アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

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タチャンカがピックされたので初投稿です


小話:能天使は獣の宝を聞く

「ねえG。その金ピカの物体は何?」

 

ある日。

愛用の長銃のオーバーホールをクロージャに頼む折、Gが右手に握っていた黄金の物体を彼女が指摘したところから話は始まった。

 

「ん? ああこれか。コイツは……ボールペンとライターとタバコケース、それからカフスボタンだ」

「全部金ピカって趣味悪いね〜。略奪品?」

「昔のな」

 

クロージャとて付き合いの長い人間だ。そういうこもにとやかく言うわけではないが──しかし、あのGがこんな趣味の悪いものをわざわざ手元に置いておく理由がわからなかった。

何か意味がある筈だと睨んだが、しかし外見は完全にそれらである。黄金の、趣味の悪い。

 

「あやしい」

「まあそうだな。言葉通りのものではない」

「……Gが持ってるってことは、何かのガジェット? 例えばジャミング発生装置とか」

「いや、タネが割れればしょうもないものだよ。わざわざ全部、外装は本当に金で作られているボケた代物だ。価値はあるが価値だけしかない」

 

金になりそうもないし持ってても邪魔だからやる、とだけ言ってから、クロージャにその金ピカセットを押し付け、Gは去って行く。

厄介なものを押し付けられたなぁ、とボヤきながらマジマジと金ピカセットを眺めていると──

 

(……あれ? 構造が……)

 

見たことがあるような、無いような。

当然何か別なものだったのだが、金ピカセットの構造に見覚えがあった。特にライターはシンプルに中身の機構が全くの別物で……しかし何処かで見た覚えがある。

次にボールペンを触っていくと、先端の蓋が取れた。中身は重さから察していたが空洞だ。

なんとなくライターとボールペンを合わせて──

 

「銃じゃん」

 

それがなんなのかを、完全に理解した。

 

「ボールペンのバレル、ライターのチャンバー、シガレットケースのグリップ、カフスボタンのトリガー。単発型の暗殺用ラテラーノ銃って言ったところかな。口径的には専用の弾を使ってそうだ」

 

ガチャガチャと組み立てて出来上がった黄金の拳銃を眺めつつ、なるほどと分析を始める。それぞれの部品が雑貨ならば疑われないし、一撃で仕留められる位置取りならば、弾は殺傷能力に優れたものを一つ用意すればいい。

確かに機能としては優れたものだろう。だがそれは同時に、機構的に無理をさせていることの証明でもある。連続しての使用は想定されていない。略奪品の一つという出所を考えれば、このラテラーノ銃は金持ちの道楽で作られたものなのだろう。

然るべきところに──カズデルのブラックマーケットあたりにでも──売り捌けば、コレクション的価値は計り知れない。確かにこれは価値があるが、価値しかない。

何せ実用性という観点では、完全に産廃と言わねばならぬという代物なのだから。

 

(でもこれが手元にあったってことは……いつでも殺せたってことだよね。それに協定を結んだ時に回収したコレクションからは外れてたし、それに──)

 

「うん、これちょっとマズいからアーミヤにチクっとこ」

 

確かに同郷の同族にして同じ変わり者ではあるが──クロージャは頭がおかしいように見えても、ワルファリンとGよりかはまともなのだ。まあ、逆に言うとその二人がおかしいとも言えるのだが。

とにかく、流石にダメなものはダメだ。すぐさまアーミヤへのホットラインを使い、このバカっぽい黄金のラテラーノ銃について報告した。

 

さて、一方密告されたGだが。

 

「回転弾倉型の小銃……なのだろうかな。アレは」

「随分変なの使ってるなって思ってたけど、君って結構テキトー?」

「まあな。偉大な先駆者が使っていたものを引き継いだ時に、整備方法と使い方を身体に叩き込んだだけだ」

 

アップルパイな天使とダベっていた。

というのも彼の使うあの長銃はラテラーノでは古い型であり、市場では全く流通していない一丁に当たるからだ。

 

「オレの手に渡った時にはもう、限界まで手が入っていてな。以降、そのまま使ってる。ラテラーノではあの手の銃はウケが悪いのか?」

「ウケが悪いっていうか、手間がかかるから、あたしが使ってる奴みたいなのが主流だね。個人個人の趣味もあるし、一概には言えないけど──しっかしサンクタじゃないのによく使えるね」

「ああ……アレは構造が単純でな。サンクタでなくても、それなりには扱えるものだったんだ。あとは技術をひたすら磨いて、そこそこ使えるようにしただけだ」

 

血を吐くような努力ではあったが、偉大な先駆者が手本を見せてくれたので迷う必要もなかった。やろうと思えばできるし、実際できた。Gがただのお飾りとしてあの回転弾倉式長銃を持っていないのは、多種多様な弾薬を扱える対応力の高さに加えて、初見殺しとして十二分に機能することが理由であった。

 

かつて撃たれた時も、散弾か単発かを見切り損ねて左腕を潰されかけたということから、その有用性をはっきりと認識していた。その銃を継いでからわかったのは、なんとなくしか理解できなかった銃というものの中でも、その構造から整備が単純であるということ。更に彼の属する傭兵団はラテラーノの商隊を頻繁に襲撃し、守護銃の収集を行っていたことから弾薬も手に入れる機会が多く、銃を運用する上での『運用コストと整備の手間』のほとんどを無視できた──だからここまで長持ちしていたということでもある。

 

銃というものは、繊細なアーツコントロールを要求される。その上効果的とは言い難い。ラテラーノの切り札のようなものである以上、サンクタの使用に適したようにコピー品は作られている。

故に単純かつ高威力、どの種族でも使えるクロスボウが大陸に蔓延しているという事情もある。

 

しかし、時折サンクタ以外でもそれなりに扱える調整の施されたラテラーノ銃が細々と出回るのだ。どのような事情があるのかは不明だが、とにかくそういうものが本当に、僅かに流通することがある。先代のGは運良くそれをブラックマーケットで手に入れ、こうして今のGに受け継がれている。

ちなみにあのヘンテコ銃の価値は低かったそうな。

 

「そこそこって……あれがそこそこ?」

「下駄を履いてあの程度しかできんのならばそれはそこそこだろう」

「謙遜も過ぎれば傲慢だよ」

「オマエから見れば、ただ撃てるだけ程度であろうよ」

「撃つ以外にも使えるならそれは立派に使いこなしているってことにならない?」

「逆を言えば撃つ以外でしか使えないということだ」

 

専門家とは物事を専門とするから専門家なのだ、とGは告げる。所詮自分はその為に作られているものを、それ以外の用途でしかまともに使えない落伍者なのだと。

Gが銃撃を行うのは、牽制か迎撃か移動用である。明確な攻撃の意図で運用したことはほとんどない。散弾をよく使うのは精密射撃の必要が無いから。

クロスボウは肌に合わなかったというのもあるが、彼の求める威力と携行性を満たすものが少なかったということもある。そもそも破裂するボルトだの爆発するボルトだのを要求するのが根本的に間違っているのだが。

 

なおそんな彼でもクロスボウの収集は行なっており、近代的な単発式から古式ゆかしいもの、果ては連射機構を備えたものや芸術品とまでされる大型モデルまで所有している。

中でもお気に入りは傭兵時代に城塞を攻略した際固定されていたものを剥ぎ取って個人携行用改造と近代化を施したアーバレストである。辛うじてまだクロスボウと呼べるシュヴァルツの大型モデルとも異なり、彼のアーバレストは両手で抱えて使えるバリスタも同然。

そもそも城塞設備を剥ぎ取って個人携行用に改造するのが間違いそのものなのだが、これを片手で扱うのだから気が狂ってるとしか言いようがない。

 

ちなみに彼はその他、略奪した戦利品を解体し、ロアーをそのままにアッパーをコンパウンドタイプの銃身に取り替えたヘンテコなモデルも所持している。そしてこのヘンテコクロスボウ。あくまでもクロスボウなので押収はされなかった。姑息!

 

「しかしエクシア、何故オレに話しかけた? あの銃がそんなに気になるなら、クロージャあたりにでも聞けばいいだろうに」

「え、だってキミはあれじゃん。モスティマの友達……? うーん、言うこと聞かないペットみたいな関係性じゃん」

「……ペット……」

 

がっくりと肩を落とすGを見て、そういうところがペットらしいんじゃないかなあとエクシアは感想を抱いた。一方、肩を落としつつもエクシアとモスティマの関係など露知らぬGからすれば、さて困ったというところだ。

 

「とは言ってもだな、オレも全く知らんぞ。オマエの方が詳しいまである」

「そもそもどういう経緯?」

「腹を空かせて死にかけたところを拾われた。それでアイツがあんまりにもカッコよかったから憧れた。そんだけ。スターとファンみたいなもんだ」

「他には何かあるの?」

「うーん……そうだな。剣だの、仕込み武器だの……そのへん」

「なんか変わってるね。その辺を集める人は中々いないよ」

「刀とかカッコいいだろ……リストブレードとか」

「飛び出し式刃の仕込まれた籠手だよね。あれ、絶対ああいう使い方するものじゃないと思うよ」

 

大元は暗殺用の一品だったのであろう、と予測するエクシアは正解を踏んでいた。目立たない殺し方として、Gがバベル時代に作らせた暗殺用の仕込み武器であった。指につけたリングを動かすとブレードが飛び出すというものではあるが、分解して持ち運べるなどの隠密性も高い。

とはいえ扱いは難しく、一歩間違えれば指が飛ぶ代物でもあり、ちょっと使ったっきり埃を被っていたのだが、前回の任務の際に必要になりそうだからと引っ張り出した。

 

そしてエクシアはそれを、接近戦で切り結びあった瞬間に首元を狙う必殺の一撃として使う場面を目撃した。

普通にナイフとかを左手で持てばいいじゃんと感じたのは間違いではなく、当のGも「わざわざこれ使う必要無いなぁ」とすら思っていた。そもそも暗殺用のブレードをどうして戦闘に活用しようとするのか。根本的に間違っている。

Gも苦い顔をしながらボヤく。

 

「確かにミスだったよ。ブレードが折れちまった」

「無茶な使い方するから……」

「やはりあの業物のような扱いは無理か。電磁加速による投射も無理そうだし」

「いやいやいや、キミバカでしょ」

 

そもそも電磁投射に耐え得る刃などよっぽどのモノを要求されるだろうにと。

 

「そうだ、エクシア。これはその……ただの疑問なんだが」

 

そしてGは唐突に話題を変えて、

 

「……モスティマ、オレのことなんて言ってた?」

 

バツの悪そうな子供のように尋ねてきた。ふむ、とエクシアは沈思黙考する。なんて言っていたか……と言われれば、なんにも言っていなかったというのが正しいのか。エクシアが聞いたのはたった一言だけ。

 

『バカだよ』

 

正直な話。

エクシアから見たGは壊れた存在だ。

 

友に終焉を与えられるのか、恩師に生存を与えられるのか、運命に永遠を与えられるのか……あるいは友を、恩師を、運命を殺して先に進むのか。どちらがいいかをどちらも魅力的に感じながら、敵を作り味方を作り部下を作り上司を作り──そして、それらに等しく愛情と殺意を抱く。

 

そういう表現しかできない、ということでは無い。彼は普通に人を愛せるのだ。普通に喜び、普通に悲しみ、普通に怒り、普通に泣く。何処にでもいる人と変わらない。だがそれらを全て強烈なまでの最強への憧憬で包み込んで殺意として昇華している。

 

哲学的、そして宗教的。

最強という名の光を追い求める、殉教者の如き存在。奴隷、亡者──そうしたものでもあるが、そうしたものではない。

 

そもそもこのテラで『最強』などというそこらで打ち捨てられているような塵にも等しい称号に執着し求めているという時点で、何かが壊れているのだ。

だからなんと言っていたかという質問に対して、言葉通りに返す以外の選択肢が浮かばない。

 

「……エクシア?」

「えーっとねぇ……」

 

だが問われているのは意味だ。

だからエクシアは頭を悩ませる。『バカ』の一言に含まれている意味がわからないから。

あのモスティマが言うバカなのだから、それはきっと意味があると思うのだが──

 

「……バカってさ」

 

わかんないから一言。同じことを言った。

困ったような表情を見せながら、呆れ返ったように告げてみるとGはケラケラと笑った後。

 

「アイツらしい。結構難しい質問して申し訳なかったな。詫びと言ってはなんだが、オマエが外したい仕事を代理として手伝おう。言ってくれれば荷馬車の如くな」

「キミ、案外面倒見いいんだね」

「誠意には誠意で対応したいだけだ。善意には善意を、悪意には悪意を。そういうものだ」

 

そう告げてからGは館内放送で呼び出されて──

 

死ぬほど面倒くさそうな顔をしながらアーミヤとケルシーの元へ向かっていた。

エクシアは爆笑した。




Gくん
ラテラーノ銃よりもクロスボウや刃物を収集している人
気に入ったものは片っ端から掠奪しており、城塞に備え付けられたアーバレストを剥ぎ取った話はその象徴
金ピカセットは面白がって持っていた

エクシア姉貴
Gくんの持っていたヘンテコリボルバーライフルに興味を持って話しかけたところ、意外な事情を明らかにした人
彼女的にはGくんは「なんかモスティマがやたらと気にかけている人」程度の存在であり、色々な事情を加味しても「モスティマと友達になれている」という時点でそれなりにはまともだろうという判断

クロージャ姉貴
いきなり金ピカセットを押し付けられた可愛そうな人
ワルファリン姉貴とGくんよりも遥かにまともなのでアーミヤにチクった

黄金銃
全てが黄金で作られたバカみたいな銃
元ネタはロケットランチャー、モーションセンサー爆弾と並ぶ神器の一つ。あのスパイ映画の悪役が使ってたアレ
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