ゲーマーと虹色の少女たち   作:一般紳士君

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初投稿じゃないけど初投稿です。


第10話

「「「お邪魔します」」」

「いらっしゃい」

 

 我が家に来るのは侑だけのはずだったのに、歩夢とせつ菜も来ることになりました。なんで??? ここ男の家だよ? 侑もだけど、俺に襲われたりとか考えないの? 3人とも可愛くてスタイルもいいんだから、もうちょいそういうこと警戒しないと。まぁ俺が襲ったところで力負けするし、そもそも襲う気なんてないけど。

 

「正面のあの部屋がゲーム部屋だから、先に行っといて」

「友紀君はどうするの?」

「飲み物とお菓子取ってくる」

「手伝おうか?」

「いや、手伝わなく大丈夫。ゲーム機の起動の仕方とかわかるなら、好きなゲーム選んで やってていいから」

「わかりました!」

 

 なんかせつ菜すっごく楽しそうだな。おめめがキラキラしてらっしゃる。さてはおめぇゲーム好きだな? デス○サロとかパ○スとかも通じたしな。生徒会長の面影さんどこ……?

 

 飲み物はリンゴジュースでいいかな? 紙コップは……あれ? 紙コップってどこに置いたっけ? この棚に入れたはずだけど……あ、違ったわ。もう1個隣の棚だったわ。

 お菓子は……まぁじゃがいもチップスでいいかな。美味しいし食べやすいし。嫌いな人間はいないだろ。きのことたけのこもあるけどどうしようか。戦争の原因になるしなぁ……。……持ってちゃうか! 戦争、起こしちゃうか! ちなみに俺はきのこ派です。

 

「おーい、誰か開けてくれー」

 

 両手が塞がっていてドアを開けられなかったため、部屋の外から開けてくれるよう頼む。横開きのドアなら足で開けられるんだが、さすがにドアノブまでは足上がらないしなぁ。

 

「今開けるね」

「ありがとう歩夢」

「どういたしまして」

 

 歩夢が笑顔で開けてくれた。

 歩夢の後ろでは侑とせつ菜が某有名なレースゲームで白熱していた。持ち運びができて、しかもテレビにも繋がる最新ゲーム機で発売されたばかりの新作だ。俺もかなりやりこんで、ネット対戦でもそこそこのレートまで上げた。そういえば、別の気になるゲームが発売されてから全然やってなかったなぁ。

 

「はい、これジュースとお菓子。好きに飲み食いしてくれ」

「ありがとう。わぁ、じゃがいもチップスだ」

「好きなのか?」

「うん、美味しいから大好き」

「それはよかった。好きなだけ食べてくれ」

「ありがとう。友紀君も一緒に食べよ?」

 

 歩夢もじゃがいもチップスが好きみたい。やっぱり美味しいからね。塩加減が最高だし。

 歩夢が袋を開けてくれたのでそれをつまみ、リンゴジュースを飲む。あぁーうめぇー。ところで、この袋の開き方なんて言うんだっけ? 大人数で食べる時の開き方。パーティー開き? そんな感じの名前だった気がする。

 

「歩夢はゲームやらなかったのか?」

「コントローラーが2つしかなくて……それでじゃんけんしたんだけど負けちゃった」

「ああ、そうか。コントローラーないんだったな。すまんな」

「ううん、大丈夫だよ。負けた人の交代でやろうねってことになったから」

「まぁ普通そうなるよな」

 

 侑とせつ菜の勝負は現状せつなが1位で侑が9位だ。侑はカーブが苦手みたいで、さっきから時々曲がるのに失敗している。あと侑はアイテム運も悪いな。攻撃アイテムも必中じゃない方しか出てないし、加速アイテムも出てきていない。まぁアイテム運が悪いキャラを使ってるからなんだけど。

 

「これはせつ菜の勝ちで決まりかな?」

 

 ラスト1周で侑がここからせつ菜をまくるのはかなり厳しそうだ。せつ菜がミスをしないとまず無理だろう。だがせつ菜はさっきからミスを1つもしていないし、ここから先もせつ菜のミスは望めないだろう。

 

「あー負けちゃったー」

 

 予想通りせつ菜の勝ちだ。やっぱりせつ菜はミスをしなかった。ゲーム好きだろうし多分上手いだろうなとは思っていたけど、正直予想以上だ。ここまで上手いとは思ってなかった。

 あと侑は選んだキャラが悪かったな。侑が使っていたのはスピードもコーナリングもアイテム運も全て殴り捨てて重量に特化した超絶扱いにくいキャラだ。俺も全く使いこなせない。というかネット対戦でもこのキャラをおふざけ以外で使っている人を見たことがない。まぁ扱いにくいとかそんな次元じゃないからな。スピードは出ないし、曲がりにくいし、アイテムを使った加速もなかなかできないし。できることといえば体当たりで相手を吹き飛ばすことくらいだ。それはそれで楽しいけど。

 それに対してせつ菜は重量を犠牲にスピードに振った速度特化型の軽量キャラを使用していた。このキャラはスピードが出る分カーブが非常に難しい。俺も時々失敗する。せつ菜のノーミスはほんとすげぇよ。

 

「侑さんも初めてとしては上手でしたよ」

「へぇ。侑は初めてだったのか」

「うん、そうだよ。自分では結構上手くできた気がしてたけど、さすがに経験者のせつ菜ちゃんには勝てなかったよ」

「侑もそれなりに上手く立ち回れてたけど、せつ菜が純粋に上手かったな」

「せつ菜ちゃんミスなしだったもんね」

「えへへっ、ありがとうございます!」

「負けちゃったから私の交代だね。次は歩夢? 友紀君?」

「歩夢が先でいいよ」

「いいの? ありがとう。じゃあ私がやるね」

 

 歩夢と侑が場所を交代して、侑が俺の隣に座る。

 

「そこのジュースとお菓子は自由に飲み食いしていいからな」

「うん、ありがとうね。このじゃがいもチップス何味?」

「うすしお」

「やった、一番好きな味なんだー」

 

 侑は美味しそうに食べる。

 

「ん~おいひ~」

「うすしお味はこの塩が最高なんだよな」

「わかる! この塩自体もすごく美味しいけど、やっぱりこの絶妙な塩加減が最高だよね!」

 

 やっぱりじゃがいもチップスのうすしお味は万人が認める美味しさなんだな。これ以外の味も美味しいし、じゃがいもチップスという最高の商品を生み出した企業に感謝を送りたい。

 

「ぷはぁ~!」

 

 おっさんかよ。しかも酒じゃなくてリンゴジュースだし。でも何故か様になるな。

 

「友紀君から見て2人の勝負はどう?」

「そうだな……」

 

 今は歩夢が1位でせつ菜が3位。

 歩夢はスピード、コーナリング、アイテム運、重量全てがバランスよく割り振られたバランス型のキャラを使用していた。このキャラは普通の人が使うとただの安定感抜群キャラになるが、上手い人が使うと本当に強い。加速アイテムやお邪魔アイテムを最高のタイミングで使われるとマジで勝てない。歩夢がどれだけ上手いかはわからないが、なんとなくバランス型って歩夢に似合う気がするなぁ。

 ちなみに、せつ菜が使っているキャラはさっきと同じだ。こちらもせつ菜にスピード特化ってのも似合ってる気がする。

 

「ほうほう、これはこれは……」

「どうしたの? 何かあった?」

「歩夢がアイテムを上手く使ってせつ菜の妨害をしてるな」

「そうなの?」

「今歩夢がお邪魔アイテムを置いたろ? 実は歩夢が通ってる道がショトカになってるんだ」

「ショトカ?」

「ああ、ごめん。ショートカットの略」

「へー、そうなんだ。ということは、歩夢はせつ菜ちゃんがショートカットを通れないようにしたってこと?」

「その通り。ここは道が狭いからショトカを通ろうとするとどうしてもお邪魔アイテムを踏んじゃうんだ。で、今見た通りここのショトカは入ってすぐの所にジャンプ台があって、お邪魔アイテムを踏んでスリップするとジャンプに失敗して崖に落ちるんだ」

「ほぇー。だからせつ菜ちゃんはあの道を避けたんだね」

「そゆこと」

「適当に置いてるように見えたけど、いろいろ考えながらやってるんだね。同じアイテムでも私なんて適当に置いちゃってたよー」

「まぁ初めてなんてそんなもんだ。さっきみたいのなんて道を覚えてないとできないし」

 

 というか歩夢の使い方が上手すぎるんだよなぁ。確実に初プレイではないな。人畜無害な見た目だけど、実は何人も崖に落としてそう。

 

「あれ? 俺のコップどこいった?」

「コップなくすなんてことある?」

 

 おかしいなぁ。自分の左側に置いといたんだけどなぁ。

 

「どこに置いてたの?」

「ここ」

「え……」

「え?」

 

 何その反応。

 

「侑が今使ってるコップ、まさかとは思うけどここに置いてあったやつじゃないよな?」

「……」

「おい、こっち見ろよ」

「……」

「使ったんだな?」

「うぅ……友紀君が私用に入れてくれたやつだと思ったんだもん……」

 

 違うよ。ちゃんと数数えてよ。1個しかなかったじゃん。

 

「ごめん……」

「別に俺はいいんだけどさ……これって間接キスじゃね?」

「い、言わないでよ! 考えないようにしてたのに!」

 

 侑にポカポカ殴られるけど、これって俺が悪いのか? 俺別に悪くなくない? ……悪くなくない?

 

「友紀君のコップを使っちゃったのは私のミスだけど、わざわざか、間接キスなんて言わなくてもいいじゃん……」

「だって事実だし」

「それはそうだけどさぁ……もうちょっと、こう……配慮というか……」

「配慮と言われても……嫌だったなら口元洗ってきてもいいぞ。洗面所はここ出てすぐ左にあるから。嫌だったらというより確実に嫌だっただろうけど」

「待って待って。別に嫌ではなかったよ。友紀君のことは結構好きだし」

 

 ちょい。ちょいちょいちょい。ちょい待って。今なんかすごいこと言わなかった? 俺の聞き間違いじゃなかったら滅茶苦茶すごいこと言ってた気がするんだけど。今俺のこと好きとか言ってなかった?

 

「あっ、今の好きは友達としての好きだからね! 異性として好きになるにはまだちょっと早いかなって……」

 

 まだちょっと早いってどういうこと? もうちょっと一緒にいたら好きになってくれるってことですか? そんな言い方されたら俺も侑のこと好きになっちゃうよ? いいの?

 

「と、とにかく! 嫌ではなかったから! 嫌ではなかったけど……ただ、もうちょっと言い方を考えてほしかったかなって……」

「言い方……わかった、次からは気を付ける。次からは間接キスじゃなくて間接キッスって言うことにするわ」

「違うよ、そうじゃなくてね? 間接キスしちゃったってなっても言わないようにしてほしいってこと。言われたらどうしても意識しちゃうから」

「わかったよ、次もし侑と間接キスすることになっても、侑に間接キスって言わないようにするよ。ごめんな、間接キスって言って」

「もう! 今の完全にわざとでしょ! 私のことからかってるでしょ!」

 

 バレちった。さっきから侑の反応が可愛くてついついやってしまった。俺が間接キスって言うたびに顔を赤くするのが可愛くてね。

 

「あぁ負けちゃったぁ……」

 

 俺が侑で遊……じゃなかった。侑とじゃれ合っている間に歩夢とせつ菜の勝負が終わっていた。最初歩夢がリードしてたのに、最後せつ菜にまくられたんだな。

 

「歩夢さん、最後の方でたくさんミスしてましたね。何かあったんですか?」

「えぇっと……ちょっと気が緩んじゃって……」

「あー、そういうことありますよね。勝ったと思って気を抜いちゃって失敗すること。私も何度も経験があります」

 

 わかるわかる。俺も何度も経験したよ。ボスと戦ってる時にこれは勝ったなと思って回復せず攻撃したらミスしまくって全体攻撃でやられたり、レースで終盤で1位の時にカーブを失敗したり、数学で最後の最後の式変形で四則演算を間違えたり。何なんだろうね、この現象。名前つけたいな。何かいい名前ないかな? ないよなぁ。ネーミングセンスが欲しいぜ……。

 

「それじゃあ私と友紀君が交代だね。はい、友紀君」

「さんくす」

 

 コントローラーを受け取り、さっきまで歩夢が座っていた場所に移動する。

 

「友紀さん、勝負ですよ!」

「負けて泣くなよ」

「泣きませんよ!? それに負けません!」

 

 キャラはどうしようかな。せつ菜が軽量のスピード特化だし、こっちは中くらいの重量のスピード・コーナリング型を使おうかな。単純なスピード特化対決だと面白くないしな。重量特化キャラ? 誰が使うかよ。

 

「ステージはどうしますか?」

「せつ菜が選んでいいよ。お前が得意な所でもいいし」

「ほう? さては友紀さん、私のこと舐めてますね?」

「そんなことないよ。せつ菜は普通に上手いと思うし。ただ、それでも俺が勝つっていうだけ」

「……ふふふ、いいでしょう。では遠慮なく私が得意なステージを選ばせてもらいます。私の実力をとくとお見せしましょう! 私に負けても泣かないでくださいね!」

 

 せつ菜が選んだステージは直線が多めのステージだ。直線では減速の必要がないためスピード特化が活かしやすいステージになっている。これはコーナリングで差をつけるしかないか。

 

「いいぞー、やっちゃえせつ菜ちゃん!」

 

 侑はせつ菜の味方か。さてはさっきからかったこと根に持ってるな?

 

 画面がステージに切り替わり、もうそろそろカウントダウンが始まるので、スタートダッシュに備える。隣のせつ菜をチラッと見ると、こちらは一切気にせず、真剣な顔で集中していた。なんか、真剣な表情のせつ菜って滅茶苦茶可愛いな……。普段せつ菜はどちらかというと子供っぽくて、いつも笑顔で、生徒会長モード以外で真剣な表情のせつ菜を見たことがなかったから、そのギャップでやられてしまった。……いかんいかん。集中しないと。スタートダッシュに失敗したら絶対に負ける。

 

「さすが友紀さん、完璧なスタートダッシュですね」

「君のせいで失敗しかけたけどね……」

「何か言いましたか?」

「いや、なんでも……」

 

 せつ菜もスタートダッシュを決めたので、スタート直後の直線で少しずつ離される。スピード・コーナリング型といえど、スピード特化には直線では勝てない。でもそれは想定の範囲内。勝負はカーブ。さっきから見ててもせつ菜はカーブが大回りになりがちだ。このステージの最初のカーブは距離が長いため、せつ菜の大回りが弱点になる。しかもせつ菜のキャラは減速しないと曲がりにくいしね。それに対して、こっちのキャラは速度をある程度維持したまま曲がることができる。それを利用してせつ菜よりも先にコーナーを抜けて、せつ菜が抜けてきたタイミングで体当たりして吹き飛ばす。これでいこう。

 

 作戦を練り上げていざコーナーだ、というタイミングで俺の左肩に何かが触れた。なんやねん、こっちは集中してんやぞ、と若干キレつつ見ると、せつ菜の頭が左肩に触れていた。こいつ、カーブに合わせて体も動くタイプかよ……。

 

「やべ」

 

 せつ菜に意識を取られてカーブをミスってしまった。

 

「私を舐めるからです!」

 

 違うんだよ。俺は悪くないんだよ。せつ菜がカーブに合わせて体を動かすのが悪いんだよ。右に移動しようとしても中身の入ったコップを横に置いたせいで移動できない。コップは新しいのを用意しましたよ?

 

 

 

「私の勝ちです!」

 

 あの場から移動することもできず、右カーブのたびにせつ菜の頭が当たるため集中できず、ミスを連発してしまった。しかもそのたびに後ろから物凄い視線を後ろから感じるし。おのれ優木せつ菜……!

 

「せつ菜ちゃんの全勝だね」

「ありがとうございます!」

「あれ~? あんなに余裕みたいな雰囲気出してたのにせつ菜ちゃんに負けちゃったの~?」

「うるせいやい」

 

 侑に頬をツンツンされて煽られる。やっぱり根に持ってるな。

 

「しゃあない。優勝賞品として、せつ菜にはこのきのこのお菓子をあげよう」

「あっ、私たけのこ派なのでそっちにしてください」

「は?」

「え?」

 

 はぁー、こいつたけのこ派かよ。

 

「侑さんはどっち派ですか?」

「私もたけのこかな」

「……歩夢は?」

「えっと、私もたけのこ、かな」

 

 俺以外全員たけのこかよ……。

 

「ほら、友紀さんもたけのこ派に改宗するんですよ」

 

 せつ菜がたけのこ両手にジリジリと近づいてくる。後ろに下がって逃げようとすると、左腕を侑に、右腕を歩夢に掴まれる。

 

「これは罰ゲームだよ」

「ごめんね友紀君……」

 

 いや、どんな罰ゲームだよ。罰ゲームで改宗させられてたまるか。あと歩夢は笑顔で謝るのはやめてください。せめて申し訳なさそうな顔してくれ。

 

「ふふふ……」

 

 せつ菜も怪しい笑みを浮かべながら近づいてくる。やめろ、近寄ってくるな……。

 

「えいっ!」

「むぐっ!」

 

 4個のたけのこを口に突っ込まれる。さっきまで2個しか持ってなくなかった?

 

「味はどうですか?」

「うーん……せつ菜の指の味……」

「違います! 私の指の話じゃありません!」

 

 俺は意地でも改宗しないぞ。あと味の話をしたら右腕に痛みが走った。歩夢さん痛いです……。たけのこの味を誤魔化そうとしたからって俺の腕をいじめるのはやめてください……。

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