永久機関のアーク   作:岬サナ

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五人の≪超級≫

「これがInfiniteDendrogram(インフィニット・デンドログラム)か!!」

 

これは1人の青年が無限の系統樹と銘打たれるVRMMOのインフィニット・デンドログラム(ここからは基本カタカナ表記)が世界各国に同時に販売され、今インフィニット・デンドログラムの世界に赴こうとしていた。

 

「ゲーム、スタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インフィニット・デンドログラムサービス開始から1年と8ヶ月────

 

 

王都封鎖PKテロが終息した翌日──

 

「アルター王国の王都アルテア周辺の東西南北にいたPK連合は悉くデスペナに追い込まれました」

 

「全ての狩り場のPKがですか」

 

「南はフィガロさんだ。他の狩り場は一体誰が?」

 

レイ・スターリングとルーク・ホームズと〈エンブリオ〉のネメシスとバビは〈DIN〉所属の情報屋であるマリーから王都封鎖テロの顛末を聞いていた。

 

「アルター王国に属する5人の≪超級(スペリオル)≫。その内の4人が動き、1人1ヵ所ずつ対処して解決しました」

 

「≪超級≫」

 

「はい。〈エンブリオ〉を現行最終到達の第7形態まで上げた100人もいないトッププレイヤーである〈マスター〉達ですねー」

 

「一体、どのような人達が解決したんですか?」

 

ルークがレイも気になったことをマリーに聞く。

 

「“正体不明”【破壊王(キング・オブ・デストロイ)】、

“無限連鎖”のフィガロ、

“月世界”扶桑月夜、

“酒池肉林”のレイレイ、

この4人が動いて東西南北のPK集団ほぼ全員をデスペナにしましたね」

 

そう言ってマリーは何かしらの道具を机の上に置く。

 

「それは?」

 

「映像メディアみたいな物ですよ。これには今回の事件の一部始終が映されてます。まずは南ですねー」

 

南でのPKの対処をしたフィガロの圧倒的なまでの残虐ファイト。

東でのPKを対処した扶桑月夜率いるクラン月世の会による集団での数の暴力という名の殲滅。

西でのPKの対処をしたレイレイによる打撃からの水風船のような破裂。

 

それぞれが圧倒的な力により他のマスターと一線を斯くしていた。

 

「最後は北ですね」

 

(来たか)

 

レイは自身が殺された場所ゆえに1番聞きたいと思っていた。

 

「・・・・」

 

「ん?」

 

「どうしました?」

 

先ほどまでは景気よく話していたマリーが無言になり、レイとルークはどうしたのか気になった。

 

「とりあえず再生しますね」

 

映像メディアによって北にあった出来事が映し出される。

だが、それはすぐに消え、また別の映像が映し出されては消えを何度か繰り返した。

 

「あの、これって……何でしょう??」

 

「これは“正体不明”【破壊王】と同じく正体不明のPKである、通称“超級殺し”の戦闘映像、らしいです」

 

らしいと言う言葉に首を傾げる2人。

 

「それなら、その2人という確証はないんじゃないのか?PKの方も姿は映ってないし」

 

「いえ、“超級殺し”の方は得た情報からほぼ確定なのですが、【破壊王】の方は被害の規模からの推察が大きいですね。そもそも【破壊王】自体が情報露出の少ない人ですから……」

 

映し消えが何度か起こった後に森から離れた場所からの映像に代わりようやく映し続けれるようになった。

森の中ではなく俯瞰して見下ろす角度で映し出される。

 

「それでも【破壊王】だという高い確証もあるんですよ!ここを見てください!」

 

マリーが破壊される森の映像を停止してからある部分を指指した。

燃える森林の向こうに夜闇に紛れて巨大な黒い影のようなものが存在する。

それは山にしては稜線が鋭角で木々としても形がおかしく見える。

 

「謎の多い【破壊王】ですが、確度の高い情報として彼の〈エンブリオ〉は“戦艦”と言われてます」

 

「戦艦の〈エンブリオ〉もあるんですね」

 

ルークはそちらに驚いていたが、レイは兄の戦車を知っているからか、そういうケースもあるだろうと考えている。

 

「これだけ大規模にやらかしてるし、北のPK……“超級殺し”以外にも被害はあったんじゃないのか?」

 

「それは大丈夫でしょう。PKのいる往来には他に人もいませんし、そもそも【破壊王】だって他者を巻き込まないのを確認したからこれだけ派手にしたと思いますしね」

 

「なるほど」

 

その言葉にレイとルークは納得した。

 

「でもこれだけ破壊されているなら、その正体不明の“超級殺し”もデスペナになってるだろうな」

 

「あぁ実は驚きの追加情報があるんですよ」

 

「それは?」

 

「この森も消し飛ぶ砲火の中で“超級殺し”は生還してるらしいんです」

 

「……ほぅ?」

 

これまで水晶の映像に興味を持たずにバビと共に飯を食っていたネメシスが反応した。

 

「それは朗報だのぅ」

 

レイはネメシスがそう言った理由を理解した。

 

「そういえばマリーさん?」

 

「何ですか?」

 

「先ほど王国に属する≪超級≫は5人と仰ってましたが最後の1人はどんな方なんですか?」

 

ルークが気になった最後の≪超級≫についてもマリーに聞いた。それはレイも気になったのかマリーの方を見ている。

 

「最後の≪超級≫は“永久機関”アークという人物ですね」

 

「“永久機関”ですか?」

 

「はい。彼は今回のPKテロには一切対処してませんけどね」

 

「一切なのか?」

 

「はい」

 

一切の対処してないことに驚くレイにマリーは肯定し、こう答える。

 

「まぁ彼の場合は対処できなかったとも言えますね」

 

「できなかったですか?」

 

対処できなかったの発言でルークは言葉を繰り返した。

 

「〈DIN〉で得た情報では彼は今、天地に行ってますからね。そりゃ対処も出来ないのは当然ですね」

 

それを聞いてレイとルークも、それでは対処はできないと理解した。そもそもPKテロが起こってる時には国にいないのだから対処しようがない。

 

「戦争の参加もしてませんでしたからね」

 

その理由はレイも兄のシュウから聞いていた。アークが戦争に参加しない理由は「リアルでの用事」と聞いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ、アルター王国に戻るとするかな」

 

左手に〈エンブリオ〉の紋章を持っている1人の青年である〈マスター〉が自身の所属国の方を向きながら言った。

 

その青年の後ろには討伐されたUBM(ユニーク・ボス・モンスター)が1体、光の塵となり消えた。

 

【〈UBM〉【天罰神 アラストール】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【アーク】がMVPに選出されました】

【【アーク】にMVP特典【天罰輪 アラストール】を贈与します】

 

「中々、手強かったな」

 

「ふん!さっさとあれ(・・)を使っておれば楽に勝ててたものを使わずにしたからだ」

 

「手厳しいな。それよりレヴィとシュテルは何処に行ったんだ?」

 

「あやつなら街に買い食いに行っておるわ。シュテルはその付き添いだ」

 

そこには2人の男女の姿があった。その内の1人はレイ達が話題にしていた≪超級≫の1人である“永久機関”の二つ名を持つ〈マスター〉のアークであった。

 

 




天罰刀を天罰輪に武器からアクセサリーに変更しました。
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