ボイスロイドを買ったのでさっそく犯す   作:お兄さマスター

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攻撃りたん 前半戦

 

 

 私たち三人を集めた兄さまが話し始めてから数分が経過して。

 

 四人全員が正座しながら向かい合う中で、兄さまは早くも涙目になってしまっていた。泣かないで。

 彼は話の中でとてもとても、それはもうとっても自分のことを悪く言いながら私たちに謝罪を繰り返し、事の顛末を語った。

 

「……だから勘違いだったんだ。俺はきりたんが思ってた様な正しいマスターじゃない」

 

 時刻は夜。

 街の喧騒から離れた住宅街にあるこの家に流れる空気は静寂のみだ。

 兄さまの震えた声が耳に響く。

 

「起動したその日にきりたんのセーフティを解除した。……元からオフだったわけだから結果的には勘違いだったが、そんなのは関係ない。俺は間違いなく……邪な感情の赴くままにセーフティを操作したんだよ」

 

 めっちゃ深刻そうな顔で語る兄さまとは対照的に、私たちボイスロイド側には幾分か余裕がある。

 少しだけ驚いたものの、取り乱すほどではない。

 

「俺はきみたちを性的な目で見ていたんだ……!」

 

 あ、はい。

 知ってます。

 

「いつだってそうだった。この生活を送るようになってからずっと……きみたちに欲情していた」

 

 欲情しておこなった行為が頭なでなでとほっぺ揉み。

 

「俺はボイスロイドが好きで……それは勿論性的な意味を多分に含んでる」

 

 そりゃまあ実家でボイロのえっちなハーレムのゲームやってましたものね。

 やっぱりアレみたいな感じのやつが好きなんだ。

 

「……すまなかった。言い訳はしない。俺は摘発された他のマスターたちと何も変わらない卑劣な男なんだ。もう動画を手伝ってくれ、だなんて驕ったことは言わないよ。……きみたちの好きにしてくれ」

 

 まるで断頭台にかけられた罪人みたいだ。

 彼は私たちにどんな酷いことをされようと文句を言えない立場だと、自分をそう思い込んでしまっているらしい。

 ……うーん。

 そっか。

 なるほど、なるほど。

 そう来ましたか。

 

「っ……」

 

 兄さまは俯いて黙ってしまったため、もう言いたいことはない様子。

 左右を見てずんねえさまと茜さんに意見を窺うも、表情からしてどうやら彼女たちは私に任せてくれるらしい。

 ありがとうございますお姉さま方。

 じゃあ早速やらせて頂きますね、私のやりたい形で。

 

「そうですか。失望しましたよ、兄さま」

「……っ!」

 

 また涙目になっちゃった。

 でも彼もこういった言葉を望んでいるんだから、もう少しプレゼント。

 

「本当に軽蔑します。信じてたのに。最初から私たちの敵だったんですね、このロリコン。そうやって申し訳なさそうな顔しといて、心の中では謝ればなんでも許されると思ってるんでしょ。甘いです。甘すぎて虫歯が出来ちゃうかと思いました。ばーか」

「ぅ、うぅ……」

 

 言い訳をしてこないあたり、本当に心の底から自分のことを断罪されるべき悪だと認識しているようだ。

 

 

 ……はぁ。

 ホントに困った人だな。

 これだと自分を責めるばかりで、これまでやってきたボイスロイドに対する善行の数々には目もくれない可能性が高い。

 きっと考えを纏めるために今日一日ずっと外で過ごしていたんだろうけど、本当にしっかり自分の行いを顧みたのだろうか。

 たぶん悪い印象しか残っていないのかもしれない。

 というかこの様子だと自分が私たちボイロに対して良いことをしたという認識すら全くしてない説が浮上してくる。

 

 ちゃんと改めないと。

 誤解をしているのはそちらのほうだ。

 

「──なんて言うと思いました? しっかりしてください、兄さま」

 

 言うと、兄さまが顔をあげた。

 呆然としたなんとも言えない表情だ。

 状況が飲み込めていないらしい。

 

「問題です」

「えっ」

「第一問いきますよ」

「ま、まっ!」

 

 焦って近くにあった鞄の中からノートとペンを用意する兄さま。

 ちょっと真面目すぎますが、まあいいでしょう。

 

「今日この日まで、私のセーフティが発動したことが一度でもありましたか?」

 

 その言葉を発した瞬間、彼の肩が跳ねた。

 メモを取ろうとしていた手がピタリと止まる。

 

「…………」

 

 固まったまま、兄さまは答えない。

 それは彼が問題の答えを知っているからに他ならない。

 コレで少しは自分というものが見えただろうか。

 

「第二問。兄さまはご自身を摘発された他のマスター達と変わらないって言いましたけど……あなた、一度でも私たちを物理的に虐げたことありますか? 全裸にさせたり、首輪をつけたり、野外で変なことをしたり……そんなことしましたか」

「…………っ」

 

 してないですよね。

 知ってますよ。

 だって今日までずっと一緒にいたんですから。

 

「いやっ、でも……」

 

 反論しようにも言葉が出てこないらしい。

 ふっふっふ、この場においてきりたんはレスバ最強なのです。

 生半可な気持ちで戦おうとしたら火傷しますからね。

 こっちは強気りたん。

 あっちは弱気りたんなのだから、精神的な優位など誰から見ても明らかだ。

 

「私たち兄さまが思ってるほど……兄さまのこと、嫌ってないんですよ?」

「……!」

 

 よーし、この調子で兄さまをわからせてやる。

 どんどんいくぞー!

 

 




中盤戦はきりたん、後半戦はマスター視点です
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