Nighthawk   作:憑き燈

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9は1を引いて立方数になる唯一の平方数(カタラン予想)。


第9話:挑戦状の解答(オイラー線,全単射)

「そろそろ1週間経つけど、解けた?」

 

「図形は解けた」

 

「その言い方だと、関数の方は解けてないみたいだね」

 

「1つ解くだけで、こんなに苦労するのか...」

 

「じゃあ図形の方の解答を見せてよ」

 

 

 

問題:三角形の重心、垂心、外心が一直線上にあることを示せ

 

三角形$ABC$の重心を$G$、垂心を$H$、外心を$O$とする

 

このとき

$\overrightarrow{OA}=\vec{a},\overrightarrow{OB}=\vec{b},\overrightarrow{OC}=\vec{c},\overrightarrow{OG}=\vec{g}$として

$\vec{g}= \frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$

 

$3\vec{g}=\overrightarrow{OJ}$を満たす点$J$をとると

$\overrightarrow{AJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OA}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{a} = \vec{b}+\vec{c} $

$\overrightarrow{BJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OB}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{b} = \vec{c}+\vec{a} $

$\overrightarrow{CJ}= \overrightarrow{OJ} - \overrightarrow{OC}= \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}-\vec{c} = \vec{a}+\vec{b} $

 

また、外心と三角形の各頂点との距離は一定だから

$|\overrightarrow{OA}|=|\overrightarrow{OB}|=|\overrightarrow{OC}|$

すなわち

$|\vec{a}|=|\vec{b}|=|\vec{c}|$

 

よって

$\overrightarrow{AJ} \cdot \overrightarrow{CB} = (\vec{b}+\vec{c}) \cdot (\vec{b}-\vec{c}) = |\vec{b}|^2 - |\vec{c}|^2 = 0$

同様にして

$\overrightarrow{BJ} \cdot \overrightarrow{AC} =0$

$\overrightarrow{CJ} \cdot \overrightarrow{BA} =0$

 

以上より、$AJ \perp CB$ , $BJ \perp AC$ , $CJ \perp BA$ が成り立つから、Jは垂心Hと一致する

 

$3\vec{g}=\overrightarrow{OH}$だから、$O,G,H$の3点は一直線上にある

 

 

 

「うん。よくできてるね」

 

「1週間丸々費やしたがな」

 

「ちなみにこの3点を含む直線、オイラー線っていう名前が付いてるんだ」

 

「ということはこれ、お前の自作じゃなくて有名問題か?」

 

「今回の3問は全部そうだよ。あぁ、そうそう。三角形には重心と垂心を通るキーペルト双曲線っていうのがあるんだけど、このオイラー線の存在から外心はキーペルト双曲線上にはないということがわかるね」

 

「双曲線と直線の交点は最大で2個までだからな」

 

「キーペルト双曲線については、またそのうち解説するよ。じゃあ次の問題にいこうか」

 

 

 

問題:次の条件を満たす関数$f(x)$を1つ見つけよ

・定義域は$a \lt x \lt b$ , ただし$a,b$は実数

・値域は実数全体

・$f(t)=f(s)$ならば$t=s$

・すべての実数$y$に対して1つ目の条件を満たすような$x$が存在して$y=f(x)$と表せる

 

「正直見つけるだけなら簡単だと思ったんだけどな」

 

「君はもう集合と写像の勉強をしているから、問題をそっちの言葉に変えた方がやりやすいよね」

 

問題:全単射写像$f:(a,b) \rightarrow \mathbb{R}$を1つ見つけよ

 

「随分とスッキリしたな」

 

「一応、一般的な高校生用に色々配慮して問題文を変えてたからね。この問題で重要な発想は、合成写像と逆写像だよ」

 

「なんとなくやりたいことが見えてきた気がするな」

 

「まず、$f$を2つの全単射写像$g,h$の合成として探すことを考える」

 

$g:(0,1) \rightarrow \mathbb{R}$

$h:(a,b) \rightarrow (0,1)$

$f=g \circ h$

 

「$h$から考えよう。一番簡単なのは$(0,1)$から$(a,b)$へという逆向きの全単射を探してあげることだ」

 

「そうすれば、逆写像が必ず存在して、それが$h$になるってことか」

 

$h^{-1}(x)=a(1-x)+bx $

$h(x)= \frac{x-a}{b-a}$

 

「次に$g$なんだけど、これも逆側から探した方が早いかもね」

 

「実数全体から開区間$(0,1)$に落とし込むような写像...」

 

「ここが少し難しいんだけど、正の無限大で1になって、負の無限大で0になるようなものを考えると」

 

$g^{-1}(x)= \frac{1}{1+e^{-x}}$

$g(x)= \ln (\frac{x}{1-x})$

 

「おいおい。なんかいきなり難易度上がってないか?」

 

「まぁ他にも種類はあるんだけど、個人的に好きなのはこれなんだよね」

 

$f(x)=g(h(x))= \ln (\frac{x-a}{b-x})$

 

「見つかってみれば、なんてことない感じがするな...」

 

「$\tan x$を使った作り方もあるよ」

 

実際に全単射であることの確認は各自でやってみよう!

 

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