Nighthawk 作:憑き燈
「じゃ、$\{ a_n \}$が正項数列のときを考えよう」
「具体的には何をするんだ?」
「チェザロ平均っていうのは、要するに算術平均を考えている。相加平均ともいう」
「じゃあ、相乗平均を考えるとか?」
「惜しい!使うのは調和平均だ」
「調和平均?」
$H_n= \frac{n}{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+ \cdots +\frac{1}{a_n}}$
「こういうやつ。見たことない?」
「見たことないな」
「ちなみに、$n$個の数全てが正であるときのみ、(調和平均)$\leqq$(相乗平均)$\leqq$(相加平均)という不等式が成立する。これをAM-GM-HM不等式*1と呼称する」
「その不等式を使う...とみた」
「正解。$\{ a_n \}$が正の無限大に発散するとき、$\{ \frac{1}{a_n} \}$は$0$に収束するね。じゃあこのとき、逆数をとった方の数列に対してチェザロ平均を考えると、その極限は$0$に収束するはずだ」
$\displaystyle \lim_{n \to \infty } \frac{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+ \cdots +\frac{1}{a_n}}{n} = 0$
「相加平均が$0$に収束して、すべての項が正だから、調和平均の極限も$0$か」
$\displaystyle \lim_{n \to \infty } \frac{n}{a_1+a_2+ \cdots +a_n} = 0$
「はさみうちの定理ね。ここで調和平均の逆数を考えると...」
$\displaystyle \lim_{n \to \infty } \frac{a_1+a_2+ \cdots +a_n}{n} = \infty $
「これで元の数列のチェザロ平均も正の無限大に発散することがわかったね」
「なるほどな...」
「ちなみにだけど、普通のチェザロ平均のときと同じように、相乗平均版チェザロ平均と、調和平均版チェザロ平均にも同じような性質がある。元の数列が有限な値に収束するなら、同じ値に収束してくれるんだ」
「調和平均の方の証明は行けそうだな...」
「$0$に収束する場合だけはさっきの不等式で証明して、そうじゃないときは普通に逆数とったりして示せるよ」
「相乗平均はどうだ?」
「これも$0$に収束する場合は例外として、不等式で処理する。それ以外の場合は対数をとればいい」
「そうか、対数をとれば積を和に分解できるから、それで算術平均として扱えるのか?」
「あとは$\frac{1}{n}$乗が$\frac{1}{n}$になるからね」
「確かに...」