第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if) 作:ダークボーイ
作戦発動より少し前 学園 大会議室
NORN参加組織の各司令達が一同に会し、真剣な表情で映し出されるあるデータを見つめていた。
「以上の通り、深井 零少尉の証言とメイヴ内にアーカイヴされていたデータと総合し、惑星フェアリィの空間座標特定には成功しました。しかし………」
説明半ばで、エルナーは言葉を濁す。
「惑星フェアリィの周辺時空に複層の次元断層が展開されており、これの突破はかなり困難である事が推測されます」
「一層一層見ても、かなり強固です。これを順次突破にしても、強行突破にしてもかなりの戦力を使用せざるを得ません」
エミリーの続けての説明に、各指揮官達は互いに相談を始める。
「例えばだが、強行突破となるとどれくらいの戦力が必要になるのだろうか?」
大神の質問に、エミリーがいくつかのシュミレーションを表示する。
「最低でも重力子兵器か侵食兵器、最大で次元振動兵器の使用が想定されます。これらを順次使用すれば周辺時空に著しい影響が推測され、次元通路の湾曲、最悪はワームホールの複数発生の可能性が有ります。目的地である惑星フェアリィへの全戦力の投入は極めて困難になるでしょう」
「意味がよく分からんが、まずいという事は何となく分かった」
「敵陣に突入しようってのに、突入路がまともに出来なかったら話にならないね」
ガランドが少し首を傾げ、グランマが嘆息する。
「次に順次突破ですが、これは極めて時間を要しますし、最悪突破した次元断層がJAMによって修復される可能性も有り、その際は戦力が分断される事となります。これも難しいでしょう」
「戦力の分断は論外だ。これだけの戦力を集めても、充分という保証は無い」
「こちらのように、運用が限定される戦力も有る。やはりどうにか全戦力を順次投入出来る方法を模索しなくては………」
門脇の断言に、冬后提督も艦娘達を例に出して肯定する。
「だとしたら、やはりあの手段しか有りませんね………」
「その事なのだが…」
エルナーの指摘に、その手段を持つ弦十郎が渋い顔をする。
「こちらでも色々試算と実験を繰り返してみた。次元を渡る力を持つ聖遺物『ギャラルホルン』の力を持ってしても、これだけの次元断層を突破するのは困難と言わざるをえない」
「華撃団やウィッチ、その他似たような力を持ってそうな子達を集めてやってみたけど、やっぱそこまでのパワーが出せないみたいでね」
弦十郎の説明に、実験に協力していたサニーサイドが補足する。
「やはり根幹となる、シンフォギア装者の力が足りない。そもそもギャラルホルンの制御方もようやく確立出来たのだからな」
「ユナがふざけて吹いたら起動するとは思いませんでしたが」
「妙な所で規格外だよね、彼女」
弦十郎が唸る中、一切の干渉を受け入れない完全聖遺物のはずがいとも簡単に動かせた事にエルナーとサニーサイドが苦笑する。
「シンフォギアはかなり特殊な適性を必要とするからの。早々簡単に人数も増やせまい」
「まさかクローン作るわけにもいけませんしね」
相変わらずのぬいぐるみ姿の健次郎が問題点を指摘し、香坂 エリカも危険な提案を自ら否定する。
『確認したい事がある』
通信参加の未来のアイーシャがある可能性を考え、発言する。
『つまり、シンフォギアの装者を増やせれば次元断層の突破は可能なのか?』
「こちらの試算上は、最低でもあと二人以上。無論、当人の希望で調整中の小日向君を除いてだ」
『だったら、連れてくればいい』
「装者のパラレル存在をかね? パラレル存在に必要以上の干渉は危険だと聞いているが。それに、ギャラルホルンにどんな影響が…」
『だから、今存在しない装者を連れてくればいい』
「は?」
アイーシャの提案に、弦十郎のみならず他の司令達も唖然とするが、数名がすぐにその意図に気付く。
「そうか、武装神姫の逆ですね?」
『そう、私達は過去の可能性を変えるために未来から武装神姫を送り込んだ。逆に、未来に過去の装者を連れてくる』
「それは、死亡した装者を連れてくるという事か!? 可能なのか!?」
驚くべき提案に、弦十郎が思わず声を荒げる。
『可能。ただし、過去其の物を変えるわけじゃない。過去は変えた時点で、別の可能性が生まれるだけ』
「つまり、彼女が……あの時に死んだはずの天羽 奏が生きているパラレルワールドが生まれる、と」
『変えるなら、半端でなく変えた方がいい。近いとむしろ干渉を起こす可能性が有る』
「だとしたら、彼女が死ぬ直前に助けるという事になるが………」
『それがいい。確か、もう一人いたはず』
「セレナ・カデンツァヴナ・イブの事か………」
アイーシャの指摘に、弦十郎はしばし考え込む。
「………他に可能性は?」
「色々討議、シミュレーションした結果が今の状況です。時間軸への干渉は本来避けるべき案件ですが、かつての武装神姫の時と同様、必要では無いかと私は思います」
弦十郎が俯きながら問うのに、エルナーはアイーシャの提案に賛同の意思を示す。
「他に方法が無いのなら、仕方ないのではないか? まあ色々揉めそうだが………」
「過去から死ぬはずの仲間を助けて引っ張ってくるか、なんでもありだな」
「あら、仲間の人達は喜ぶんじゃないかしら?」
ナツキがまず賛同し、千冬とどりあも呆れながらも賛同する。
「使えるカードは使うべきでしょう。例えそれがどんな物でも。JAMにこれ以上の干渉を阻止するためにも」
JAMの事を最も知るクーリィが賛同した事で、他の司令達も顔を見合わせ、頷く。
「それでは風鳴司令」
「………いいだろう。天羽 奏とセレナ・カデンツァヴナ・イブを過去から救出し、ギャラルホルンの発動に参加させよう」
弦十郎の賛同を持って、かつての武装神姫計画を上回る計画が発動する事となった。
作戦名『オペレーション・エインヘリャル』、死せし英雄を意味する作戦は、NORN発足以来、有数の規模を持つ作戦として準備が進められた。
オペレーション・エインヘリャル発動中 コンサート会場
『観客の退避はあと少しで完了!』
『地下の聖遺物は処理を確認!』
『ノイズ増援を確認……撃破確認!』
各所から送られてくる報告に、奏と翼は戦いながらも、どこか唖然としていた。
「どいつもこいつもやるな………」
「うん………」
「我々同様、それぞれの世界を守る精鋭達だ。どいつも実力は折り紙付きだ」
「それぞれの、世界?」
未来の翼からの言葉に、奏は首をかしげる。
「詳しい話は後で! かなり複雑なんで!」
「マスターが理解してないだけでしょ?」
「う…」
拳を振るいながらの響の言葉に、紗羅檀が冷静に突っ込んで響が言葉に詰まる。
「とにかく、今はこのノイズを殲滅するのが先だ! 恐らくもう直、地下からもっと厄介なのが出てくる!」
「どういう意味だ!?」
「この件の黒幕だ。今ここで言っても信じないだろうが………」
「黒幕? このノイズ発生は誰かが起こしたっていうの?」
「だから後で! 私達だって最初信じられなかったし!」
困惑が更に深まる奏と翼だったが、取り敢えずノイズとの戦いに集中する。
「未来の翼、一つだけ教えろ。お前、三年後に一体何やってんだ?」
槍でノイズを薙ぎ払いながら、種々の疑問を集約した疑問を奏が問うてくる。
「色々有って一言では難しい。だが端的に言えば」
「言えば、何だ?」
「三年後の私達は宇宙人と戦っている」
『はあ!?』
未来の翼の発した答えに、奏と翼は同時に最大級の疑問符を発する。
「何でシンフォギア装者が宇宙人と戦う事になるんだ!?」
「そ、それ本当に?」
「本当です! 私もそのせいで、色々大変な目に会いました!」
「どういう意味!?」
「だから後だ! いいか、これから何を見ても驚くな!」
未来の翼が断言しようとした時、突然真上から中型ノイズが振ってくる。
挙げ句、巨大な結晶のような物で構成された剣が中型ノイズに突き刺さるが、ダメージを与えられずすり抜ける。
「ふむ、やはり演算時間のラグで位相空間に潜られるな」
「霧のコンゴウさん! もう少し周り注意して戦ってください!」
「すまない。やはりまだノイズとの戦闘には改良がいるな」
響がもがく中型ノイズに止めを指しながら、ノイズをこちらに投げてきた相手に注意する。
「今、あのドレスの人ノイズを一本背負いしてたような………」
「あたしは空中からいきなり剣を出したの見えたぞ………」
「だから何を見ても驚くなと言っている。アレでもまだ序の口だぞ」
頬が引きつっている翼と奏に、未来の翼が助言するが、そこであちこちから警告音が響く。
「今度は何だ!?」
「空爆警報! みんな伏せて!」
奏の怒声に紗羅檀がかぶせるように警告し、上空を小型で高速の影が横切り、何かを投下していく。
投下されたそれはノイズが固まっている所に落ちたかと思うと、突如として漆黒の渦のような物を発生させ、それに巻き込まれたノイズを飲み込み、穿っていき、そして消失する。
「何アレ………」
「侵食兵器の使用は許可されてないはずだぞ!」
「あ~、またメイヴね。いつのまに来たのかしら」
「お父さん目覚めて、更にひどくなってない?」
「どういう連中連れてきた! 本当に三年の間に何が有った!」
「だから後で…」
『こちらポリリーナ! 対象が逃走したわ! 作戦をCプランに!』
何かと危険な話をしている未来の翼と響に奏は思わず怒鳴るが、そこで緊急を知らせる通信が飛び込んでくる。
「まずい、地下にも精鋭を送ったはずだが…」
「来るよ!」
「何が!?」
未来の翼と響が警戒し、翼が困惑する中、コンサート会場の地面が一部崩落し、そこから誰かが飛び出していく。
「逃げるぞ!」
「下手に追うな! とんでもない危険人物だ!」
「だがあの子達に任せて大丈夫か?」
周囲の者達がその飛び出してきた人物、長髪の女性らしき相手を異様に警戒している事に奏と翼も警戒するが、直後に崩落した地面からとてつもなく巨大なノイズが出現する。
「で、でけえ!」
「こんなのは初めて………」
「気をつけて! 前もすごい苦戦したから!」
「ここから第2フェイズだ、行くぞ!」
四人の装者を中心とし、皆が一斉に巨大ノイズへと立ち向かっていた………