新たな星たちと灰色の姫君   作:水甲

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やはりきな子ちゃんは可愛すぎでは?


07 憐れみと見失ったもの

蓮華side

 

体育の授業、今日は学校周辺を走るのだったが、きな子ちゃんはみんなより遅れてゴールをした

 

「大丈夫かな?」

 

「桜小路さん最近スクールアイドル部に入ったんだよね?」

 

「大丈夫かよ?」

 

「申し訳ないっす」

 

「きな子ちゃん、まだ疲れ残ってるんじゃないの?」

 

「えっと……まぁ…その」

 

「大丈夫か?バテてんじゃねぇか。いきなり朝練とか無理するから」

 

米女さんも心配そうにしてる。後で疲れを残さないようにペース配分を教えてあげた方がいいかな?

 

「やっぱりスクールアイドル部って大変なのかな?」

 

「だろうね」

 

なんと言うか…周りの声がちょっとうるさいな~あ、ダメだ。あんまりそう言うことを思ったりしたら…またあのときみたいに……

 

「違うっすよ。練習が厳しいからじゃなくて きな子が全然体力ないんっす」

 

「朝も走ってるきな子ちゃん見たよ?」

 

「あれはきな子が自主的に…」

 

「昨日も夕方遅くまで屋上で練習してたって」

 

「それは先輩たちにステップを習っていて…」

 

きな子ちゃんは練習が厳しいからこうなっているのではないと誤解を解こうとしているけど、途中で先生の号令で遮られた

 

「なんか誤解されちゃってるんっすかね…」

 

「気にすんなよ。みんな何も知らないんだよ。って私もよく分かんねぇけど」

 

「きな子ちゃん……」

 

「蓮華ちゃんもありがとうっす」

 

「ううん、気にしないで……」

 

「…………」

 

「何?」

 

米女さん、何でそんなに見つめるのかな?顔に何かついてる?

 

「薊って、どっかで見たことがあるんだけど……」

 

「!?」

 

米女さん……知っているの?いや、違う。多分……

 

「ソロアイドルとして活動してるから……それでだよ」

 

「……そうかな?」

 

「そうだよ」

 

「?」

 

ダメ……あの事は……知られたくない……

 

 

 

 

 

 

紗桜莉side

 

かのんちゃんと二人で部のポスターを見つめていた。やっぱりもう少し増やしたいよね

 

「1年生の入部状況を調べてみましたがスクールアイドル部希望の生徒はいないみたいです」

 

「そっか…」

 

恋ちゃんと気になって調べてくれたみたいだけど……難しいか……一度広がった噂をどうにかするのは……

そんなとき、一年生たちの声が聞こえてきた。

 

「私、吹奏楽部に入る」

 

「スクールアイドル部は?」

 

「そんな。私なんかじゃついていけないよ」

 

「優勝目指してるんだもんね」

 

「すごいよ。あの先輩たち」

 

「……紗桜莉ちゃん」

 

「無理だね」

 

「まだ何も言ってないよ……」

 

「私の力で噂を塗り替えられるのではって思ってるけど……この広まってる噂はいい噂だからね……悪い噂ならどうにか出来るけど……いい噂を塗り替えるのははっきり言って無駄だと思う」

 

「……ごめん」

 

「いいよ」

 

さて、どうしたものか……

 

 

 

 

 

 

 

放課後、部室の前で豪華な飾りつけをして、すみれちゃんとくぅちゃんが入部希望者を待っていた

 

「やはりすみれのせいで誰も来ません」

 

「なんで私?」

 

「それ以外考えられないデス」

 

「失礼な!」

 

相変わらずだな……くぅちゃんは本気で叱るべきか……

するときな子ちゃんがやって来た。

 

「どうもっす」

 

「あ、きなきな!」

 

「どう?1年生声かけられた?」

 

「すみません。何人か声はかけてみたんですけどみんな及び腰で」

 

「やっぱりすみれのせいですか」

 

「しつこい!」

 

「くぅちゃん……前にも言ったけど……本気で怒るよ」

 

「す、すみません……」

 

「多分きな子が悪いんです」

 

「えっ?」

 

「きな子がいるからきっと…」

 

どういうことだろう?きな子ちゃんのせいって……

 

 

 

 

 

 

 

部室に入り、改めて話を聞くことに……因みに蓮華ちゃんは調子が悪いから休むらしい

 

「練習が?」

 

「はい。クラスに練習中のきな子を見たって子が何人かいて それがすごい厳しそうに見えたらしくて」

 

「そういうことですか…」

 

「先輩たちが悪いわけじゃないんっす。それもこれもきな子が運動苦手なのがいけないんっす。だから余計…」

 

「平気デスよ。少し練習して慣れてくれば」

 

「でもその頃に勧誘しても遅いでしょ?」

 

「練習メニュー、少し簡単にしてみる?」

 

「そんな!それは違う気がするっす!」

 

きな子ちゃんは本気でかのんちゃんたちに追い付こうとして頑張ってる。その気持ちは変わってないみたいだ。

それに練習がきついって……どうにも楽な生き方を選ぼうとしているようにしか思えないな……まぁこれは私がそう思ってるだけだけど……

 

「その方が得策かもしれません。確かにラブライブで優勝したいという気持ちは私もあります。ただそれ以上にこの学校にスクールアイドルを根付かせたい。母が始めた想いをみんなで繋いでいきたいのです」

 

「お母さんが始めたんだものね」

 

「たくさんの1年生が入部できる環境を我々が作り、この学校のスクールアイドル活動を広げていくべきではないかと」

 

「どう思う?かのんちゃん」

 

「うん。実際何か変えていかなきゃだもんね。だったら…」

 

かのんちゃんたちが考えたの、ラブライブ優勝から出場へと目標を変え、練習も比較的簡単で一時間程度のものにした。さて、私は……

 

「かのんちゃん、悪いけど私は今回の件から下りるね」

 

「紗桜莉ちゃん……理由聞いてもいい?」

 

「恋ちゃんの気持ちはわかる。それにかのんちゃんたちはそのつもりはないだろうけど……私は一年生を……きな子ちゃんを憐れんでいるようにしか思えないの」

 

「…………ごめ」

 

「謝らないで、怒ってるわけじゃない。さっきも言ったように私がそう思ってるようにしか見えないって話だから……」

 

「……うん、分かった」

 

私は鞄を持ち、帰る準備をするのであった。

 

「とりあえずそっちは任せるから……私は今まで通りにやっていくだけ……それじゃ」

 

 

 

 

 

 

きな子side

 

かのん先輩との帰り道、紗桜莉先輩のことを聞いた

 

「紗桜莉ちゃんは怪我の後遺症で走ったり、踊ったりするのが厳しいの」

 

「……」

 

「練習も大変だから……スクールアイドル部が出来たときに、私が提案したのは……紗桜莉ちゃんの身体に合わせた練習メニューをつくってもらった方がいいんじゃないかって……そしたらね」

 

『かのんちゃん……それは憐れみ?』

 

『ち、違うよ!これは紗桜莉ちゃんのことを思って……』

 

『私は本気で頑張るつもり……確かにこの身体だと練習とか大変だけど……それでも頑張りたい……だから……私の身体に合わせた練習メニューじゃなく、一人のソロアイドルとしての練習メニューでやりたいの!』

 

『紗桜莉ちゃん……ごめん。私……』

 

『いいよ。かのんちゃんは悪気があってやったことじゃないって分かってるから』

 

紗桜莉先輩とそんなことが…………

 

「だから……紗桜莉ちゃんは今回の事に関しては口を出さないのは……分かってるから……」

 

このまま本当でいいっすか?本当に……

 

 

 

 

 

次の日の練習。紗桜莉先輩は自分のメニューをいつも通りにこなして行くけど、きな子たちは簡単なメニューをやっていた……それでもやっぱり…………ふっと気がつくと米女さんにこっちに来いと呼ばれた

 

 

 

 

 

 

中庭で米女さんに呼ばれたきな子……

 

「座れ」

 

「えっ?」

 

「座れって言ってんだよ」

 

「は、はいっす!」

 

座るけど……もしかして……これは……

 

「申し訳ないっす!パンは食べてしまったので今はこれしか~!」

 

アメを出してなんとか見逃してもらえないかと懇願することにしたっす……

 

「ちげぇよ。何勘違いしてんだ」

 

「気にしちゃダメ。これがメイの普通」

 

「うわっ!」

 

若菜さん……またいつの間に……

 

「なんでお前がいるんだよ?」

 

「偶然。構わず話して。スクールアイドルの話」

 

「スクールアイドルの話?」

 

「べ、別に私はそんなこと話すつもりは…」

 

「違うの?」

 

「はぁ…」

 

この二人……本当に仲がいいっすね~

 

「桜小路はさ やってみたいって思ったんだろ?スクールアイドル。だから入ったんだろ?優勝目指してて練習も厳しいって知ってて入ったんだろ?」

 

「それは…そうっすけど…」

 

「だったらそのまま突き進んでくれよ」

 

「えっ?」

 

「自分がやりたい、目指したいって思ったことを信じてみろよ。周りの声なんて気にするな」

 

突き進む……そうっすよね……

 

 

 

 

 

 

紗桜莉side

 

朝の練習。いつも通りに起きるとかのんちゃんも起きていた

 

「練習、しないんじゃなかったの?」

 

「何だか……落ち着かなくって……」

 

「そっか」

 

「紗桜莉ちゃんは……怒ってる?」

 

「怒ってないよ」

 

もしかして気にしてる?かのんちゃんらしいけど……

 

とりあえず二人で公園まで行き、私はベンチに座りかのんちゃんの練習を見守っていると……

 

「かのん先輩、紗桜莉先輩」

 

「きな子ちゃん…」

 

「やっぱりきな子は練習しなきゃと思って」

 

「実は私も全然落ち着かなくて」

 

すると他のみんなも集まってきた

 

「なぜここに?」

 

「あ、きな子ちゃんまで!」

 

「みんな自分だけ練習しようなんてズルいわよ」

 

「こんな所で鉢合わせるなんて」

 

「しかも同じ時間に」

 

「みんな!」

 

みんな、何だかんだやり足りないって思っていたみたいだね

 

「あの…やっぱり戻しませんか?」

 

「えっ?」

 

「きな子がこんなこと言うのは失礼かもしれないっすけど…きな子もやっぱりLiellaさんたちと優勝目指して頑張りたいんっす!きな子が憧れたのは、こんな風になりたいって思ったのは優勝目指して必死に頑張っている先輩たちなんです!大変でも前向きに頑張っている先輩たちなんです!」

 

「ですが…」

 

「分かってます。でも…でも…」

 

かのんちゃんはそっときな子ちゃんを抱き締めた。

 

「私もずっと思ってた。これが本当にいいことなのかなって」

 

「先輩…」

 

「メニューを戻したら1年生が入ってこなくなっちゃうかもしれない。きな子ちゃん1人ってことになってしまうかもしれない。それでも頑張ってくれる?」

 

「はい!」

 

「一緒に優勝目指してくれる?」

 

「はい!」

 

「いい?」

 

「私は賛成」

 

「きっと伝わると思うんです。大変でもやりたいことを続けていればその先にある楽しさは大きくなるって。みんなが一緒にやってみたいって思うものが作れるんじゃないかってそう思うんっす!」

 

「すいません。出過ぎた真似を…」

 

「いえその通りだと思います」

 

「恋ちゃん…」

 

「信じましょう。スクールアイドルの力を。私たちの思いはきっと届きます」

 

「危うく目標を見失うところだったね」

 

「不覚ったら不覚だわ」

 

「目の前のことに気を取られすぎました」

 

「目指すべきものは変わりません」

 

「うん!」

 

みんな、胸の中でモヤモヤしていたのが取れたみたいだね……

かのんちゃんたちは円陣を組み……

 

「きな子ちゃん!」

 

これできな子ちゃんも仲間に入ったんだね

 

「紗桜莉ちゃんも」

 

「私も?」

 

「紗桜莉ちゃんは……」

 

「そうだったね」

 

私も円陣に入ると……

 

「私たちはLiella!私たちが目指すのは…」

 

『ラブライブ!優勝!』

 

 

 

 

 

こうして自分達の目標に向かって改めて決意を固め、練習も元に戻した。きな子ちゃんと徐々に着いていけるようになってきてるみたいで良かった。

 

「蓮華ちゃん、調子は?」

 

「え、あ、はい!大丈夫です」

 

蓮華ちゃんも元気になって良かった。

 

「渋谷……かのん……」

 

すれ違った紫色の髪の少女がかのんちゃんの名前を呟いていたけど……誰だろう?

 




メイ「だったらそのまま突き進んでくれよ」

きな子「えっ?」

四季「止まるんじゃねぇぞだって」

メイ「いや、それ……」

きな子「フリージア?キボウノハナ?米女さん、撃たれるんっすか!?」

メイ「撃たれねぇよ!」

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