クソデカ感情抱え込んだ紅魔館組の異変騒動!   作:ライドウ

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紅い霧の異変 EX11

美鈴が、レッドライダーとの戦いに勝利したころ、レミリアたちは再びアリアを視界にとらえていた。

だが、レミリアとフランも連戦続きでさすがに疲労がたまっているのか、もはや浮遊しているだけでいっぱいいっぱいのようだった。

 

「■■■。」

 

聞き取れない言葉で、アリアが何かを言う。

 

「■■、■■■■■■■■。」

 

そのアリアの表情は、怒りだけではなく困惑すら交じっていた。

何度追い払おうが向かってくるレミリアとフラン、ボロボロになってまで向かってくるその姿にアリアはもはやなぜ向かってくるのか訳が分からなくなっているのだ。

 

「・・・、私たちは貴女がなんて言っているのか分からないわ。でもね」

 

「諦めるわけにはいかないの、恩のあるあの人を・・・大切な人を。」

 

大切な家族(十六夜 マリア)を諦めるわけにはいかないから」

大切な家族(十六夜 マリア)を諦めるわけにはいかない!」

 

二人はもう迷うわけにはいかなかった。

失い、もう二度と会う機会はないと思われていた大切な人をもしかしたら取り返せるかもしれないという希望があった。

だからこそ、いま彼女たちはどんなにボロボロになっても立ち上がる気力がわいていた。どんなに吹き飛ばされても負けるわけにはいかないと闘志が湧いていた。

 

「・・・・・・『均衡をはかる者(ブラックライダー)』」

 

話にならないと判断したのか、アリアが次の魔法陣を展開した。

黒い魔法陣が現れたと思いきや、その中心には一人の女性が現れていた。

 

「・・・なるほど、私まで出てくるということは、ホワイトライダーとレッドライダーは敗北を知りましたか。」

 

召喚されたブラックライダーはちらりとアリアを見ると、アリアは何も言わずに離れていく。

ブラックライダーは、ニコニコと笑顔を浮かべているだけだが何かを感じ取ったのか、お任せくださいと口にした。

 

「ふむ、吸血鬼が・・・たった二匹。ホワイトライダーとレッドライダーを倒すということはそれなりの実力者なのでしょう。だが・・・」

 

レミリアとフランは、グングニルとレーヴァテインを構えて何をしてくるのか警戒を高める。

その次の瞬間

 

「相手が悪かったな、『シャインレーザー(太陽の光)』」

 

二人は、温かくもとても苦しい光に包まれた。

 


 

眩い光が、段々と消えて”煙が轟々と立ち込めて”いる。

対するブラックライダーは、吸血鬼姉妹に対して失望をしていた。

 

「・・・期待外れ、だな。」

 

ブラックライダーは、自分が倒されることを期待していた。

ホワイトライダーとレッドライダーを倒した実力者、だとすれば自分すら倒してしまうと期待していた。

しかしふたを開けてしまえば、

 

「・・・まあ、あの二人を突破しただけ素晴らしいと言えよう。」

 

構えた杖をおろし、煙が晴れていくのを見る。

・・・そこで、ブラックライダーは異変に気付いた。

 

(まて、なぜ”煙がたっている”?)

 

シャインレーザーはあくまで相手を焼き尽くす光の固まりだ。

空中で直撃したならあんな煙は起きるはずがない。

障害物にあたったのならあの煙は立つ・・・ということは、

 

「くく、くふふふ・・・ははははっ!!なるほど、防いだか!!」

 

「ええ、防がせてもらったわ。」

 

煙が完全にはれ、露になったその姿。

武装した小悪魔と、こちらに向け手を向け青白い半透明な防壁を展開しているパチュリーの姿。

小悪魔こそ怖がってはいるが、パチュリーは堂々としていた。

 

「なるほどなるほど、この時代。この世界に、それほどまでの魔女がいたとは!貴公、名を名乗らせていただこう。我が名は”ブラックライダー”。我が、名を知らないわけではないだろう?」

 

「ええ、小さいころ両親に嫌というほど聞かされたわ、妖精にして現代魔法史における立役者、第2次魔法根絶戦争*1で、魔法使い側の英雄。そして忌々しいあの大飢餓と黒死病の原因の片割れ。」

 

あは、あははははっ!!と、ブラックライダーが高笑いを始める。

それはそれは嬉しそうに何度も何度も笑い続ける。

やがて落ち着いたのか、じろりとパチュリーをみた。

 

「よくご存知だ。失礼だが、名を聞いても?」

 

「・・・魔法使いの戦いにおいて名前を知られるということはそれはその魔法使いにとって降伏を意味する。だからこれだけよ、私はノーレッジ。ノーレッジの魔女よ。」

 

「ノーレッジ、ノーレッジだと・・・」

 

パチュリーの名乗りを聞いた途端、口に手を当て考え出す。

その隙を着いてパチュリーはレミリアたちに視線を移す。

 

「レミィ、フラン。今のうちに行って」

 

「ぱ・・・ノーレッジはどうするの?」

 

「そ、そうだよ!いくらぱ・・・ノーレッジだからってあんなの相手に出来るわけが」

 

2人の言葉に頷き、それでも行くように真っ直ぐと2人を見る。

相手に・・・ブラックライダーに勝てないということは1番パチュリーが理解していた。だからこそなのだ、

 

「せめて、足止めぐらいはしてみせるわ。だから、ね?」

「わ、私だっていますから!」

 

優しく笑みを浮かべるパチュリーと、強がりながらも武器を掲げる小悪魔。

レミリアは顔を伏せて、フランは悔しそうに手を握ったあと再びアリアの元へと向かった。

 

「あぁ、思い出したぞ!貴公、グリム・ノーレッジの末裔か!」

 

「・・・ええ、グリム・ノーレッジは私の先祖。それがどうしたの?」

 

「彼には返せない恩義がある、彼は既に亡くなったがノーレッジ家ということならばやらねばならないことがある!

 

 貴公、願いをいえ!」

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

あまりにもいきなりなことに思わずパチュリーの思考は停止してしまった。

 

(願いを・・・な、なら。マリアさんの復活を願えば・・・・・・でも待った。)

 

一瞬で再起動をしマリアの復活を考えるが、考えを切り替える。

 

(仮に、マリアさんが復活するとしても・・・”こいつ”がそれを叶えるとは思えない)

 

そう、マリアの正体はあくまでアリアの記憶喪失時の仮想人格。

魂までは一緒でも、たとえ魔法使いの最高峰である”ブラックライダー”と言えども、主の人格を帰るなんてことはしないだろう。

それに、今ここでそれを言ってしまえば・・・何かがまずいような気がする。

・・・それならば、

 

「・・・本当に、私の願いをかなえるというの?」

 

「ああ、もちろんだ。だが、これから始める勝負と我が主に関すること以外ならば。」

 

(つまり、私に勝利をという願いや、マリアさん関係の願いはやっぱり無理ということね。でも、これで決まった)

 

「ならば私は、一人の少女の復活を願うわ。」

 

「・・・ほぉ?」

 

「ぱ、パチュリー様!?」

 

どう見ても胡散臭い話に乗ったことに小悪魔が動揺を表す。

頭がよく聡明な主が、何をしているんだと目を見開いて見るが

パチュリーの表情は真剣そのもの、それどころか・・・

 

(わ、笑ってる?)

 

「その少女はどういう少女だ?」

 

「かわいそうなことに、その少女はとある妖怪に操られて・・・今は昏睡状態なの。」

 

「それは何ともかわいそうだな。それで?その子を起こせというのか?」

 

「ええ、理解が速くて助かるわ。」

 

小悪魔は何が何だかという思いを頭の中に浮かべながら、ブラックライダーに対して警戒する。

相手がここぞとばかりにかこつけて襲い掛かってくるかもしれない、もしそれでパチュリーが死亡したとなれば小悪魔の今後の(悪魔的な)生活に危険が迫る。

どうせ小悪魔自体は、死んでも悪魔界で何度も復活できるからいいのだが、契約中のパチュリーが契約の遂行すらできずに死んだともなれば・・・考えるだけで冷や汗が出てきた。

しかし、小悪魔の警戒とは裏腹に

 

「よかろう。少し待て・・・・・・・・・ふむ、終わったぞ?」

 

案外あっけなく終わってしまう。

そ、それだけ?とパチュリーも小悪魔も拍子抜けするが、確かにブラックライダーは魔法陣を展開させた。

しかも魔力を使用したというのがパチュリーにはよくわかったために、本当にかなえられたのだと理解した。

 

「さて、貴公の願いはかなえた。ここから先は、主からの使命を果たすとしよう。」

 

「・・・そう、ならこちらも全力で行かせてもらうわ。」

 

パチュリーは黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)を、小悪魔は支給品のブロードソードを、ブラックライダーは天秤を構える。

訪れる沈黙、だが魔力が渦のようにパチュリーとブラックライダーの間を流れ続ける。

 

そして、戦いの火ぶたが切って落とされ

 

 

 

 

 

廃線『ぶらり廃駅下車の旅』

 

 

”ブラックライダーを襲った廃電車”によって、終わりを告げたのであった。

 

 

 


 

 

「げぶら!?」ピチューン

 

情けないピチューン音と共に、吹き飛ばされるブラックライダー。

分かっていたと言わんばかりに、黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)を開かなかったパチュリー。

そしていきなりのことで目が点になっている小悪魔。

 

そんな、二人の背後に”二つの気配が”現れる。

 

「こんにちは、”紅魔の知識”さん。」

 

 

 

 

「・・・随分、お早いお目覚めね。八雲 紫。」

 

 

そう、*2パチュリーが言った少女とは八雲紫のことだ。

ブラックライダーは、何となくで使ったのだが今の幻想郷において”妖怪に操られた結果昏睡状態になった少女”というのは八雲紫以外にはおらず。

結果的に八雲紫が目を覚ましたのである。

 

「やー!お堅いわね~、もうちょっとフレンドリーに”ユカリン”とか”ユカちゃん”でもいいのよ?」

 

流石の大妖怪、このプレッシャーは堪えると冷や汗をかいていたパチュリーだが、次に飛び出た台詞に思わず目が点になり、紫の隣にいた藍に目を向ける。

その藍も、どこか遠い目で目線を逸らしていた。一方的に、マシンガンのようなトークを繰り広げる八雲紫、パチュリーは話半分聞き流しながら、どうにかしてこの状況を打開しようと思考を巡らせるのであった。

 

 

*1
アンナが所属していた教会が行った戦争、その被害者は当時では多いとされもはやその話題を出すこと自体が禁忌に近くなっている。

*2
多分みんなわかってたかもしれないけど





八雲 紫

今作幻想郷支配者にして妖怪の賢者。
大妖怪としての実力は折り紙付きの上に、八雲藍をして勝てないと言えるほどの頭脳の持ち主。なのだが・・・その実性格は、フレンドリーでとてもマイペース。
しかし、会議となると影野郎が操っていたときの口調になるので(藍以外)は見破れていなかった。楽しいことが大好きで、悲しいことは大嫌い。
ぬらりひょんの裏切りやアリア関連については知っていたのだが、あえて放置した。
放置した結果操られたのだから、どこか抜けている。
ちなみに、”12代博麗の巫女”が結婚していることに気づいていないし、霊夢は12代博麗の巫女がどこからか拾ってきたと思い込んでいる。


ブラックライダー

偉そうで強そうなことを言っていた割には電車に挽かれてあっさりと退場した。
だが4騎士の中で相手にすると厄介な相手で、少なくともパチュリーが勝てる相手ではなかった。最も得意な魔法は、拷問魔法だったりする。真性ドS。
レッドライダーを妖精にしたのもコイツだったりする。
そして随一の問題児である。

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