第二次スーパーロボッコ大戦 XD編(if) 作:ダークボーイ
「何がどうなってるの………」
特異災害対策機動部二課の研究者、櫻井 了子は困惑していた。
「ま、間に合った………」
「全く無茶ばかり言うわね、そちらのお嬢様は」
実験の失敗による爆発事故、それにより多数の被害者が出てもおかしくない状況が、寸前で制止していた。
目の前に突如として出現した氷壁によって。
「エリカさま、こちらミドリ。下部実験ラボの被害は食い止められました」
「こちら楯無。軽症者が数名出てるようだけど、重傷者死者は無し。ここまでは予定通り」
目の前にいる二人、バトルスーツのような者をまとった二人がこの氷壁を作り出してラボにいた者達を守ったらしい事を悟った了子は、内心焦りながら本心をひた隠す。
「ここをお願い、私は風鳴司令の所に…」
「おっと、どこ行こうってんだ? 了子先生?」
適当な理由をつけてその場から離れようとした了子だったが、ラボのドアに立つ赤いシンフォギアをまとった装者が行く手を塞ぐ。
「あなた………雪音 クリス!? なぜここに!」
「確かにあたしは雪音 クリスだ。ただし、三年後のな」
「三年後? 一体何を…」
「だから全部知ってんだよ。これからあんたが何をしでかそうとしてるかもな」
自分の知るクリスとは明らかに雰囲気が違う三年後のクリスに、了子の焦りは更に大きくなっていく。
「だから、先手を打たせてもらおうって事になってんだ」
「先手?」
「バッキンビュー!」
クリスの言葉が終わった直後、突如としてどこから伸びてきた光のムチのような物が了子の体を絡め取る。
「何だ!?」
「いきなり現れたぞ!」
何が何やら分からない他の研究員達が叫ぶ通り、了子の左右に突如として現れた人影の片方がムチで了子の体を絡め取り、もう片方がゴツいリニアガンを了子へと向ける。
のみならず前方からクリスが、後方から楯無がそれぞれ得物を了子へと向ける。
「まて、これはどういう事だ!」
そこへ上から降りてきたらしい弦十郎が捕らえられている了子の姿を見て驚く。
「どうもこうもねえよ、おっさん。この実験の失敗と暴走、やらかしたのはこの先生って事だ」
「君は、まさか雪音 クリスか!」
「ああ、三年後のな」
かつて捜索したが見つけれなかったはずの少女が自分の目の前、しかもエリカと同じく三年後という言葉に、さすがの弦十郎も判断に迷う。
「とりあえず、今証拠見せっから」
「証拠?」
「こういう事」
クリスは無造作に、手にしたボウガンの形をしたイチイバルのアームドギアを了子へと向けて放つ。
「なっ…」
あまりの無造作な所業に弦十郎の反応も間に合わないが、生身の人間なぞいともたやすく粉砕するアームドギアの攻撃は、突如として了子の前に生じた障壁に阻まれる。
「ま、こういう事だろ、了子先生? いや、フィーネ!!」
「くっ…!」
今まで隠してきた力を使ってまで身を守らねばならなかった状況に、了子、正確にはその体を器とした超先史文明期の巫女・フィーネが歯噛みすると、その姿が金色の瞳とクリーム色の長髪を持つフィーネと変貌する。
「了子君!」
「そんな奴はもういねえよ、とっくの昔にあいつに乗っ取られてたのさ」
「なんだと!?」
クリスの語る真実に、さすがの弦十郎も驚愕するが、今目の前に起きている事がそれを何よりも証明していた。
「フィーネ、あなたを拘束します」
「おとなしくしててくれれば、手荒な事はしないわ」
リニアガンを構えたミサキと、バッキンビューで拘束しているポリリーナが、油断なくフィーネへと警告する。
全てが暴露されようとしている事を悟ったフィーネが憤怒の形相を浮かべ、周りの研究員達はあまりの変貌ぶりに思わず後ずさる。
「なめるな、小娘達が!!」
憤怒と共にフィーネは力を開放、力任せに拘束をぶち破り、爆発事故で生じた穴から一気に外へと飛び出していく。
「ちっ、逃げやがった!」
「こちらポリリーナ! 対象が逃走したわ! 作戦をCプランに!」
「エリカ、こちらの処理をお願い! 対象の追跡を…」
『こちら大神! 大型ノイズ出現を確認! 作戦をC‘に変更する!』
「逃げただけじゃなく置き土産か! あたしも上に行く!」
「私達はエリカとこちらの処理をするわ」
「………残ったシステムを確認! 上の戦闘を少しでもサポートする!」
手際よく動く少女達に、弦十郎は少し思案して指示を出す。
「一度に色々起きすぎて困惑しているが、君達は信じてもよさそうだ」
「まず優先されるのは人命。本当ならば今日ここで未曾有のノイズ災害で多数の死者が出るはずだったのですし」
「本当の目的は天羽 奏の救助なのですが、ついでに全員救ってしまおうという事になってます」
「ついでって………」
ポリリーナとミサキの説明に、爆発事故から残ったシステムの復旧を行っていた研究員が思わず呟く。
「奏の救出? 一体君達の目的は何だ?」
「詳しい説明は今は省きますが、私達はある理由で装者を集めています」
「上の状況を見れば分かると思いますが、シンフォギア装者のみならず、数多の世界から多くの戦士達が集結しているのです。JAMと呼ばれる敵と戦うために」
「JAM?」
「すいませんが、上の加勢に行くので詳しい話は後で。クリス」
「じゃ、そういう事で」
ポリリーナの説明を途中で切り上げ、ミサキがクリスの肩に手を置き、クリスが手を振って合図した所で、三人の姿がその場から消える。
「消えた!?」
「いや、上に現れた! これは…」
「テレポーテーションか。確かに装者とはまた違う力のようだ………」
目の前から消えた三人が、上の様子を映しているディスプレイに突然現れた事に弦十郎ですら驚く。
「上の事は任せて、こちらの処理もしないと」
「この氷壁もいつまで持つか分かりません、工作班を」
「負傷者の確認と整備班の召集を!」
残った楯無とミドリがヒビが入り始めた氷壁を慌てて補修しているのを見た弦十郎は、とにかく今出来る事を指示していった。
「攻撃開始!」
「ファイアー!」
空陸双方のウィッチ達の一斉砲火が巨大ノイズに炸裂する。
「一定の距離を保って! 攻撃力も防御力も段違いだそうよ!」
「この場から動かすな! どう動いても大被害だ!」
ミーナとラルの指示が飛び交う中、空戦ウィッチ達の攻撃が巨大ノイズをその場に釘付けにせんと叩き込まれる。
「話には聞いてたけど………」
「これほどとはな。観客の避難は完了しているか!」
周辺で巨大ノイズを取り囲んだ状態で安全確保していたマイルズと大神が、どこに倒れてもまずい巨大ノイズに徹底的に警戒していた。
「地下はどうなっている?」
「一応爆発の影響は抑えられたわ」
大神の問に、いきなり背後に現れたポリリーナが答える。
「悪ぃ、フィーネに逃げられた!」
「逃走は可能性に入っていたからな。まずは人命優先で作戦は立てていただろう」
「今Gの天使達も追跡に入ったし、対策もしてある」
「ちょっと不安だけれど」
一緒にその場に現れたクリスが謝る中、大神機の頭上にいたプロキシマと圭子の肩にいたサイフォスが用意していた複数のプランを確認し、クリスを連れてテレポートしてきたミサキがフィーネが逃走した方向を見て呟くが、すぐに全員が巨大ノイズへと向き直る。
『周辺の一般市民退避を確認。安全圏を確保』
『作戦を第3フェイズへと移行してください』
上空に居る二対の翼を持ち、同型二体で一つのユニットとして機能している探索・指揮型戦闘妖精・バンシーからの報告に、陸戦ウィッチと華撃団が一斉に構える。
「総員魔導徹甲弾装填!」
「作戦・火! 攻撃開始!」
一気にケリをつけるべく、巨大ノイズに全火力が集中される。
「それじゃあ奏さん! 皆さんと一気にいきましょう!」
「おうよ!」
その中心に、二人のガングニール装者がいた。
「一体どうなってる………三年後だと?」
常人にありえない身体能力でビルの屋上を跳びながら全力で逃走するフィーネが、全く理解出来ない状況に混乱する。
「待て~!」
「フィーネ! あなたの罪状は判明しています! 大人しく捕縛されなさい!」
後ろから小型の戦闘機のような機体、それがライディングバイパーと呼ばれる事すら知らないフィーネが、追手の存在に歯噛みしながら、懐からある物を取り出す。
「まだ完全起動はしてないけれど!」
その取り出した物、完全聖遺物の一つ、ソロモンの杖が光り、追ってくるGの天使達の前に空戦型ノイズが出現する。
「ノイズが!」
「応戦するわよ!」
突然出現したノイズにフィーネを追跡していた亜乃亜とエリューは慌ててそちらの対処に入る。
「今の内に!」
「ネイキッド・ラング!」
そこに飛来した赤いブーメランが、フィーネの手からソロモンの杖を弾く、というよりも吹き飛ばす。
「な…」
「来たよ!」
「え~と、クリーム色の長髪に金色の瞳の女の人…」
「聞いてた通り!」
「絶対油断しないように、だっけ」
フィーネの進路を塞ぐように、赤・青・緑・黄の装束を身にまとった四人の少女達が待ち構えていた。
「次から次と!」
「ここは通しません!」
強行突破しようとするフィーネに、赤のパレットスーツをまとった一色 あかねを先頭に、パレットチームが立ちはだかった………