紅魔館が、妖精に覆われた事件とその真相は結局、八雲紫の手によって真っ黒い闇の中へと葬られた。
操られてはいたとはいえ幻想郷側の失態と、復活させてもらった恩としてその二つはレミリアたちの想定以上に事が進んでいた。
さらに懸念のあった、レミリアとフランドールにとっての主食。血液は、八雲紫独自のルートから確保され、その受け渡しは紅魔館側完全優位で進んでいた。
その後、余裕と大切なものを取り戻した紅魔館は幻想郷各勢力にわざわざレミリアが出向き菓子折りと西洋の美術品*1を渡すことによって、表向きは不可侵条約を結んでいた。*2
そんな中、紅魔館では・・・
「ふぅ~・・・かつてできた力仕事が、かなりキツイですね~。」
中庭で、大量の洗濯ものが風にあおられてバサバサと音をたてている。
その中でマリアは、額の汗を拭きながら少し休憩していた。
そんな様子を見た妖精メイドがすぐさまマリアに近づき冷えた水が入った水筒を渡していた。
「ありがとう、助かるわ。」
「いえいえ、無理は禁物ですよ!メイド長!!」
嬉しそうな雰囲気で仕事場に戻る妖精メイド。
今この洗濯物を共同で干している妖精メイドたちは、元々マリアのメイド隊の精鋭中の精鋭だ。
かわいらしい掛け声と、動作でベットのシーツやワイシャツを干し続けている。
ふと、マリアが紅魔館の方に目を向けると・・・
「誰かー、レンガの追加こっちにおねが~い!」
「西館の瓦礫運ぶの誰か手伝ってー!」
「あぁ~!?私の私物~!!とほほ・・・あんまりだぁ~。」
警備隊の狼女たちが土木作業をしていた。
あの戦い・・・正確にはスルトが召喚され彼女が攻撃した際、大きな衝撃波を地上にまで届けていた・・・その結果本館は耐衝撃建築を多少なりとも施していたために無事だったのだが・・・まだ施されていなかった西館と東館、時計塔や離れの倉庫などは完全に崩落しており現在復旧作業が施されている。そのため、大半の妖精メイドや狼女たちは中庭にテントを張って生活している。
ちなみに建築しているのは狼女たちだけではなかった。
「へぇ~、こうするといいのかぁ。勉強になるなぁ。」
「ま~日本建築は西欧と比べて改良するべき点が多かったからなぁ。それにここらは地震が多いからなぁ」
八雲紫が連れてきたであろう、鬼が建築現場に混ざっているのだ。もちろん報酬は八雲 紫もちらしいが・・・
何となく騙されそうで少しだけ会計帳簿に余裕を持たせようとマリアは考えた。
「お母さ・・・メイド長。」
そんなマリアのもとに、咲夜が現れる。
手には買い物かごが握られており、連れの妖精メイド2人も満足そうに買い物かご・・ではなくちょっとした馬車に乗っていた。
「おかえりなさい、咲夜。どうだった?」
「はい、八百屋の哲さんと肉屋の松さんが注文通りに・・・こちら詳細書です」
「ふむふむ・・・あら、予想より安い。おまけしてくれたわね~。」
幻想郷での生活もなんとかうまく言っている。
人里でもまだ一部の反感はあるものの、こうして買い物をするぐらいには適度な交流をしている。
八百屋と肉屋の人たちに最初に大量発注したときは驚かれたのだが、紫が交換してくれた大判を見せたところ喜んで発注してみせた。
「ありがとう、私の部屋の机の上にって・・・一緒の部屋だったわね」
「ふふ、もう・・・お母さんったら。とりあえず、いつもの所に置いておくわ」
そう言いながら、咲夜は本館の中へと消えてゆく。
それを見たマリアは、もう一仕事!と意気込むと、トコトコとひときわ大きなテントに向かった。
「でね~、魔理沙ったら酷いのよ~。『レミリアのグングニルより、フランのレーヴァテインの方が強そうだぜ』って!」
「・・・まあ、見た目的には紅い槍と燃え盛る剣だからね。魔理沙の言う事は一理あるわ」
「パチェまで!?も~、フラン~貴女からも何か言ってよ~!」
「はは、地味乙。」
「フラン!?」
ひと際大きなテントは、レミリアとフランのテント・・・そのテントの前に、日傘が突き刺さったテーブルがありそこでレミリアとフラン、そしてパチュリーが紅茶を飲みながら優雅にお茶会をしていた。
ちなみにだが、スルトの衝撃波の一番の被害を受けていたのはヴワル魔法図書館で、現在は衝撃波により発生した本の山(全高42m)を一冊一冊丁寧に分別しているところだ。
小悪魔が主体となって頑張っているけど西館と東館の修理と同じですぐには終わりそうにないらしい・・・
「レミリアお嬢様、フランお嬢様、パチュリー様。お茶のお替りとおやつのケーキはいかがなさいますか?」
「あ、欲しい!チョコレートケーキを頼むわ!」
「私、イチゴショートで!」
声をかけたマリアにすぐさま反応した吸血鬼姉妹。
レミリアがチョコレートケーキでフランはイチゴケーキ。
チラリとパチュリーの方を見ると本で顔を隠しながら
「ぶ、ブルーベリーで」
少し恥ずかしそうにそう答えた。
マリアはそんな三人に笑顔で答えて、一礼して離れていく。
「マリア!」
そんなマリアにレミリアから声がかけられて、マリアは振り返る。
レミリアはふふん。と言いたげな表情とフランは笑顔で、椅子を3つ増やす。
「美鈴と咲夜、そしてあなたも一緒にティータイムよ!」
「!」
その言葉にちょっとだけ驚きながらも、すぐにうれしそうな笑顔になるマリア。
嬉しそうにぺこりと一礼した後、そそくさとキッチンへと向かっていく。
(今日はちょっとだけ、豪華に作っちゃいましょうか♪)
その日のマリアは、とてもうれしそうだったと言う。
これは、とある幻想郷のお話。
紅白の巫女と、白黒の魔法使い・・二人の異変解決者が解決した初陣の異変。
”紅魔郷異変”。
それが、この幻想郷で再び起きていた。
しかし、”第14代博麗の巫女”はすぐさま行動開始。
ルーミアをぶっ飛ばし、大妖精とチルノを氷の湖に沈め、狼女たちをボコボコにした後、美鈴をぶっ飛ばし、妖精メイドたちを蹴散らしたのちに、小悪魔を本棚に突っ込ませ、パチュリーをそっとソファーに寝かしつけた後、精鋭妖精メイドをコテンパンに倒し、アンナを完膚なきまでに倒した後・・・
「ようこそいらっしゃいました。博麗の巫女。」
先を急ぐ博麗の巫女を、遮るように”黄金の武器”が突き刺さる。
博麗の巫女は、”琥珀色”の瞳でその犯人を睨みつける。
「ですがすぐさま、おかえりいただけないでしょうか。」
そこにいたのは、空色に似た髪色の妖精メイド・・・だが、他の妖精メイドたちと違って雰囲気が全く違う。
「乱暴で危険な貴女様を、お嬢様方のもとへといかせるわけにはまいりませんので」
「それなら、アンタをぶっ飛ばして案内させてやるわ」
「・・・そう。なら、無限に広がる空間の中で永遠と時が止まったかのように彷徨がいい!!」
そこに在る、紅くて大きくそして笑顔が絶えないお屋敷で・・・
幸せそうに、その妖精メイドは笑っていた。
そしてそんな彼女に、また運命の出会いが近づいていることは・・・また別のお話である。
これにて、完☆結。
あとはおまけを書いておしまいですが、これまでの物語はいかがだったでしょう。
不完全燃焼や納得いかないっという方はいるでしょうが、少なくともこれで終わりです。
少なくとも、自分はこれ以上このお話を広げるつもりはありませんし、マリアとその紅魔館の物語はこれにて終わりです。
ちなみに最後に出てきた14代博麗の巫女は間違いなく霊夢の娘です。(魔理沙ェ・・・)
名前や能力、戦闘スタイルなどは伏せますが、黒髪で琥珀色の瞳、スタイルは魔理沙寄りと言う事だけは言っておきます。
さて、蛇足はこのぐらいにしてこの小説を書いたきっかけをお話ししましょう。
そもそもが、この小説をここまで長編にする予定はありませんでした。
少なくとも12話ぐらい書いてとっとと別の小説を書こうと考えていたのですが、気が付けばこっちのプロットを書いてしまっていたので・・・はい、気が付けばこの物語を書いていました。
というのも、なんだか書いているうちに楽しくなりいつの間にか無意識に達してしまっていたようで、まあせっかく書いたんだしといった感じでずるずると・・・
まあ結果的に長くなってしまったんですが・・・
さて、読者が興味ないだろうあとがきをズルズルと書くのもなんですし。
作者のお言葉はこれにて終わりにします。校長先生のお話よりかは短いじゃろ?
おまけのIF展開に関しては、期待しないでください。
ほぼほぼ燃え尽きかけていてもう頭は、別の作品を作り上げようとしているので・・・
とりあえず頑張りますが、本当にクオリティだけは期待しないでください。