「龍二は間に合ったか?。」
「大丈夫、間一髪の所で艦娘の人を助けられたみたい。 正が現場に居てくれたお陰ね。」
「そうか。 一先ずその敵は龍二に任せて俺達は周囲の警戒を、艦娘の増援とも合流して防御を固めたい。」
「でもそいつの相手、龍二一人で大丈夫かな?。」
「問題ないだろ、いざとなれば俺も行くしな。 それじゃあ時間も無いから飛ばすぞ。」
「「了解」」
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「・・・・・か、・・・・お・・きろ、・・・んでない・・な?」
騒がしい、
気持ちよく寝てるんから邪魔しないでよ。
私は阿賀野姉や酒匂とは違って常にゴロゴロとはしないけど、今だけはこの心地よさに浸っていたいの。
・・・・・・・バチン‼︎
「痛‼︎」
「おっ、良かった起きた。 このまま死ぬんじゃないかと思ったぞ。」
突然頬に発生した痛みで眠りから覚めた私の視界に、見ず知らずの少年が顔を覗き込ませていた。
この子は誰?、あのリ級はどうなったの?、彼はちゃんと逃げ切れた?、
目覚めたばかりの脳に次々とついさっきまでの思考が流れ込んでくる。
しかしそんな事を目の前の少年が知るはずもなく、彼はかなり大雑把な説明だけして何処かへ歩き出した。
「俺の事は後で言うからあんたはそこで休んでな。 その代わりアイツの相手は俺が引き受けるよ。」
そう言って少年は、すぐそこに立つリ級へと視線を向けた。
「深海棲艦は今まで何体も見てきたが、お前みたいにそこそこ強いのとは初めて会うな。 何が目的かは知らんが今すぐ撤退するんなら見逃してやるぜ?。」
「・・・・・ソレハコッチノセリフダ。 ソノカンムスヲオイテサレバ、オマエヲミノガスシテヤロウ。 コトワルノナラココデシネ。」
「へぇ、目的はこの人か?、なら尚更無理だな。 この人は俺の妹の友達なんだよ。 だから殺らせる訳には行かねぇな!!!。」
会話が終わると共に、少年はリ級目掛けて飛び出した。
その速さはまるで私達が放つ砲弾の様だった。
「ソンナニシニタイカ‼︎。」
だが所詮砲弾程度の速度。
深海棲艦や私達艦娘にとってそれはたいした速度では無かった。
少年は数回のフェイントの後、リ級に攻撃を仕掛けたものの簡単にみきられガードされる。
「ニンゲンフゼイガチョウシニノルナ!。 コノテイドノチカラデワタシニカテルトオモッタノカ⁉︎。」
リ級は腕を振り払い、それを避けるために空中に飛んだ少年に向かって自身の砲を差し向けた。
「逃げなさい‼︎。」
「ムダダキエロ!!!。」
私は思わず大声で叫んだ。
しかしリ級は一切止まることなく発砲。
そして再びリ級の砲身から巨大な爆音と砲煙が辺りに轟き砲弾が放たれる。
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つい昨日のこと、
女王の中でも最上位に位置する3人の姫。
その一人である飛行場姫様が、突然私の前に現れた。
「近頃人間の中に我々深海棲艦を上回る強さを持つ奴等がいる、くれぐれも気をつけろ。 私もそいつ等と戦りあって負けないにしても簡単には勝てまい。」
私は驚きと恐怖で飛行場姫様の言葉を理解するのに少し時間が掛かってしまった。
なぜなら普段から敵である艦娘や、仲間である私達にも殺戮を繰り返す最強の女王が私の様な下っ端の深海棲艦に話しかけるなどあり得ない事だったからだ。
「アッアノ、ナゼワタシノヨウナモノニソンナコトヲイウノデスカ?。」
下手な事を言えば次の瞬間自分の腰から上が吹き飛びかねない、
そんな恐怖を抑えながら、私は恐る恐る飛行場姫様の言葉に抱いた疑問を投げかけた。
「ああ、簡単に言えばそれはお前がこれから先強くなる為の資格を持っているからだ。 今から人間の街に向かうのだろう?。 なら未来のある部下に助言をするのも上に立つ者の責務と言うものだ。」
「コノワタシガ、ツヨクナレル⁉︎」
「ああそうだ。 だからくれぐれも死ぬな。 生きて帰ってこい。」
私の背中を軽く叩いた飛行場姫様は、そのまま静かに海深くへと消えて行った。
「・・・シカク?」
その時の私は、あの方の言葉の意味があまり理解できないで終わってしまった。
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「・・・・・もう立つな、このまま逃げるんなら俺は追わねえ。 だがやるって言うなら分るよな?。」
「アリエナイ‼︎、ニンゲンゴトキニイマノワタシガ!・・・・コンナ‼︎。 アリエナイ!!!!」
(こいつか⁉︎、こいつが飛行場姫様が言っていた人間なのか⁉︎。)
この男、
私が放った砲弾を空中にいる状態で軽々と受け流し、先と比べ物にならない速度で接近し攻撃を叩き込んできた!。
人間に数発殴られただけなのに腕は飛び胴や脚には穴が空いた。
男の放つ拳は並の戦艦の主砲よりも強力かもしれない。
「正直今ので死なないのには驚いた。 個人的には強い奴とはまた戦いたいからさ、俺はお前を生かしたいんだよ。 頼むからここは引いてくれ。」
「・・・‼︎、クソガ!!!!。」
人間に負けた。
それだけでも怒りで頭がおかしくなりそうなのに、更には見逃された。
殺したい、だが今の自分では到底敵わない。
激しい葛藤の末、リ級は怒りをなんとか飲み込み、深海へと潜り消え去った。
ここに来た目的は艦娘を喰らうため、
だがそれよりも最も重要な事は、生きてあの方の元へ帰る事。
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「・・・・・・・・よし行ったか。 安全を確保するためとは言え敵にあんな嘘つきたく無かったな。」
龍二は矢矧と周りの安全確保のためにわざとリ級を見逃した。
本当は、龍二達にはあのリ級に対して駆除、可能なら捕獲せよと命令が下されていた。
しかし自分があの場で終わらせなくても、この先の海で信頼できる3人が待ち構えているから問題ないと判断し安全確保を優先したのだ。
「初めましてだな。 俺は片丘 龍二って言う何処にでも居る高校生だ。 あんたよくテレビに出てる艦娘の矢矧さんだろ?。」
龍二が向かった浜辺にある小さな海の家の中では、先ほどリ級から危うく致命傷を受けかけていた矢矧が座っていた。
彼女は間一髪の所で龍二に助けられ無傷で済んでいたのだ。
「初めまして、確かに私が軽巡洋艦矢矧よ。 龍二くんさっきは本当にありがとね。 あれが当たってたら私は確実に死んでいたわ。」
「ああ、それは俺も焦ったよ。 近くに居た正と位置変えしてなかったら間に合わなかった。 今度正に会ったらあいつにも礼を言ってやってくれ。 それじゃあ俺はこの辺りの警戒をしてるから矢矧さんはそのままここで休んでな。」
そう言って龍二は海の家を後にし周囲警戒を始めた。
この場所に到着した地点で感じていた別の脅威を探すために。
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「矢矧ちゃーーーーーん!!!、大丈夫だった!!!???。 何処か怪我とかしてない!!??。」
龍二君がこの場を後にしてから数分が経った頃、
ようやく阿賀野姉達の艦隊が到着した。
阿賀野姉は来て早々に私を見て泣きながら走って来たから、釣られて少し私も泣きそうになってしまった。
「矢矧、大丈夫?。 リ級が戦闘中に覚醒したって妖精さんから聞いたわよ?。」
阿賀野姉の他にも、愛宕白露も随伴して来てくれた。
他にも赤城さんや榛名さんもいるらしく、少し沖に出た所でトリガー使いの人と合流して索敵をしているらしい。
「ええそうなの愛宕、あのリ級は突然仲間を食べその後覚醒状態と近い存在に変わり格段に強くなったの。 私の主砲じゃ傷一つ付かなかった。」
「主砲が効かないなら魚雷を叩き込めば良いのよ!。 それこそ駆逐艦白露様の出番ね!。」
「ダメよ白露ちゃん。 あなたはそうやって無茶していつも提督に怒られてるでしょ?。」
「良いのよ勝てば!。 それに最近は、ちゃんと大怪我しない様に気をつけてるんだからね!。」
「「本当かしら?」」
この子は目を離すといつも無茶な戦い方をしてしまうから困っている。
本当、誰に似たのかしら・・・・・
「お腹減って来た!、早く帰りましょ!。」
我が姉ながらたまに頭を引っ叩きたくなるわね。