第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if) 作:ダークボーイ
『総員退避~~!』
響いてきたナツキからの通信に、下にいた者達は上空を確認しながらも踵を返す。
直後、上空に出現していく巨大な球体に有る者は呆気に取られ、有る者は顔をしかめる。
「何だありゃ?」
「マイスター乙HiMEのエレメントであるようでありますが………」
武蔵とあきつ丸が上空を見ながら、段々形を成していく輝く巨大トゲ鉄球に呆れていた。
「その、大丈夫なんですか?」
「なんかすごく威力がありそうな………」
武蔵の両腕に抱えられたセレナとマリア(小)も上空の巨大エレメントを見ながら、武蔵の移動速度の遅さを懸念していた。
「安心しな、ちゃんと対策してる」
「来たであります!」
武蔵が笑みで返す中、あきつ丸の声に甲高い音が重なる。
こっちに向かってくる高速の影にセレナとマリアが驚く中、その影は直前で急停止する。
「目標確認!」
「セットを!」
急停止した二機の機影、紅椿をまとった箒と白式・改をまとった一夏が、準備していたハンガーユニットからキャプチャーワイヤーを伸ばし、武蔵とあきつ丸はそれぞれにそれで艤装と自らを固定、更に武蔵はセレナとマリア(小)、あきつ丸はナスターシャも固定する。
「しっかり掴まってろ」
「かなり早いでありますから」
『え?』
「行くぞ!」
訳の分からぬ中、固定された三人が反論する間もなく、固定を確認したIS二機が急発進、高速でその場を離脱していく。
「うわああぁ!?」
「ひゃああ!」
姉妹の悲鳴が飛び交う中、ナスターシャだけはISを冷静に観察していた。
「そのサイズにしてはすごい出力ね」
「ISって言います。なんでかオレ以外は女性にしか使えないんですけど…」
ナスターシャの疑問に一夏が答える中、ナスターシャは他にも同様に未来の装者や艦娘達が待機していたらしいISに運ばれて離脱しているのを見ていた。
「最新ISが緊急離脱の運び屋とはな………」
「仕方ないさ、ISの攻撃はあの怪獣に効かないみたいだし」
「それで、アレは効くの?」
「さらに大きくなってきたような………」
箒と一夏がボヤく中、少し落ち着いたセレナとマリア(小)が上空の巨大トゲ鉄球を見つめる。
「さあな、一つ言える事は最大防御!」
武蔵が声と同時に腕の中の姉妹を抱きしめ、あきつ丸もナスターシャをかばい、二機のISは防御に全エネルギーを回す。
「来るぞ!」
「友軍機、安全圏まで撤退確認!」
「上空、攻撃来ます!」
「じゃあ、パージ!」
ネフィリムをキャプチャーしたまま、友軍の退避を確認したトリガーハート達は、一斉にアンカーをリリース、NORNでも有数の速度で一気にその場から離脱する。
突如として自由になったネフィリムだったが、己の頭上に輝く巨大なトゲ鉄球に気付くと威圧するように咆哮するが、向こうは怯みすらしなかった。
「これでも食らいなさい! ゴルディオン・メテオ!!」
ハルカが気合と共に、マイスター乙HiMEの常識から見ても桁外れの巨大なマテリアルを振り落とす。
振り下ろされた巨大マテリアルは凄まじい速度で加速していき、迎撃しようとしたのか待ち構えていたネフィリムに直撃、そのまま地面へと激突し凄まじい振動と衝撃波を周辺に轟かせる。
程なくして、解き放たれたエネルギーと土埃がその場に巨大なキノコ雲を形成していった。
同時刻、アメリカのみならず周辺諸国で観測された不自然な地震波にすわ核攻撃かと大騒ぎになるが、程なくして放射線の類が検出されない事が大きな謎となった。
「来るわよ!」
「総員防御!」
ソニックダイバーが密集し、直後に吹き抜ける衝撃波からネットから降ろされたVIP達を守る。
「何だ、何が起きている!」
「まさか、核攻撃か!?」
「さっきの巨大な光球はなんだ!」
混乱するVIP達だったが、衝撃波が止んだ所で研究所の辺りに発生した巨大なキノコ雲に呆然とする。
「き、貴様らまさかアメリカ国内で核攻撃を!?」
「安心してください、核兵器じゃありません」
「放射線は全く検出されてませんから」
混乱する相手に、瑛花と可憐がセンサーデータなどを開示しながら説明する。
「また派手にやったわね~」
「大丈夫かな………」
「一応味方は全員避難してるよ~」
エリーゼと音羽がキノコ雲を見上げながら呟くが、ヴァローナが全員の無事を確認する。
「これだけやったらさすがに効いたわよね?」
「聖遺物というのは、現状物理学から一部ずれた所が有りますから、何とも………無傷という事は無いでしょうけど」
「お、お前達本当にネフィリムを倒すつもりなのか!?」
「あれは合衆国の所有する数少ない完全聖遺物で…」
「は~い、落ち着いて~」
ソニックダイバー隊の会話に猛抗議するVIP達に、ヴァローナがどこかから取り出したスプレーを噴射し、それを吸った者達がバタバタと倒れて寝息を立て始める。
「催眠ガス………貴方達一体何のために………」
「私達の目的はセレナ・カデンツァヴナ・イヴの保護とその障害となるネフィリムの撃破。そのための準備は十分にしてきました」
「そもそも人食いの怪獣なんて飼っててもいい事ないんじゃない?」
あまりに用意周到過ぎる相手に、残ったVIPが問うてくるのを瑛花は端的に答えるが、音羽はそれを混ぜ返す。
「響腕食べられたんだっけ? その後生えてきたらしいけど」
「正確にはシンフォギアを装者ごと食べようとするらしいけど」
「悪趣味極まりないわね」
「あ、影響収まってきました。データ来ます」
巻き上げられた土煙が徐々に晴れていき、その場にある巨大なクレーターが露わになっていく。
「うわぁ………」
「また派手にやったな」
退避していたマイスター乙HiME達が戻りつつ、その有様を見て呆然としていた。
「研究所が跡形もあらしまへんな」
「一応避難は完了していたから人的被害は無いが」
シズルとナツキが完全に風景が変わってしまった事に半ば呆れる。
「あら、残ってるわね」
そこでそのクレーターの中央、直撃地点のど真ん中にネフィリムがまだいる事にナオが気付く。
だがその体は各所が千切れ飛び、地面に押しつぶされて微動だにしなかった。
「ちっ、出力が足りなかったようね」
「あれ以上上げたら、クレーターどころか地殻変動起こしかねんぞ………」
まだ相手が残っている事にハルカが舌打ちするが、ナツキはさすがに危険すぎる武装に警告する。
「総員、距離を取りつつ包囲! 乙HiMEの攻撃では倒しきれないかもしれん!」
「やっぱりシンフォギア装者じゃないとあきまへんか」
ナツキの指示でマイスター乙HiME達が用心深くネフィリムを包囲し、そこで退避した時と同様にシンフォギア装者と艦娘(※用心して戦艦クラスのみ)がISに釣られて戻ってくる。
「あれだけの攻撃食らってまだ生きてんのか………」
「確かにこれはこっちの手には負えないな」
「気持ち悪~」
専用機持ち達も愕然とする中、更に多重に包囲が完了していく。
「アレで決着が付いたら楽だったデスが」
「元々アレは予定に無かった」
「さすがにここまで更地にする予定もなかったのだけど………」
装者達が完全に地形が変わってしまった事に呆れながらも、止めの準備に入ろうとするが、そこでセレナに呼び止められる。
「あの、マリア姉さん」
『なに?』
「その、大きいマリア姉さん」
マリア×2に返答され少し言い直したセレナは、ネフィリムを包囲している面々を見てから口を開く。
「一体未来で何をしてるの?」
「色々、そう色々有ったわ………」
セレナからの問いに、マリアは酷く遠い目をする。
「せめてこの人達は何なのかだけでも知りたいのだけれど」
ナスターシャも問う中、マリアは言葉を選ぶ。
「今、この人達と一緒にエイリアンと戦ってるわ」
『何があったの!?』
マリアからの返答に、幼い姉妹は全く同じ言葉を思わず叫ぶ。
「簡単に言えば全くその通りなのデス」
「そのエイリアンの母星に行くのに、セレナの力が必要」
「………私にも全く話が見えてこないのだけれど」
「マムには後からマムが説明するのデス」
「未来の私も来てるの?」
「とにかく後、今は…」
注意深く装者が三方に分かれる。
そしてそこで胸元のイグナイトモジュールを手に取る。
「イグナイトモジュール、抜…」
切り札のイグナイトモードを装者達が発動させようとした時、ネフィリムが僅かに動いた事に気付いた者は極僅かだった………