アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

18 / 40
ケルシコに目覚めたので初投稿です


小話:わからないヤツとわかってる人

アーミヤ。

ロドスのCEOであり、多くのオペレーターたちを支える立場。そしてドクターとケルシーに支えられながら健気に現実と戦う少女。

現実を現実と受け止めて、幻想を如何にして矛盾なく現実に落とすか。そしてそれがどれほどの苦痛を必要とするかを理解しているし、インテリだしレスバも強い。

 

更にバベルの謎をその身に宿し、Wからはテレジアの継承者として目され、Gからクイロンの後継者として目される。

 

「クイロンの後継者」

「アーミヤです」

「……すまない」

 

まーたやってるよと。

ロドスでは珍しいことではない。アーミヤのことをGがクイロンと呼ぶのは。

酷い時はもう──

 

「アーロン」

「誰ですか!?」

「いや、クイミヤだったか」

「アーミヤです!」

「そうだ、クーロン」

「だからアーミヤですってば!」

「……クロサワ?」

「違います! アー! ミ! ヤ! です!」

「そうそう、アーミヤだ。うん。すまんな。つい憧れの存在の後継者が目の前にいるもんだからゴッチャになった。それはそうと鎧展開して握手してくれないか? あと写真を……」

「ヒーローショーの記念撮影会気分ですかあなたは!? ミステリアスで狂奔のままに闘争を楽しみ最強を目指しながらWさんの尻に敷かれているGさんはどこへ!?」

「何を言うか。オレがクソガキだとオマエもよくわかっているだろう。考えてもみろ、ブレイズの血で騒動を起こすようなヤツがマトモな訳ないだろ」

「うわ……その言い方すごく腹立ちます……」

 

意図して惚けているのか、それとも天然で惚けているのか。Gと会話をすることのある人間で、それを判別できるのは余程の人物だけだ。エンカクのようにわかった上で乗ってくる人間もいれば、Wのようにマジレスする人間もいる。そしてわからないで振り回される人間もいる……今のアーミヤのように。

 

「で、だ。少しは気が晴れたか。大声を出すというのは精神衛生的にもいいことだ。感情の発露を妨げてしまうと、心身共に悪影響を及ぼすという。時には理性を緩めるのも良いと、古の格言にはある。ロドスの為にと身を粉にして働くのはいいが、詰め過ぎれば壊れるぞ。ドクターやケルシーのように、程よく息を抜け」

 

──とは言え、意図してボケる時は大抵そうやることが話し相手にとって良いことに繋がると理解している時だ。アーミヤのここ最近の働き詰めを見兼ねて、Gは自ら助け舟を出した。

そういうことだったのかと理解したアーミヤは、なんとも言えない表情をした後にため息を吐いた。

 

「息を抜け、と言われましても。仕事の最中にどうやって息を抜くんですか」

「いつだかにはシエスタで水着姿をドクターに披露したと聞くが、そういうことではない。音楽に身を任せるなり、酒を飲むなり、眠るなり、安心できる者の側で温もりを感じるなりで、一時の安らぎを得る程度で良いのだ」

「……そうなると、やはりドクターの側にいることが私にとっての一番の安らぎになりますね」

「ならば少しだけ、時間を貰えばいい。アイツとて心を取り戻したんだ、娘の如きオマエとの語らいを拒むほど甲斐性がないわけでもあるまい。Wからテレジアの継承者と言われ、気を張るなというのは無理な話であろうが、気を張り過ぎるのもまたいかん」

「あなたの望む最強のクイロンは、そんなことをしないのでは?」

 

意地悪な質問だなとは思ったが、この男からそんな言葉が出てくるとは驚いた。だからと尋ねてはみたが、当人はさして気にする様子も無いまま。

 

「美味い飯に憧れて、レシピも知らないままそれを自分のものにしようとする料理人と同じなんだよオレは。確かにファン心理としてはどういう経緯とどういう材料で、どういう過程を経て焦がれた形になったのかは気になるし、聞かせて欲しいとも思うさ。こう見えてもミーハーなものでな。オレはクイロンの在り方に最強を見出したが、クイロンに最強であってくれとは望んではいない」

 

最強でありたいのは自分であり、クイロンはあくまでも憧れに過ぎないのだとあっさり告げた。例えクイロンが実は女々しい人物だったりしてもそれがどうした? 我も人、彼も人。人なのだから中身がどうあってもそれはそれだ──真実と伝記は違うと理解している大人の視点。

そういうことができるのにどうして、と思わなくもない。だがこの男は愚かにも最強を目指すのだと、アーミヤもそうした視線を向けられる側となってようやく理解した。

故にテレジアは最後に立ち塞がる宿命となることを是とし、Wは一連托生の運命となることを是とした。

それが彼に対する最大限の情の現れとなるから。

 

「……本当にWさんも大変ですね。あなたみたいな厄介者と一連托生の道を選んだんですから」

「望んで選んだ道だ。とやかく言うのは本人に失礼だぞ」

「わかってますよ。でもそう呟くくらいは自由でしょう? それに、そんな意図の無いことくらいあなたが一番わかっている筈です。Gさん」

 

子供扱いするなと視線を送ってみれば、おお怖いと言わんばかりに肩を竦める。

 

「まったく、何処の誰に似たものやら」

「少なくとも、あなたが苦手な人たちですね」

「ふっ、違いない。ところでCEO」

「なんでそう呼ぶのかはわかりませんがなんですか」

「最近、Wがオレに黙って散財しているらしくてな。ただでさえ補充などで結構使ったってのに、ロドスから資金が降りても、それは貯蓄に回すべきだ。ウチの懐事情はラテラーノ銃で荒稼ぎしたとは言え、これからのことを考えれば貯めておくに越したことはない」

 

……そういえばWがこの前、ドクターの秘書に任命された時に散財してきたと会話していたのを聞いたことがある。実際洋服だったし、チェックも通したのは記憶に新しい。まさか知らないのか? とアーミヤは怪訝な顔をする。一方、そんな彼女に気づかずに、Gはぶつくさと文句を垂れる。

 

「冷静に考えれば、あんなものに金を使うのはわからない。必要分と予備を用意してあるし、他にいるものは消耗品などだし、それに備えた金は用意しておくべきだろう」

 

この男、使うときはとことん使うが使わないときはとことん使わない、ドが付く程のケチである。故にWの考えがわからない。

 

「……なあ、アーミヤ。見せる相手もいなければ、どうせ使いもしないのに服を買い溜めるWのことがわからんのだ。オレには」

 

言いやがった。この男言いやがった。愕然としながら聞き返す。嘘だろお前、見せる相手も使う場面もあるだろうと。

 

「えっ、本気ですか」

「マジ。まっっったくわからん」

「誰だって着飾って綺麗になりたいと思うものですよ?」

「……その手の話は、まったく共感できん。無論、理屈は理解しているがな」

 

外見的醜美に囚われることがなくなってしまったGは、着飾る美しさなどを理解できても共感できない。見てくれだけ良くても中身がダメならそれは腐った大木だと彼は判断して焼き払う。最強というモノに囚われて、外見よりも中身を重視するようになった彼が外見的醜美について何かを言う瞬間とは、それこそおべっかを使う時くらいだ。

──そしてWがどんな格好をしていようが、それが愛しき苦痛(忌々しい古傷)である以上、すべて受け入れる。

 

「待て、まさか──W……お、っ……男でも、できた……のか?」

「いやいやいや落ち着いてください。なんでそうなって勝手に動揺しているんですか」

 

無いってわかってそうな人がそういうのあるんじゃないのかと思うのはバグなのだろうか。

本人の許可をもらってアーツで読心した際に見えてしまったが、WはGに対してぐっちゃぐちゃに絡まった感情を抱いている。恋人の独占欲にも見えて、家族の反骨心にも等しく、戦友の信頼と信用がある。つまりもうそれらを超越した関係にあり、Wにそれとなく聞いてみたところ帰ってきたのは。

 

「あたしが抱くのも抱かれるのも、あいつだけよ」

 

という男らしいセリフが帰ってきた。

なのであり得ないとわかっているが、一方でそっちのアホは「いや……あんなクソ女に惚れる男とかいないしクソ女が惚れる男とかいないって……」とか呟いている。バカじゃないのか。

 

「落ち着いてくださいGさん。Wさんですよ? テレジアさんの忠臣です。ドクターを殺害リスト3番目に入れている人ですよ? そんなことありません」

「いいや、人の気とは移ろいやすいものだよアーミヤ」

(別れてからの正確な日数まで記憶していて、隠し撮りの写真もいくつか持ってるような女性ですからそんなことあり得ないと言っても……いえ、これはWさんに失礼ですね)

 

流石に乙女の秘密を気軽に暴露できるほどアーミヤは黒ウサギではない。

 

「……あれ、待てよ。そういやアイツ、3年ぶりに会った時正確な日数をオレに伝えてきてたな。それになんか気分悪くなるとオレに構えとアピールしてくるし、最近なんかやたらと駄犬扱いしてくるし……まさかオレは、ペットか何かの扱いなのか……!?」

 

このボケは独自の仮説を弾き出しているし。

 

(これ、Wさんに言った方がいいかなあ……? なんか、わかっててそうしてそうだけど)

「すまないアーミヤ。オレは急用が出来た」

「え? ちょっとGさん!? 急に銃を取り出して何処へ……」

 

ズガァー……ン(発砲音)

(ドアを蹴破る音)

 

「ドクター! Wから何か聞いたか!?」

「なんですか貴方は!?」

「あっ、ダメだG! 今私の執務室にはイグゼキュターが親切心で設置してくれた地雷が……」

「たかが地雷原の一つや二つ!!」

「バカな……!? 跳躍中に銃の反動を利用した、バレルロール……だと──!?」

「頼むから真顔でバレルロールしつつ私に近づくなG! W関係ならケルシーに聞け!! 私は何も知らないぞ! あと執務室で発砲するな! 強装弾を使ったくらいで気遣いにはならないぞ!」

「本当だな!? 実はWとふしだらな関係になってたりとかしてないよな!?」

「私が一番なれるわけないだろう!? 彼女の事を理解しているお前がどうしてそんなことを言うんだ! 正気に戻れ!!」

 

(銃ブーストして部屋を出るG)

(全力疾走)

(ケルシーの部屋に全力で入り込む)

(部屋を出ようとするケルシー)

(ぶっかってしまい押し倒すように倒れ込む)

 

「ケルシー!」

「なんだ」

「Wから何か聞いているか!?」

「何も。洋服に金を使ったくらいだが」

「用途は!?」

「用途……? ああ、そういうことか」

 

何故彼がここまで変になっているかを理解したケルシーは、押し倒すGの頬に手を当てる。

 

「君が、彼女の言うメス猫にうつつを抜かしているからじゃないか」

「は?」

「君は妬いているのか。新しいWの装いを真っ先に見れないし、内緒にされていることが」

「……いや、まったく……」

「私の前で下手な嘘はやめておけ。君のことは、そうだな……少なくとも心がどう揺れ動いているかについては、私以上に詳しい者もいまい」

 

ここはWよりもよく知っていると自負している。どういうタイミングでどういう言葉をかければ、Gの人間性が出てくるのかというのは、長きに渡る授業の中でよく理解した。それに──

 

「……それで、退いてくれないか?」

 

ケルシーとて人の子だ。

悪戯心が沸く時は、ほんの少しだけある。

 

「退かないのならば、私はMon3trで抵抗しなければならなくなるが。仮に愛を嘯くのであれば、もう少し時間を遅くするといい。寝静まった時間ならば、大きな音を出しても誤魔化せる。それにWにも気付かれない」

「──アンタ、何言ってんだ?」

「君こそ何を言っている。こうして私を熱烈に押し倒してくれたじゃないか。側から見れば、そういう場面になるぞ」

「すまない──!」

 

急いで離れるGがバカのようで、呆れたため息が出る。最強や戦場から離れればすぐにこんなものだ。そもそもこの男は研究者や哲学者などが適任なのだ。意味を問い、価値を問い、無情を問い、真理を見つめ、その中で己を見出す。

願いと素質が悲しいくらいに正反対な存在。

身体を起こしつつ、まったく厄介な馬鹿者を弟子として取り、気に入ってしまったものだと自嘲する。こんな馬鹿は、永く生きていてもそうそういない。

 

「ああそうだ」

「……なんだよ」

「状況に気付いた時の君の顔、可愛かったぞ」

「──じゃあな」

 

そら、下手くそな照れ隠しだ。

全く変わりない馬鹿を見て、ケルシーはやれやれとため息を吐くと、今回の騒動で発生した諸々の被害の補填について考え出した……




Gくん
賢いけどバカなので超理論を弾き出して暴走した人
アーミヤを彼なりに気遣っているが、その気遣い方は滅茶苦茶独特
ミーハー

アーミヤ姉貴
名前を間違えられた人
ロクでもないこの男の手綱は大変だなあとW姉貴を尊敬する
始末書はキッチリGくんにつけた

ドクター
あらぬ疑いをかけられた人
考えてみてほしい。無表情のまま地雷原をバレルロールで突破してくる男の姿を。こわい

イグゼキュター兄貴
地雷原をバレルロールで突破する変態に戦慄した人

ケルシー先生
色々あって押し倒された人
最初は何事かと思ったが、Gくんの暴走具合を見て事情を察した。押し倒されたことに思うものはなかったが、求められたらまあと答える気くらいはあった
どっちにしろオイシイ思いをした人

W姉貴
わかっててやってる人
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。