時を越えて繋がる双子の魔王 ~史上最強の魔王の兄と史上最恐の魔王の妹の二人が転生して子孫達の学院に通う~ 作:龍姫★サキ
ペースは順調ですが、書き上げる事が多過ぎて追い付かないのが現実。
戦いの幕は遂に切られる
クレハの策とは…?
如何にしてアノスを追い詰めるのか…?
それではどうぞ。
鈍い金属音が鳴り響く樹海。
その音が鳴り響いた後にその周辺が抉れるような衝撃波がその樹海を切り刻み消滅する。
その中央にて剣と剣をぶつけ、鈍い音と衝撃波を辺り一面に散らす…
その光景を見ると、互いに一歩も引かず、両者共にまだ本気でもない前座の前置きという演出でもあったかの様に両者共に余裕である。
「流石に、この剣を使わねば渡り合えないな。…貴様のその剣…理反剣【リフィルス・ゲイル】だったか?敵ながら見事だ。今になっても尚、衰えることは無い強さとはな」
話しているこの男こそ、かつて暴虐の魔王と恐れられた者である。名前が『アノス・ヴォルディゴード』である。
髪は黒く目の色は赤黒い。
服装は、この時代の服であり、尚且つ、今はこの時代の学院に通える服装である。
因みにその色は白と灰色に染まっている。
以前とは比べ物にならない服装だが、意外と馴染んでおり結果違和感はない姿である。
「お褒めに預り光栄ですわ♪…でもぉ…『ワタシ』だけに気を取られないようお気をつけくださいませ?」
アノスに向き合う気質が高く高貴で丁寧な喋り方をする彼女は、あのアノスが手を焼く位に苦戦してしまったクレハに【完全憑依】して身体を乗っ取りアノスを試した魔王中の魔王。
─彼女の魂は今はここに在らず、クレハと共存する形で存在している。
彼女が世界は、この世界とは全く縁がなく、同時に『魔物』という異形の生物がすむとされる世界。
即ち、『魔界』の女王であり尚且つ、そこを統治していた王族。
名前は『アリス・ディルへヴィア』である。
彼女の名前曰くこの世界にちなんで名乗っているだけである。
実の所はその名前自体が存在すらもしない。
つまりは、名前無しなのである。
彼女の名前は、昔に呼ばれていた名前から取ったらしく『混沌のアリス』と呼ばれていた。
理由は、簡単で性格が気紛れで身勝手。
尚且つも、遊ぶ事と悪戯が大好きでありいつも皆を困らせていた。だが、彼女の事を皆は憎めない。何故ならこれ以上ない人助けが大の得意だからである。
しかし、彼女は変わってしまい今では性格はそのままだが、やることは反転し虐殺と破滅と絶望を望む混沌なる怪物と化してしまったと言われていた様だが、それは単なる言い伝えなのだった。
本当の所は何も変わってなんかいないのに、人々はその噂話を本気で信じ、彼女を理不尽に魔界へと追いやり、その姿と歴史に運命すらも封印され消え失せた。
…これが彼女であり、今では『魔物』や『魔獣』に『異形の魔人』を従える王族なのである。
脱線したが、彼女の血筋は特殊で、所謂…『魔族全てが生まれる元素にして始祖の血を引いている』のである。
─詳しく説明すると…
この世界で言うところの『ここで魔族と呼ばれるかなり前の純粋な魔族』簡略化するなら『魔族という種族の原点である始祖』
─即ち、この世界が生まれる前から存在した『魔族』にして『魔王と呼べる力とその統率力に自ら持つ無限の魔力と全知と呼べる知識と知恵を持つ神』として語られ、今ではその歴史すら闇に葬られた魔族の神である。
想像するのなら、本当に悲しくも歴史的にはおぞましい本来辿る筈だった『真なる暴虐の魔王』の原点である。
髪はストレートロングでクレハの姿に若干遠くなったが形は似ている。
髪飾りに赤黒い薔薇をつけており、この薔薇を飾るカチューシャは、茨のみで構成されているもその薔薇は、今も生き物のようにウネウネと動いている。
目の色はアノスと若干似てはいるが違うのは、赤黒くも綺麗ではない濁った血の色である。
服は、刺々しくまるで黒い茨を纏ったかの様なドレスを着ている。
その服に纏わりつく茨の蔓は、生きている様に動いておりまるで着る主に指一本近付くことすら許さないかのように、常に且つ静かにゆらゆらと動き警戒している。
胸の中央には茨に咲く一輪の大きな薔薇がついておりその大きさは胸と喉の間で黒く咲き誇っている。
その中央に小さい物の縦長の眼の様な花が二重に咲いている。
─それは、その服全てを見ているかの様に眼は常に小刻みに蠢く。
それはその服に所々に付き咲いている花にも行き渡り、一定の感覚でそれぞれがそれぞれバラバラに目玉が不定期に蠢いていた。
…一般的な用語で言うなら『気持ち悪い』が妥当だな。その位には、彼女の着る服は異質極まりない。
アリスがこう話したその瞬間、俺の元へ放たれた魔法の質が俺の肌に警戒を呼び掛けたのだ。
「ほう?よく考え、油断したその瞬間を狙って放った魔法の様だな?中々どうしてもやるようだが、この俺がそう簡単に当たってくれると思ったか?……そして、この先すら知らないと思ったか?」
俺は、その言葉を言い放つその同時にその場の距離を、大きく取った。
その瞬間にすれ違い様に火炎(グレガ)並の大きさの炎属性の魔法が先程俺のいた場所へと着弾する。
だが、なにも起こらないな。
そう思った次の3秒後…途端にその周辺が大爆発を引き起こした。
先程の魔法の大きさとは比べ物にならない程に周囲に置ける大爆発。
例えで言うなら、先程の魔法で換算して、当時の俺が放ったであろう超獄炎殲滅砲(デルト・グレイズ)の比とほぼ同じだった。
「チッ。当たると思ったけど…やっぱり超越してるなぁ…アノスは変わらない。尊敬に値するよ」
魔法を撃った張本人。
名前が俺の妹で『クレハ・ヴォルディゴード』
魔力やその知識に満ち溢れ、魔法研究の一足先行く技術力を自慢の妹だ。
武力は余り持ってはいないものの、魔力の極みのその先すら越えた魔法を扱う異次元の天才。
その魔力を応用して作った武器こそが彼女の一番の切り札の終裂剣【アダヌズノヴァ】でありそれこそ魔法概念すら超越した力を最大限に活かせる武器なのである。
「この程度のお遊びでもう勝ったつもりだとは…情けない。勝負は何が起こるかわからないのは基本中の基本だ。まさか、この程度の力だけで俺を倒せると思ったのか?」
「まさか、そんな筈ないじゃん。この程度で根を上げるようじゃ私のお兄ちゃんと呼べないし、この攻撃位は余裕で避けると思っていたよ」
「ワタシも同様。これで倒れられたんじゃあの時の因縁すらワタシは果たせないわ。もしも、当たったとしても無傷で終わる筈とワタシは思っていましたもの。倒せないのは当たりまえでは無くては」
まぁ、妹達からしては当たり前すぎる回答だな?
ここで俺がやられたのなら最強最悪の暴虐の魔王としての名前が廃る。
「お喋りが過ぎてしまったな様だな。俺としたことが。情けないな。勝負の続きを始めよう」
「そうだね。何時までも話すわけいかないし…さっ!」
クレハが話を終わらせたかと思うとアリスが、攻撃を再開し始める。
そして、同時に先程の様な手順にて俺を攻撃し始めたのだった。
「ふぅうぅぅうっ!!やぁぁっ!!」
「くっ!?だが甘い!!」
俺に向かってくるアリスの刃を俺の理滅剣で受け止め、相殺。
即事に俺からの剣撃を食らわした…
が…
「なぁっ!?」
「させないよ!!」
其処へクレハの先程の魔法がアリスと俺の剣の前に突如として現れ俺の剣の攻撃が魔法に直に当たる。
その瞬間に魔法が引火したかのように、光だし俺は逃げる間もなく当たってしまう。
「…この程度だとは思っていたが…なかなかどうして面白い戦いかたをするようだな?一応聞くが、先程の魔法名は決まっているのか?」
─俺にとってはダメージは皆無だがな。
俺がそう訪ねるとクレハは、自慢げに語り出す。
「そうね。決まっているよ。この魔法の名前は爆炎(グレイズ)。火炎(グレガ)並みの使用魔力だけで獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)並みの威力を叩き出す事が出来る特殊改竄炎属性魔法の一番最弱過ぎる魔法な訳」
「因みにこの魔法の威力は獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)より少し劣るけど灼熱炎黒(グリアド)よりはかなり最上級に近い位に高い魔法だよ」
「ほう?流石だな?クレハよ。この俺をここまで驚かすとはな…」
「…話していて、随分余裕な様だね?」
「この表情を余裕と見えるのか?」
「見えるに決まっているじゃん!…というか、実際どんな表情してても余裕にみえちゃうし…アノスの事だし…」
「言えているな。…否定はしまい」
…にしても…クレハの特殊魔法…だとは思うが、幻想顕現解離人格(フィリニング・デュアン)…だったか。
アイツはどうやって魔力を維持しているのだ?
…いや、そもそも…あれは分離特殊魔法(ディ・ジィル)の類な筈。因みに特殊魔法の類は、大体は記憶はしてある。何度も俺に使われてその度に説明をクレハがしていたしな。
だが、先程の巧みなる連携プレイは自らの人格二つで行っている為、見事とは言い切れないが普通は出来ない。
何故ならその様な方法をとると言うのなら幻想の肉体には常時魔力を使用し続ければ存続出来ない筈なのだ。
「なに?考え事?余裕は与えないよ!!」
「フフっ!!考えより行動してくださいな!」
アリスの攻撃が俺の剣で防ぐ…も…
「─ぐっ!?」
その攻撃は防いだはずなのに自分に多少なりだがダメージ。
どういうことだ?
疑問は残るな。
…いかに魔法の使い手で有ろうと、その制限は突破が出来ない。所詮は二人格だからな。
幻想の肉体を維持続けた上で魔法を使用するならばクレハだろうと立っていられまい。
そして、先程の衝撃の様な体へのダメージはアリスはそんな力をだしているようにも思えん…なにかが引っかかる…。
クレハは、魔法を使う物の魔力の消費も無い様子…。
尚且つ先程の様な魔法を連携までさせて撃ってきたのだ。
別に支障は俺には無いのだが、どうも今回の勝負はどちらか一回死ぬかギブアップするまで終わらない可能性がてできた。
…簡易な予想になるのだが、この連携が無制限に続けば俺とて耐えられず勝敗が彼方に傾く事も少なからずあり得る。
兄としては、威厳を削がれたくはないな。
常に孤高であり続けなければ兄とも呼ばれなくなるもの近く、さらには敵対してしまう事も未来には在るかもしれない。
…我ながら負の予想がついてしまったが。
だが、その様な運命の通りに行くと思ったか?
この俺を誰だと思っている。
暴虐の魔王…アノス・ヴォルディゴードだぞ?
…。
相手がもたらした、コンマ一秒のこの一瞬の隙にて俺は高速で頭を回転させる…
クレハとアリスが不意に自慢してきた数々の言葉…。
そして、この戦いの最中で起きた数々の不可思議な点。
…………。
クレハが言っていたであろう言葉の一つ…。
『二人は一人。一人は二人』
………………。
あと少し、その言葉の通りになる可能性が生まれるきっかけの合鍵が俺との会話の何処かの言葉にて実証できる筈だ。
…『幻想の身体』…連携が『阿吽の呼吸』で取れる。
…俺に攻撃させないような『隙のない動き』
……!
─そうか。
なかなかどうしてそういうことだな。
アイツの魔法と行動に連携が完璧過ぎる理由のからくりが確証出来たな。
その魔法の使用した際のリスクとデメリットがな。
諸刃の剣とも呼べるこの魔法はクレハとて大胆な作戦だがな。
それを悟られぬようにわざわざ隙を作らないように仕向けたのか…。
それ全て含めての『隙無い連携』という形をとって俺に、戦略すら練らせない寸法だったか。
クククッ!
これは一本取られたな。
…しかし、一本取られたのは知識だけだ。
『この勝負』をこの俺がみすみす見逃すと思ったか?
『たかが模擬戦』だとして、この俺がお前達を『殺す』だけで済むと思ったか?
お前達が攻撃するその余裕。
その自信に道溢れた勝機。
この魔王の前に立つならそれ全てが皆無となるのだ。
何故かその理由は解るか?
…お前達二人が培っただろう知識量勝負だけで、この暴虐の魔王に勝てると思っただろう虚空の夢は、残念ながら儚く散り、同時にその返しは千倍へと膨れ上がり、押し寄せる言葉にならない位の物量の恐怖。
…お前達の実力程度では、本気の俺という壁すらも越えることは永久不変に不可能で無謀と言う真実のみ。
…そのついでだ。
…この俺自ら物理的の鞭を取り、お前達に『暴虐の魔王』とは何という理由を永久に忘れない様に丁寧に教えてやるぞ?
感謝すると良い。
この『暴虐の魔王』がいかに恐れられた理由にその魔王が使っていたであろう『力ずくでねじ伏せる』そのやり方が、一体どれ程の『モノ』なのかを教えられるのだ。
「─クククッ…お前たちの魔法のからくりは、暴いた。…さて、ここから俺の全力の反撃と行こう。手も足も出せずにお前達二人は、この俺にひれ伏すのだからな!!」
どうですか?
次回はついに決着。
クレハとアリスの編み出した魔法の欠点とは?
この連携にどう対応するのか!?
次回に続きます。ではまた来月お楽しみに。