新たな星たちと灰色の姫君   作:水甲

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34 再びの北海道

吹雪の中、私とすみれちゃんとメイちゃんの三人は夏美ちゃんを探していた。

 

「おい夏美!夏美~!」

 

「どこにいるの!?」

 

「まずいわね……このままだと……私たちも」

 

「それでもあの子を探さないと!」

 

「いた!夏美!」

 

メイちゃんが夏美ちゃんを見つけるけど、夏美ちゃんは返事がなかった。

 

「自撮りしたまま…」

 

「固まってる…」

 

「撮影…開始…」

 

「あんまり離れると迷子になるっすよ~!」

 

「早く戻って~!」

 

遠くできな子ちゃんたちが呼んでるけど……夏美ちゃんが……仕方ない

 

「このままでは撮れ高が~!」

 

「危ない!」

 

「お湯でもかける?」

 

「いや、そっちが危ないわよ!」

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでコテージにて無事避難できたけど……

 

「あんまり無茶すんなよ」

 

「せっかくの北海道ですのよ!日々新しい動画を出し続けることがいかに重要か…」

 

「はいはい。そこまで」

 

すみれちゃんが暖かい飲み物を夏美ちゃんに渡した。

 

「あったか~い……って聞いた話と違いますの!ぬぁ~んですの!?この状況は!?」

 

「それは…」

 

「すごい吹雪デス」

 

外はもう吹雪だった。まぁ冬だし……とは言えここまで吹雪くなんて……

 

「晴れていれば素敵な景色なのでしょうね。晴れていれば…」

 

「明日はすっかり晴れるみたいだよ?そしたらたくさん練習できるね~」

 

「もう!かのんちゃんのバカ!」

 

「うぇ!?」

 

「かのんちゃんがあの時…」

 

どうして私たちが北海道に来ているかと言うと……それは…………

 

 

 

 

合宿前の事、部室でちーちゃんからある提案があった。

 

「冬休みに強化合宿したいと思います。ぜひみんなの意見を」

 

「ここはぜひ私の故郷 上海に!」

 

「そんな時間はないでしょ!」

 

「きょ、京都!」

 

「行きたいだけ」

 

「うっ…」

 

「渋谷区でも合宿できる施設はあるみたいです」

 

「都内じゃ代わり映えしないですの」

 

こう人数が多いと、改めて合宿先を決めるのは難しいよね~

 

「困ったなぁ…」

 

「あるっすよ」

 

「えっ?」

 

「かのん先輩と紗桜莉先輩も来てくれたきな子のペンション。お母さんがいつでも来てって」

 

「本当に!?」

 

確かにあそこなら合宿に向いてるけど……あれ?かのんちゃん…………

すると恋ちゃん、すみれちゃん、くぅちゃんの三人がかのんちゃんに詰め寄った。

 

「説明してもらえる?私きな子のうちに行ったことないんだけど」

 

「ひとり内緒で行ったのデスカ?」

 

「いやそうじゃなくて…」

 

「無連絡…」

 

「ふ~ん…そうだったんだ…」

 

「ち、ちぃちゃん!ち、違うの!前にお父さんが忘れ物をして届けに行った時…」

 

「一言言ってくれなかったのがショック」

 

「ごめんなさい~!って紗桜莉ちゃんは?紗桜莉ちゃんも……」

 

「私?ちゃんとみんなに報告してたけど?」

 

さすがに北海道にいたなんて、隠すのもおかしいと思ったからね。

 

「ず、ずるい!?私の事も」

 

「かのんちゃんはしっかりしてるからいい忘れたりとかはないかなと思ったんだけど……」

 

「うぅ……きな子ちゃん助けて~」

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うことで北海道で合宿をすることになったのだった。

 

「でもこういう周りに何もないところの方が集中して練習できると思ったんだ。1年生とももっと距離を縮めたいなって思ってたから」

 

「一体感」

 

「そうそれ!」

 

「ここなら自然に全員の距離が近くなると思うんだ」

 

「それは分かるけど…」

 

「でもそれだけで先輩に追いつけるとは…」

 

「ですの!」

 

「今回は1年生も一緒に!」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、天気も回復したので、みんなそれぞれ分かれて色々とやることに、私と蓮華ちゃんはそんなみんなの様子を見に行くことに……

最初は外でちーちゃんと四季ちゃんが振り付けについて話していた。

 

「私が?」

 

「うん。一緒に振り付け考えてみない?東京大会は曲もダンスも全部1年生と2年生が共同で作る。それが一体感を高めるには一番いいって」

 

「それは理解。でも無理」

 

「どうして?ダンス1年生で一番得意でしょ?」

 

「分かりやすくいうと千砂都先輩がミヤマクワガタだとすると四季はダンゴムシ」

 

「全然分かりやすくない…」

 

「とにかく無理」

 

なんと言うか四季ちゃんはいざというときに自信がなくなるな~いや、これは一年生のみんなに言えることだけど……

 

「何か勘違いしてるよ四季ちゃん。別にダンスでは私と競争しようっていうんじゃないよ。一緒に振り付けを考える。力を貸してほしいんだ。そしたら私が最初に振り付けを考えてみるからそれを見て四季ちゃんから意見をもらう。そんな感じでやってみようよ!」

 

「こっちは大丈夫そうだね」

 

「はい!」

 

「そう言えば……二人はいつもどうしてるの?」

 

四季ちゃんからの突然の質問だけど……どうしてるって?

 

「あ、いや、曲とか振り付けとか……」

 

「私は自分で作って……かのんちゃんとちーちゃんに見てもらってるかな?」

 

「私は基本的に一人でやってましたけど……結ヶ丘に来てからは自然と声をかけてもらって」

 

「あはは、私たちの場合は放っておけないって気持ちが強いからね」

 

だから色々と気持ちとかも変わるしね。

 

 

 

 

 

 

 

次の場所に向かうけど……恋ちゃんとメイちゃんは何をしてるんだろう?

 

「あぁ~!」

 

「ちきしょう!こんなの無理だろ!」

 

「難しすぎます!」

 

「さっきの鍵やっぱ必要だったんじゃ…」

 

「確かに!戻ってゲットしましょう!」

 

「あぁ!よしコンティニュー!ってこんなことしてる場合じゃねぇ!」

 

「息抜きじゃなかったの!?」

 

「私もてっきり……」

 

「すみません。久々の協力プレイ楽しすぎました」

 

「作曲するんだろ?紗桜莉先輩たちが心配してるだろ」

 

「えぇ」

 

「まぁ……去年比べたら考えられなかったことだけど……」

 

「そうなんですか?」

 

「うん、だから恋ちゃんの場合はこういう風にしてるのが一番いいかもね」

 

「だからってよ……私に期待すんなよ。ピアノっつっても小さい頃から親に言われて習ってるだけだぞ」

 

「この前聴かせていただきました。伸び代は無限大です」

 

「勘弁してくれよ…」

 

「続けてこられたということは嫌いじゃなかったはずです。さぁ!」

 

恋ちゃんが最初に弾き、次にメイちゃんも弾き始めた。何だか邪魔したら悪いし、私たちはそっと部屋を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

次に訪れた場所は、かのんちゃんときな子ちゃんの作詞組だけど……何故かヨガをしていた。

 

「かのん先輩…」

 

「歌詞降りてきた?」

 

「今のところはまだ…ほんとにこんなので思いつくんっすか?」

 

「今日調子悪い…」

 

かのんちゃんなりの作詞方法だっけ?とは言えそんな直ぐには歌詞が出てくるわけないみたいだけど……

 

「かのん先輩」

 

「ん?」

 

「きな子の部屋に昔書き溜めた歌詞ノートがあるんっす。よかったら…やっぱり恥ずかしい!」

 

「無理しなくていいよ。きな子ちゃんの大切な気持ちが詰まったノートだもんね」

 

「そんな…きな子の言葉なんてとても…」

 

「私もね、すっごい恥ずかしいんだ」

 

「かのん先輩が?」

 

「最初みんなに見せるとき"うあぁぁぁ!って、ノート全部ビリビリにしたいくらい」

 

「信じられないっす」

 

「私なんて一人じゃてんでダメ。だからきな子ちゃんが恥ずかしいって思ってくれていてちょっとホッとしたんだ」

 

「それじゃあきな子が巻き添えみたいじゃないっすか」

 

「いいじゃ~ん!」

 

「わっ!」

 

かのんちゃんはきな子ちゃんに抱きつき、中々のキメ顔で……

 

「でもそのあと待っている嬉しさとか感動とかも巻き添えにできるからきな子ちゃんにやってほしいって思ったんだ。一緒に頑張ってみよ」

 

「は、はいっす!」

 

「見た?蓮華ちゃん」

 

「はい、あれが一年の間で言われている無自覚イケメンかのん先輩ですね!」

 

「無自覚だから余計にたちが悪いんだよ」

 

「そうですね……」

 

「って二人とも何の話してるの!」

 

「かのんちゃんが後輩を口説いてるって話を」

 

「やめてよ!」

 

 

 

 

 

 

 

かのんちゃんに怒られ、次の場所に、今回はリモートで会見を開くとの事で、その準備をしているすみれちゃん、くぅちゃん、夏美ちゃん……

 

「オニナッツ~!今日は合宿中のLiellaに密着ですの~!密着密着~!」

 

「ちょっと何なのこれ?」

 

「他校に負けてないと伝えるためです」

 

「またこんなもん作ってどうするのよ?」

 

「このあと開かれる出場者のリモート会見!そこから既に戦いは始まるのデス!」

 

「そんなの配信ならバーチャル背景で何とでもなるでしょ!」

 

「う、うるさいデス!だからLiellaは手作りの良さを見せるのデス!」

 

「あの~…」

 

「「何!?」」

 

「あ、いや~…お二人とも変ですの。抱き合って泣いてみたり喧嘩してみたり。それでいいんですの?」

 

「可可が強情なだけよ」

 

「何を!すみれがうるさいからデ~ス!」

 

二人の仲は相変わらずみたいだな~とは言え夏美ちゃんには誤解を解かないとね

 

「夏美ちゃん」

 

「はい?」

 

「あの二人のことはケンカップルって言うのよ。普段は反りが合わずに喧嘩ばっかりしてるけど、お互いに本音が言えるから……言うなればイチャイチャしてるってことよ」

 

「なるほどですの!」

 

「「違う!」」

 

「つまり…あれは……夏美ちゃんに見せつけているってことに……」

 

「なるほど……惚気ですの」

 

「「だから違う!」」

 

二人が否定していると、くぅちゃんが作っていた看板がこっちに落ち始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでリモート会見の時間になった。今回はかのんちゃんの希望で私と蓮華ちゃんも参加することに……

 

『お待たせしました!ではこれよりリモート会見を行いま~す!それぞれの意気込みをモニターの前のみんなに伝えまくりましょう!』

 

「始まった!」

 

「なぜにガムテ?」

 

「聞かないで」

 

「すみれが余計なことを言うからです」

 

「静かに!そろそろ来ますの!」

 

『それではLiella!張り切ってどうぞ!』

 

「皆さんこんにちは!私たちは…」

 

「結ヶ丘女子スクールアイドル部!」

 

『Liellaです!』

 

「えっと…」

 

「私たちLiellaは去年決勝には進めませんでした。それから1年、今年こそは全員で決勝に進もうって頑張ってきました。叶うことなら優勝を目指してみんなを笑顔にできるライブをしたいと思っています!皆さんの応援!今回は予選では欠席となりましたが、この11人でステージにたちます!」

 

『よろしくお願いします!』

 

そう、私たちも立つからには……負けられないよね。

 

『ありがとう!以上"Liella"でした!』

 

「はぁ…いつまでたっても慣れないなぁ…」

 

「そんなことないよ。助けてありがと」

 

「ううん。思わず話しちゃった」

 

それにしても11人か……結構初めての試みだよね。

すると次のスクールアイドルの番になった。

 

『続いては今大会注目のウィーン・マルガレーテちゃんです!』

 

「あっ!」

 

「すごいっす!」

 

「相変わらず表情ない」

 

「お前が言うな」

 

『私がラブライブに出場するのはここがいかに低レベルであるかをスクールアイドルたちに知ってもらうため。私が本当の歌を教えてあげる。それだけ』

 

この子……大丈夫なのかな?

 

『わわわわわわ!これはとんでもないスクールアイドルの登場だ~!』

 

「ラブライブが低レベル!?」

 

「ふざけんな!いきなり出てきて好き勝手なことを!」

 

「でも最強と言われたサニパさんに勝った」

 

「それは…」

 

「はっ!紗桜莉ちゃん!ダメだよ!今から東京に戻って、あの子に色々と言ったら」

 

「いや、かのんちゃん、何を言ってるの?私がそんなことをするわけないじゃん」

 

「え……」

 

かのんちゃん、その反応……ちょっと困るんだけど……

 

「私はただこんな偉そうなことを言って……負けたときはどうするんだろうなって、思っただけだよ」

 

もしも負けたら、ネット上でさっきの会見の動画を拡散されて……『ねぇ、どんな気分?』って言われるんだろうな~

 

「私ならさっきの会見を耐久リピートさせるくらいだよ~あはは~」

 

「紗桜莉ちゃん……それだけは本当にやめてね……」




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