魔法少女リリカルなのは〜ご都合主義な拳を持つ者〜 作:999の納豆
暖かい目で見てください。
では、どうぞ!
「……知らない天井だ」
俺はベッドに寝っ転がりながら白い天井を見上げ、そう呟いた。
どうやら、転生は成功したらしい。
「どっこいしょ」
体を起き上がらせ周りを見てみると、机やら本棚やらと一般的な子供部屋の光景だった。しかし家具はあまり無くて、少々物寂しい部屋だった。
「ふむふむ、まぁ中々大きい部屋だな」
大きさ、壁の色、日当たり……物寂しさはあるが、部屋の位置や色合いがいいおかげで明るく見える。
神様……いい物件にしてくれて、ありがとう。
「とりあえず、リビングに行くか」
やりたいことは山々だが、最後の説明の時にリビングに行けって言われたからな。
にしても、目線が低いな。前世は175あったから、周りがビッグに見えるぜ! しかもこんな幼児体型じゃ、行動範囲も狭くなるし色々と不便になるな。まいるぜ。
そんな愚痴を思いながらも、俺は慣れない体で一生懸命動かしながら、リビングの方へと向かった。いや、リビングの捜索を始めた。
~60分後
「はぁ…はぁ…やっと見つけた……」
捜索を初めて60分。俺はやっとの思いで、リビングへと通じる扉を見つけた。
「な、なめてた……まさか、転生生活がこんなに大変だとは……ゴフッ!」
このリビングに到達するまで、数々の試練が俺を待ち受けていた。
まず待ち受けていた試練は『階段』。自室が二階にあるせいで、一段一段慎重に降りないと、とてもじゃないが怖くて降りることはできなかった。
次に待ち受けていたのは『ドアノブ』だ。一回一回つま先立ちをしなければならない、あの苦しさ。
前世では、ふぬぬぬっ! と言いながらドアノブに手を伸ばす幼児の光景は非常に微笑ましかったが、まさかこんな苦しい思いをしていたとは……
クソッ! つった足がまだいてぇ!
そして最後の試練は『高さ』だ。とにかく何もかもが高すぎて、机の上を見るのにも、台の上を見るのにも、毎度脚立(なんでか置いてあった)をせっせと持っては置いて登って置いて登って……もう腕がプルプルだよ! 腕が引きちぎれそうだよ!
「う…うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
雄叫びを上げながら、ドアノブに手をかける俺。
動け俺の手足! この扉さえ開ければ、あとは休むだけだ!
プルプルと震える足と手にムチを打つ思いでドアノブを回す。
――ガチャ
『おっそーーーーーーい!!!!!!』
「ッ!?!?」
開けた瞬間――女の子特有の高い声が、俺の鼓膜をぶち破ろうとするかのように響いた。
「―――!」
『なにそこで蹲ってんのよ! 早くこっちに来なさい!』
言葉にもならない声を上げながら蹲る俺に、声の主は畜生のように呼びかける。
耳が痛すぎる……前世の音楽の時間で、友だちに耳元でトランペット吹かれた時並に耳がキンキンする……
「う、うるせぇな……誰だよこんなバカ高い声を出す奴は……!」
片耳を押さえながら立ち上がり、周りを見渡す。
そして目に入った机の上を見ると、何か小さな物が置いてあった。
だが離れてるためか、詳しく見ることはできなかった。
というか、この声どっかで聞いたことあるような……
「な、なんだありゃ?」
『いいからその脚立を持って、こっち来なさいっての!』
「分かってるよんなもん。いちいち叫ぶな」
愚痴をたれながらも廊下に置いてあった脚立を持って、机の方に向かう。
そして脚立を登って机の上を見ると、そこには
「
『私だってこんな趣味の悪いのよりも、もっと綺麗で美しくて可愛いのがよかったわよ!』
「ぺ、ペンダントが喋った……だと!?」
ペンダントが喋りやがった!? アイアン・メイデンのペンダントが喋るとか、なおさら趣味が悪いぞ神様!? いや、これはもしかして、中世ヨーロッパで魔女として死刑された女性の怨念によるものかもしれん……ならやることは一つだ!
「悪霊退散! 悪霊退散!」
『ちょ!? いきなり何言い出すのよあんた! 私は悪霊でも幽霊でもないわよ、ってなに塩をこっちに投げてんのよ!』
「悪霊退散&塩フリフリ!」
俺は手を合わせ、無残に死んでいった怨念を払うべく塩をペンダントにぶちまける。
昔から魔を祓うときは、塩をぶちまけた方がいいって言うからな。さぁ、大人しく成仏しやがれ亡者ども!
『やめないって、しょっぱい! やめて壊れちゃう! なにか大事な部分が壊れちゃうぅぅ!!!』
カタカタと揺れながら、そう叫ぶペンダント。
ちぃ! しぶとい奴だ! 塩をこれでもかってぐらい投げているというのに! なんて強力な怨念なんだ……ならば最終手段だ!
「だったら火葬して灰にしてくれるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺は叫びながらペンダントを掴もうと手を伸ばした。
しかし――
『だから……やめろって言ってんでしょうが!!!』
「ッ!? ま、眩しいぃ!」
突然光りだしたペンダントは、やがて部屋を包んだ。俺は目を手で覆いながら、光が収まるのを待った。
そして数秒後、部屋の明かりは収まり俺は手を下ろし、閉じていた目を開けようとした。
『くたばり、やがれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
――ボッゴン!!!
「チャコス!?」
その瞬間、俺の顔面にとてつもない衝撃が走った。
「ごふぅぅぅ!?!?」
そして俺は後ろへと吹き飛ばされ、頭を強く打った。
「い、いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?!?」
顔と頭を押さえながらゴロゴロと転げまわる俺。
鼻が! 頭が! 後ろと前が痛いすぎる! とうとう亡者が反撃に出やがった! なんで塩を投げたのに成仏しないんだよ!?
「なぁにが痛いよ! 私はアンタのせいで『乙女』の心が傷つかれたのよ! そんなケガくらい数日で治るのにたいし、私のはそう簡単に治るものじゃないのよこのスカタン!」
「な、なにが治るだてめぇ。こっちだって顔を怪我しているんだぞって、えぇ!?」
俺は顔と頭を押さえていた手を離し、相手の姿を見た。
瞬間、俺は空いた口が塞がらないほど驚いた。それもその筈、なぜなら俺の目の前にいたのは……
「……なにジロジロ見てるのよ? まさか、私に見惚れでもしたのかしら? ふふっこれだから美少女は大変なのよね~。ホントまいっちゃうわ。にゃはははは~!」
ピンク色の長い髪、俺と同じくらいしかない小柄すぎる体型、そしてトドメの木村あやかボイス……間違いない。コイツは――!
「『ロリBBA』じゃねぇか!」
「なんでそうなるのよ!?」
ロリBBAこと、聖槍十三騎士団の黒円卓序列第八位『ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム』が俺の目の前にいた。
「ていうか、どっから湧いて出やがった!? 俺が入ったときは誰もいなかったはずだぞ!」
指さしながら言う俺は、驚きすぎて顔と頭の痛みすら感じなくなっていた。
だって、俺がこの部屋に入ったとき人なんていなかっじゃん!? いや、強いて言えば趣味の悪いペンダントがあったけどよ……ん? ペンダント?
そういえば、コイツの声ってあのペンダントとそっくりだよな……じゃあ、コイツってまさか!?
「湧いて出てもいないしBBAでもないわよ! というか、声で気づくでしょ!」
「えっ? やっぱお前って、あの趣味の悪いペンダントなの?」
「そうよ! そして、私はあの
ま、マジかー! 薄々感じてはいたが、コイツってあのペンダントだったのかよ!?
てかっ、なんでロリBBAが俺のデバイスなんだよ!? そこは普通貰った特典から考えてマッキーにするべきだろ!?
「なんかやる気なくすわ……」
「ムキーッ! ホント失礼な奴だわねアンタは!」
やる気が一気にダウンした俺にロリBBAの声は耳に入ることはなかった。
……まぁいいか。カール・クラフトよりかはマシだろ。
「それで、デバイスってことは何か登録することとかあるんでしょ?」
二次創作とかでよくあったからな、そこら辺はよく理解しているつもりだ。
「あら? なんか意外ね。さっきはあんなに嫌がっていたのに、随分と素直になったわね」
「いや、カール・クラフトよりかはマシかな~って思ったら、なんか吹っ切れた」
「カール・クラフト? 誰よそれ?」
……えっ?
「ちょっと待て。お前、カール・クラフトを知らないのか?」
「はぁ? 知らないわよそんな奴……あんた、まさか私をdies iraeのキャラと間勘違いしてんの?」
「違うの?」
「違うわよ!」
えっ? じゃあ誰なのコイツ? まさかdiesを盗作したどっかの新キャラクターかなんかなの?
そう思っているとルサルカ? が、はぁと一回ため息すると、俺の方を見ながら右の人差し指をビシッ! 向けてきた。
「いい? 私は『デバイス』であって、アンタが言う『ルサルカ』じゃないの。分かる?」
「じゃあ、それってつまり……別人ってこと?」
「そうよ。まぁそんなに私がそのルサルカってのに似ているというなら、恐らく私のモデルとなった人物だから似ているんだと思うわ」
なるほど。それならカール・クラフトも知らないわけだ。
そうだよな、本物がこんなところにいるわけないもんな! 焦って損したわ。
そう思いながら俺は、ふぅと一息ついた。するとまた、ルサルカ『似』の女の子が口を開き喋り出した。
「それじゃあ話は纏まったことだし、さっさとメンドくさい登録を終わらせるわよ」
「登録、デバイスのか? 名前決めたりする?」
「そうよ。さっきアンタが言ってたじゃない」
「まぁ言ったけどよ、俺の名前ってどうなるの? やっぱ前世と同じ?」
二度目の人生ってことだし、正直名前は変えたいんだよね。前世との決別って意味でさ、前世は前世って区切らないと二度目の人生でまた同じ失敗をするかもにれないからね。
「それについては、自分で決めていってジジイが言ってたわ」
もはや神様とすら言わなくなったか……
それよりも、名前は自分で決めていいのか。まぁぶっちゃけデバイスも自分の名前も決まっているし、今更考えなくてもいいか。
「んじゃ、さっさと決めようぜ」
「……変な名前はやめてよね」
「ロリBBAにはしないから大丈夫だ」
ジト目でそう言ってきたルサルカ似に対し、俺はそう返答する。
ちょ、ホントに変な名前にしないからジト目はやめてくれ。可愛いけど、あまりそんな耐性ついてないからさ。
「……まぁいいわ。変な名前にしたらしたで、さっきみたいに蹴り飛ばせばいいわけだし」
「さっらっと恐ろしいこと言うなよ。あと、さっきは蹴り飛ばしたのか。殴られたかと思ったぞ」
「はいはい、さっさと始めるわよ」
「……心配だ」
真面目に考えたわけではないが、これでもし気に入らなかったら、また蹴り飛ばされるんだよね?
……大丈夫、ちゃんとした名前だから大丈夫なはず。
「それじゃあ、ここから必要なことは喋らないでね」
「分かった」
そう言い、お互い向き合う形でその場に座る俺たち。
何故座る必要があるのか分からないが、床は固くてあまり座り心地はよくない。
「じゃあ先ずは、アンタの名前から。次は私の名前とその愛称、それだけよ」
俺は親指を上げグッドサインを出し、分かったと合図する。
そして俺は一息してから口を開いた。
「名前は『
デバイスの名前は『ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム』。
愛称は『ルサルカ』だ」
「……登録完了。だけど随分と長い名前ね?」
「まぁお前の容姿を見ると、これしか思い浮かばないからな」
「ふ~ん。まぁ『ルサルカ』というのは気に入ったわ。これからよろしくね、マスター♪」
どうやら気にってくれたらしく、可愛らしい笑みを見せながらマレウスそう言った。
……にしても『マスター』か。なんか堅苦しくて好かん。これから共に助け合っていく『家族』になるわけだし、マスターというのはやめてもらおうかな。
「なぁルサルカ、そのマスターってのは止めてくんねぇか? できれば名前で呼んでほしいんだが」
「別にいいけど……なんかアンタって変わってわよね。色々と」
俺がそう言うとルサルカは驚いているのか、目を丸くさせながらそう言ってきた。
変わってるって、俺が変人だとでも言いたいのかコイツ! 確かに前世では、美人で綺麗で可愛くてナイスバディな女性が好きで、スマートフォンの中にもそっち系な画像がありすぎて男友達や女友達から『変態』とか言われてたけど、『変人』扱いされたのはこれが初めてだぞ。
「だって普通、私みたいなデバイスが主を呼び捨てにするなんて考えられないもん」
「そういうもんか?」
だってデバイスが無ければ魔法ってまともに使うことができねぇんだろ?
お互い呼び捨てで呼び合うよりも、デバイスに敬語使ってもいいレベルじゃね? っと俺は思う。
あーでも、あくまで俺の意見であって、皆が皆そうだとは限らないぞ? 使い手が主、デバイスが下僕というのも、お互いのそれでいいなら別にそれはそれで構わないよ? ……何言ってんだろ俺。なに一人で勝手に熱く語ってんだろ? 恥ずかしい。
俺がそんな誰に訴えているのかよく分からないことを考えてでいると、ルサルカがまた俺を普通ではないみたいなことを言い出す。
「そういうもんよ~。おまけに、初対面の人にいきなり『ロリBBA』とか言うんだし……変人じゃないなら逆に何なのよ?」
「『変態』だ」
「……あっそ」
まるで汚物を見るかのような目で俺を見てくるルサルカ。
えっ? なんか俺変なこと言った?
「……もういいわ。ユウがそういう人物だってことは、よぉく理解したから」
お前の中の俺はいったいどんな奴になってしまったんだ……?
てかっ……
「ユウ、とは俺のことか?」
「そうよ。悠也って呼ぶよりも、ユウって呼んだ方が呼びやすいし親しみやすいでしょ?」
「……確かに」
さすがdiesのルサルカがモデルになったデバイスだ。もうあだ名を考えやがるとは……。
それに、ユウってのもいいな。中々センスがある。
「それじゃあ、外でも見に行くか」
「そうね。もうやることはやったんだし、散歩でもしよっか♪」
そう言い、俺とルサルカは近所を散歩しに出かけた。
……そういえば、俺とルサルカって身長的に似ているから、兄妹に見えんじゃね?
「うるさい」
「ごめん」
どうやら、身長のことを気にしているらしい。
誤字・脱字があったら教えてください。
悪意のある感想はできるだけ書かないでください。
主に作者の精神がもちませんので……