いつの間にか深海育ちになってました   作:Gonpati

13 / 14
13話、不安

 

 

「遅いデスヨー武蔵!。」

 

「遅れてしまったな、すまない。 お詫びにカステラでもどうだ?。 なに、一つぐらい食べても大丈夫さ。」

 

 

「いやあかんて。 それ親方達へのお土産やろ?。 知れたら妖精達がまたデモ起こすで。」

 

 

「カステラ・・・じゅるり。」

 

「秋月、今は抑えよ?、な?。」

 

「ふむ、要らないのか?。 なら私g」

 

 

「なにしれっと食うとんねんそう言う話ちゃうわ!。 てか自分背高いんやからうちにツッコますな疲れる!。」

 

 

 

普段以上にくだらない会話。

 

 

それは全員が場の空気を気にして、少しでも気分を上げようとしていたからだ。

 

 

その理由は、

彼女達は今から親方の神社へと向かおうとしていた。

 

 

目的は当然ハルカの事。

 

砂浜での件から3日が経ち今もまだハルカは目を覚まさない。

 

 

なので現況と親方が知るハルカについての情報を教えて貰うためにこうして集まったのだ。

 

 

しかし後1人だけ来ていない艦娘がいた、

それは、

 

 

「・・・、大和さんは来ないのですか?。」

 

 

 

「本当、行きたいって言ったのは大和なのにその本人だけが来ないなんてどう言う事デスカ。」

 

「本当にすまない。 やはり最初の私の様に動揺しているみたいなんだ。 まだ直接会うには時間が掛かるだろう。」

 

 

 

「まあこれから何時でも会える様になるんだし良いじゃないか。」

 

 

「はぁ〜、まあええは。 ほな行こか。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「おーい夕張はいるか〜?」

 

 

その言葉と同時に、妖精達で溢れる工房の扉が勢いよく開かれた。

 

 

「親方お疲れ!、何か用?」

 

 

工房の一角で1人の艦娘が煤まみれになりながら工具を片手に歪な艤装をいじっていた。

 

 

彼女の名は夕張、

 

親方の神社に艤装いじりの為だけに通う横須賀の少し変わった艦娘。

 

そんな彼女は現在、ハルカの艤装を解析、修理している。

 

 

「おうおうお疲れ。 それでどうだ?。 この艤装の装備が()()した理由は分かったか?。」

 

「いいや全然。 そもそも本当に進化なんてしたんですか?。 もしかして親方や妖精達の勘違いだったり?。」

 

「いやいやそれはねえよ。  まあ正直そうであった方が話は丸く収まるんだがな。 しかしこの通りちゃんと記録にも残ってある。」

 

 

そう言って親方は夕張にハルカの艤装についての写真付きの資料を見せた。

 

確かにそこには、今夕張が触っていた艤装とは全く違う形状をしていた。

 

 

「うーーーん、分かりませんねこれ!。」

 

 

「だよな・・・、仕方ない。 本人に直接聞いてみるか。」

 

 

「そうした方が良いですよ。 しかして親方、その彼はまだ?。」

 

 

「そうだよまだ目を覚まさねえ。 息はあるが脈なさすぎる。 まるで動物が冬眠してるみたいだ。」

 

 

 

あれから数日、

 

ハルカは目を覚ましていない。

 

一応人間らしいので何か栄養を摂らせようと試みたが、

体の造りが分からないので下手に手が出せなかった。

 

 

唯一艤装だけが自然と剥がれ落ちた為それを頼りに分析しているのが現状。

 

 

「まああいつの事は俺達妖精に任せろ。 お前は引き継ぎその艤装を頼む。」

 

 

「任されよ!。 ついでに彼に合うよう最適化もしておくから!。」

 

 

「ははっ、ちゃんとハルカが使えるようにしとけよ?」

 

 

 

 

 

 

 

(そう言えば結局あの左腕は取れなかったな。 つまりあれはハルカ自身の腕が変質した物なのか?。 しかしあれはどう見ても奴等の腕のはず...まあいいか。)

 

 

工房を出た親方はふと一つの疑問を抱いた。

 

 

しかし今はさほど問題は無いだろうと判断し、

それを自身の心の奥底へと仕舞い込んだ。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「相変わらず変わんないなここは。 もう少し警戒した方がいいんじゃ無い?。」

 

 

 

横須賀鎮守府が所有する砂浜。

 

そこに一体の深海棲艦が上陸した。

 

 

両手には大きな風呂敷で包んだ何かを持ち。

腹から出る2本の頭にも何やら瓶をそれぞれ咥えさせていた。

 

 

 

「鎮守府に行くのはまずいだろうから取り敢えず親方の所に行けば良いかな?。 ハルカの場所もこの荷物を置いてから考えますか。」

 

 

そう言って彼女は慣れた足並みで神社がある森へと消えていく。

 

まるで幾度もこの道を通った事があるかの様に。

 

 

「もう少し待っててねハルカ。 お姉ちゃんが何とかしてあげるから。」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。