルノの弾幕、グレイズもしないわよっ!」
隙があるとみて霊夢がアリアに向けて弾幕を撃つが・・・やはり壁に当たったかのように消えていってしまう。
霊夢はいい加減に食らいなさいと思いながら、消されるとしても大量の弾幕を発生させる。
「自棄になってきたのね、残念だけどその程度の弾幕では私の防御を抜くことはできないわ」
「そんなのやってみなくちゃ分からないでしょうにっ!」
「やってるじゃない」
自身が出せる全力の弾幕を余裕そうに防がれている。
そして霊夢は、薄々とそれを感じ取り始めた。
(負ける・・・?私が?)
そんなはずはないと気持ちを切り替える。
しかし・・・
「ぐぅ・・・」
霊力を少しばかり使いすぎていた。無理もない、最初の入り口からここまで激戦続き。
もはや霊夢の霊力は飛ぶだけの力を残してほぼほぼすっからかんであった。
「・・・ここまでか、残念だよ博麗の巫女『
弾幕が打ち止めとなった途端、アリアが炎のように赤い魔法陣を発動させる。
その魔方陣から、燃えている羽を持つ女の子が現れ・・・こちらに手を向ける。
(・・・・・・さすがに、もう駄目か。)
今考えれば、大妖精の忠告を聞いて魔理沙の到着を待てばよかった。
そうすれば、アンナ戦でアンナに体力と霊力を消耗するどころかこの異変ももっと簡単に終わらせることができたのかもしれない。
(なんて・・・いまさらよね。)
全てをあきらめたように、霊夢が目をつむる。
(ごめんなさい、お母さん・・・お父さん。不出来な娘で・・・)
そして
霊夢に・・・
”溶岩の雨が降り注いだ”
パリンッ!!
「えっ」
「・・・っ。」
場所は戻って博麗神社。
レミリアが飛び出してさほど時間がたっていない。
・・・それにレミリアが飛び出した時に、被害などなかったのに。
ただ、”霊夢お気に入りの茶碗だけ”が真っ二つに割れていた。
「・・・霊夢。霊夢はちゃんと帰ってくるよね。」
思わず、霊夢の父が霊夢の母に聞く。
「あの子は強い。私が認めるんだ・・・だから帰ってくるさ。」
慰めるように言いつつ、霊夢の茶碗を拾う霊夢の母。
だけど、霊夢の母は・・・言い表せない恐怖感が心の奥底からあふれ出していた。