モンスターハンターダブルクロス ~ 四天王と4人の狩人編   作:にがいまっちゃ

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更新が大幅に遅れてしまい申し訳ございません!
次話も遅れそうです。本当にすみません…


第2話:新たな仲間、リディアの過去

「へへーん!これを見ろ、ルカ!」集会所に快活な声が響く。

「おおっ!これは…!」

リディアが自慢げに見せてきたものは…

「この前討伐したゲリョスの素材で作った…こいつだっ!」

ガンランス《ハードヒッター》である。

毒怪鳥の素材が使われているこの武器は、骨製の刃を直接突き刺すゴーレムガンランスと比べると攻撃力はどうしても劣ってしまう。

だがその代わりとして、筒形の銃口にゲリョスの毒袋から抽出された猛毒の小さな棘が剣山のように沢山、円形に仕込まれている。モンスターを攻撃すると同時に棘が飛び出し、物理的ダメージと共に毒を体に染み込ませる仕組みだ。

「早くこいつを使いたくてウズウズしてんだよな」

「それじゃ、クエストカウンター見てみようぜ」

「おう!」

二人はカウンターへ足を進める。

 

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「…?」

「どうされました?御主人様」

「いや…。あの少女、何処かで見たことがあると思ってな…」

「あの盾蟹の防具の子ですかニャ?」

「うむ…」その大男は静かに頷く。

「…ちょうど二人だけのようですし、あの子たちの狩りに参加してみてはいかがですかニャ。何か思い出せるかもしれませんニャ」

「…」

 

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「こちら、クエストカウンターです」受付嬢の決まり文句。

「新しいクエストは増えてるか?」

「はい、今度は前と違って狩猟クエストも仕入れてきましたよ!」

「おおっ!」二人の目が輝く。

「それが…」依頼書が大量に貼り付けてある分厚い本を捲り…

「こちらです!」その中の一枚を剥がす。

「ん…?これは…」

「《テツカブラ》…?」

クエスト依頼書に書かれていたのは怪力の鬼蛙《テツカブラ》。

手足の形や体つきはその名の通りカエルなのだが、一番の特徴は発達した巨大な顎と一対の極大牙である。

テツカブラは、この顎と牙で地面から大岩を掘り出して攻撃する、という恐るべき力を持つ両生種のモンスターだ。

「なんか…ゲリョスよりも苦戦しそうだよな…?」珍しく弱気なリディア。

「だよな…。そうだ、クエストって4人まで参加できたよな?」

「はい」受付嬢が答える。

「よし、それじゃまだ出発はせずにしばらく仲間を募集することにするよ」

「では、その依頼書はクエストボードに置いて下さい。参加したい人が見つかるはずです」

「よいしょ…っと」クエストボードの高く目立つ場所に依頼書をかける。

「おし、んじゃちょっと待ってみるか…」

 

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「…誰も来ねぇな」

「…だな」

依頼書をボードに置いてから30分、参加しそうなハンターはひとりも来ない。

だが、それもそのはず。集会所にはルカたちと同じHRの者ばかりいるわけではないからだ。

それに、クエストボードには他にもテツカブラよりもランクの低い「跳狗竜《ドスマッカォ》の狩猟」や、高難度の「火竜《リオレウス》と雌火竜《リオレイア》の同時狩猟」といったたくさんのクエストが用意されている。

 

「まぁそもそもテツカブラ自体ハンターからの需要がないしなぁ…」ため息混じりに話すリディア。

「うーん、どうする…?」ルカが腕を組んで悩んでいると…

「少しよろしいですかニャ」

「!?」足元から声がして驚くルカ。

下を向くと、可愛らしい赤毛のアイルーと目があった。

そのアイルーは一歩後ろへ下がり丁寧にお辞儀をしてから、

「驚かせてしまったようですニャ。私はソフィと申しますニャ」

「んで、アタシたちに何か用なのか?見たところ《オトモアイルー》みたいだが…」

「ソフィはオトモアイルーではなく一人前の《ニャンター》ですのニャ!」

「ニャンター?」ルカが口を開く。

「ソフィは人と同じように登録をしたれっきとしたハンターですニャ。他のハンター様たちには《ニャンター》と呼ばれていますのニャ」

「アイルーの世界も進んでるなぁ」感嘆の声を漏らすルカ。

「話が脱線しちまってるぞ…。何か用があって来たんじゃないのか?」

「あっ…し、失礼致しましたニャ!えーっと、ソフィたちもテツカブラの狩猟に参加したいと思って参りましたニャ」

「あれ?『たち』ってことはもうひとりいるのか?」

「このレイアシリーズの方ですニャ」

「えっ!?この人がもうひとりのハンターだったのか…あんまり喋らねぇから…」

「…ボリーだ。よろしく頼む」若葉色の鱗に身を包むその大男が口を開ける。

「よ…よろしく」ボリーと目があったルカはまるで絞蛇竜に睨まれた釣りカエルのように固まってしまう。それほどまでに威圧感のある男なのだ。

「オイ…なんか怖ぇぞボリー…」リディアがソフィに耳打ちする。

「…昔からこういうお人柄なのですニャ。良く言えば寡黙、悪く言えば人付き合いの苦手な方」

「…結構ズバズバ言うのな」思わず苦笑い。

「こう見えて付き合いは長いのですニャ」

 

「と、とりあえず二人の名前を依頼書に書かないか…?」ルカの提案。

「…ということはソフィたちも参加してよろしいのですかニャ?」

「もちろんさ、むしろ大歓迎だよ」

「おし、これが依頼書だ」リディアがボードにとめていたピンを外し、依頼書を渡す。

「…」無言でペンをとったボリーは、受け取ったそれに堅苦しい字で名前を書き込む。

その下にソフィもサイン。綴られた字はボリーとは対象的なまるっこいものである。

「書けましたニャ」

「つっても今日はもう出発できねぇな」空は既に橙色から星空へ変わろうとしている。

「それじゃ、明日の朝に出発するんだな」

「おう」「了解ですニャ」「…うむ」

「それじゃ、今日は解散!」

 

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そのあと、4人はそれぞれの場所で食事を終え宿屋に泊まったのであった。

 

場所は変わって、リディアの部屋。

「ふぁ〜ぁ…そろそろ寝るとするかぁ」

コンコン。扉からの音だ。

「ん?誰だ?」

「ソフィですニャ。お邪魔してもよろしいですかニャ?」

「ソフィか。どーぞ」

「失礼しますニャ…」古傷だらけの扉が軋み、動く。

「何かあったのか?」

「御主人様…ボリー様がずっとボウガンの調整をしていて眠れないのですニャ。こちらで寝てもいいですかニャ…?」

「ん、別にいいぞ。アタシは困らねぇよ」

「ありがとうございますニャ」一人用のベッドにソフィとリディア、ふたりが寝転ぶがふたりとも小柄なので難なく収まった。

 

しばらくして、ソフィの寝息が聞こえてきた。が…

リディアはまだ眠れていなかった。

(クソっ…隣にこんな可愛いのが寝てて眠れるかっつーの…)

そんな時、ひとつの考えが思い浮かんだ。

(…今なら肉球ぐらい触ってもバレねぇよな…?)

実のところ彼女は極度のアイルー好きである。ニャンコックには反応しなかったようだが。

(…)

自然にリディアの手が伸びて…

ぷにっ。

(本物の肉球なんて初めて触ったがこんな感じだったのか…たまらん)

柔らかさに感動していると…

「ニャ…?」

(ヤベっ!)咄嗟に後ろを向いて寝たフリをするがもう遅い。

「リディア様…ソフィの掌を触りましたね?隠してもムダですニャ」

「う、うぐ…」

「あ、そんな身構えなくたって怒っているわけではないのですニャ。ちょっとビックリしただけですニャ」

「そうなのか…?」

「リディア様がお望みならもっと触ってもいいんですニャ」

「な…!?」

触りたい気持ちと申し訳無さの真っ向勝負は…

「そ、それじゃお言葉に甘えて…」

触りたい気持ちの大勝であった。

ぷにぷにぷにぷに…

(あ…できることならこのまま死にたいレベル…)

夢中で自分の手を握るリディアに、苦笑いが隠せないソフィ。

そして我に返ったリディアは、

「な、なんかすまねぇな…」嬉しさと欲望を曝け出してしまった恥ずかしさで複雑な気持ちになる。

「いえいえ…」

「アタシもなんかお礼しないとな。…そうだ、アタシの昔の話でも聞いて貰おうかな」

「リディア様の過去ですニャ?」

「そうだ。アタシがハンターになったきっかけを…」

ソフィが姿勢を正す。

ひとつ咳払いをすると、話し始めた。

「こほん。…よくこの喋り方はぶっきらぼうだとか女らしくないとかって言われるんだが、アタシも子供の頃はごくごくフツーの女の子だったんだ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

9年前。リディアがまだ9才の幼子だったときの話である。

彼女はハンターの村、ココット村の出身だ。父はハンターをやっており、いつも家にいなかったので彼女を育て上げたのは主に母だった。

今とは違いリディアの髪は長く、綺麗に切り揃えられていた。

 

その日も父は狩りに出掛け、リディアは母と家にいた。

照りつける日差しの下、今日も変わらない平和な日だと村の皆が思っていた。

しかし、村と平和な日は一瞬で破壊されてしまったのだ。

空から舞い降りた、『雷の反逆者』によって。

「逃げろォォッ!!!」

村の男衆の声で異変に気づいた母は、リディアの腕を掴んで家から飛び出した。

村は既に半壊だった。近所の家も木屑と化しており、雑貨屋があったところには焦げた果実らしきものが幾つも転がっていた。

その奥に、動く何かがいる。蝶の羽に似ている翼膜は眩しく輝いて美しい。

その『反逆者』はこちらを向いた。

全体を紫がかった黒い鱗と甲殻で覆い、所々に黄緑色のアクセントを持つ『反逆者』は、口周りだけが紅く染まっていた。

『反逆者』がこちらへ迫る。

「あなただけでも逃げなさい、リディア!」

「でも、おかあさん!!」

目と鼻の先に『反逆者』が、死が迫る。

「リディア!!」

母はリディアを抱きかかえると、死とは逆方向へ投げ飛ばした。

「おかあさん!?」

地面に叩きつけられたが、『反逆者』から距離をとることができた。

しかし。

逃げ遅れた母は、『反逆者』の翼爪によって吹き飛ばされ、家屋の壁に激突し…とどめだと言わんばかりに追撃の雷ブレスが放たれ、その壁もろとも爆発。

「おかあさぁぁぁん!!!!」

煙が晴れた頃には、壁と母は跡もなくなっていた。

「お…おかあさん…」

『反逆者』はリディアへ目を向ける。目線がぶつかる。

「あぁっ…あぁぁっ…」恐怖と絶望で言葉も出ない。体から血が、温もりがなくなっていくような錯覚に陥る。必死に立ち上がろうとするが足に力が入らない。

おかあさん、わたしもいくから…

諦めて目を瞑ったその時だった。

空中から数発の弾丸が放たれ、『反逆者』の左眼に命中。

目を抉り飛ばされ、流石の『反逆者』も悲鳴をあげた。そして、そのまま飛び去っていった。

弾丸を放った主が、構えていたボウガンをしまい近づいてくる。

「…大丈夫だったか」

「うぐ…あ…う…」まだ気持ちがまとまっていないのか、まともな言葉が出てこない。

「…」男は気持ちを察したのか、黙って手を差し出す。

リディアは差し出された手を握り、なんとか立ち上がった。男の手は暖かかった。

涙が溢れる。9つの少女にとって、目の前で肉親を亡くすことはあまりにも重すぎた。少し突付けば崩れてしまいそうだ。

リディアが泣いている間、男は手を握ったまま黙っていた。

 

その後彼女はその長い真珠色の髪をばっさり切り落とし、『反逆者』への復讐を誓った。

それからは毎日がむしゃらに金を貯めた。ココット村を離れ他の村でも仕事をし、道中で野宿もした。

6年の月日が経ち、ハンターの養成所に入ったリディアはぶっちぎりの高成績で卒業したのだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「んで、今に至るってわけよ」

「こんなに重たい話だなんて想像してませんでした…。なんだか申し訳ないようなことを聞いてしまった気がしますのニャ」

「いやいや全然いいんだ。今まで誰にも話したことなくてさ、ずっとひとりで抱えてたんだ。聞いてくれてありがとよ」

「それならよかったですニャ」

「さてと、そろそろ寝るか。電気消すぞ」

「おやすみなさいなのニャ」

消灯してすぐにリディアが寝息をたてる。

ソフィは寝返りを打つフリをしてリディアに背中を向けると、何か考え事を始めた。

(あの話…前に御主人様から聞いた話と共通点が多すぎるのニャ…。9年前ココット村を襲った雷属性のモンスターはおそらく最近発見された電竜《ライゼクス》…。そして御主人様が助けた少女の話、集会所でのリディア様を知っているかのような発言。無関係なわけがないのニャ…

これから少しずつ探っていく必要があるのニャ)

考えている間に、ソフィも夢の中へ落ちてしまった。




テツカブラの狩猟は次回です。
リディアばっかり掘り下げてるので他のキャラも設定を練っていきたいところ。
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