この話を読むにはワールドトリガーの知識が少々必要な筈です。
ワールドトリガー本作のキャラはあまり出ずオリキャラがメインのお話です。
また本作のキャラや関係性、トリガー、技、名称など作者が好き勝手に変えているのでご了承下さい。
ーーーーー始まりーーーーー
夏休みはやる事が多くて大変だ。
何せ日々のランク戦や全国大会、その先に行けば世界大会が開催される時期だからだ。
俺の名前は蒔田 隼人、
トリガー保有者でそこそこ腕が立つ以外何の取り柄もない高校2年生。
普通の一般生徒はバイトをしたり友達と遊んだりで忙しいが、俺のようなトリガー保有者は、こんな時こそ自身の技の研鑽に時間を当てたいもの。
その為にも学校の成績はそれなりにいい点を取り、充実した夏休みを過ごすわけなのだが。
「おい隼人、また手が止まってるぞ。 早く帰りたいならさっさと後3枚の問題用紙も終わらせろ。」
「はーーい、分かってますよ先生。」
期末テストの期間中、ちょうどランク戦が熱い時期だったのでついつい熱中してしまい見事に数教科赤点を叩き出し、こうして数人しかいない教室でせっせと補習を受けていたのだ。
(まあ面倒な教科はこれで終わりだし、後3枚はまだ自身のあるやつだから頑張っても昼には帰れるだろう。)
補修が始まって1週間、
いつもはのんびりやる所だが今日は昼から知り合いと手合わせをする約束がある為、柄にもなく少し真面目に取り組んでいる。
「よっし終わり〜。 隼人、先に向こうで待ってるからな!。」
「おう、皆んなには多分昼から行けるって伝えといてくれ。」
今補習を終わらせたのは、同じクラスメイトで昔から競い合いトリガー技術を磨いてきた、片丘 龍二。
こいつも俺と一緒にランク戦に明け暮れ高順位と引き換えに赤点を勝ち取ったバカだ。
「お前よかバカじゃねえよ。 そんじゃまたな〜〜。」
おっとまずい、肝心な所を強く思ってしまった所為で聞かれてしまった。
あいつは俺とは違った変なサイドエフェクトを持っていて、
何でも他人が強く思った言葉の一部が聞こえるそうだ。
その所為で昔は周りに色々思われてたそうだが本人は明るすぎる性格なので全くと言っていいほど気にしていない。
むしろ戦闘中にめちゃくちゃ役立つと言って自分の能力に感謝しているくらいだ。
「ほらほら後はお前だけだぞ〜。 早く終わらせないと大事な夏休みがどんどんなくなるぞ〜。」
しかし俺は先生のこんな何気ない言葉でもイラッとしてしまう。
すぐに熱くなるのが俺の悪い所だ。
「分かってますよ。 後1時間ぐらいで終わるんで気長に待ってて下さい。」
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有言実行、全力で問題用紙を捌き1時間以内で終わらせた俺は、先生に用紙を提出し教室を飛び出した。
俺は学校を出るとすぐさまトリガーを起動させ、龍二達のいる訓練施設に向けて全力で走り出した。
トリガーを日常的に使う事が出来るようになったのは今から数年前、
しかし例外を除いて、世界ランク上位のA級以上でなければ日常的に使う事は許可されていない。
もちろん民間用と戦闘用の2種類が有り、俺達が使うのは後者の方だ。
ランク最上位のS級になると飛行用トリガーを獲得でき、自由に空を飛べるから魅力的な話である。
なので俺達の様な学生はその飛行用トリガーを手に入れるべく訓練所に駆け込みランク上げに勤しむのだ。
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ボーダー協会が定める世界ランキングに於ける
各ランク帯の人数
ボーダー本部とボーダー協会は別の組織、
ボーダー本部はネイバーフットから襲来する敵対ネイバーから市民を守る組織。
ボーダー協会は全世界にトリガーを普及させ、警察や軍では対処不可と認定された敵対者への対抗手段を確保する為に設立された組織。
(チームランクは無く個人順位のみ)
S級、300人限定
A級、3万人限定
B級、40万人前後
C級、200万人弱
特殊トリガー保持者
(ブラックトリガー)
SSS級、 12名
SS級、 29名
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訓練所まであと少しの所で、突然俺のトリガーがボーダー協会からの緊急連絡を受信した。
内容は、
『南西3km地点、〇〇海岸にて深海棲艦が6体出現。 A級以上の者は直ちに現場へ急行、B級以下の者は民間人の避難誘導及び救助を開始せよ。』
俺はその通信を見た瞬間、進路を南西へと変更した。
現在人類の敵はネイバーフットから襲来するネイバーだけでは無くなった。
それは深海棲艦と呼ばれる海から来た謎の生命体、
奴らは理由もなく人を襲い街を破壊する。
しかし艦娘と呼ばれる者達が現れ人類は深海棲艦と渡り合える様になっていった。
だがいくら艦娘が強くてもこの広く広大な海や海岸線を完全に守る事は難しい。
なので俺達トリガー保有者はその穴を埋め人々を守る役目を担っている。
「隼人ー‼︎」
後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り向くと、そこには龍二や今日会う予定だった友人2人がいた。
「今の緊急連絡見ただろ?。 6体も出るなんて珍しいよな。」
「そうね。 いつもは1体しか現れないしこんな全召集するのも今までなかった。」
「でもそれだけ数がいたら普通艦娘さん達が気付く筈だよね?。 何かあったのかな?。」
3人の言葉に俺も頷いた。
確かに6体は異常だ、そんな数は今まで出た事はなかったからだ。
しかも1体だけでも倒すのは一苦労、
また理由は知らないが奴等が出現した際、B級以下は戦闘は愚か近づくことさえ許されないのだ。
A級でさえ可能なら遠距離攻撃を行い攻撃は確実に回避せよとの徹底振り。
そんなのが6体だ、皆んなが動揺するのも分かる。
「でも呼ばれたからには行こう。 何もしないよりはマシだし、やらずに後悔はしたくない。」
俺の言葉に答える様に3人は頷き、俺達はグラスホッパーを使い現場に急行した。
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「何やってんださっさと海から上がれ‼︎皆んな早く逃げろ‼︎。」
大勢の人が街を目指して走り出す。
しかしそのすぐ後ろには、黒い鉄の様な硬い装甲で覆われた深海棲艦が6体、
殆どが駆逐クラスだが中に1体重巡クラスのリ級がいる。
既に何人もの民間人が奴等の餌食になってしまった。
トリガー保有者は何人かいるがA級は俺だけ、
状況は間違いなく最悪だ!。
[お前らまだ着かねえのかよ⁉︎。]
[悪い今龍二達とグラス使ってそっち向かってる。 もう少しだけ耐えてくれ。]
耐えてくれか。
確かに俺だけなら、奴等の攻撃を回避するだけなら可能だろう。
だが周りの連中は違う、
次から次へと奪われる命をただ見ているだけなんて。
「出来るわけねえだろ!!!。」
(旋空弧月)
弧月に旋空を乗せ、
瞬く間に4回の斬撃を浴びせる俺が持つ最大最速の技、
ラービットの頭部装甲さえ切り刻む事ができる攻撃。
普通の敵ならこれだけでかたがつく。
だが敵は深海棲艦、
斬撃が当たった箇所が薄白い煙を上げるだけで6体とも全くの無傷だった。
「クッソ化け物が‼︎。」
奴等は俺へ向けて、お返しと言わんばかりに砲撃を乱れ撃つ。
グラスホッパーやエスクードを使い何とか弾を避け続けるがその所為で攻撃が出来ない。
俺は攻撃が当たってしまったらどうなるか知っているから、全神経を研ぎ澄ませ回避に専念する。
[頼む誰か来てくれ!。 俺だけじゃ後5分も持たないぞ‼︎。]
全ての回線で救援を呼ぶが、俺より弱い奴が来ても意味がない。
それこそS級やそれに匹敵する奴でなければ。
[正さん!。海岸の民間人の避難終わりました。街の人達も内陸へ向かって移動してます。]
俺の脳内に避難誘導をしていたB級の少年達の声が聞こえた。
どうやら俺が回避を続けている間に避難が粗方終わったようだ。
(さてこれからどうするか・・・、)
エスクードを乱発している為トリオン消費が激しく、俺のトリオンも後数分で限界が来てしまう。
(せめて後1人、俺と同じ程度の実力がある奴が居てくれれば。)
そう俺が思った時だった。
突然駆逐艦の1体に砲弾が命中、爆裂したのだ。
あまりの事に他の5体は俺への攻撃を止め砲弾が飛んできた方向を向く。
するとそこには見たこともない装備を付けた、俺と同い年ぐらいの少女が立っていた。
「遅れてごめんなさい。 矢矧到着しました。これより戦闘を開始します。」