「ホウホウ、タシカニコレジャアホンライノウゴキハデキマセンネ。」
「イタルトコロガサビマワッテマスナ。」
「コノキジュウナンカ、アワナイタマガソウテンサレタセイデナカデツマッテル。」
「ミレバミルホド、イママデウゴイテタノガフシギ。」
「おめぇ自分の艤装ならちょっとは手入れしやがれ!。日頃から何やってたんだ⁉︎。」
「いや〜〜どう弄れば良いか分からないし、下手すれば余計に壊しかねないと思って触らなかったんですよ〜。 まあ他にも戦い方はあったから別に砲が使えなくても問題ないし。」
「問題大有りだ‼︎、こいつの修理は俺達でもかなり時間が掛かるぞ。」
俺は親方や妖精達に、自分の艤装と持ち物を修理して貰っていた。
自慢じゃないが、俺が今まで一度も手入れした事が無い所為でかなり作業が難航しているようだ。
「ハルカサン、チョットコレヲ・・・」
声のする方を見ると、10人ぐらいの妖精が何やら申し訳なさそうな顔をして集まっていた。
「どうした?、もしかしてかなり不味い損傷とかあった!?。」
「チガウンデス。 アナタガキテイタ《ローブ》、コレハワタシタチデハアツカエマセン。」
「オーラガツヨスギテナカマガナンニンカキヲウシナッテシマッタ。」
「ナノデコレハカエシマス。」
「マジで⁉︎、ごめんそれは悪かった‼︎。」
俺は妖精達が持ってきたローブを急いで手に取った。
するとローブを持ってきてくれた妖精が次々と倒れ、他の妖精達に猛スピードで運ばれていったのだ。
(これただの服だよな?。何かヤバい物でも発してるのか?)
「ハルカよ。 お前さんのその服から僅かに女王の気配がするな。 そりゃそんな物を妖精が触れたりしたら体調崩すに決まってる。」
「女王?、女王って何だ?。」
「この海には深海棲艦って言う怪物がいてな、その頂点に君臨してるのが女王と呼ばれる連中だ。 お前さんが来たって言ってた黒い海、そこで居座ってる奴等さ。
そいつ等は一般的な深海棲艦とは別格の強さを誇ってる。お前さん心当たりがあるんじゃないか?。」
「うん・・・・・物凄く心当たりある。」
ぜっっっっったい《あいつら》の事だ‼︎。
そりゃ頂点に君臨してる筈だ、あのバカみたいな強さと性格の悪さ。
俺の事を遊びと称して殺しに来る毎日。
まああの日々があったから、俺はそれなりの強さを身につけ黒い海でも生きていけた訳だが。
「この服はお前さんがずっと持っとけ。 絶対に他人に見せんじゃねえぞ。」
「おう、気をつけるよ。」
俺は手に持っていたローブを懐のポケットにしまった。
まさか姐さんから貰った服がそんなヤバい物だったとわ。 これから彼女達から何か貰うときは注意しよう。
よくよく考えてみると、あのローブを着ると見知った者を除いて、そこそこ強い奴等が寄り付かなくなったしもしかしてそう言うこと?。
ならローブと一緒に渡したあの笛も、妖精に渡してはならないかなり不味い物なのでは?
そう俺が1人真剣に考え事をしていると、
事件は突然起こったのだった。
《ピーーーーーーーーーーー》
甲高い笛の音が、俺達の居る工房に響き渡った。
俺と親方は笛の音が聞こえた方に顔を向けた。
するとそこには2、3人の妖精が、笛を吹いて遊んでいたのだ。
「お前ら何やってんだ?。」
「コレハハルカサンガモッテイタフエデス。」
「コウキシンデフイテシマッタ。」
「オヤカタモフキマスカ?。」
「いや俺は遠慮しとくよ。 ・・・・・ってハルカどうした?。 冷や汗凄いぞ?。」
親方に指摘された通り俺は、笛の音がしてからもの凄い量の冷や汗をかいていた。
今の笛によってこれからどんな展開になるのか予想がついたからだ。
下手をすれば死者が出る。
何せ彼女達は加減と言うものを知らないから。
「・・・・今吹いた笛、呼び笛なんだ。」
「・・・・・何を呼ぶ笛なんだ?。」
「もしも俺に何かあった時、一番近い誰かに助けを呼ぶ為の。」
「・・・・誰が来るんだ?。」
「・・・・親方がさっき言ってた女王の誰か。」
俺がそう告げた瞬間、暫くの間工房が静寂に包まれた。
「今すぐ霧山の娘に連絡しろ!!!!。 全員戦闘態勢!!!!、急いで偵察機上げろ!!!!。」
親方の号令を皮切りに、親方含め妖精達が大慌てで動き出し、それを聞きつけた瑞鶴と翔鶴が勢いよく扉を開けやって来た。
「親方さん!、今のは⁉︎。」
「何かありましたか⁉︎」
「2人とも急いで艤装に着替えて来い‼︎。 緊急事態だ早くしろ‼︎。」
そう親方に言われた2人はすぐさま引き返し、また大急ぎで何処かへと行ってしまった。
「ハルカ、その女王がどれぐらいでここへ来るか分かるか?。 少しでもいい、何か情報が欲しい。」
「ごめん何も分からない。 でも来るのは俺の信頼してる奴等だと思う、だから俺が会って話せば事情を分かってくれる筈だ。」
だってそうだろ。 いつも俺を殺そうとしてた飛行場姫やレ級とかが、俺を助けに駆けつけるなんてありえない話だ。 もし来た場合は俺が命掛けで戦らないとこの場にいる全員が危ない。
(頼む頼む頼む頼む‼︎、来るなら姐さん!。てか姐さん以外来るな‼︎。)
ハルカは心の中で、彼女達の中で1番話が通じる人が来てくれるよう必死に祈った。
他の者達は少々性格と行動に問題があるため来たら来たで更に面倒な事になると分かっていたからだ。
「ところで親方さん、俺の艤装はもう使える?」
「ああ、主砲の弾詰まりだけは直せたが後はダメだ。 それにその主砲も一回しか使えん。 今それに合う弾薬が徹甲弾2発分しかここには無いからな。」
「十分‼︎。 使えるだけありがたい!。」
そう言って俺は艤装を身につけた。
身につけた瞬間俺は心底驚いた。 外す時は少し時間が掛かったが、今はすんなり着ることができ今までに無いくらいスムーズに動かせられたのだ。
(これが妖精の力⁉︎。 今度から手入れとかは親方達に任せよう。)
俺は良い友を見つける事が出来たようだ。
彼等(妖精)に出会った事はこっちに来て最大の収穫だろう。
断じて面倒な手入れをしてくれる奴を見つけれたとかそんなんじゃないからな?
そこんとこ勘違いするなよ⁉︎。
艤装を再び手にした俺は海へ向かう事にした。
この場所を案内された時に、ここら辺の事を教えて貰ったのでもう迷う事はない。
俺は石段を駆け降りた所で後ろから追って来た親方に呼び止められ、何かを投げ渡された。
「これを食っていけハルカ!。 お前さんの体を調べたが、さっき歩き疲れたか、或いは元からだったのか分からないが、お前さんは今動く為のエネルギーが足りてねえ。 それは本来艦娘が食べる用の特殊な食物だ。 食えば一時的だが万全の状態で動けるようになる筈だ!。」
ハルカは渡された食べ物をまじまじと見つめた。
それもそのはず、ハルカは今まで謎の生肉や魚などしか食べた事が無かった。 なので今渡された握り拳代の大きさの黒い何かで巻かれた白い塊が何なのか理解できなかった。
「・・・・・食べ物ね、まあ親方がくれた物だから大丈夫か。 ありがとう、貰って行くよ!。」
そう言ってハルカは再び海を目指して駆け出した。
森の木々を交わしながら、親方がくれた食べ物を食しながら。
ーーーーーーーーーーーーー
とある港町から少し離れた沿岸、
既に戦いは始まっていた。
「何でこんな所にこいつがいるの⁉︎。」
「知らねえよ‼︎。 今は口より体動かせ‼︎。」
「天龍伏せろ‼︎。」
「おう⁉︎。」
深海棲艦の豪腕が天龍と長門の頭上を掠め、
腕を振った事で起きた風圧だけで周りにいた艦娘達を吹き飛ばした。
「急いで離れるぞ‼︎。 加賀‼︎、足止め頼む‼︎。」
「了解。」
加賀は一言返事をすると、真上に向けて矢を放った。
放った2本の矢は上空で10機の艦上爆撃機へと姿を変え、すぐさま深海棲艦に急降下を開始。
爆弾が
「悪い長門さん、油断しちまった。」
「気にするな、お前が無事で良かった。 しかしあの深海棲艦、間違いなく戦艦棲姫の・・・。」
「あのデカさに艤装だけの単独行動。まさか女王の⁉︎」
「ああ、間違いない。 何故ここに現れたのかは謎だが間違いなく私達への敵意はあるな。」
先程の攻撃、
長門が天龍を押し倒さなければ、今の一撃で天龍は確実に命を落としていた。
女王の1人である戦艦棲姫。
彼女は人類側と友好条約を結んだ、良好な関係を持つ数少ない勢力の一員だった。
そんな彼女が突然艦娘に攻撃を仕掛けてくる事に長門は大きな疑問を抱いていた。
「長門さんこれからどうするの!?、ただでさえ避けるだけでも精一杯なのに、このままじゃやられるのも時間の問題だよ‼︎。」
「流石の夕立もきついっぽい!。」
川内と夕立、そして加賀の艦載機が敵の攻撃を交わしつつ動き回り、提督が呼んだ増援が来る時間を必死に稼いでいた。
戦艦棲姫達と結んだ友好条約があるため、お互い戦闘行為は例外を除いて硬く禁じられている。
その為長門達は艤装に攻撃出来なかったのだ。
(しかし、本当に何が目的なんだ?。 奴(艤装)程の強さなら私達を倒す事など簡単な筈。 あえて砲も使わず腕のみの攻撃、遊んでいるのか?。)
長門がそう考え事をしていると、突然陸地の方角から砲撃音が聞こえ、砲弾が艤装の顔面に直撃し巨大な爆発を引き起こした。
「さっきはよくもやってくれたわね・・・これはそのお返しよ。」
「バカ!、山城何やってんの⁉︎。 あなたはもう動いちゃダメ!。」
「提督、私はやられたままじゃ気が済まないのよ。」
「そんな意地今は捨てなさい!。」
長門達が慌てて声のする方を見ると、
そこには頭から血を流し今にも倒れそうな山城が主砲全門から砲煙を微かに上げ、提督が必死に山城を引っ張り引き止めようとしていた。
今の砲撃は、艤装が現れた時に殴られ気絶していた山城が目を覚まし反撃したものだった。
「やっちまったな山城。 どうすんだよなが、っていきなり急いで何処行くんだよ!。」
「馬鹿者‼︎。 分からんのか⁉︎、今の山城の攻撃で奴の興味が私達から提督達に変わったんだ‼︎。」
長門が提督の元へ向かったと同時に、艤装も川内と夕立を無視し同じく提督の方へ勢いよく飛び出した。
各自が必死に止めようと攻撃するも、艤装はそれ等を意に介さない様子で真っ直ぐに突き進む。
「提督離れてて‼︎。」
提督を押し飛ばし、山城は自分が持つ全ての火器を正面の敵へ向け一斉に放った。
しかしそれでも艤装は止まらない。
寧ろ山城の攻撃が当たるたびに速度を上げ突っ込んで来る。
「止まれえええぇぇぇぇ!!!!」
艤装が山城達の目の前まで到達、
そのままの勢いで右拳を固め豪腕を振り下ろす。
その場にいた全員が最悪の未来を予感した。
「何してんだ?」
その声が聞こえたと同時に、艤装は山城に拳が当たる直前で動きをピタリと止め、声の主に慌てた様子を見せ出したのだ。
「お前、
「チッチガウ、オレハナニモ‼︎。」
「姐さんから許可は貰ってる。 覚悟しとけよ?。」
そう言うと少年は艤装の前に立ち、変異した左腕で艤装を遥か遠くまで殴り飛ばした。