第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if)   作:ダークボーイ

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第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if) EP10

 

 アメリカの有る地、ある秘密研究施設に禍々しい咆哮が響き渡る。

 施設内は緊急事態を示すレッドアラートと共に、咆哮の主が暴れる振動が響いてきていた。

 

「ネフィリムの出力は未だ不安定。やはり歌を介さずの強制起動では完全聖遺物を制御出来る物ではなかったのですね」

 

 その咆哮の主の制御を試みる女性が、沈痛な表情で背後の方を見る。

 そこにはまだ幼さを残す二人の少女がいた。

 それを見たショートヘアの少女が、決意して口を開く。

 

「私、歌うよ」

「でも、あの歌は…!」

 

 もう一人のロングヘアの少女が困惑した顔で止めようとする。

 しかし相手はそれを笑みで返した。

 

「私の絶唱で、ネフィリムを起動前の状態にリセット出来るかもしれないの」

「そんな賭けみたいな…もしそれでもネフィリムを抑えられなかったら!」

 

 更に強く制止しようとするロングヘアの少女に、ショートヘアの少女は首を小さく振る。

 

「その時は、マリア姉さんがなんとかしてくれる。F.I.S.の人達もいる。私だけじゃない。だからなんとかなる」

 

 そうショートヘアの少女、セレナ・カデンツァヴナ・イヴはロングヘアの少女、セレナの姉のマリア・カデンツァヴナ・イヴに宣言する。

 

「セレナ………」

「ギアをまとう力は私が望んだ物じゃないけど、私の力で皆を護りたいと望んだのは私なんだから」

 

 そう言うとセレナは咆哮の元、暴走を続ける異形の完全聖遺物・ネフィリムに対峙するべく、その身ににアガートラームのシンフォギアを纏う。

 そして禁じられた歌を歌おうとした時だった。

 

「その必要は無いわ」『INFINITTE CRIME!』

 

 突然背後から響いた凛とした声と共に、無数の短剣がネフィリムへと突き刺さる。

 

「誰!?」

 

 思わず振り返ったセレナの目に、自分と同じアガートラームのシンフォギアを纏う女性の姿が飛び込んでくる。

 

「まさか………マリア姉さん!?」

「そう、私はマリア・カデンツァヴナ・イヴ。八年後のね」

「え………」

 

「間違いありません! アガートラームの反応がもう一つ出現しました!」

「どういう事!?」

 

 オペレーターの報告に、その場の責任者のナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤは激しく困惑する。

 

「マム! あれ見てあれ!」

 

 マリアの視線は、妹の背後に立つ謎のシンフォギア装者に注がれるが、その相手がこちらを見て微笑んだ事に愕然とする。

 

「あ、あれひょっとして私!?」

 

 その相手が自分そっくり、ただし明らかに成人女性のそれである事にマリアは完全に混乱していた。

 

「一体何が起きているの!?」

「取り敢えず後なのデス」

「マム達はすぐに退避して」

 

 そこで新たに響いた声に皆が振り向くと、そこに新たに二人のシンフォギア装者がいるのに気付く。

 

「まさか、貴方達、暁 切歌に月読 調!?」

 

 それが先日シンフォギア装者候補としてパッチテストを受けた少女達の二人、ただし明らかに成長している姿にナスターシャも困惑する。

 

「あ、分かっちゃったデスか?」

「マム、ここは私達に任せて退避を」

「あ、あの…」

「ほら昔のマリアも早くデス」

「後は未来の私達がなんとかするから」

「未来?」

「そ、私達は八年後から来たのデス」

「セレナを助けるために」

 

 

 聖詠と共に、大人のマリアがアームドギアを振るい、ネフィリムを攻撃する。

 強烈な一撃に、ネフィリムの口から絶叫が迸る。

 

「ほ、本当にマリア姉さんなの?」

「ええそうよ。下がってて」

 

 困惑するセレナをかばうように、大人のマリアが前へと出る。

 

「ど、どうして大人になったマリア姉さんが私のアガートラームを…」

「これは形見よ、ここで死んだ貴方の」

「え…」

 

 大人のマリアの言葉に、セレナは更に困惑を深める。

 

「私達は未来からその運命を変えるために来たの。だから、ずっと言いたかった事を今言うわ」

 

 大人のマリアは、記憶通りのまだ幼さの残る妹を背に、万感の思いを込めてその言葉を叫ぶ。

 

「助けに来たわよ、セレナ!」

 

 

「何だ、何がどうなっている!」

 

 ネフィリムの起動実験を半ば強行させた軍の将校と政府要人が、突然の謎の装者達の出現に困惑する。

 

「ここは退避を…」

「貴重な完全聖遺物だぞ! その結果を見ずに…」

 

 退避を促すスタッフに、将校の一人が怒鳴り返した時だった。

 突然轟音と共に天井が吹き飛ぶ。

 

「今度は何だ!?」

「馬鹿な、この施設はそう簡単に…」

「はい、見学はそこまで」

「すぐにこの場から退避を勧告する」

 

 天井の大穴から、こちらを見る真紅のスーツの少女とその傍らの小さな人形のような物に、そこにいた者達は絶句する。

 

「き、貴様何者だ!」

「私はトリガハートTH44 FAINTEAR」

「私は武装神姫戦車型MMS ムルメルティアだ」

「マリアから一応あんたらも命だけは助けてやれって言われてね。で、逃げるの逃げないの?」

 

 虚空に浮かぶ謎の少女フェインティアからの退避勧告に、居並ぶ者達はどう反応すべきか迷う。

 

「だ、誰が貴様のような素性の知れない奴に!」

「あっそ、じゃあこっちで勝手に退避させるわね。ガルクァード!」

 

 虚勢を張るように拒絶する将校をフェインテァイはつまらなそうに見ると、随伴艦に指示を出し、天井の大穴から突如として飛び込んできたアンカーがそこにいたVIPを根こそぎキャプチャー、そしてスイングすると同じく天井の大穴から外へとリリースしていく。

 

「ぎゃああぁぁぁぁ…」

「うわああぁぁぁ…」

 

 悲鳴が遠ざかっていくのを、その場に残されたスタッフがポカンとした顔で見ていた。

 

「あの…」

「大丈夫、ちゃんと受け止める準備はしてるから。死にさえしなければ手足の一、二本折れる位は許容範囲でしょ。ともマリアは言ってたわ」

「マリアちゃんが、そんな事…」

「妹見殺しにした相手に其れ位で済まそうってんだから優しいわね。ほら貴方も逃げた逃げた」

「は? セレナちゃんが見殺しって………貴方は一体………」

「味方よ、マリア達のね」

「こちらムルメルティア、邪魔者は投棄した。作戦を次のフェイズへ」

「今邪魔者って………」

「他に何だっての?」

 

 あまりに酷いVIPへの扱いに唖然としながらも、残ったスタッフも退避を開始した。

 

 

『切呪リeッTお!』

『α式・百輪廻!』

 

 切歌と調の放った鎌の刃と丸鋸がネフィリムへと突き刺さる。

 

「皆強い………」

「下がってセレナ!」

 

 未来から来た装者達の戦闘力の高さに、セレナが絶句してる所に、大人のマリアが更にセレナを下がらせようとする。

 

「セレナ!」

「マリア姉さん!」

 

 そこに過去のマリアが現れ、セレナが駆け寄るのを見た大人のマリアが仰天する。

 

「ちょ…貴方も退避しなさい! と言うか今ここで貴方まで何かあったら困るのよ!」

「ホントに私だ………」

 

 慌てる大人のマリアに、過去のマリアが呆然として見る。

 

「二人とも早く逃げなさい! でないと、セレナはここで死ぬわ!」

「ほ、本当に?」

「本当みたい」

 

 まだ困惑している姉妹に大人のマリアは更に退避を促そうとするが、そこへ別の人影が現れる。

 

「マリア、セレナ!」

『マム!』

 

 部下を退避させたナスターシャが過去のマリアとセレナを退避させようとした所に、その場にいた全員に呼ばれて思わず硬直する。

 

「マムも早く逃げるのデス!」

「でないと酷い怪我して眼帯車椅子になる」

「え………」

 

 ナスターシャも一瞬困惑するが、すぐに納得した顔になる。

 

「未来から来た、という話は本当のようね」

「ええ、他にも色々と」

『マリア、邪魔者は排除したわ。次のフェイズに』

「OK!」『EMPRESS REBELLION!』

 

 マリアはアームドギアを蛇腹剣へと変化、本来ならそれを鞭のように扱う技を何故か直線、しかもネフィリムではなくその頭上へと突き刺す。

 

「離れるデス!」

「天井を崩落させるの!? その程度では…」

「いいから早く!」

 

 切歌と調が退避を促した直後、突然天井が上から崩落どころか吹き飛ぶ。

 

「何が…」

 

 ナスターシャはそれが何者かの外部からの攻撃と悟るが、直後崩落した穴から二つのアンカーが飛び込んでくる。

 

「え?」

 

 全く予想外の事にセレナが思わずきょとんとした直後、アンカーはネフィリムをキャプチャー、そのまま一気に穴から外へと引きずり出していく。

 

「今の何!?」

「トリガーハートのアンカー艦の攻撃。大丈夫、仲間の物よ」

 

 過去のマリアが大人のマリアに思わず問うが、あっさり答えた所でネフィリムの後を追って外へと出ようとして足を止める。

 

「マム、一応言っておくけど、ネフィリムは破壊するわ」

「破壊? 完全聖遺物を?」

「出来るだけの連中が来てるんデス」

「変わったのばかりだけど」

 

 それだけ言うと、三人の装者は天井に開いた穴から飛び出していく。

 残された三人は、あまりの展開の早さに呆然としていた。

 

「信じられないけれど、たしかにアレは未来のマリアのようね………」

「タイムスリップ? そんな聖遺物あるの?」

「それにあの妙なアンカーみたいなのは………」

 

 イヴ姉妹が困惑する中、ナスターシャは僅かな思考で判断する。

 

「とにかく退避を。彼女達はセレナを助けるために来たのだけは確かよ」

「けれど…」

「安全距離を取って見極めましょう。恐らく、ただセレナを死なせない以上の理由があるはず」

 

 ナスターシャに促され、三人はとにかくその場を後にする。

 

「一体、未来の私は何をしてるの?」

 

 過去のマリアの呟きが、現状をもっとも的確に言い表していた………

 

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