クソデカ感情抱え込んだ紅魔館組の異変騒動!   作:ライドウ

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わーにんぐ!わーにんぐ!

今回かなり長くなりました。
それでも良いというお方は・・・そのままスクロールを!!
ダメだっていう人はブラウザバックをお願いします!!



・・・でもこれある意味で最終回なんだよなぁ。


紅い霧の異変 EX13

「・・・ようやく、ようやくお前に一撃を浴びせられる。」

 

ボロボロのレミリアと、無傷のアリア。

しかしアリアの後ろには、誰も控えておらず。対するレミリアの後ろには紅魔館の住人たちが集まっていた。

 

パタパタと煌びやかに光るアリアの七色の羽は、ただ綺麗な鱗粉をチラシ・・・沈黙だけがこの空間をとらえていた。

 

やがて、目をつむっていたアリアが目を開き、レミリアをじっと見つめる。

 

「どうしてだ。」

 

「!?」

 

今まで、何かに邪魔されていたかのように聞き取れなかったアリアの声が、クリアに鮮明に聞こえ始める。

レミリアは思わず驚くが・・・しかしすぐさま冷静さを取り戻す。

 

「なぜ、そこまでして・・・あきらめない。私が、本当にその時の記憶を思い出すと信じているからか?それとも、その者の・・・その魂(十六夜 マリア)が私の中に残っていると・・・本当に信じているのか?」

 

「信じているとも」

 

間すらおかずに、レミリアは即答で返す。

レミリアはもはや確信していた・・・間違いなく、妖精王アリアの中に十六夜 マリアがいる。

感覚や直感なんかではけっしてない。それはもはや運命であった。

世界から・・・運命から与えられたとても・・・細く綺麗で風に煽られただけでちぎれ飛んでしまいそうな一筋の希望の光。

その光が、その光のもとが今目の前に存在している。

 

「もはや、私は確信している。貴女の中に間違いなくマリアがいる。だからこそ私は、いえ・・・紅魔館の家族全員(私たち)はやってやる!!みんなで力を合わせてその一筋の光を、たった1%の奇跡をつかみ取ってやる!!」

 

「・・・・・・なるほど、そうか。あい分かった。」

 

 

 

もはや言葉など不要。さあ、絶対的な力を前に抗って見せ、そして絶望をするがいい!!

 

絶望など二度としない!!私たちがすることは、前を向いてそれを掴むだけだ!!

 


 

世界に流れる力を管理する者

 

 アリア・クレイドル・ユグドラシル

 


 

「まずはすべてを燃やし尽くしてくれよう!!最上級の炎の妖精(フェアリーコード:スルト)

 

高笑いしながらアリアは背後にとても巨大な燃え盛る魔法陣が広げられ、やがてそこから山のように大きな髪が燃えている妖精が現れる。

空を飛んでいる状態のレミリアたちでさえ見上げるほどの巨大さ、真っ赤で炎のように明るい瞳が・・・レミリアたちをとらえる。

 

ガオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!

 

そして瞬時に敵対の咆哮をあげる。

その咆哮だけで、びりびりと空気が震え出し、全員が耳をふさいでも聞こえてくる大音量にダメージを受けていた。

レミリアは何とか片眼を開けてスルトの動きに注視する・・・するとスルトが、

 

 

右手を持ち上げていた

 

 

「ぜ、全員散開!!後の指示は通信魔法にて通達する!!回避、回避っ!!」

 

パチュリーを抱えてレミリアが号令を下す。

ハッとその号令を聞き分け、全員が思い思いの方向へと逃げ出してゆく。

その直後、巨大な固まりが・・・スルトの巨大な掌が、轟音と共に巨大な土ぼこりを巻き上げた。

 

高速で飛び始めたレミリアだが、パチュリーは冷静に通信魔法を発動させる。

 

「全員聞こえるか。確認不要、全員が聞こえると想定して話す。聞こえていない者には伝達をすること、これより我々は、アリア・・・そして彼女が召喚するであろう大軍勢を相手に総力戦を仕掛ける。」

 

総力戦・・・それは間違いなく、紅魔館の全戦力を持ってことを当たるということだ、逃げていた妖精メイドたちもゴブリンたちも、狼女たちでさえ・・・その言葉に恐怖心を抱いていた。

それは、間違いなく・・・これで負けてしまえば自分たちに逃げるところなどありはしないのだ。

 

「間違いなく、この戦いは私たちにとって敗北必至の戦いだろう。だが私は信じている、今まで私を信じ従ってきた皆は、これぐらいの絶望には負けないって。みんな、前を向いて行動をしているって。」

 

実際、この言葉を聞いている全員はあきらめずに行動をしていた妖精メイドたちはライフルを片っ端からかき集めゴブリンたちは少しでも役に立つようにとできることをはじめ・・・狼女たちは自慢のスピードで駆けまわり偵察と警戒を繰り返していた。

 

「だからみんな、誰一人死なないで!みんな、大切な私たちの家族なんだ!!家族を取り戻すために、犠牲なんて必要ない!!だからみんな、前を向こう!!」

 

レミリアの力強い言葉で全員の士気が上がる。

今までの恩義や忠義が、レミリアの言葉によって火が付いたのだ。

 

美鈴は即座に警備隊の統率を整え、戦力を整える。

咲夜は妖精メイドたちに指示し、倉庫から様々なものを引っ張り出す。

小悪魔は即座に、ゴブリンたちの指揮をとり始め自分にできることをし始める。

レミリアは、パチュリーを見下ろしのいい場所へと降ろし、ついてきたフランドールを見る。

 

「フラン、貴女は大丈夫なの?」

 

「・・・うん、私は大丈夫。そうだよね・・・前を向かなきゃ、始まらないよね!!」

 

バチンとフランが自分の量頬を叩く、気合を入れなおしたようでフランドールは目を輝かせる。

 

「行こう、お姉さま!!私たちで、取り戻すんだ!!」

「・・・ええ、フラン。私たちで、取り戻しましょ!!」

 


 

山のように巨大なスルトに、スルトと比べれば小さいが大きい弾幕がスルトに向かって放たれそれがスルトに当たっている。

しかしスルトには効果が全くないのか、手を振り上げては振り下ろす動作を何度も繰り返している。

だが、スルトの攻撃はとても大きな大ぶりと言う事と、スルトが小さすぎる紅魔館の軍勢をうまくとらえられていないという点からか多少の負傷者は出ようともいまだ死者は出ていなかった。

そんな背景の中、レミリアとフランが姉妹らしい素晴らしいコンビネーションでアリアに攻撃を加えていた。

 

力のあるフランが一応大剣の部類であるレーヴァテインを片手剣のように振り回し、その隙を埋めるようにレミリアがグングニルで攻撃を加える。

アリアを守っていた鉄壁の結界が無くなったからか、アリアは回避と本当に避けられないものにだけ、黄金の波紋から盾を出現させ攻撃を防いでいた。

 

「スルトを相手に、攻めあぐねているな。」

 

ドォン!ドォン!!と、スルトの攻撃の音と振動が響く中アリアは攻撃を続ける二人にそう問いかける。

事実、紅魔館側にはスルトを倒すだけの火力を持つ人物はいない、それならダメージを重ねるだけだと言いたいが・・・そのダメージすら入っている様子はないのだ。

唯一ダメージを与えられそうなのは、レミリアの命を懸けた全力投擲のグングニルとフランの存在すら賭けた限界突破出力レーヴァテインしかないだろう。

 

「それにしても、驚いた。レーヴァテイン(スルトの剣)が主に逆らってまで、今の持ち主に忠を尽くすとは。それほどまでに絆したのか、それとも絆されたのか。」

 

「はっ、アンタのその余裕。いつまで続けれる!?」

 

「ええ、あのデカブツが倒れずとも先に貴女さえ倒してしまえば問題はないはずよ!!」

 

「ふふふ・・・ならば、こうしよう・・・・・・『武の頂に立つ妖精(フェアリーコード:タダカツ)』」

 

その名前が呼ばれた途端、レミリアの眼前に槍が迫った。

だが、レミリアは今日だけで何度も眼前に攻撃をもらっていたためにすでに避けることは慣れていた。

槍を紙一重で回避したレミリアは、そのままその槍の持ち主。召喚されたであろう妖精を見る。

銀色の甲冑に身を包み、鋭い目つきで槍を振りぬいている妖精。その圧倒的な風格は間違いなく”ペイルライダー”に匹敵するとも思える。

だが・・・

 

「”美鈴”!こいつの相手は任せたわ!!」

 

「お任せください、お嬢様!!」

 

レミリアがバックステップでタダカツから距離をとると、入れ替わりで美鈴が飛び込んでくる。

タダカツはその入れ替わりに対応できずに、美鈴に対して大きな隙を晒してしまう。

 

一!(イー!)

 

軽い正拳突きの連打から相手の体すら利用したサマーソルトキック。

そこからほぼゼロ距離での華符『芳華絢爛』。

 

二!(アー!)

 

態勢を立て直し、すぐさまばねのように飛び出して強烈な飛び膝蹴りを浴びせる。

そしてそのままかなり素早い蹴りを連続で食らわせた後に、方向性を定めた彩符『彩光乱舞』。

 

三!(サー!)

 

ドロップキックのような蹴りで一瞬で距離を詰め、アッパーカットからの飛び上がっての踵落とし。

相手より早く相手の下にたどり着き、回転しながらの蹴り上げで吹き飛ばし。

 

四!!(スー!!)

 

また一瞬で距離を詰め、タダカツにとどめの一撃・・・気を纏わせたアッパーカットで、とどめを刺した。

たった一瞬の事だが、アリアは予想出来ていたと言わんばかりに次なる妖精を呼び出していた。

 

「『魔法の頂に立つ妖精(フェアリーコード:ソロモン)』」

 

次の瞬間に現れたのは、絢爛な装飾が施されたローブを着た妖精、手には黄金製の杖を持っており明らかに美鈴相手には部の悪い妖精ではあった。

 

「パチュリー様!あとはお任せします!!」

 

【ええ、まかせなさい。】

 

だが、部が悪いことは美鈴が何よりも理解していた。

それゆえ早々に交代し、他の場所にへと援護に向かうことを優先した。

 

「神の力によって消え失せるが良い!『メギ・・・」

 

【停止からの詠唱、ソロモンの名前を聞いて期待したのだけど、所詮は妖精のソロモンか、ガッカリだわ。】

 

通信魔法からため息が聞こえたと思いきや、ソロモンが次の瞬間には極太の7色のビームに飲み込まれ、ピチューンと言う音を鳴らした。

 

【今の時代は杖で詠唱ではなく、魔導書での詠唱省略時代よ。それにしても魔理沙もいい魔法を作るものだわ。】

 

「っ!『暗殺者の頂に立つ妖精(フェアリーコード:ハサン)』」

 

もはや、ヤケになっているのかアリアはすぐさま別の妖精を召喚する。黒い魔法陣から黒い色の妖精が飛び出し、レミリアには襲いかかっていた。

 

【レミィのピンチよ?咲夜。】

 

「はい、言われるまでもありませんわ。」

 

だが、その妖精も瞬きをした次の瞬間には銀色のナイフの串刺しとなりしばらく耐えたと思いきやピチューンという音を鳴らした。

 

「せめて一太刀浴びせればいいものの・・・」

 

イラつきながら、そう愚痴をこぼすアリア。

一番付き合いの長いレミリアにとって、マリアの顔、マリアの声でそのセリフを言われてしまうと一番腹立たしいものがあった。

 

「やはり、私自らが貴様らを始末する必要があるか。」

 

「あなた、戦う前に自分で言った言葉を覚えているかしら。」

 

「ああ、『もう言葉など意味をなさない』だろう?」

 

「ええ・・・ゴチャゴチャと文句を垂れて口うるさい妖精さん?」

 

「・・・その減らず口、いつまでもつかな?カリスマもどき。」

 

次の瞬間、咲夜が時間を止めて飛び出しアリアの喉元にナイフを突きつける。

しかしアリアはそれすら予測していたのか咲夜の顔を掴みそのままレミリアに向かって全力で投げた。

吹っ飛ばされる咲夜はあまりの力に方向転換や受け身をとれずにまっすぐレミリアに飛ぶ。

レミリアは、アリアに向かって突撃し飛んできた咲夜を軽くよける。

 

「咲夜、太もものナイフ、借りるわよ。」

 

咲夜の耳に届いたその言葉に驚き、フランドールにキャッチされてようやく止まった。

そして次に見た光景は、すさまじいものだった。

レミリアは決して近接戦闘の達人でも、ナイフ捌きがうまいというわけでも、魔力操作が超精密な動きで操れるわけでもないが・・・

何と咲夜が目に負えない速度で、アリアと攻撃の応酬を繰り広げていた。

 

「お姉さまあんな動きできたんだ・・・」

 

「い、妹様。そろそろ大丈夫ですのでおろしてくれませんか?」

 

「んー、おろしたいのはやまやまだけどっ!!」

 

フランドールが咲夜を抱えたまま、その場所から大きく離れる。

すると、先ほどまでフランたちがいた場所に巨大な固まりが落ちて・・・いや、振り下ろされていた。

 

「あー、こっち来ちゃったかー」

 

「妹様!もう一回来ます!!」

 

「うわっ!?あぶないっ!!」

 

先ほどは右手での一撃だったが、今度は左手の握りこぶしが振り下ろされた。

フランが近づいていたスルトに目を向けると、膝立ちで完全にこちらにターゲットを向けていた。

 

ガオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!

 

「も、もしかしてレーヴァテインを返せって叫んでるのかなぁ・・・ごめん咲夜、おろすよ!!」

 

フランが咲夜に声を掛ければ咲夜も、一瞬で移動する。

ありゃ?とフランが声を出すと、右手が平手打ちで飛んできた。

 

ガオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!

 

(イラッ)・・・さっきからぁ、ガオォ、ガオォってうっせぇな!叫ばずとも聞こえてるっちゅうの!!」

 

ギャウ!?

 

フランが右腕を振りかぶって、そのスルトの右手を殴りつける。

ズドン!!と何もかもを吹き飛ばしそうな衝撃波が発生し、フランが右腕を振りぬくとスルトの態勢が大きく崩れた。

ズドドドドォン!!と、スルトが倒れたことで周辺に大きな振動と被害が広がる。

 

「はぁ、スッキリ・・・さて、そろそろアンタ邪魔だから・・・一撃でコワシテアゲル。」

 

フランの声がダブったように聞こえると、フランの左目が黒くなり瞳孔か紅く妖しく光る。

ゾワリと、スルトだけでなく、周りでスルトを攻撃していた紅魔館の住人達まで激しい悪寒に見舞われる。

何を隠そう、昔なじみの妖精メイドたちやアンナ以外では一切見たことのないフランの能力・・・その効果が発動しているのだ。

 

「ん~、これがアナタの目かぁ。」

 

いつの間にかフランの差し出している手には、サッカーボールほどの巨大な宝石のような物体が収まっていた。

 

「普通の生き物が5センチぐらいの大きさなのに・・・中々に大きいね。握りつぶせないや。」

 

がうぅう~・・・

 

何かを察したのか、スルトがかわいらしい声でフランに向けて手を伸ばす。

しかし、フランはニヤリと黒い笑みを浮かべた後。

 

「ごめんね~、敵と定めた以上・・・貴女が妖精で、あの妖精王に味方している限り容赦はしないのぉ~。じゃ~・・・」

 

魔剣『レーヴァテイン』

 

「ネッ!!」

 

巨大な宝石のようなものを上に投げたと思いきや、おちてきたそれをレーヴァテインで思いっきり切りつける。

炎が綺麗に舞いながら、宝石が真っ二つに割れる。

たったそれだけのことで・・・

 

いつの間にか、スルトの体が粉々に砕け散っていた。

 

が・・・があぁあぁぁぁぁ・・・

 

「・・・まあ、なんていうか。」

 

消えていくスルト、スルトもまたあくまで召喚された存在なので召喚された状態では死ぬことはできず、痛みを感じぬまま切り口から魔力を垂れ流して消えてゆく。

そんなスルトを見ながら、フランは頬をポリポリと掻きながら

 

「次ぎ会うときは、一緒にお話でもしようよ。紅茶でも飲みながら、ね?」

 

ぐぅるるる・・・ヤク・・・・・・ソク

 

最後にその言葉だけを残し、スルトは完全に消え去った。

足元の森のあちこちから、紅魔館の住人たちの歓声の声が上がる。

 

「さて・・・と。」

 

パッパッとスカートの裾についたホコリを払い、レーヴァテインを肩に担いでレミリアがいた方向に目を向ける。

 

「あとは、お姉さまだけか。」

 


 

フランドールが離れてから少し、もうほぼ勝負はついていた。

そもそもレミリアには吸血鬼としての圧倒的な身体能力と運命による相手の行動誘導や完全予測、挙句の果てにはグングニルの必勝能力がある。

だが、レミリアはそれらすべてを動員して。

 

「・・・やはり、この程度か。」

 

「ぐっ・・・ぐうぅぅぅうっ。」

 

アリアに負けていた。

首を圧倒的な力で掴まれ、呼吸さえままならないレミリア。

侮っていたわけでもないし、あそこでフランに行かせなければどのみちスルトに潰されて終わりだった。

レミリアとしては最適解な運命を選び、なおかつ自分が勝てる運命を見て、引き寄せたのだが・・・

アリアの目が黄金に光ったかと思った次の瞬間、自分は首を掴まれていた。

 

「な・・・・・・」

 

「ほぉ?この期に及んで命乞いか?いいぞ、申してみろ。言葉によってはその命を助けてやっても」

 

「なめんじゃないわよ、羽虫風情が!!」

 

首を掴まれながらも、大きな叫び声をあげるレミリア。

瞳孔を赤く光らせ、使ったことのないような馬鹿力でアリアの手の力を緩まそうとするが・・・微動だにしない。

 

「私は、私は!誇りあるブラド・ツェッペシュの末裔!!屈強たるスカーレット家の女!!この程度で根をあげるとは思わないことだ!!」

 

「・・・その状態で何ができる。負け惜しみで自らの偉大さを誇るか?いいだろう、ならばその誇りを胸に死んでゆくがいい!!」

 

いつの間にか、アリアの左手には黄金のナイフが握られており、レミリアの胸に突き刺さんと動き出す。

レミリアは、そっと目を閉じ瞼の裏に移りだす走馬灯を見て懐かしむ。

 

そして・・・黄金のナイフが、レミリアに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突き刺さらなかった。

 

 

なっ!?私の左腕に何をした貴様!!(今です!!レミリアお嬢様ッ!!)

 

 

「ッ!美鈴!!!」

 

「御意!!」

 

大きな隙ができたアリアに美鈴が突っ込む。

ダメージを受けたくないアリアはレミリアを放り投げ攻撃の姿勢に移るが・・・すでにそこは美鈴の拳の範囲だった。

 

「たぁああああっ!!」

 

突き出された黄金の槍を紙一重で避け、アリアの顎を殴りつける。

衝撃でアリアが吹き飛び、・・・”その直線には何もなかった”

 

「パチェッ!!」

 

【仰せのままに、レミィ】

 

パチュリーの黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)に記載されている最大魔法。

7つの光の濁流がドリル上に混ざり合いアリアを容赦なく飲み込む。

魔法史におけるそれぞれの属性の魔人を呼び出し、放たれた光線を束ねるという魔法だが今この場においては一番の火力を持っていた。

 

「咲夜ぁッ!!」

 

「この命に代えてもッ!!」

 

ブゥン。

重苦しい音ともに咲夜以外の全てが灰色になり停止する。

瞬間的に、何とか防御態勢ができているアリアに近づき、”致命傷”になるようにナイフを設置してゆく。

しかも、投擲用のナイフだけではなかった。妖精たちが持つライフル、紅魔館に貯蔵されている武器の数々。そのすべてを配置してゆく。

 

(12秒経過ッ・・・これでっ!!)

 

仕上げに自分自身もアリアに向かってナイフを突き出しながら突撃する。

シュンッ。そんな気の抜けるような瞬時に切り替わった音がした途端、咲夜が設置したすべての武器がアリアに殺到する。

 

「ぬぅっ!?」

 

「うあああああああああああああっ!!」

 

咲夜が決死の叫び声をあげ、無理やりにアリアを投げる。

アリアの体が再び、何もない場所へと移動し・・・

 

「待ってましたっ!!」

 

そこにフランドールが追撃をかける。

レーヴァテインを器用に振るい、アリアの持つ杖を弾き・・・能力でその杖を破壊する。

そしてがら空きのアリアに攻撃を加えるのも忘れない。

レーヴァテインになけなしの魔力をつぎ込み、フランドールにとって最後の攻撃を振り下ろす。

 

アリアも最後に取り出した黄金の盾が、砕け散った。

 

 

そこをすかさずフランドールが蹴り上げる。

 

「今です!お嬢様!!」

「今よ!!レミィ!!」

「お願いします、お嬢様!!」

「決めちゃって!お姉さま!!」

 

 

 

「ありがとう・・・みんな!!」

 

既に準備を整え・・・レミリアのありったけの魔力をつぎ込み、グングニルは今までにないほどの危ない赤い光を放っていた。

投擲の構えをするレミリアも、ダラダラと汗が流れ続け・・・意識が薄れそうになり標準が定まらない。

 

・・・しかし、レミリアの肩にそっと手が置かれた。

 

(だれ・・・だ?)

 

『あの光を狙ってください。お嬢様』

 

背後にいる誰かの腕が視界に入り、アリアを指さす。

その指をさした先には、キラキラと鮮やかな赤い光が輝いている。

・・・それを見たレミリアは察する、あれは・・・マリアに上げたあのブローチだ。

 

『”妖精ちゃん”のことを・・・マリアちゃんのことを、よろしくお願いします。』

 

「・・・ああ、任せてくれ。」

 

意識がハッキリと覚醒する。

 

手元はぶれない、足元には何もない。

 

「たとえ、どんな邪魔があっても・・・この一撃は外さない!!」

 

神殺『レミリア・ザ・グングニル』

 

「いっけぇええええええええええええっ!!!」

 

レミリアが投擲したその槍は・・・

 

 

 

音速を越え・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奇跡をもたらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチューン!

 


 

 

「・・・・・・私は、また負けたのか。」

 

戦いにも巻き込まれず、綺麗に残っていた花畑の上・・・そこでアリアは倒れていた。

レミリアたちは狼女たちや妖精メイドたちに支えられながら何とか立っていた。

 

「ええ、貴女は・・・私たちに負けたの。」

 

「・・・なぜだ。」

 

「それは・・・貴女が、家族や仲間(妖精たち)を大切にしないからよ。」

 

「・・・・・・そう、か。私が忘れていたものは・・・・・・それだったのか。」

 

スゥッ・・・と、アリアの体が光りはじめる。

 

「・・・そうか、私も帰るのか。」

 

腕を天井へと伸ばし、光の無い目でそれを眺める。

 

「・・・・・・あ・・・あ。おべ・・・・・・ろん。むかえに・・・きて・・・・・・くれたのか。」

 

その言葉を最後に、”アリア”の腕がポトリと落ちる。

 

「・・・・・・これで、終わった。わね。」

 

「・・・マリアさんは、帰ってきません・・・でしたか。」

 

「・・・おかあ・・・さまっ」

 

それを見て諦め始める面々、レミリアも顔を伏せ・・・キラキラと光るものを流していた。

 

「・・・えっ・・・み、みんな!!足元を!!」

 

フランの驚いたような声を聞き、全員が足元・・・花畑を見る。

花が・・・シロツメクサの花々がアリアの体に向かって光の波を作っている。

 

「な、なに!?どういうこと!?」

 

「ま、また新しい敵…ですか?」

 

「くっ・・・」

 

そんななか、ふわりとレミリアの胸から出ていくものがあった。

・・・それは、レミリアとマリアの思い出の品。二人のお揃いのブローチだった。

それはかなり昔の話で・・・どうやって渡したかも覚えていない大切な思い出。

 

だけど、それたしかに二人をつないでいた宝物だった。

やがてそのブローチから、一粒の光が零れ落ちる。虹色に輝くそれは、ゆっくりとアリアの体に落ち・・・アリアの体に吸い込まれていった。

 

「うぅ・・・こ、ここは。」

 

やがて、フラフラとアリアが立ち上がった。

 

「私は・・・一体、確か。あの子を送り届けて・・・それで、」

 

「・・・まり・・・あ?」

 

 

 

「・・・えっ。レミリア…お嬢様?そ、それに・・・みんなも?咲夜まで?」

 

やがて、レミリアとフランと咲夜が走り出し・・・

そして・・・

 

 

【挿絵表示】

 

 

「マリアっまりあぁぁぁぁぁっ!!」

 

「本物だっ!本物だよお姉さま!!」

 

「お母様・・・」

 

困惑していたマリアだが・・・やがて落ち着きを取り戻し、それぞれの娘たちを慰めだす。

 

「よかった・・・よかったぁっ!」

 

「ええ・・・これで、全員集合。ですね!」

 

「はぁ・・・やっと終わったかぁ。」

 

安堵の涙を流すパチュリー、嬉しそうに笑顔を崩さない美鈴。

そして小悪魔は、やれやれといった感じで座り込んだ。

 

 

 

それからしばらくの間、紅魔館の人々の喜びの声は・・・まったく途切れなかったという。




妖精の名前について

スルト、タダカツ、ソロモン、ハサン。
古今東西の神や英雄の名前を持っているが、あくまで彼女たちはその彼らの名前をマネしてるだけではある。
しかし、名前補正がかかりその名前を持った妖精は名前の持ち主とよく似るようになるという。

オベロン

アリアの最期の言葉に出てきた名前。
アリアの元腹心にして幼馴染、四騎士の上司。
既にぬらりひょんによって殺害されている。


アリア

幻想郷にある力の流れ・・・龍脈の管理者。
元々は中立の立場だったがぬらりひょんの策謀によって封印されワープ。
そのショックで記憶をなくしてしまったうっかりさん。
最後は幼馴染と一緒に天へと昇った。




というわけで、クソデカ感情抱え込んだ紅魔館組の異変騒動!は、EXの後日談と+αを書いて終わりとなります。ここまでの御愛読本当に感謝です!!
さて、グダグダとあとがきを書くのはまた今度としましょう!!
ではまた、次のお話をお楽しみに!
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