-昭和維新の歌より
今日の東京からの報道によると、東京の防衛を担う日本国陸軍首都戦車師団が蜂起し、東京23区全域に展開しているようだ。また、このクーデターにより、佐藤栄作総理大臣は死亡し、
反乱軍は<第二の昭和維新>を目指しており、外国人特派員は自宅軟禁を強いられている。
そして、この24時間、東京で響くのは次のような音のみであった。
«サイレン、銃声▪▪▪ そしてすぐに・・・ 命令»
この事件は神奈川に駐留していた陸軍部隊が対処し、すぐに鎮圧されたが、この情報がアメリカ政府に伝わり、ペンタゴンはドイツの工作と断定。
アメリカ海軍大西洋艦隊が北大西洋に展開し、ドイツ海軍大西洋艦隊と対立。
大西洋危機が勃発した。
これを受け、ハイドリヒ総統はニクソン大統領との電話会談を実施。
緊迫した交渉の後、この危機は比較的アメリカに有利な形で終結した。
しかし、この危機はアメリカ合衆国と大ゲルマン帝国の対立をさらに深めるきっかけとなった。
ドイツ内戦の爪痕が深く残っているゲルマニア。
金髪の野獣は復旧のための資材を運んでくるヘリコプターが発着するヘリポートの近くで作業風景を眺めていた。
しかし、ヘリポートには予定にはないヘリコプターが着陸した。
ヘリコプターの乗組員はハイドリヒにナチス式敬礼をした。
「親衛隊全国指導者閣下より大ゲルマン帝国総統<ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ>へ。これが我々の計画であります。」
乗組員はハイドリヒにファイルを渡した。
ファイルの題名は<アーリア人の最終的勝利と向上のため>。
ハイドリヒはファイルを開いた。
ハイドリヒは一瞬吐き気がしたが、ファイルを読んだ。
<ユダヤ人の最終的解決とアーリア人の最終的勝利。そして、選別計画>
彼は顔を青くした。
しばらくして、ハイドリヒは自分のカバンにそのファイルをしまった。
『彼の計画は世界を滅ぼすことだ・・・』
ハイドリヒは戦慄した。
ハイドリヒを支援するブルグントとそれに対する返礼をする大ゲルマン帝国。
しかし、ハイドリヒは物事を単純に考えすぎていた。
ヒムラーは我々をも核の炎で焼き殺そうとしていたのだ。
そして、今までの支援と返礼の関係は恐ろしい計画を隠すための偽装であった。
しばらくして、彼は側近であるヘルベルト・オットー・ギレをフォルクスハレの総統執務室に呼んだ。
ギレが執務室に入ってきた時、ハイドリヒの顔は病人のように青かった。
「ギレ君か。君にいくらか質問がある。」
「はい。」
「お前の目にはヒムラーはどう写っている?」
「ヒムラー・・・ ブルグント騎士団総長でありますか?」
「そうだ。どう写っている? ここには私と君しかいない。正直に答えてもらってよろしい。」
ギレは少し躊躇いながらも話し始めた。
「私の目には・・・ 世界を滅ぼそうとしている悪魔のように見えます・・・」
「そうか。私も同感だ。」
ハイドリヒはファイルを取り出した。
「それはなんですか?」
「突然来たブルグントの使者から渡された資料だ。読んでみろ。」
「はい・・・」
ギレはファイルを受け取り、読み始めた。
ギレがファイルを読んでいる間、時間は緩慢に過ぎていき、時計の音が普段より大きく感じた。
やがて、ギレはファイルを閉じ、ハイドリヒに返した。
「これは・・・」
「そうだ。君のイメージ通りだよ。」