ゲーマーと虹色の少女たち   作:一般紳士君

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前回のタイトルの話数が間違っていたことに気が付いたので初投稿です。


非常に今更ですが、この小説はアニガサキの5話終了後、6話に入る前の世界線になっています。なので、璃奈ちゃんはまだボードを持っていません。


第5話

「あっ、友紀さん」

 

 のんびり昼飯を食べていたつもりはないのだが、俺が中庭に来た時にはすでに天王寺は来ていた。優しい顔ではんぺんがエサを食べているのを眺めていた。

 

「ごめん、待たせたか?」

「ううん、今来たところ」

 

 はんぺんのエサも残り少なく、明らかにかなり前に来ていたことがわかる。だが、天王寺が今来たと言うならその優しさに甘えよう。

 

「今日はこれを持ってきたから友紀さんに遊んでほしい」

 

 そう言って天王寺は自分のカバンからタブレットとコントローラーを取り出した。髪と同じピンク色のコントローラーはやけに天王寺に似合っている。

 

「私が昔作ったゲーム。ゲーム好きの友紀さんにも遊んでほしくて」

「天王寺が作ったゲームか。すごいな。1人で作ったのか?」

「うん。半年くらいかかった」

 

 半年もか。超大作じゃないか。

 天王寺からタブレットとコントローラーを受け取る。タイトル画面もすごく凝っている。

 

「『ファイアーダース2』か。1も作ったのか?」

「うん。でも、こっちの方が自信があったから」

「天王寺の自信作か。それは楽しみだな」

 

 スタートを選択し早速ゲームを開始する。

 

 ゲーム画面になると銃が映し出された。なるほど、シューティングゲームか。自分のアバターは手の部分しか見えないから一人称だな。ボタンをいろいろと押すと前転したりジャンプしたり横に跳んだりとなかな本格的な動きをする。

 

「一人称のアクションシューティングか。渋いな」

「友紀さんならそこに注目してくれると思ってた」

「ゲーセンだと一人称のは結構あるけど、家庭用のゲームだとあんまり見ないよな」

「だからあえて挑戦してみた」

 

 ステージも壁のひびや床の石ころなど細部までよく作られている。音楽は多分フリーのものを使っているのだと思うが、ステージの雰囲気には合っている。

 ステージを少し進むと最初の敵が出てきた。銃を構えた軍服のキャラだ。戦争中という設定だろうか。割とよくある設定だが、それが逆に良い。

 

「敵は強めに作ったから気を付けて」

「任せろ。ノーコンティニューでクリアしてやるよ」

「頑張って」

 

 様子見にと1発撃つがあっさりと避けられる。ふむ、よくできている。確かにこれは手強そうだ。

 敵の体力を一気に削ろうと連射するが、当然のように避けて距離を詰められる。それに合わせてこちらも再度照準を合わせるが、それも避けられ距離を詰められる。それを何度か繰り返しているうちに目前まで敵が迫り、手から銃を捨て懐から取り出したナイフで刺し殺されてしまう。

 

「あのあの、1発すら当たらずに負けたんですけど」

 

 画面に表示される『GAME OVER』の文字を見ながらどうやって勝つかを考える。……いや、無理じゃね? 敵の体力がどれだけあるかはわからないが、銃が2つあればとにかくばら撒きまくっても削り切れるかもしれないが、1つだとばら撒くと火力が足りなくなるだろう。

 

「敵の体力は1に設定してある。だから1発でも当たれば倒せる」

「なるほど、ばら撒き作戦が正解なのか」

 

 それさえわかってしまえば怖くない。逃げ道がなるべくなくなるように銃弾をばら撒くだけだ。

 

 リスタートを選択し再び敵が出てくる箇所まで移動する。

 今回は作戦通り銃弾をばら撒く。敵の逃げ道がなくなるように考えながら撃つ。しかし、それでも敵は弾幕が僅かに薄いところに潜り込んで避け続ける。なんてAIだ。だが、さすがに距離を詰める余裕はないようだ。このまま攻め続ける。

 撃ち続けるが敵もギリギリのところで避け続け、先にこちらの弾が尽きてしまった。敵はこの機を逃さず、俺がリロードをしている隙に一気に距離を詰め、手から銃を捨ててナイフを取り出す。さっきまで手に持ってた銃はおもちゃか?

 

「その動きはさっき見た」

 

 振るわれるナイフを後ろに跳んで躱し、リロードが完了した銃を再度構える。だが、敵は右へ転がって射線から逃れる。再び銃口を敵に向けるも、それよりも先に懐から拳銃を取り出して俺を撃ち抜く。

 再び表示される『GAME OVER』の文字。

 

「ふぅぅぅぅぅぅぅ」

「どうしたの? もうギブアップ?」

「いや、ギブじゃない。ギブじゃないんだけどさ……敵、強すぎない?」

 

 なんやねんあの動き。あの状況から横に回避する選択肢があるAIマジでどうなってんの? というか、いくつ武器隠し持ってんだよ。銃なら最初持ってるやつでいいだろ。なんで毎回捨てるんだよ。なんで毎回ナイフで攻撃してくるんだよ。距離を詰める暇があったら遠距離から撃ち殺せるだろ。

 

「よくこんな強いAI見つけられたな。まるで歯が立たん」

「探してない。一から自分で作った」

「これも天王寺が作ったのか!?」

「うん。すごく大変だった」

 

 マジで? この子技術力ありすぎじゃない? うちのクラスにもAI作れるやつなんていないぞ。本当に1年か? 実は学校2週目だったりしない?

 これはなにがなんでもクリアするしかない。このままだと元から少ない先輩としての威厳が完全になくなってしまう気がする。

 

 

 

『キーンコーン』

 

「友紀さん、どうだった?」

「参りました」

 

 なんとか最初の敵を倒すことはできたが、予鈴が鳴るまでにクリアすることはできなかった。俺の完敗だ。

 

「面白かった?」

「ああ、すごく面白かったぞ。敵を倒すために作戦とか立ち回りとか結構しっかり考えなきゃいけないのが面白かった。俺はもともと作戦とか立ち回りとかそういうのを考えるの好きだからな。同じタイプの人にはこのゲームオススメかもしれないな。あ、でも難易度の高さに心が折れない人以外にはあまりオススメできないかも」

 

 俺は最終的に心が折れました。苦労して最初の敵を倒したのに、その先に同じ敵が3体同時に出てくるんだもん。当然ナイフでめった刺しにされました。あんなん勝てへんで。

 

「ほんと?」

「ああ」

「嬉しい。ありがとう。友紀さんに遊んでもらってよかった」

 

 天王寺の声が弾んでいる。相当嬉しいのだろう。その気持ち俺もわかる気がする。俺も小学生の時に頑張って作った工作を先生とか友達に褒めてもらえて嬉しかった記憶がある。苦労して作ったものを誰かに褒めてもらえると自分の成果が認められたように感じて、なんというか報われたような気持ちになるんだ。多分天王寺も同じ気持ちだろう。

 

「もう時間だから行かなきゃ」

「そうだな。じゃあな天王寺」

「うん。友紀さん、また後で」

「ああ、また後で」

 

 手を振って天王寺と別れる。

 ……あれ? さっき天王寺また後でって言った? どういうことだ? 放課後また会おうってことか? でもそんな約束はしてないし……。

 

 どういう意味で言ったのか聞こうと振り返るが、すでにそこに天王寺はいなかった。いったいどういう意味だったのだろうか……。




○『ファイアーダース2』
 知る人ぞ知るゲーム。この世界では璃奈ちゃんが1人で作った設定。グラフィックが綺麗なだけの作業ゲーとは言われない。なお、難易度は恐ろしいほどに高い。実は璃奈ちゃんもクリアできていない。

○「ノーコンティニューでクリアしてやるよ」
???「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」

○『この子技術力ありすぎじゃない?』
 この世界の璃奈ちゃんは高い技術力を保持している設定。現在2年生の主人公よりも高い。

○『苦労して作ったものを誰かに褒めてもらえると~』
 作者の経験から。

○『また後で』
 もしかしたら部活で会うかもしれないね()
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