かのんside
部室に理事長が来て、話があると言われて、理事長室を訪れるとある話を聞かされた。
「ウィーン国立音楽学校?」
「えぇ。指導も施設も全てが最高峰の世界で一番と言っていい音楽学校よ」
パソコンに映されたのは……マルガレーテちゃんの姿だった。
「マルガレーテちゃん!?」
「えっ?」
「あ…いえ…」
「そこから今朝メールが来たの。結ヶ丘女子高等学校に所属する澁谷かのんさんを当校に招きたい。留学生として」
「留学?」
「そこに詳しい資料があるわ。期間は今年の4月から。学費や生活費に関しては向こうが面倒を見ると言っているので心配ないわ。あ~それから…」
「待ってください。行くかどうかは…」
「もちろん自由よ。ただあなたがこの先も本気で歌の道を目指していきたいと思うのであれば大きなチャンスであることは確かよ」
「返事は今すぐでなくてもいいわ。ゆっくり考えなさい」
留学……どうしたら……
紗桜莉side
理事長室の前でみんなで聞き耳を立ててるけど、私はこっそり理事長のマッサージチェアに仕掛けたマイクで話を聞いていた。本当にどうしたものかだね。かのんちゃん……
「き、聞こえないっす」
「四季、中にマイクは?」
「こうなる事態は予測不可」
因みにマイクを設置してることは内緒にしてるから、みんなには会話の内容は伝えないようにしてある。多分だけどいずれ知ることになるかもしれないしね。
すると丁度かのんちゃんが理事長室から出てきて、みんなは掃除している振りをしていた。
「みんな?」
「か、かのん先輩どうかしたんっすか?」
「偶然ねぇ!」
「バレバレなんですけど?」
まぁ普通にバレバレだよね……
「何を話してたのデス?」
「まさか私らに隠れて悪いことを…」
「違うよ~」
かのんちゃんは必死に誤魔化してるけど……うん、持ってる資料から色々とバレそうだよね。
「ジーッ」
「これは…マルガレーテちゃんのことちょっと調べててさ」
『マルガレーテちゃん?』
中庭でかのんちゃんはみんなにウィーンについて話した。
「あの子、この音楽学校に入ろうとしていたらしくて」
「なんて書いてあるの?」
「ウィーン国立音楽学校」
「エリートじゃない!」
「そうなんだ。そしたら理事長先生が資料持ってるっていうから…あっ…」
「どうしたんっすか?」
「ううん何でもない。さぁ練習始めよう!よ~し!えいえいお~!」
「かのんがこんなこと調べてたの千砂都知ってた?」
「うん。ずっと気にしてる感じだったけど…」
みんなが貰った資料を読んでいる中、先に言ったかのんちゃんに私は問いかけた。
「留学の件、話さなくてもいいの?」
「紗桜莉ちゃん、何で……って今更だよね」
「良くわかってるじゃん」
「紗桜莉ちゃんはいろいろな方法で情報を得てそうだから……」
「それで留学の件……どうするの?」
「まだ……わからない。わからないけど……多分行かない」
「……それは良く考えた結果なの?」
「ううん、深くは考えてない……でもちゃんと考えるよ」
「そうした方がいいよ……」
私は無理に背中を押したりとかも引き留めたりもしない。かのんちゃんは誰かに流されたりして、物事を決めたりはしない。ちゃんと自分で考え抜いて答えを出すからね
かのんside
その日の夜、私は貰った資料を読んでいた。
「専門的な指導のもと卒業生はそれぞれ希望した音楽の仕事に就き第一線で世界的な音楽活動を続けています」
『夢?それはもう小さい頃から決めているんだ』
昔、語った夢を今更思い返していた。私は…………
『痛い痛い!痛いですの~!』
不意に外から声が聞こえてきた。この声は……
「ん?」
『もっと高く上げて』
『無理無理!』
『かのん先輩に見つかった』
「みんな!」
窓の外を見るとみんながいたけど……何で組体操みたいな方法で覗き込んでたんだろう?
「かのんちゃん…」
「留学するって本当っすか?」
「えっ?」
「噂になってるのです」
「ラブライブが終わったらウィーンに留学するって」
広まるの……早くない?するとみんなが組んでいた矢倉がふらつき始めた。
「ちょっと!」
「危ない~!」
「えっ!?」
私は慌てて外に出て、皆のところへと駆け寄った。
「大丈夫!?心配してきてくれたんだね。ありがとう」
「かのん先輩……」
「心配しないで。行かないよ」
「それってつまり…」
「うん。話があったのは本当。でも留学はしない。結ヶ丘に入ってスクールアイドルになって歌が大好きってまた言えるようになった。だからこの学校にずっといたい。もっとたくさん歌って3年間スクールアイドルとして頑張ってこの学校のみんなと一緒にもっともっとハッピーな気持ちになりたい」
「かのんさん」
「あのね東京大会のステージでみんなで喜べたとき思ったんだ。私の選んできた道は何にも間違ってなかった。この喜びを重ねていくことが私の目標のひとつなんだって」
だから私はみんなと……
「どうやら意志は固そうね」
「じゃあこのまま残るんっすね?」
「来年も」
「卒業まで…」
「このままいるんですのね?」
「もちろん!」
「よかった~」
「そんなに心配だったの?」
「当たり前っすよ」
「かのん先輩がいなくなったら残りの先輩今ひとつ信頼感薄いんですの」
「なんか言った?」
「いえいえ~」
「千砂都さん?」
「ううん」
私はこの時、ちぃちゃんが真剣な表情で悩んでいたことに気が付かなかった。そして……この場にいない、紗桜莉ちゃんが何を調べているのかも…………
千砂都side
かのんちゃんがそう決めたなら……私は賛成するべきだけど……でも何で私は……それでいいのと思っているんだろう?
ふと物陰からある子がこっちを見ていたことに気がついた……
「あの子…」
「どうかしましたか?」
「いや…あっ!ちょっと飲み物買ってこよ~!」
私はマルガレーテちゃんを追いかけていく
「待って!待って!話があるの!待って!」
私は何とかマルガレーテちゃんを捕まえたけど、マルガレーテちゃんは……
「何よ!こっちは話なんてないわ!答えは聞いた!」
「答え?」
「かのんよ!留学はしない!ここに残るんでしょ!?」
「どうして留学のことを…」
「あなたには関係ない!」
「教えてくれるまで離さない!」
「なんで!?」
「教えて!」
何とか押しきって、マルガレーテちゃんから話を聞いた私……それは……
「今日家族から連絡があったの。かのんがウィーンに留学するなら私も一緒に戻ってきていい。かのんのもとで歌を学びなさいと」
「かのんちゃんのもとで?」
「かのんに連れられて戻るのはしゃくだけどそれで学校に入れるのならそれでも…」
「かのんちゃんそんなに評価されてるんだ…」
「えっ?」
「世界一の音楽学校に…」
かのんちゃんの為なら……私は……でもこれはきっとみんなに反対されるかもしれないけど……
「離してよ!言っとくけど私の考えは変わらない!かのんがダメなら自分の力だけで夢を叶えてみせる!」
マルガレーテちゃんはそう言い残して去っていった。私がするべきことは…………ちゃんと伝えるべきだ
「本当に気に入らないし、ムカつくね」
「え?紗桜莉ちゃん……いつの間に」
「調べ事してたら、話聞こえたけど……本当にどうなってるんだろうね?」
紗桜莉ちゃんは怒っていた。きっと私が何をしようとしているのか分かっているからだ……
「紗桜莉ちゃん……私はかのんちゃんは行くべきだと思うの……その事を伝えて……みんなに反対されても……紗桜莉ちゃんと言い争いになっても……」
「そこら辺はちーちゃんに任せるよ」
「え?」
「私が怒ってるのは………」
かのんside
次の日、理事長に自分の答えを伝えた。
「後悔しない?」
「はい。やっぱりピンとこなくて、せっかくのお話だというのは分かるんですけど…」
「決めるのはあなたよ。いいのね?」
「はい」
理事長室を出て、私は皆のところへと向かうのであった。
私が去ったあと、理事長室にある人が訪ねてきた。
「嵐さん?」
「あの…」
蓮華side
雪が降る屋上……すみれさんと私は震えていたけど……
「うぅ…寒っ…」
『はぁ~…』
私とすみれさん以外、みんな何処からか持ち出したこたつに入っていた。いいな~私も入りたいけど……スペースがない……
「なにコタツ持ち込んでんのよ!」
「コタツではなく体温回復機…」
「ぬくいっす…」
「ん~…」
「どう見てもコタツでしょ!」
「これがコタツなのですか~?」
「ほんとに知らないの!?」
恋さん……世間知らずな所があるけど、こたつを知らないのは……世間知らずと言うか……なんと言うか……
するとかのんさんが屋上にやって来て
「さぁ決勝はすぐそこだよ!練習練習!」
元気だな~と言うより気合がいつもより入ってる感じだ。
「ひぇ~…」
「見てるだけで寒いですの…」
「さすがの可可もややドン引きデス…」
「ダメだよそんなんじゃ!気合い入れてみんなで練習していればすぐにあったかくなるから」
「うぅ…」
「寒いっす~!」
かのんさんはこたつを剥ぎ取り、みんな震えていた。と言うか恋さん……一番スペースを……
「あの、そう言えば紗桜莉さんは?」
「あ、何だか用事があるって言ってたよ。多分遅れてくると思うけど……」
何かあったのかな?もしかして足の痛みが強いとか?
すると千砂都さんがやって来たけど、何故か真剣な表情だった。
「あっ。ちぃちゃんメニューできた?」
「かのんちゃん…ううん みんなも。話があるの」
「どうしたんですの?」
「反対されるのは分かってる。でも正直な気持ちだからハッキリ言うね……私、かのんちゃんに留学してほしい」
「ちぃちゃん……」
千砂都の真意は……そして紗桜莉は……
外伝の方で、ミアとウィーンの話を書き始めたのでその内更新します
感想待ってます!