「ソロアイドル……デスカ」
「うん、くぅちゃんはグループでやりたい感じだよね?」
「はい、ですがスクールアイドルは自由ですから無理にグループでやりましょうとは言いません。紗桜莉さん、共に頑張りましょう!」
「うん」
ソロでやることでもめるかと思ったけど、特に問題なく進めて良かった。
「それでね。くぅちゃんのパートナーだけどかのんちゃんでどうかな?」
「いやいやいや、私じゃ……」
「駄目デスカ?」
「私ね 音楽科の受験落ちたんだ。大好きなんだけどね。きっと才能ないんだよ。だからもう歌はおしまい」
かのんちゃんはそう言って、私たちのところから離れようとした。やっぱり……無理か…………
「かのんさ~ん!」
「ん?」
「おしまいなんてあるんデスカ!?」
「え?」
「好きなことを頑張ることにおしまいなんてあるんデスカ!?」
くぅちゃん……そうだよね。おしまいなんてないよね
私とくぅちゃんは顔を見合わせて、お互いにかのんちゃんを説得しようと思うのであった
くぅちゃんを連れて、澁谷家の喫茶店で話し合うことに
「お待たせしました~」
「わぁ…!コ・コ・ア…!」
くぅちゃんはひと口ココアを飲むと……
「ああ…チョコわたるしみ…」
「逆……」
うん、逆だよね~
「いいからあっち行ってて」
「はーい」
改めて話し合いを進めることになり、
「あのねやっぱり私はアイドルには向いてないと思うんだ」
「そんなことないデス。スクールアイドルは誰だってなれマス」
「アイドル!?」
「あんたが!?」
「うるさいな!話聞かないで!」
何と言うか変に反対されている感じではないのかな?
「かのんさんの歌声はすばらしいデス。朝出会った時この人だ~!って思いました」
「私を見たら分かるでしょ?アイドルって柄じゃないんだから」
「そんなことないデス!かのんさんはすっごくかわいいデス!」
「かわいい!?」
「お姉ちゃんが!?」
「も~!聞かないでって言ってるでしょ!」
いやいや、かわいいでしょ。かのんちゃんは……
「ひとつ聞いてもいい?」
「ん?」
かのんちゃんが話し出そうとしたけど、ここだと色々と話すのはまずいと思い、かのんちゃんは自分の部屋に私たちを招き……
「歌わない?」
「ほらバンドとかだとボーカルの人以外歌わなかったりすることがあるでしょ?あれみたいに…」
「そういうグループもなくはないですが…。かのんさんは歌いたくないのデスカ?」
「歌いたくないというか…歌えない?」
「歌ってましたよ?すばらしい声で」
「あれはああいうところでなら大丈夫というか…」
「私さ いざって時になると歌えないの。声が出なくなっちゃって」
「そんな…」
「最初は小学生の時でね…」
かのんちゃんは小学生の頃に、緊張と不安で歌えなくなり、そのまま倒れてしまったことがあったらしい。
それは中学校の時も、受験の時も…………
「歌が好きなのに?」
「好きなのにね」
「…………」
何だかこのまま無理強いさせるのはいけないよね。
私はソッと立ちあがり、自分の部屋に戻るのであった
「かのんちゃん……」
何とかしようとか、そう言うことを声をかけるべきじゃない。かけても乗り越えるのはかのんちゃん本人なんだ。
かのんちゃんはまだその気持ちが…………
「……私も欠点があるよ……なんて言っても駄目だよね」
私はそっと左足を擦った。この事は今は話すべきじゃない……
暫くして、かのんちゃんがたこ焼きを持って私の部屋にやって来た
「どうしたの?たこ焼き?」
「ちぃちゃんの所に行ってきたの」
「そう言えばバイトしてるんだっけ?」
「うん、それにね。紗桜莉ちゃんの事が気になって」
「?」
「ほら、途中で出ていったから……」
「あー、あれはまぁ気にしないでいいよ。私なりにちょっとね」
「話せないこと?」
「今はね……」
本当に……今は話せないよ
「あの後、メンバー集めを手伝うことにしたの」
「そっか」
「あとね、あの葉月って子、学校を設立した人の娘なんだって」
「葉月?誰だっけ?」
「いや、昼間揉めたじゃん」
「あーポニテさんね」
名前とか覚える気にならなかったから
「……はぁ、とりあえず明日は私と一緒に勧誘してこよう」
「うん」
そして次の日、かのんちゃんと一緒にいろんな子に声をかけたけど……みんなに断られてしまった。
「そうデスカ…私もダメでした…」
「でもまだ他のクラス回れてないし音楽科にも興味持ってくれる子がいるかもしれない」
「ですが…」
「ん?」
「いえ……」
くぅちゃんは諦めてないのかな?
「もう少し頑張ろう……ほら、ちょうどあそこに」
渡り廊下を歩く一人の生徒。確か同じクラスの子だよね?
かのんちゃんは早速声をかけに行き
「あの!」
「何でしょう?」
「お…同じクラスの平安名すみれちゃんだよね?突然なんだけどスクールアイドルに興味あったりしない?もしよかったら…」
「私を誰だと思ってるの!?」
「ひぃ~!」
あ、何か駄目だったみたい。とりあえず続けて行くしかないか……
いつの間にか夕方になり、成果はなかった。途中ポニテさんの足止めをしたりしたけど……
「明日は他のクラスも回ってみよう?きっと何人かは興味持ってくれるよ」
「かのんさん…」
「途中まで道一緒でしょ?行こ」
「かのんさん!」
「やっぱり…やっぱりやってみませんか?スクールアイドル」
「え?」
「迷惑かと思って言うかどうか迷っていたのデスガ…可可どうしても…どうしてもかのんさんと一緒にスクールアイドルがしたい!」
「だからそれは…昨日言ったでしょ。私歌えないから。一緒に歌えないんじゃいるだけ迷惑になっちゃうよ」
「かのんさんは歌が好きデス!歌が好きな人を心から応援してくれマス!可可はそんな人とスクールアイドルをしたい!」
「無理だよ」
「お願いシマス!」
「無理だって…」
「そんなことありません!」
「そんなことあるよ!」
くぅちゃんがかのんちゃんの手を握りながら必死に説得するが、かのんちゃんは払いのけてしまい、持っていたチラシが地面にばらまかれた
「ご…ごめん…」
私はそっとチラシを拾い始めた。今は見守るべき……だよね?
「がっかりするんだよ。いざって時に歌えないと。周りのみんなもがっかりさせちゃうし何より自分にがっかりする!そういうのもう嫌なの!」
「応援シマス。かのんさんが歌えるようになるまで諦めないって約束シマス!だから試してくれませんか?可可ともう一度だけ始めてくれませんか?」
かのんちゃんは何も言わずに……私たちに背を向けた…………見守るべき……見守るべきじゃないよね
「本当に……これでいいの?今するべきことは逃げることじゃない!向き合うときだよ!」
「紗桜莉さん……」
届いたかは分からないけど…………届いてほしい……
そんなとき、白い羽がかのんちゃんの所に…………
かのんside
(いいの?私の歌を大好きって言ってくれる人がいて、一緒に歌いたいって言ってくれる人がいて、向き合ってほしいって言ってくれる人がいて、なのに本当にいいの?)
「本当にこのままでいいの?」
私はこのままだと駄目だ……私は二人のところへと戻り……
「かのんさん…」
「かのんちゃん……」
小さな頃からずっと思っていた。私は歌が好き。ずっと歌っていたい。歌っていれば遠い空をどこまでも飛んでいける
暗い悩みもすさんだ気持ちも全部力に変えて前向きになれる
いつだって歌っていたい
「やっぱり私……歌が好きだ!」
紗桜莉side
私とくぅちゃんは見とれていた。あれだけ歌えないと言っていたかのんちゃんが歌い始めた。そっか乗り越えたんだね……
「私……歌えた!?」
ここから始まるんだね。私たちは…………
これにて本編1話終わり、次回二話に突入します!
感想待ってます!