新たな星たちと灰色の姫君   作:水甲

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今回はかのんちゃんsideでお送りします



30 結んだ二つの思い 前編

かのんside

 

部室に集められた私たち。そして葉月さんの前には紗桜莉ちゃんが不機嫌そうに座っていた。

 

「今の私の家にはお金がありません」

 

私たちは葉月さんから全てを聞くことになったけど、初っ端から物凄いことを言ってない?

 

「神宮音楽学校の生徒だった母は同じ場所に再び学校をつくりたいと願い続けていました」

 

「それで結ヶ丘を…」

 

「しかし海外での仕事が決まっていた父はそれに反対し家を出ていったのです。それでも母は頑張って創立までこぎつけたのですが無理をしたこともあり2年前帰らぬ人に…」

 

「じゃあ一人っていうのは本当に…」

 

「はい」

 

「お金がないというのも…」

 

「恥ずかしながら本当です。父は海外で一緒に暮らそうと言ってくれましたが断りました」

 

そんな事情が……今まで悪者みたいにしていたけど……事情を聞いたら…………

 

「だからなに?」

 

「…………」

 

えっと、紗桜莉ちゃん?事情が物凄く重いんだけど…………

 

「お金がない?それはあなたの家庭の事情だよね?」

 

「い、いや、学校の経営がね……」

 

「そんなの援助してもらおうとか思わなかったの?」

 

「……そんなこと」

 

「葉月家から他の所に経営が移るかもしれないとか思ってる?援助金を出す条件としてそこら辺を付け加えればいい話だし、と言うか理事長に経営権を渡しても良かったよね?」

 

「その方法も理事長に言われて……ですが」

 

「家にはあなた一人……」

 

「いえ、チビが」

 

「知らないよ。犬か何か?と言うかそんなことを聞いてるんじゃない!たかが高校生の娘一人で学校をどうにか出来ると思ってるの?」

 

「…………いえ」

 

「経営云々はあなた一人の問題じゃないし、あの集会での発言も入学数が今のところ少ないからって話でしょ!そんな今の事を考えて学校を私物化しないでほしいんだけど!」

 

「一応……葉月さんのものじゃ」

 

「かのんちゃんは静かに!」

 

「はい!」

 

ほ、本当に今日の紗桜莉ちゃん、怖いよ~

 

「……あなたの言う通りですが……それでも…………」

 

「未来を想像することを放棄してない?」

 

「未来を?」

 

「今は無理……このままだと廃校になる。葉月さん、貴方は暗い未来しか見てない!明るい未来を見る!想像する!それを放棄してる!」

 

「…………」

 

多分だけど……この言葉は紗桜莉ちゃんが誰かに言われたのかな?

紗桜莉ちゃんも同じように未来に絶望していたから…………

 

「それに学校どうこうにスクールアイドルは関係ないよね?」

 

「それは…………」

 

「その子の母親がスクールアイドルだったからよ」

 

すると音楽科の子が部室に入ってきたけど…………えっと誰?

 

「鳥坂さん……どうしてそれを」

 

「……まだ思い出せないんだ…………一人で抱えてるから忘れたんだね」

 

「やっぱり知りあい……と言うより親友だったみたいね」

 

「流石は相花さんね。そうよ……私は彼女の家に働いていたメイドをしていた母の娘……」

 

「あ……さつきさん?」

 

「ようやく思い出したんだね……まぁ名字も母のものにしていたからね」

 

鳥坂さんって人が……葉月さんの家のメイドさんの娘?

 

「貴方は抱え込んでるから、私との約束を忘れた。まぁその約束はどうでもいい。私は貴方の力になりたかったけど……ここに来てから貴方には幻滅したよ…………」

 

「これは……私の……」

 

葉月さんと鳥坂さんの間にも深い溝が…………ふっと紗桜莉ちゃんを見ると物凄くどうでも良さそうにしていた

 

「二人の関係については今はいい。母親がスクールアイドルをやっていたなら、どうして私たちを認めなかったの?」

 

「スクールアイドルは……駄目なのです……スクールアイドルだけはやめてほしいのです!」

 

「えっ?」

 

「この学校で活動しないでほしい…」

 

「理由を教えてくれる?」

 

「かつてここには学校を廃校から救うためにアイドル活動をする生徒がいました。それがわたくしの母です」

 

「だからこの部屋には”学校アイドル部”のプレートが…」

 

「まだスクールアイドルという言葉が生まれるずっと前のこと。母たちの活動は評判になり注目を集めました。でも目標は叶わず学校は廃校に…」

 

「あんなに嫌がってましたですのに?」

 

「ですが……何も残っていないのです!いくら捜してもスクールアイドル活動の記録だけ残っていないのです。他の学校生活の記録は残っているのに、学校でアイドル活動をしたその記録だけがどこにもない。それで思ったのです。もしかしたら母は後悔していたのではないか。スクールアイドルでは学校を救えないと感じていたのではないかと」

 

そんな……私やちぃちゃん、可可ちゃん、すみれちゃんは何とか否定をしようとしたけど…………そんなことを言えるような状況じゃなかった

 

「それ、葉月さんが母親の事を侮辱してるよね?」

 

「何を!そんなこと!」

 

「ならどうして!スクールアイドルを禁止しようとしたの?母親が失敗したことをまた誰かが同じように失敗するから?貴方にとって母親は大切な存在じゃないの?だとしたら禁止するようなことはしないよね?」

 

「それなら……それならどうしてないのです?大切な思い出の写真一枚残っていないなんてあると思いますか!?」

 

「本当に探したの?」

 

「え?」

 

紗桜莉ちゃんは立ち上り、倉庫へと向かっていった。どうしたんだろう?

暫くして紗桜莉ちゃんはあるものを持ってきた。それは古い鍵のかかった箱?

 

「かのんちゃん、部室の鍵にもうひとつ鍵がついてるよね?」

 

「う、うん」

 

「貸して」

 

私は紗桜莉ちゃんに鍵を渡すと…………紗桜莉ちゃんは葉月さんと鳥坂さんを見て…………

 

「答えはここにある」

 




次回に続きます!

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