アークがギデオンの街を歩いていたら、ある存在を見かけた。
アークはその
「何してんだシュウ?」
「おぉアークじゃないかクマー」
「クマ語尾やめろや」
「そんなことを言われても困るクマ」
アークは熊の着ぐるみを常日頃から着ているシュウ・スターリングに話し掛けた。シュウもアークに話しかけ互いに親しい雰囲気を出していた。
「そういえば、前に言ってた弟はこっちに来たのか?」
「来たクマよ」
「お前の弟だから、そいつもかなりのトラブルメーカーなんだろうな」
「否定したいけど、来た初日に緊急なクエストを一緒にやったから否定できないクマー」
それに対してアークはシュウに、それ見たことかと言うような視線でシュウを見る。
そして、アークは思い出したように懐から試験管に入っているアイテムを数本シュウに渡す。
「これは?」
「ちょっと試作で作ったもんだよ。効果は30分間STRを2倍にするやつと30分間AGIを+2000上げるやつだな」
シュウの疑問にアークはすぐに答えを言った。
「何でこれを俺に?」
「また【犯罪王】みたいな時の為の保険だよ」
シュウはクマ語尾を止めて真面目に話しを続ける。アークもそれに気付いて何のために用意したのかを言う。
「他にも作ったがお前の切り札と平行して使えるのは、それだけしか出来なかったからな」
「なるほどな」
「それにしても」
「何だ?」
シュウに渡す物を渡したアークはシュウに言いたいことを言う。
「熊の着ぐるみのままだと真面目な話をしてるのにしてない雰囲気になるよな」
「それは言わないでほしいクマ」
シュウの落ち込む雰囲気を感じてアークもそれ以上は言わないようだった。
「それよりも、これをあげるクマ」
「キャンディか?」
熊の着ぐるみのポケットからキャンディを5つほど渡すシュウにアークは受け取りながら聞く。
「そうだクマ。あの子達と一緒に食べるといいクマ」
「礼を言うよ。シュウ」
「気にするなクマ」
アークとシュウは互いに手を振りながらその場を離れる。シュウは大通りの方に歩いていたのを見てアークは、また子供達と戯れるんだなと思った。
「すみません!」
「ん?」
急に声をかけられたアークは、そちらに身体を向け声をかけてきた人物を見た。
「リリアーナじゃないか。どうかしたか?」
声をかけてきたのは近衛騎士団副団長のリリアーナ・グランドリアだった。アークは彼女が自身に聞きたいことが何かを知っていたが知らない振りをして聞く。
「実は人を捜していまして、貴方が見かけなかったのかを聞こうと思いまして」
「あの第二のヤンチャですか」
「……えぇ」
アークが言葉を濁しながら聞いた人物にリリアーナも疲れた表情で肯定した。
「それなら見てませんね」
「そうですか……では見かけたら役所の方に連絡をください」
「分かった」
「……あの娘は“超級殺し”が守るから安全だろうな」
「アーク!」
「レヴィどうした?」
アークの紋章から目の前に現れたレヴィにアークは落ち着いた対応で聞く。
「あそこの店が凄く美味しかったんだよ!今後はアークも連れていこうって思ってたんだ!」
レヴィが指を指した方向を見たアークは、その店がシュテルがレヴィと一緒に行き、その後の感想を教えられた店だと店名からアークは理解した。
「お待ちなさいレヴィ」
「ん?どうしたのシュテるん?」
レヴィがアークの手を引いて歩こうとしたら、またしてもアークの紋章から出てきた存在であるシュテルがレヴィを止める。
「私も一緒に行きます」
「いいよ♪」
「俺もだよシュテル。それとディアーチェとユーリは?」
「2人なら何やら先にすることがあるとの事で今回は参加しないようです」
「なら、後でお土産を買っておかないとな」
「うん♪」
「はい」
シュテルも一緒に行きたかったからしくレヴィは普通に了承し、アークも了承した。アークは紋章から出てこないユーリとディアーチェの事をシュテルに聞いて出てこない事を知り、後で2人にお土産を買うことを言った。
「ん?」
アーク達が店の近くを通ろうとした時に鳥の面を付けた指揮者がモンスターかエンブリオのガードナーと共に路上で演奏を奏でていた。
(彼は…)
「どうかしたのアーク?」
「いいや、何でもない」
「そうですか?」
シュテルとレヴィがアークの方を見ていて聞いたが、アークは何でもないと答え、そのまま3人で目的の店まで行った。
その店の料理を食べた3人は満足したように店を出る、ユーリやディアーチェの分のお土産も買ってある。
そして、ギデオンにおいてのビッグイベントの≪超級激突≫が開催される。
その裏で着々と行われる皇国によるギデオン襲撃も同時に進められていく。
これにより王国の運命が決まる。
──破滅か
──存続か
このどちらかの運命が────