Nighthawk 作:憑き燈
「そろそろ1週間経つけど、解けた?」
「図形は解けた」
「その言い方だと、関数の方は解けてないみたいだね」
「1つ解くだけで、こんなに苦労するのか...」
「じゃあ図形の方の解答を見せてよ」
問題:三角形の重心、垂心、外心が一直線上にあることを示せ
三角形$ABC$の重心を$G$、垂心を$H$、外心を$O$とする
このとき
$\overrightarrow{OA}=\vec{a},\overrightarrow{OB}=\vec{b},\overrightarrow{OC}=\vec{c},\overrightarrow{OG}=\vec{g}$として
$\vec{g}= \frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$
$3\vec{g}=\overrightarrow{OJ}$を満たす点$J$をとると
$\overrightarrow{AJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OA}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{a} = \vec{b}+\vec{c} $
$\overrightarrow{BJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OB}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{b} = \vec{c}+\vec{a} $
$\overrightarrow{CJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OC}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{c} = \vec{a}+\vec{b} $
また、外心と三角形の各頂点との距離は一定だから
$|\overrightarrow{OA}|=|\overrightarrow{OB}|=|\overrightarrow{OC}|$
すなわち
$|\vec{a}|=|\vec{b}|=|\vec{c}|$
よって
$\overrightarrow{AJ} \cdot \overrightarrow{CB} = (\vec{b}+\vec{c}) \cdot (\vec{b}-\vec{c}) = |\vec{b}|^2 - |\vec{c}|^2 = 0$
同様にして
$\overrightarrow{BJ} \cdot \overrightarrow{AC} =0$
$\overrightarrow{CJ} \cdot \overrightarrow{BA} =0$
以上より、$AJ \perp CB$ , $BJ \perp AC$ , $CJ \perp BA$ が成り立つから、Jは垂心Hと一致する
$3\vec{g}=\overrightarrow{OH}$だから、$O,G,H$の3点は一直線上にある
「うん。よくできてるね」
「1週間丸々費やしたがな」
「ちなみにこの3点を含む直線、オイラー線っていう名前が付いてるんだ」
「ということはこれ、お前の自作じゃなくて有名問題か?」
「今回の3問は全部そうだよ。あぁ、そうそう。三角形には重心と垂心を通るキーペルト双曲線っていうのがあるんだけど、このオイラー線の存在から外心はキーペルト双曲線上にはないということがわかるね」
「双曲線と直線の交点は最大で2個までだからな」
「キーペルト双曲線については、またそのうち解説するよ。じゃあ次の問題にいこうか」
問題:次の条件を満たす関数$f(x)$を1つ見つけよ
・定義域は$a \lt x \lt b$ , ただし$a,b$は実数
・値域は実数全体
・$f(t)=f(s)$ならば$t=s$
・すべての実数$y$に対して1つ目の条件を満たすような$x$が存在して$y=f(x)$と表せる
「正直見つけるだけなら簡単だと思ったんだけどな」
「君はもう集合と写像の勉強をしているから、問題をそっちの言葉に変えた方がやりやすいよね」
問題:全単射写像$f:(a,b) \rightarrow \mathbb{R}$を1つ見つけよ
「随分とスッキリしたな」
「一応、一般的な高校生用に色々配慮して問題文を変えてたからね。この問題で重要な発想は、合成写像と逆写像だよ」
「なんとなくやりたいことが見えてきた気がするな」
「まず、$f$を2つの全単射写像$g,h$の合成として探すことを考える」
$g:(0,1) \rightarrow \mathbb{R}$
$h:(a,b) \rightarrow (0,1)$
$f=g \circ h$
「$h$から考えよう。一番簡単なのは$(0,1)$から$(a,b)$へという逆向きの全単射を探してあげることだ」
「そうすれば、逆写像が必ず存在して、それが$h$になるってことか」
$h^{-1}(x)=a(1-x)+bx $
$h(x)= \frac{x-a}{b-a}$
「次に$g$なんだけど、これも逆側から探した方が早いかもね」
「実数全体から開区間$(0,1)$に落とし込むような写像...」
「ここが少し難しいんだけど、正の無限大で1になって、負の無限大で0になるようなものを考えると」
$g^{-1}(x)= \frac{1}{1+e^{-x}}$
$g(x)= \ln (\frac{x}{1-x})$
「おいおい。なんかいきなり難易度上がってないか?」
「まぁ他にも種類はあるんだけど、個人的に好きなのはこれなんだよね」
$f(x)=g(h(x))= \ln (\frac{x-a}{b-x})$
「見つかってみれば、なんてことない感じがするな...」
「$\tan x$を使った作り方もあるよ」
実際に全単射であることの確認は各自でやってみよう!