新たな星たちと灰色の姫君   作:水甲

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今回ついに……主人公が帰ってきます


20 夢を諦めない

これは……私の幼い頃の記憶……

 

『私の夢は将来オリンピックで金メダルをとること!』

無邪気に夢を語るけど……

 

『夏美ちゃんまたビリだね』

 

運動会ではいつもビリ……だから次の夢を語る……

 

『私の夢はノーベル賞を取れるような科学者になること!』

 

次こそは……でも勉強は出来ず、結果は15点……

 

 

『私の夢はモデルさんになって世界を駆け回ること!』

 

今度こそは……

 

『全然伸びてない…』

 

やっぱりダメだった……どんなに夢を見ても、叶える事が出来ない。いつしか私は……

 

 

 

 

 

「はっ…嫌な夢…」

 

昨日、夢について話したから思わずあんな夢を……懐かしさなんて感じず、ただ虚しいだけだった。

 

 

 

 

 

もうみんな、起きているだろうと思い、外に出ると遅みんなが起きていたけど……

 

「えぇ~~!?」

 

「先輩たちと…」

 

「同じステップ?」

 

『うん。あとで振り付け送っておくから見て』

 

先輩たちと話してる?もしかして上げた動画を見てこんなことを言い出しですの?

 

「でも…」

 

『本当はプレッシャーになっちゃうから後で相談しようかと思ったんだけどあの動画見て思ったんだ。大丈夫だって』

 

「でも…」

 

『もちろん今のままじゃ難しいと思うよ?』

 

「はい…」

 

『夏休みの間がんばれば学園祭にはきっと間に合うよ』

 

『ファイトです。みんなが同じレベルに達すれば全員の自信になりますし ラブライブへの弾みになると思います』

 

「目標があった方が計画は立てやすい」

 

「まぁな。ラブライブで優勝目指しているんだもんな」

 

「分かったっす。やれるだけやってみるっす」

 

あの三人……口ではあぁ言ってますが……不安に思っているみたいですね

 

 

かのんside

 

きな子ちゃんたちとの回線を切ると、お父さんから電話がかかってきた

 

「お父さん?えっ!?忘れた!」

 

夏休みだし、今から行けば今日中には着くはずだよね。それに交通費も出してくれるみたいだし……

すると今度は紗桜莉ちゃんから電話がかかってきた。

 

「もしもし?」

 

『あ、繋がった。やっほ~久しぶり』

 

「紗桜莉ちゃん、何処にいるの?」

 

『んーちょっとね。今は北海道にいるけど』

 

北海道に……それなら……

 

「それだったら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華side

 

きな子ちゃんたちはかのんさんたちとの通話後……落ち込んでいた。

 

「動画が好評だったのはすごく嬉しいっすけどハードル上がっちゃったっすね…」

 

「千砂都先輩いきなりすぎるんだよ」

 

「まだ練習始めたばかりなのに」

 

こんなとき、何て声をかければ……それに声をかけたとして、私はきっと彼女たちを……傷つけてしまうかもしれない。

 

「オニナッツ~!あなたの心のオニサプリ!鬼塚夏美ですの~!今日も引き続きLiellaの練習をお届けしちゃいますの~!」

 

こんなときまで……夏美ちゃんはぶれないけど……

 

「へっ!?練習ってまだっすよ!」

 

「サボってるみたいだろ」

 

「実際サボってますの」

 

「いやこれは…」

 

「色々あったんだよ

 

「聞いてましたの。外から聞こえてきたので」

 

「じゃあ…」

 

「超えるのが夢なんでしょ?先輩たちのステージを超える。それが皆さんの夢だったはず!だったら責任は持つべきですの!」

 

責任を持つ……そうだよね……夢に対して……責任を持たないとダメだよね。

 

「それは……」

 

「諦めるくらいなら夢なんて語って欲しくない!動画撮影していて思いましたの。皆さんの夢は決して実現不可能な夢ではない」

 

それからみんなで練習をする中で、夏美ちゃんも少しだけ交ざる。何だか夏美ちゃんのお陰でみんな、一歩進めたのかもしれない。

 

「あなたはまだ悩んでるですの?」

 

休憩の時に夏美ちゃんが声をかけてきた。確かに私は……

 

「何があったかは知りませんが、貴方は逃げたのかもしれませんですの」

 

「うん……逃げたんだよね……」

 

「それなら……逃げた先で夢を叶えてもいいのでは?」

 

逃げた先で……でもそんなこと……

 

「それって……いいの?」

 

「それを決めるのは貴方ですの。ゆっくり考えるといいですの」

 

決めるのは……私……私は………

 

 

 

 

 

夏美side

 

「お湯加減大丈夫っすか?」

 

「ちょうどいいですの。ありがとうですの」

 

まさかこんなお風呂に入るなんて……それに場所が場所だから風情もあっていいですの

 

「ううん。お礼を言うのはこっちっす。昼間ありがとうっす」

 

「別に大したことは言ってないんですの」

 

「そんなことないっす。きな子思ったっすよ。夏美ちゃんすっごいなって。目標を持ってるってすごいっす」

 

「だからないって言いましたの」

 

「それは謙遜っす。目標を持ってなかったらCEOなんてやってないっす」

 

「だから目標なんてないんですの。本当にないからこうしているんですの。マニーを稼ぐくらいしかないんですの」

 

あんな風に夢を諦めることはしたくないですの……

 

「でも…」

 

「あとはひとりでできますので戻っててくださいですの」

 

「……」

 

「聞こえなかったんですの?」

 

「分かったっす」

 

夢なんて……もう……

考えていても仕方ないですの…一人でゆっくり浸かろうとすると、森の方から何か音が聞こえた。

 

「えっ?だ、誰?今度は誰ですの?四季さん?それとも…」

 

覗き?いや、こんな場所に来る人は………北海道……それに……まさか……

 

「クマ!?どどどどうするんですの!?このまま飛び出してペンションまで…いやダメですの!間に合うわけない!死んだふり?いやあれは通用しないって聞いたことが…いやぁぁああああ!」

 

茂みから何かが飛び出してきた。シルエットはまさに……クマ!?

 

「私、私」

 

茂みから出てきたのは……まさかのかのん先輩!?

 

「あれ?何か変な声がすると思ったら……かのんちゃんと夏美ちゃん、何してるの?」

 

すると別の方からマタギの格好をした紗桜莉先輩が……って何をしてるのって……こっちが聞きたいですの

 

 

 

 

 

紗桜莉side

 

「実はお父さんの忘れ物を届けに…」

 

「クマの格好で?」

 

「これはその時にお父さんから。せっかくならみんなに差し入れだけでもしたくて。あ、東京のみんなには内緒ね」

 

「かのんちゃん、その格好だと、下手すると撃たれちゃうよ」

 

「あはは、気を付けるよ」

 

「それで紗桜莉先輩は何をしているですの?」

 

「私?トレーニングしながら、あちこち回っていたら、前にあったライダーの人たちと会って……一緒に回っていたら猟友会の人と知り合って……」

 

「猟師の真似事を……と言うか猟銃は持ってないみたいですの」

 

「流石にそれは年齢制限があるからね~あ、でも北海道だから鹿のお肉とかを……」

 

「ツッコミませんの……まったく。そんなにメンバーのことが気になるんですの?」

 

「そりゃそうだよ。同じくらい夏美ちゃんのことも」

 

「えっ?私?」

 

「きな子ちゃんと話してるのちょっと聞いちゃった。ごめんね」

 

「別に大したこと話していませんの。そうですの!ではここでかのん先輩にも動画に出演していただきますの!そうすれば…」

 

相変わらずだな~まぁ私も実はきな子ちゃんとの会話は聞こえてたけどね。

 

「それよりスクールアイドルやってみない?」

 

「は?」

 

「夏美ちゃんに9人目のLiellaになって欲しいんだ」

 

「話の脈絡が見えませんの」

 

「そうかな?夢がないならみんなと一緒に同じ夢追いかけてみない?」

 

「夢?」

 

「うん。もし夏美ちゃんに夢がないなら」

 

「……無理ですの」

 

「そうかな?」

 

「私はこれまでたくさんの夢を見てきて何も叶わないって分かったんですの。かのん先輩のような夢を見ていい人とは違うんですの」

 

「私も色々挫折してきたよ。結ヶ丘の音楽科に入るって夢を持ってたけどそれは失敗しちゃって…。でも可可ちゃんやみんなが教えてくれた。みんなとなら頑張れるよって!お互い欠けてるところや届かないところを補い合って一緒に夢を追いかけることはできるよって」

 

挫折を知っているからこそ、かのんちゃんは夏美ちゃんの気持ちが分かるんだね……まぁ私もだけどね。

 

近くの公園まで移動して、かのんちゃんはあることを提案した。

 

「私を真似して」

 

「なんで?」

 

「いいから」

 

かのんちゃんの動きを真似する夏美ちゃん。結構動けてる。

 

「じゃあ次!」

 

それを何度も続けていく。本当にかのんちゃんは……

 

「どう?気持ちいいでしょ?これをみんなで息を揃えて決める。応援してくれる人の前で!そうすると客席の人たちも心の中で一緒に踊ってくれるの。ステージ全てがひとつになる。それが最高の瞬間、そんなライブをすることが私たちの夢」

 

「夢…」

 

咲き誇る花たちが輝いて見え始める。きっとこれは……なんて臭いこと言うのもあれだよね。

 

 

 

 

 

そして夏休みが明け……

 

「オニナッツ~!あなたの心のオニサプリ 鬼塚夏美ですの~!今日はぬわ~んと結女の学園祭なのですの~!」

 

そう、今日は学園祭。そしてかのんちゃんたちにとっては大切な……

 

「い、いやだから私はいいよ…ほら恋ちゃん」

 

「はい。皆さん楽しんでくださいね」

 

「今年のライブは一段と気合い入っています!」

 

「ってそれよりオニナッツとの契約はどうなったの?」

 

「それは心配ないよ。だってもう夏美ちゃんもLiellaなんだから」

 

「ほんとにいいの?」

 

「まだそんなこと言ってるんっすか?」

 

「合宿中あんな練習してたのに」

 

「むしろ一番張り切っていた」

 

「いいよね?紗桜莉ちゃん」

 

「まぁあの契約書は夏美ちゃんが入ることで破棄されてる感じだしね」

 

「だってさ」

 

「それじゃみんな、頑張ってね。今日は何てたってみんなにとって大切な日なんだから」

 

「ではいきますよー!」

 

「これで9人!新しいLiella!」

 

新しい始まりだからこそね。私と蓮華ちゃんは裏方に回らないとね。

 

「今日は思いっきり…たのしんじゃおう!」

 

始まる9人の星たちの物語が……

 

 

ライブが終わり、夏美ちゃんは放心状態だった。初めてのライブだったからね。

 

「どうだった?」

 

「ですの…最高だった…ですの……見つけたかも!私の夢!」

 

こうしてLiellaは9人になったのだった。

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

「実はあの契約書……ちょっとおかしなところがあったの知ってたんだ」

 

「そうなの?でもそれならどうしてサインなんか……」

 

「うん、夏美ちゃんの事が気になっていたと言うのもあるけど……もしも何かあったら……紗桜莉ちゃんがどうにかしてくれるって信じてたから」

 

「私がって……」

 

一応は制裁みたいなことを考えていたけど……

 

「紗桜莉ちゃんが私たちのことを大切に思っているくらい、紗桜莉ちゃんのことを信じてるから」

 

「////」

 

何て恥ずかしいことを……流石はイケメン状態のかのんちゃん

 

「あれ?紗桜莉ちゃん、顔赤いけどどうしたの?」

 

「何でもない///」

 




かのん「紗桜莉ちゃんは狩りをしていたの?」

紗桜莉「ううん、砂金を探していたんだよ」

かのん「砂金?」

紗桜莉「手がかりになる入れ墨を……」

夏美「危ないですの……」

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