ゆるホロの日常。   作:窓風

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白と黒

 

 

 

 

 

 

 

 

全身を覆う白いローブ。

 

ローブの下から覗くスーツは白。

 

背負う槍すらも白く輝く。

 

『ホワイト』という名がピッタリハマる彼は、立ち塞がる相手を突き刺し、貫き、屠ってきた。

 

しかし、彼は満足していない。

 

その強さゆえに。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「とんでもねぇな………。」

 

次の対戦相手が決まる4回戦を観ていたが、ホワイトという選手、ヤバすぎる。

 

予選では1分足らずで3タテ、決勝4回戦も3分足らずで勝利を納めた。実際に試合を観たのは今回が初めてだが、一撃の速さが段違いだった。

 

対戦相手も速さに途中からついていけなくなり、最後はガラ空きの腹を貫かれてHPを全損させた。比べてホワイトのHPはまだ8割以上残っている。

 

あんな強い人は去年はいなかったはずだ。そしたら1年生か………?

 

ホワイトの正体を考えるがわからない。この学校の生徒なのは間違いないんだが。

 

なんて考えていると、鞄からチャットの着信音が聞こえる。中から携帯を取り出すと、フブキから連絡が来ていた。

 

____________________________________

       フブキ(⌒▽⌒)

 

<お疲れ様!試合すごかったよ!

 

          おう、ありがとな。>

 

<腕は大丈夫なの?

 

     なんともない。たまに右手が

     あるのかわかんなくなるけど。>

 

<ホントに大丈夫なの?!

 

        冗談だ。で、今度は何に

         着替えりゃいいんだ?>

 

<おろ?着せ替え人形の自覚がおありで?

 

        うっせ。そんで要望は?>

 

____________________________________

 

と会話が進んだところで、とあるアニメキャラの画像が飛んでくる。それを見て思わず通話をかける。

 

『あ、お疲れ様ー。』

「いやお前かい!」

 

フブキの携帯のはずなのだが、通話に出たのはまつりだった。いやそれはとりあえずいい。よくないが。

 

「それよりお前、送ってきた画像これ!」

『え?でも男なんでしょ?』

「そうだけども!」

『あ、そろそろ切るね!じゃあねー!』

「あっおい!」

 

逃げられてしまった。通話画面を切って送られてきた画像をもう一度見る。

 

画像には、ストーリー上で意図せず女装(厳密には髪が伸びて顔も少し白くなって一見女性に見える男だが。)するハメになったある男主人公が写っていた。

 

「くっそ、言いなりになってたまるかよ!」

 

このままではそのうち本当に女装させられかねん。試合が始まるあと5分以内に、あいつらをアッと言わせる服装(スキン)にしてやる!

 

俺の疲れを考慮して時間を少し遅らせてくれた先生には感謝だ。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「いひひっ♪」

「まつりちゃんどしたの?」

「フブキの携帯から杏にチャット送ったら電話きてすごい慌ててた。」

「えっ、ちょ!さっきから見当たらないと思ったら!」

 

携帯を奪い取り照れる彼女。あぁ可愛い。

 

「愛川君に変なこと言ってないよね?!」

「愛の告白変わりにしといたよ。」

「ちょーーーー!?!?!?!」

 

耳まで真っ赤にして急いでチャットを遡る。すぐに嘘だとわかると、半分涙目でポカポカ叩いてくる。あぁ可愛いよフブキ!

 

視界の端でニヤつく(変態)は無視無視。あ、鼻血噴いた。

 

「まあまあ。次は杏の女装?が見られるしいいでしょ?」

「「「「「「女装?!」」」」」」

「食いつきすごっ」

 

まさか全員反応するとは。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

あまり気乗りしないが、服装(スキン)は決まった。あくまで見た目だけだから特にやましいことなんてない。そう、見た目だけなんだ。

 

いや、やっぱちょっと落ち着かん。主に周囲の視線が。

 

ただ画像のままに服装(スキン)を変えてもまつりの操り人形に変わりない。だったらそこから色々加えてやればいいやん、ってなった。そしたらなんかすごいことになった。

 

髪は真っ黒なロングヘアをストレートではなくポニーテールに。半袖短パンの黒のへそ出しインナーにベージュのノースリーブベスト、ホットパンツ。そんで黒縁メガネと一部の層に人気がありそうな服装(スキン)になってしまった。どうしてこうなった。

 

観客席を見ると、若干鼻の下が伸びてる野郎共がなんか増えていやがる。中身が俺って知ったらどうすんだよ。気絶か?卒倒か?なんにせよ悪寒が走るわ。

 

「…………………。」

 

そんで対戦相手のホワイトも特にコメントしない。何かしら反応してくれてもいいだろ。

 

ホワイトは変わらずフードを深く被り、顔は口元しか認識できない。ホントに何者なんだ?かろうじてわかるのは、頭の両端にフードが盛り上がってる部分から獣人か魔人のどちらかってところだ。そんだけしかわからん。

 

(とりあえず試合に集中だ。)

 

しゃ!!と声を張り上げて愛刀『疾天(しってん)隼丸(はやぶさまる)』を抜刀し中段で構える。それを見てホワイトも背中の白槍を両手で構える。

 

数秒後、試合開始のブザーが鳴る。それと同時に鋭い一突きが迫る。左肩が掠ったがなんとか軌道を逸らせた。お返しに左下からの斬り上げを放つが、身体を捻って回避されて一旦距離をとる。

 

(いざ相対するとまた違うな……速さもだが、重い!!)

 

しっかり踏ん張っていなかったら左肩に穴が空いてただろう。それほどに一撃に重さがあった。速いかつ重い。厄介だ。

 

「はあっ!!」

「ふっ!!」

 

『刹那』で喉元を狙うが同じ『刹那』で軌道を逸らされる。負けじと押し込んだおかげか、ホワイトの首筋をほんの少し掠らせることができた。いやでもその程度か。厳しいな。

 

「如月」

「っ?!」

 

ボソリと呟くと、白槍は冷気を纏い左下から襲いかかってくる。『如月』は冷気を纏いながら右下から斬り上げそのまま一回転して右上からの袈裟斬り、切り返して来た道を戻るように左下から斬り上げ、一回転からの左上からの袈裟斬り、最後に描いた軌跡の中心部分を刺突で仕留める氷属性の5連撃技。使えるのは刀だけかと思ってたが槍でも使えるそうだ。

 

刀を引き戻し距離をとって初撃を躱す。迫る2撃目は刀で受け流し、3撃目の斬り上げは胴体を少し斬られたがなんとか回避、4撃目は2撃目と同じく受け流す。5撃目は受け流しても身体のどこかを貫かれる。できるだけ被弾は避けたい。

 

「ほう!!!」

「っつー……ギリギリか。」

 

選んだ方法は、左手で迫る白槍の先端を掴むという荒技。左の手の平は赤いエフェクトがかかり、鳩尾には白槍がほんの少し刺さっていた。流石の速さに微妙に間に合わなかったが、致命傷は避けただろう。

 

というか、ホワイトの声。どこかで聞いた気がする。

 

槍を掴んだまま引き寄せ肘鉄を入れるも左手に受け止められ、槍を離し腹を蹴って再度距離をとる。

 

学校での交友関係は狭いほうではないが、生徒数が多いためにほとんど話したことがない人も割といる。それでも聞いたことのあるこのスラスラと通る爽やかな声は……。

 

「何してんですか?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

まさかのポニテ&へそ出しのスポーティスタイルで来るとは思っていなかったため、何度も目を擦るなり頬をつねるなりして目の前の光景を何度も確認する。ノエルさんとフブキに関しては鼻血出とるし。いや、でも、アレもアリだな…………。

 

「……愛川君ってああいう趣味あったの?」

「……いや、少なくとも俺は初耳。」

「あ"ーーーー!!!!黒髪ポニテのメガネぇぇぇぇぇ!!!」

「…………フブキ先輩は一体どうしたんですか?」

「壊れちゃった。」

「いやどういうこと!?」

 

携帯でパシャパシャ写真を撮りまくるフブキを訝しげに見つめる天音先輩が、背後から登場。はて、生徒会の仕事はどうしたのだろうか。

 

「あれ、かなたちゃん。生徒会の仕事は?」

「あ、それはとりあえず大丈夫なんです。それより、白海君(バカ)見てませんか?」

「ルビが……」

「生徒会長?てっきりどこかで仕事してるもんだと思ってたけど。」

「いやそれがですね。朝のミーティング後から全っっっっっ然見当たらなくて。生徒会ほっといてどこで油売ってるんだか。」

 

なんと生徒会長の白海先輩が行方知れずだという。前からちょっと自由人だなーとは思ってたが、いくらなんでも自由奔放すぎんか?

 

「えっちょっとあの美人誰!?」

「愛川君です。」

「うぇえ?!」

 

天音先輩は試合場の杏のアバターを見て同じ反応をしてなんとも言えない顔をしている。

 

と、その時杏がホワイトから距離を取り、何か会話するとホワイトは自身が纏うローブに手をかけ、バサッと脱ぎ捨てた。

 

ローブに隠されていた姿は、学校の制服を真っ白にしたものに、同色のサラサラな髪の毛。そして頭にある種族特有の2本の角。

 

天音先輩の探し人が、本来いるはずのない場所に立っていた。

 

 

 

 




まぁ読んでりゃなんとなくわかるよね?
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