アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告 作:W姉貴に負けたい人
Gという存在はロドス内部でも独特だ。
かつてレユニオンに雇われていたサルカズ傭兵団の一員にしてリーダーたるWの腹心的存在、カズデルの内戦で最狂の殺戮者『ジェヴォーダンの獣』を殺した凄腕の傭兵という異色の経緯と立場。
口を開けば難解かつ回りくどい言葉が飛び出て暖簾を押しているような感覚を与えてくるのに、作戦遂行時には的確な行動とフォロー、普通の会話という意味不明な二面性。
サルカズの中でもブラッドブルードという変わり種であり、特殊性故にほとんど本艦に滞在しない傭兵団であるが艦内に滞在することが、Wたちと比較した時と付くが比較的多い。
更に言えば揉め事を起こすわけでもなく、ただ艦内を観察するように眺めて、茶を飲み本を読み煙草を嗜み──言葉こそ詩的過ぎて理解が難しいが、犠牲者に対する尊重らしきものが見えて、基本的には騒動を起こす気が全く無く、突っかかったエリートオペレーターに対して粛々と艦内でこうした騒動を起こすことの危険性とやるなら作戦行動中の事故に見せかけるか正式な許可を取れなどと説く。
端的に言えば……ロドスに所属するオペレーターの中で極め付けに浮いていた。
言動さえ除けばロドスのオペレーターと比較しても上位に位置するような常識的対応。かつての敵であり仲間の仇でありながら、何をするわけでも何を言うまでもなく、小難しい哲学書や医学や政治学などの書物を読み耽る──Wの腹心たるサルカズの傭兵にして悪名高いブラッドブルードとは思えないような紳士的な態度。
これが"あのG"なのか? そう思ってしまうほどには、 あまりにも異なり過ぎていた。その不気味さにはチェンが無表情になり、ホシグマは唖然とし、そしてスワイヤーが仮眠を取った。龍門でかなりの騒動を起こしたあの男が、これかと。
さて、そんなGだが四六時中ポエムを言い続けるわけではない。相手によっては普通に話すし、花を愛でるくらいのことはする。そして花を愛でるのは一人ではない……
「──どう思う?」
「ここは──これじゃないか?」
エンカクとG。
二人して盆栽の形作りに悩んでいた。
「むぅ、木の形そのものがマズかったか」
「いいや。この形はイイ。とてもイイ。この種らしいからな」
「観賞用としては落第の形ではないか?」
「知らないのか? この形はな、もうしばらくすると毒々しく捻れるんだ」
「初耳だな。やはりやることもないからと慣れないことをやるのはいかんか」
「草木の世話は難しいものだ。一朝一夕で身につくものではない。技術と同じだ。刀剣を磨き上げる行為の中に美を見出そうと思って、簡単に見出せるか?」
「それもそうか。ならば……何を以って生命の美とするんだ、エンカク」
「お前のようにあるがままである花こそ、さ」
嬉しいことを言ってくれるな、と穏やかに笑ったGは剪定する枝に悩みつつも、草木が自然のまま自然であることの美しさについて触れていく。
「好きに生きて好きに朽ち果てる花を美しいか」
「当然。最期には皆枯れ朽ちる。美しく咲き誇る花でさえもだ。しかし枯れ朽ちた花はそれもまた美しい。そう、好きなように生きて好きなように死ぬ。誰の為でもなく……草木はそれが簡単にできる」
「──なるほど。だがオレたちは好きなように生きれば、理不尽に死ぬのが約束されている。なればこそ……か」
「不思議なものだ。俺は奴らの主義主張にはさしたる興味も無く、お前もまた興味は無かった。だがこうして世の無常さを感じてみれば、Wが心酔した女の主義も、なんとなくは理解できるというものだ」
かの内戦。
互いの立場は違ったが、闘争を求めていたというのは変わらなかった。それを実感し、互い顔を合わせて刃を交わしたのがチェルノボーグの一件だけだったというのは、しこりとなって残っており、ロドスで初めて顔を合わせた時に互いにまず一発殴り、そのあとにまた今度と約束したくらいだ。
「だが理解できるというだけ。それだけだろ。オレもオマエも、魂がある場所は闘争の世界だけだ。オレは最強という名の称号を求めるが故に。オマエは生と死の狭間にこそ生を見出すが故に」
「ああ。所詮、俺たちはそういう風にしか生きられないし、生きるつもりもない。いつか滅びるしかないとすれば、運命諸共森羅万象を切り裂いてみせよう……違うか?」
「違いない」
クククと笑い合い、そこで視点がズレたからか、何かを発見したらしいGはチョイチョイと手招きをすると、エンカクと距離を縮めながら真上から盆栽を覗き込む。
「……やっぱりこの枝じゃないか?」
「いいや、こっちの枝の方が──おい見ろ、ここは幼いぞ。切るならこっちの成長し切った枝にしておけ。これは切っていい。だが見栄えを考えると……そうだな。まずは横から落としていけ」
「あっ、やべ、切り過ぎた」
「貸せ」
「なるほど」
「力み過ぎだ」
「あんたたち何してんの?」
「「盆栽」」」
「男二人で植物弄ってるなんてホモくさいわねぇ」
ヒョイと顔を出したWは、自分の半身がやたらと口説く男と一緒に盆栽をやっているなど想像もしてなかったらしく、半分くらい妬みの篭った視線を投げ付ける。一方のエンカクはさして気にする様子も無く、クルクルと盆栽を回して全体の様子を見ていく。
「しかしバランスはいいな。何か芸術に手を出してた時期でもあったのか」
「昔の話だけど、こいつ木彫りをしてた時期があるのよ」
「ほう、木彫りか」
「下手の横好きだよ。期待するな」
WとGがまだ傭兵となる前の頃である。暇を持て余したGが、なんとなく木を彫ってそれっぽいオブジェを作った。勿論、それは画伯と呼ばれるようなものであり、それはもう酷い有様のモノを「人だ」と言われて出された時など、むせる程に笑ったのは忘れられない。
「本当に下手でねぇ。レユニオンに行く前にもたまに彫ってたけど、見れたもんじゃないわ。見たら笑い死んじゃうもの。バベルの頃は──作ってたとは聞いたけど」
「……そんなに下手だったか……だがクロージャに見てもらってそれなりには上達したんだぞ。ワルファリンにも『独創的だな』と言われるくらいのレベルにはなった」
「団栗の背比べという奴だろう」
「なんだと。ならオマエは生花とかできんのかよ」
「できるが」
「クッ……」
なんでこいつは悔しがってるんだとエンカクはGのしょうもなさに呆れ、Wに問う。
「この男いつもこうなのかW」
「戦場以外だとこんなもんよ、エンカク」
「気が抜けるな」
「そうね。本当に別人みたいで面白いでしょ」
「俺としてはギラついたGの方が好みだが」
「あら。あたしとしては腑抜けたGの方が好みよ」
「オマエらどういう張り合いしてんだ」
ふふんと胸を張って威張るWと、そんなWに対してわかってないなと言わんばかりの視線を送るエンカク。そも何故自分のことで張り合っているのかがわからなくて、盆栽を眺めながらボヤくG。三者三様の光景である。
周りから見ている職員たちもざわついている。具体的には普通に喋っているし、普通の人間のように反応するGに。
「まあ、いい。……しかし、うむ……なんだ。ここからどうしよう。なあW」
「え、それあたしに聞く?」
「頼むよオレの半身」
「わかんないわよ。それこそエンカクに聞きなさい」
「何度も言うが、基本はお前の感性で構わん。何をもって美しいかを決めるのはお前なのだからな。盆栽で競い合うこともあるらしいが、そこでもやはり重視されるのは当人のセンスを如何にして現実的な美しさに仕上げるかということ。他人にばかり尋ねても答えはない。お前の言う、考える私こそが答えだ」
そう言うとエンカクは訓練の時間らしく、趣味ではなさそうに去っていく。WもGも時折訓練に呼ばれるが、本気で趣味ではないのでテキトーにやってしまう。エンカクの嫌そうな顔に対して細やかな同情心を見せた後、また再びGは盆栽の手入れを始める。
「まったく芸術とは哲学だな」
「美に終わりはないものよ」
「ケルシーは科学に完璧というものがあってはならないとしていたが、物事すべてに該当しそうなものだ」
「探求の旅に終わりはない。あんたの口癖じゃない」
「そうだな」
──とはいえ、盆栽というのものは長く長く手入れするもの。やることがなくなったのでしばらく眺めてから、暇そうにしているWにGは声をかける。
「この後暇か」
「そりゃ暇よ。補給と報告を兼ねて立ち寄ってるんだから」
「少し時間をもらえるか」
「いいわよ。何すんの?」
「場所を変えよう」
そうして二人は移動して──制御中枢の一角にある空き部屋に辿り着く。
「懐かしいだろう?」
「この部屋、まだあったのね」
「どうやらクロージャあたりが気を利かせてくれたらしい」
バベルにいた頃、内密な話をする時によく使っていた秘密の会議室だ。大体はテレジアとどうやって接したらいいか問題やら、盗撮写真の現像とかの用途であり、会議室とは言うものの誰かに聞かれてややこしくなったら嫌だからと駄々を捏ねたWに対応するべく、Gが夜なべして見つけた一番バレづらい部屋だった。
言ってしまえば二人の共有倉庫のようなものでもあり、仮眠兼用のソファーが設置され哲学書や詩集が本棚にぎっしり詰まっている他、買ったはいいものの使い道も無かった衣服が死蔵されていれば、整備用の簡易工房としての役割を備えているなど、色々とゴチャゴチャしている。しかし一定の居住スペースを確保しているので、見た目ほど狭くはない。
どうやらクロージャが見つけていたらしく、そのままの形で残されていた。部屋の扉には関係者以外立ち入り禁止の掛け札があり、バベルを偲ぶ思い出の一つとして保管されていたようだ。
思わぬ形でバベルの名残りを見つけたからか、Wは微笑みつつ少しだけ過去に想いを馳せてから、それらを飲み込み、傭兵Wへと回帰する。
「……いい仕事するわね、昔から」
「そうだな。ん? これは……誰かが使っていたようだな。少し物が増えているし、オレの趣味じゃない本もある」
「残してくれてるんだし、四の五は言わないわ。ここを知ってるのはバベルの面子だろうし、あたしたちが使ってたって知ってて使えるとしたらかなり限られてくる」
二人でソファーに腰掛け、ぼんやりと部屋を眺める。
「──不思議なものだな。心が落ち着く。ここにいると、テレジアが生きているような気さえもする」
「彼女は死んだ。でも確かにその遺志と力はアーミヤに受け継がれている。ある意味では生きているという表現もできるわ」
「言葉遊びとは、らしくないな」
「そのらしくないも含めてあたしよ」
キャラじゃないというものは、それは認識の話であり、らしくなさを含めて人間だとWは言い切る。彼女自身もまたそう演じる……というよりも、使い分ける人間であるが故に、自分のらしくなさというものを、ある意味では大切にする。らしくあろうとすればあろうとするほど、途端に薄っぺらくなっていくものでしょう? ──そう視線を投げてみれば、返ってきたのはそれをオレに言うかという視線。
いたたまれなくなったGは、そういえば煙草の保管所はどうなっていたのかを見るために箱を開けると、見知らぬ銘柄を見つけて記憶を漁り……思い出す。
「……このタバコ、ケルシーがたまに吸ってたヤツだな」
「あいつもここを物置にしてたの?」
「どちらかと言えば喫煙所か?」
「なんでもいいわ。ていうかこれ葉巻じゃない」
「似たようなもんだ。どっちも嗜好品だし、吸うし」
「細かいこと気にする奴ならぶん殴られるわよ」
「避けて殴り返してみせよう。──おや、コーヒーメーカーが設置されてる。最近設置されたものらしいな。豆は結構いいヤツか。オレは紅茶の方が好みなのだが」
「昔ラテラーノの商隊を襲った時、高級な茶葉が手に入って大喜びしてたわね。銃をむしり取ってるあたしたちを尻目に、扉をぶち破って茶葉入れ見つけた途端にあんな風になっちゃってまあ」
「……忘れろ」
数少ない趣味というのもあるが、しかも紅茶など傭兵業に身を投じて以来中々手に入らないもの。本当に久しぶりに紅茶を──しかも高級品を手に入れたGは、喜びのあまり一日中笑顔でいた程。煙草や酒は嗜む程度だが、紅茶に関しては割と本気なのだ。
「まあ誰が何をどう使おうと問題は無い。オレたちが一番使っていたというだけで、別に専用の部屋という扱いではなかったのだからな」
「ねえ、わざわざそんなことを言うってことは何? モヤモヤしてんの?」
「いいや」
「ふーん……ま、そーゆーことにしておいてあげる」
微笑むWは知っている。
Gは意外と嫉妬深いのだ。エンカクと面識があると知った──つまりチェルノボーグを占拠した後、ミーシャ奪取作戦に至るまでの日々でかなり聞かれた。やれどこで会ったのかとか、やれ撃ち合ったのかとか、やれどんな関係なのか……とか。
まあ、普通過ぎて面白みのない会話しかしていなかったのだが、珍しくやたらと突っかかるGが面白くて散々揶揄ったのだが。
「あ、ダメよその葉巻吸っちゃ」
「え、なんで」
「ムカつくから」
しかし自分もまた随分と嫉妬深くなったものだとWは内心で自嘲する。半身だと認識したのはバベルから出て行く時だったが、以来手元に置いておかないと落ち着かなくなった。憧れの存在でもあり、愛しい恋人でもあり、頼れる戦友でもあり、反骨精神を抱く家族でもある──そんな間柄だから他の誰にも渡したくないし、他の誰かの匂いを付けるのだって気に食わない。
独占欲……とはまた違ったものだろうか。誰に視線を向けても構わないし、離れてもいいのだが、真の運命たる自分を差し置いて他の運命にうつつを抜かすのは見逃せない。
死を与えるのがモスティマ、生を与えるのがケルシーならば、永遠を与えるのがWだ。正直自分以外の運命もあり得るのは業腹だが、この三竦みのままでこれ以上を作らせたくない。ただでさえ「エンカクもいいなぁ」とか「ラップランドも捨てがたい」とか「ロスモンティスがScoutを殺した報いならば、ブレイズはScoutの残した慈悲だ」とか「アーミヤは絶対に外せない」とか「ニアールとは決着を着けたい」とか……掌にモーターコイルでも仕込んでいるのかというクルクル具合。
それがGだと知っていても、気になるものは気になる。どれだけの付き合いだと思っているのだ。多少のことでは目くじらを立てないし、並大抵のことで立てた試しはないが、なんかもう自分のことなんて忘れたみたいに口説き回るのはいただけない。
程よく距離を置き、しかし忘れず、視線で追うモスティマを見習ってほしいとすら思う。
(あたしとあんたは、噛み合う双頭の毒蛇)
互いの毒牙に魅力されて、毒の無い日など考えたくない……そんな関係だろうか。
「そういえばさ、あんたエンカクと随分仲良くなったみたいね」
「ん? まあ話す相手もほとんどいないしな。暇さえあればあれやこれやと会話するし、酒も飲めばビリヤードだって二人でやる」
「あんた、せっかくあのメス猫だのケルシーだのいるんだから、エンカクばっかり構うのやめたら?」
「いや口説き文句が上手くてなぁ、エンカクは。ああいう目と言葉で誘われちゃ断れない。あとケルシーはつれないし、ブレイズは酒癖が悪過ぎてダメだ。何が悲しくて暴れ回るメスゴリラの相手をしなければならんのか……」
酔っ払ったブレイズの相手をした結果、Gは精神的に瀕死の重傷を負うことになったのはつい最近のことだ。
そのことを思い返して、苦い顔をする。
「アイツ、沸点ひっくいんだよ。人がチビチビ飲んでるのにバンバン頼んでるから、少し程度を考えろって言ったら『なにぉぅ!? 毎度の如く頭のおかしい戦法で頭のおかしい戦果を上げる癖に、四六時中ポエム吐いてる男に常識説かれたくないんだけどぉ!?』とか言われてな……任務先で感染者軽視を見て腹が立っていたらしかったから、気晴らしの酒に誘っただけだったんだが──わかんねえ」
「それ、流石にそいつに同情するわね。そういうところよ、昔から変わってない悪癖。自分は非常識を当然としてるのに、他人には常識を言うのは反感買うに決まってるわよ」
「むぅ……でもオマエは気にしないじゃないか」
「昔はぶっ殺してやりたいくらいに嫌いだったのよあんたのこと」
「拾った頃のことか。……あの時のことはあまりほじくり返すな」
──思い返してみれば、利害の一致で始まった共同生活だったのに、いつの間に家族同然になってしまったのか……
Gは倒れ込む……Wの膝へと。
「人の足勝手に枕にしないでよ」
「寒いんだ」
「どうしたの」
「さてな。なんとなくそうしたいと思ったからこうしただけだ」
「……タバコ出しなさい」
「あ? ……ほれ」
「火」
「ライターやるから自分で──」
「あんたのタバコで火付けなさい」
「……めんどくせえ」
「これでいいか」
「ええ。満足」
「結局、あんた何がしたかったの」
「ただ、オマエと過ごしたかった」
「ふふっ、ありがと」
Gくん
美術センスが割とアレなトコのある紅茶ガチ勢
エンカクの勧めで盆栽を始めたが、中々上手く行かずモヤってる。木彫りの腕もそうだが、絵もお察し
ある訳ねえだろの精神で空き部屋を見に行ったらあったので、久しぶりにW姉貴とそこで過ごしたかったという可愛い奴
なお誰と殺し合い、誰に殺されるのが一番嬉しいのかを考えていたり
W姉貴
珍しく可愛いところを見せてくれたGくんにご満悦な人
やたらエンカクと仲良くなっていることに若干の危機感と独占欲を発揮する
実は膝枕は初めて
エンカク兄貴
花を愛でる剣鬼な人
Gくんと再会した時に一発ずつ殴り合い、以来健全なお付き合いをしている。大体彼からGくんを誘って色々と友好を深めていった。ある意味では親友みたいなもの