第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if) 作:ダークボーイ
「こちらα―1、当該地域に到着。これは………」
国内で発生した謎の地震波と爆発現象らしき物、そしてその地域に政府の機密施設が有るためにその確認にスクランブルしたアメリカ空軍の戦闘機パイロットが、眼下に広がる光景に絶句する。
『α―1、報告を』
「それが………施設らしき物はほとんど残ってない! 馬鹿でかいクレーターが二つある! しかもなんだあれは!? まさか陸上空母か!?」
『………α―1。何を言っている?』
「本当だ! 当該地域に見た事も無い陸上艦らしき物が…」
オペレーターから正気を問われる声にパイロットが思わず声を荒げる中、物音が響く。
まるでノックするような音にパイロットが思わずそちらを振り向いた時、そこにあり得ない物を見た。
確認のために最高速ではないとは言え、戦闘機と並列して飛ぶパワードスーツをまとった黒髪の少女の姿を。
「!?」
『あー、聞こえてますか? こちらはすぐに撤退します。見えている物は気にしないでください。繰り返します、見えている物は気にしないでください』
「!!?!?!?! 直通回線? コードも送ってないのに、どうやって!?」
『どうしたα―1! 報告を!』
「あ、アイ〇ンマンスーツをまとった少女がすぐ隣を飛んでいる!!」
混乱して声にならない声を上げたパイロットにオペレーターが問い質す中、パイロットが見たままを報告する。
『…今そちらの脳波モニターを確認中。もう一度報告を』
「まさか、そんな!」
混乱したパイロットは機体を加速、音速を突破せんとするが、パワードスーツをまとった少女は平然と並列についていき、パイロットは更に機体を上下左右に揺さぶるが相手はまるで張り付いたかのように同調して飛んでみせる。
『落ち着いてほしい。だからこっちは今撤退するから、見なかった事に………』
並列していた少女、箒は紅椿で戦闘機から離れずに相手に警告をしていたが、キャノビー越しにも相手が混乱しているのが見て取れた。
『だからとっとと帰れって言ってるでしょ!』
箒が視線を移すと、そこでは同じく確認に来た戦闘機に、フェインティアが張り付いて警告していたが、向こうも同じく混乱しているのがそのデタラメな飛び方で分かる程だった。
『帰還準備出来たわ。二人とも戻ってきて』
「了解」『了~解』
真下にいる潜砂空母スズシロから届いたマリアからの通信に、箒とフェインティアは返信すると戦闘機から離れて降下していく。
「まさか撃ってこないよな?」
「あの程度の技術レベルならなんとでもなるでしょ」
こちらが離れた事で動きが落ち着いてきた戦闘機を見送りながら、二人はスズシロへと着艦する。
甲板上で二人を出迎えたマリアが用心して周囲を見回す。
「これで全員ね。忘れ物とか無いわよね?」
「恐らくは」
「まだちょびっと残ってるとこも吹っ飛ばしとく?」
「あそこは通常倉庫区画だから問題無いわ。それにここまでやったらこれ以上は必要ないだろうし」
「やり過ぎるのも問題が…」
そこで残っていた区画もダメージが有ったのか、話の途中で崩落していく。
「………やり過ぎたかしら」
「幼い妹を助けるのにやりすぎという事はないだろう」
「人的被害は出てないし。まあ一人アレになってたけど」
「あの人ならまあいいわ。むしろ少しはマトモになってるでしょう」
二度ほどぶん投げられ、しかも下半身裸のまま放置されている将校がいた気もしたが、構わず皆が艦内へと入っていく。
「派遣人員プラス一名の総員搭乗を確認」
「上空マスター艦の転移準備完了を確認」
「さあ帰ってカチコミの準備よ!」
「だからなぜお前が仕切る………」
スズシロのブリッジでクルー達が準備を進める中、ハルカが腕組みして気合を入れるのをナツキが呆れる。
「向こうもなんとかうまく行ったらしいな」
「そりゃ、あれだけ人員割り振ったらそうなるでしょ」
「いや、かなりギリギリだったそうだ。切り札まで投入したらしい」
「あらそう。まあこっちも少し危なかったからね。アリカは後でほめとかないと」
「程ほどにな。あいつは調子に乗りやすすぎる」
ハルカとナツキがあれこれ言う中、着々と帰還準備が進んでいく。
「帰還準備完了」
「転移座標入力」
「転移装置起動します」
武装神姫も協力して転移装置が起動、転移ホールへとスズシロが進んでいく。
「後始末くらいは任せてもいいだろうな」
「大分始末しておいたからね」
後は丸投げする事にして、NORNはその場から去っていく。
その後、正体不明の大規模戦闘跡に合衆国上層部が大混乱に陥る事になった。
人気の無い霊園の一角にある墓地に、そっと花束が捧げられ、線香の煙が棚引く。
それらを墓前に供えた者は、その場で手を合わせて黙祷する。
その者の後ろで同じように黙祷していた者がそっと手を下ろして声を掛ける。
「奏、そろそろいいか」
「ああ、無理言ってすまなかったな」
「構わない。けれど………」
墓前にいた者、奏が背後にいた翼に振り返りながら小さく詫びる。
翼は頷きながら、目前の墓の方を見る。
こちらの世界の、天羽 奏の墓を。
「一応こっちの私に話通しておこうと思ってな」
「そうか、すまない。最近忙しくて私も来れてなかったからな」
「今の仲間とうまくやれてるなら、それが一番だ。こっちの私もそれが一番心配だったろうからな」
「………そうだろうか」
「自分の事は自分がよく分かってるよ」
笑みを浮かべつつ、奏は翼の肩を叩く。
「さて、戻って最終決戦の準備だな」
「だからギャラルホルンの発動まででいい。何かあったらそっちの私に申し訳が立たないからな」
「そうか………まああんだけ仲間がいれば大丈夫、か?」
「ああ、見た通り変わったのばかりだがな」
「他の連中から見りゃこっちもそうだろ」
「違いない。こちらが一番最初に接触した奴は、いきなり宝石なぞ出してきたぞ」
「どんな金持ちだよ………」
色々と話し込みながら、二人はその場を後にする。
見送るように線香の煙が二人の後を追うようになびいていた。
香坂財団の保有するある惑星に、NORNの保有する全戦力が終結していた。
「すごい………これ全部?」
「そ、私達の味方。こうやって見ると壮観ね」
各組織の母艦、陸上艦、空中艦、水上艦、宇宙艦その他などが一堂に並ぶ光景に、セレナは絶句し、マリアも頷いていた。
「これから行く所には、これでも足りるかどうか分からないデス」
「セレナはその前に帰って。危ないから」
切歌と調の説明に、セレナは小さく頷く。
「この間の戦い見ても、私じゃ足手まといみたいだし………」
「セレナはそのままでいいわ。こっちで開発した対ノイズ兵器を幾つか置いてきといたし」
「ちょっと強力なのが問題デスが………」
「対ノイズ用ディストイーションガントレットは風鳴司令しか使えなかったし」
「そろそろだぞ」
あれこれ話す四人に、背後から翼が声をかける。
その先にはステージが設置され、その中央に次元を渡る力を持つ聖遺物『ギャラルホルン』がセットされ、そこから複数の機器に繋がっているのが見えた。
「起動準備、完了しました」
「目標座標入力、いつでも行けます」
準備を進めていた技術班のスタッフ達が最終確認をする中、装者達はステージへと昇る。
「わざわざステージまで作ったのか?」
「いや最初から付いてた」
「最初から?」
奏の疑問への翼の答えに、セレナも首を傾げる。
今装者達のいる場所、香坂財団所有の異世界調査交流用戦闘艦《ギャラクシー・フロイライン号》の甲板上には、他にもやたら派手な装飾が施されており、まるでコンサート会場その物だった。
「作らせたお嬢様の趣味らしいぜ。船首に自分の像つけた奴」
「まあ、私達の参加も彼女が尽力してくれたおかげだけれど」
「………どういう人?」
「今あそこで仁王立ちしてるぞ」
何か妙な仕様に奏とセレナが疑問に思うがクリスに言われて振り返ると、ブリッジでバトルスーツ姿の香坂 エリカがエレガントソードを床に突き立てるような形で仁王立ちしているのが見え、二人とも見なかった事にする。
「全員準備できているか?」
そこへ弦十郎が隣にシンフォギアをまとった小日向 未来を連れて訪れる。
「こちらはいつでもいけます」
翼の報告に、弦十郎は頷く。
「よし最終確認だ。現在ここにいる装者9名によってギャラルホルンを起動、惑星フェアリィを覆う次元障壁を無効化させる。その後先遣隊が突入、マーカーをセットしている間に奏とセレナ君は元の世界に帰還してもらう。未来君はギャラルホルン防衛のために攻撃隊には加わらず、この場にて待機。質問は?」
「ホントに加勢しなくていいのか? 確かに仲間はいっぱいいるみたいだけど………」
奏の質問に、ギャラルホルン周辺のチェックをしていた紗羅檀が答える。
「因果律の問題よ。ただでさえ過去の改変で違う世界線を作った上に当事者を連れてきてるんだから、早く元の世界に戻らないと、最悪因果律の乱れでそっちの世界が消失しかねないそうよ」
「そうなのか!?」
「それなら確かに早く戻った方が………」
奏とセレナが驚く中、弦十郎が更に追加する。
「あと未来君は装者としてはギリギリの調整しかしていない。前線に出るには難しいから防衛に務めてもらう事になっている」
「技術班と医療班のリーダーが両方厳しくてな。奏のような無茶は絶対させてくれない」
「LiNKERの再現も安全重視を徹底してたしね」
翼とマリアも唸る中、その場にいた全員の通信機がアラームを鳴らす。
「時間だ」
弦十郎の一言に、装者達は頷くとその口から聖詠が紡がれる。
そしてその身にシンフォギアをまとった九人の装者が、勢ぞろいする。
「始めよう、立花」
「はい!」
翼に促され、まずは響が聖詠を紡ぎ、その旋律に一人、また一人と装者達が聖詠を重ねていく。
それに応じるようにギャラルホルンが鳴動、光を帯びていく。
聖詠の輪唱は更に高まり、ギャラルホルンが眩く輝いていく。
そして九つの歌声が頂点まで高まった時、ギャラルホルンから閃光が放たれ、虚空へと延びていったかと思うと、そこに突如として穴のような物が穿たれる。
閃光は放たれ続け、虚空の穴は更に大きくなっていく。
「次元障壁弱体化進行中!」
「虚数空間固定装置起動!」
「座標確認、急げ!」
技術班が忙しく動き出す中、とてつもなく巨大になった虚空の穴の向こうに、一つの惑星が露わとなる。
「座標確認! 惑星フェアリィに間違いありません!」
「先遣隊を…」
目的地へのルートが確認されると同時に、一機の戦闘機と一機の戦闘妖精が突入していく。
「あの二人が行ったという事は、間違いないようだな」
弦十郎がもっともJAM殲滅に燃えている二人が先遣隊に行った事を確認する中、装者達は聖詠を終えて視界の先に有る惑星フェアリィを見つめる。
「あれが………」
「JAMの本拠地、惑星フェアリィか」
「さあて、何が待ち受けてんのか」
口々に呟く中、翼は奏に、マリアはセレナに振り向く。
「じゃあここまでだ」
「送迎はあちらに準備してるから、そっちの私によろしくね」
「翼」「マリア姉さん」
何かを言いたい相手に翼とマリアは背を向ける。
「ここからは私達の戦いだ。短い間だが、話せてよかった」
「そうね、けどこれ以上独占する訳にはいかないしね」
「………そっか、頑張れよ」
「無茶しないでね………」
決戦に赴こうとする相手に、奏とセレナも短く別れを告げると、その場を後にする。
「それじゃ、行きましょう!」
響の声を皮切りとしたように、各母艦が順次発進していく。
数多の世界を巻き込んだ激戦の、最後の戦いの幕が今上がろうとしていた………
This story is END