「続きまして、外野手。四国アイアンドックス所属坂田三吉【ドカベン】」
左投左打で、ミート力に定評のある坂田三吉の名前が告げられた。野手二人目となる左打者だ。なお、サブポジションとして一塁を守れるし、投手も出来る。
外野手として呼ばれた三人……景浦、微笑、坂田となぜか左翼が本職の選手ばかり選出されている。
「坂田なら外野はどこでもやれる。外野と一塁、投手。全てで出番があると思ってくれい」
岩田監督評価は高いようだ。
「それでは残る野手を三人発表させていただきます」
「たまたまなんじゃが、これから発表する三人全員が東京ミラクルキャプテンズになってしまった。チームには負担をかけるかもしれないが、どうかよろしく頼む」
岩田は立ち上がり、頭を下げた。
「俺達ミラクルキャプテンズから三人……」
「凄いことだよな」
それぞれがチームメイトを見回して誰か? と考える。
「東京ミラクルキャプテンズ所属、イガラシ背番号6」
「やっぱりね。そろそろ呼ばれると思ってたよ」
イガラシは顔色一つ変えないが、若干声のトーンが明るい。
イガラシは、谷口の二個下の後輩で、墨谷二中、墨谷高校でキャプテンを務めた。全てのポジションをこなすことができる。
かつて、谷口に得意なポジションを聞かれた際に「一通り全部やってきたもんで。しいて言えば内野かなぁ」と答えたという。
小柄ながらセンスの塊で、打者として中軸をうち投手としても実力を発揮していた。
プロ入り後も正遊撃手でありながら、不測の事態には別ポジションをさらりとこなし、さらには投手としてもしっかりと実績を残し、昨年ついに全ポジション出場を記録している。
人数が限られる代表において重宝される人材と言える。
「続いて、デレック井慈田。背番号12」
意外な人選にミラクルキャプテンズナインは反応できない。
「そうかデレック井慈田か。そうか……ってデレック井慈田って俺じゃん?!」
選ばれることはないだろうと、どこか他人事だったデレックは、自分の名前を二回口にしてから事実に気づいた。
「マジかよ! 岩田監督……すげえな……俺を選ぶとは……」
デレック井慈田のメインポジションは、ショートだが、ミラクルキャプテンズには正遊撃手としてイガラシがいる。そね為控えに回るか別のポジションで出るしかない。
とはいえ、サードは谷口、セカンドは丸井がレギュラーだ。そうなると内野ならファースト、または外野での出場を狙うことになる。
マルチポジションを高いレベルで守れる好打者として岩田監督は目をつけたのだろう。
「最後に、キャッチャー。霧隠主将。背番号27」
24人目の選手は、なんと大抜擢のカズマサだった。各球団の正捕手もいるのに、ミラクルキャプテンズの第三捕手が選ばれた。
「へぇ、霧隠とはね」
「お、俺っ?」
これは日本中の誰もが驚くサプライズ選出だった。
山田世最強……いや、日本最強捕手の山田太郎。それを追う佐藤寿也。この二枚の控えが霧隠主将。まさかまさかの選出だ。
「たぶん、毛色の違うリードを求めてだろうな。よくも悪くも山田さんや佐藤寿也は有名だ。当然研究されるだろう。だが他国から見たら、霧隠は文字通り霧に隠れている存在だ。研究しづらいだろうし、意地悪なリードやトリッキーな作戦も思いつくだろ? その辺りに魅力を感じたんじゃないかな」
谷口の分析にイガラシも頷く。
「"ふてくされ王子"には特別なオーラを感じたんでな。選ばせてもらった。役割的に出番は少ないかもしれんが、先輩捕手二人にはない何かを見せてくれい」
「お、おう……」
当然この返事は岩田監督には届かないが、思わずカズマサは返事をしてしまう。
「最後になったが、この超日本代表のまとめ役となるキャプテンを発表する」
24にんのサムライをまとめるキャプテンをおくという。
「岩鬼さんか、山田太郎さんかな?」
「景浦さんって線も……」
しかし岩田監督が告げたのは違う名前だった。
「……谷口タカオ、君がこのチームのキャプテンだ。多いに期待にする」
岩田の言葉に谷口が固まる。
「おれが……キャプテン?」
超日本代表24人が決まり、通常オールスターゲームがあるところは、超日本代表と選抜チームの練習試合となることも合わせて発表された。
キャプテンはやっぱり谷口君ですよね。