アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告 作:W姉貴に負けたい人
「おはよう、G」
「ああ、おはよ──」
早朝。
──朧げな昨日の記憶を再生していると、彼女から声をかけられたGは。
「……え、」
とても間抜けな声を出した。
「ケル、シー……?」
「覚えていないのか」
「あっ、ああ……何も……覚えて、ない」
ラフな格好のまま、ケルシーは困ったような表情をした。
考えてみれば、部屋の日差しもWと共用の部屋と違った。漂う香水の匂いも、ベッドから漂う甘ったるい女性の香りも──全てが違った。
寝惚けた頭では、どうも回転が鈍かったらしい。
「なあ、昨日何があった?」
「何があった、か。ふむ」
ケルシーもまたしばらく沈黙してから、情報を簡潔に整理して説明を始めた。
「昨夜はバーで二人きりで飲み明かしたろう? その後は部屋で少し追加で飲み──君を抱いて寝た。今回は言葉通りの意味だが」
「つまり、アンタの匂いがオレには染み付いているというわけか」
ひどい言い草だと呟いたケルシーに対して、内心では心にもないことをと思いながらも、この事に一番激怒するであろう人物を浮かべてどうしたものかと真剣に考える。
一方ケルシーはなんでもないように、しかし悪戯心を含めて表情を変えずに告げる。
「マーキングするつもりはなかったのだがな、君がやたらと暖かったのが悪い」
「人を湯たんぽ代わりに使うな」
「それで感想は」
「さすがフェリーン。体温も高くて布団要らず、ついでに柔らかい。最高の抱き枕だ。背中にアレを仕込んでいるから硬いのかと思ってたが。あと結構胸あるのは意外だったぞ」
思い出したらこれかと、しかもしっかりと堪能しているじゃないか。あと誰と比較したのかは聞かないでおこうと。
さしものケルシーとて、このふてぶてしさには呆れた。だがGは事情を理解すると意外そうに尋ねる。
「……しかし、なんだ。ストレス発散に喰われたのかと思っていたが、オマエ平気なのか? 色々最近疲れてるだろ」
「そうだな。本音を言えば、君なら後腐れもない、そうした気持ちがあったとも」
「違いない。なら何故」
「君は別に、私に対してそんな気などないのだろ」
「確かに。まあオレも男だ、アンタみたいな美人を抱けるなら確かに喜ぼう。しかし、それ以上に大恩ある師だ。邪な感情を抱くことはあまりしたくない」
「だろうな。私も君に対してあまり邪な感情のままに動きたくはない。異性というよりも手のかかる弟のような位置だ」
結局のところ。
いくら後腐れが無い関係であったとしても、片や尊敬する恩師、片や手のかかる弟子。そちらの方が強すぎて、ただの発散程度でも理性無き振る舞いはあまりしたくないという、お互いにちっぽけだが強大な意地を張っているだけ。
師匠に対して無礼を働きたくない、弟子に対して不甲斐無い姿を見せたくない。ただのそれだけではあるが、それ故に彼らはあっさりとフルブレーキをかけられる。しかもその制動距離は極めて短い。異性との理想的な関係の一つとも言えるだろう。
「とはいえ」
だがケルシーとて女だ。
「囁かれた睦言は、中々に疼いたぞ。責任を取れと迫ったらどうする?」
口説かれることに悪い気はしない。
それがそれなりに気に入っている異性であれば尚のこと。
「一夜だけなら。というかオレは何を言った。まさかからかってるんじゃないだろうな」
「さて、どうかな」
実のところ、ぼんやりとしか思い出せないGは気が気でない。楽しげなケルシーとは対照的に、不機嫌なWがすぐそばにいるような気がしてならないし、なんなら後ろからもたれ掛かって耳元で『へぇ……ケルシーはあったかいんだぁ?』と囁いている気がする。首元に触れる指や、首筋に立てられた歯まで鮮明に浮かび上がるほどだ。
「Wにはなんて言えばいいんだ……今日戻ってくるじゃないかアイツ……」
しかも今日は任務から戻ってくる日。
端的に言って、詰んでいた。
「機嫌取りは大変だろうな」
「昔からそうなんだが、アイツ怒ると面倒なんだよ」
「まあ、私の責任もある。今回の件は全て私の所為にして構わない。派生する問題も、全て私が解決しよう」
「……火に油を注ぐなよ」
こういう時のケルシーは厄介ごとを起こしそうだと経験則から考えつつ、様々な事情から、教育水準低め組の臨時教師を務めることになってしまったGは仕方なくレッドの元へと向かっていく。
なおイフリータだが、Gの本質的な点を考えドクターとケルシーを交えてサリアやサイレンスとの協議を行い、臨時であっても一切教育に関わらないこととした。
決め手となったのは、大切な人を守りたいイフリータに対して大切な人であろうとも最強の生贄に捧げられるGという対極に位置する関係であることだった。
そしてこの件でライン生命組はやはりGのことが理解できなくなった。自覚してるのにやめないし、それが悪いことだと知ってちゃんと弁えている。なのに一度戦場に出れば狂奔のままに最強を追いかける。二重人格もかくやという有様などどうやって理解しろというのか。
まあ元々シレッと医療オペレーター向けの研修会や研究発表会に参加してる上に学会用資料を持ってくるようなヤツだし……
つくづく暇なインテリバカである。
「──さて、臨時教え子よ。今日のオレは色々と不安事が多い。妙なことを言っても無視するように」
「G。今日はケルシーの匂いと酒の匂いがする」
「ぶっ!?」
なーんかヘンテコな雰囲気でやってきた臨時教師にど直球にモノを言うレッド。吹き出す監視役のフロストリーフ。
仕事を共にする内にそれなりに親しくなったGとレッド。だがフロストリーフから見ればGはフロストノヴァの一件で手を貸してくれた、ロドスとは深く複雑な関係にあるレユニオンに雇われていた傭兵に過ぎない。Wのようにわかりやすい態度ならまだしも、四六時中ポエムを吐き出しながら紅茶を飲んで本を読んで盆栽やってる変人である。
そんな風に見ている彼女だからこそ中立的監視役に選ばれたのだが。
「まあ色々あった」
「大変?」
「武器をどさくさに紛れて掻っ払う時に甘いもので釣ればいいオマエと違って、アイツはなぁ……」
「いや待て。G、私の聞き間違いか? 今コレクションを増やしていると聞こえたんだが」
流石に聞き捨てならぬとフロストリーフが声を上げてもGは何食わぬ顔で。
「偽物が喋り出す前に、私は干し梅飴を噛み砕いた」
「おいちゃんと答えろ」
「タ、タリラル、リラテュ。ラ、テュラリ、ラルリル」
「普通に喋れ!」
速攻で誤魔化しにかかったのでフロストリーフも怒る。しばらく沈黙が広がった後、遂にGは吐き捨てるように告げた。
「……チッ、五月蝿いな。いいCD貸してやるから黙ってろ」
「物では釣られんぞ」
「ならわかった。オマエ好みの曲がかなり入っているレコードも付けてやる」
「だから釣られないぞ」
「黙ってろ小娘。説教は聞き飽きた」
「お前の蒔いた種だろうが」
「G、相変わらずバカ」
「黙れレッド」
茶々を入れたレッドに向かってピシャリと言い放つと、Gは仕方なくフロストリーフにそれっぽいことを語り出した。
「考えてもみろ、オレに与えられるのは機密性の高い任務。満足な武装もできないことが多い。現地調達でもしなければ危うかったことが何度もあった。たとえその際に調達した武装を持ち帰っても問題は無い筈だが?」
「持ち帰るのは自由だがせめて申請くらいはしておかないか」
「そもそも任務に就いていたことすら言えない極秘任務だったこともある。どうやって申請しろと言うのかね」
「むっ……」
「それに、ちゃんとクロージャには事情を話して武器を預けてある。ちょろまかしたとは言っても、然るべきところに然るべき対応をしている。これでもオレを責めるか?」
理が通ってるからムカつく。
実際問題、GとWが率いる傭兵たちに与えられるのは公にできないような裏方の仕事の中でも、特に選りすぐったものが多い。もちろん一般オペレーター業務も行うが、比率で言えばそっち側だ。だからGの言う言葉には一理あるのだが──詭弁でもある。
「まあ、安心しろ。申請はしてないにしろ報告の時についでに伝えている。言い方が悪かったよ。すまない」
実のところ、戦闘中の武器現地調達に見せかけて、いくつかはどさくさに紛れてチョロまかしてきているが実際報告はしている。必要になったから奪取した武器として。
だからこの場合、Gは嘘を言わず本当のことを言っていることになる。面倒だからと黙っていることはあるが。
レッドが口封じ代をもらうのは、奪取の状況についてだ。
「……なんだ、そうなら早く言ってくれ。焦ったじゃないか」
「つい面白くてな。さて今日は……フロストリーフもいるんだしせっかくだ。芸術の授業でもしようか。数学より面白いだろう」
「退屈じゃない、やった。でもいいの? 数学、やらなきゃいけないこと」
「基本は復習と応用だ。ちょっとの時間でできる。前に渡したアドバイスの紙を使えばすぐにでもできるようになるさ。数学は作文だと前に言ったろう」
レッドはアドバイスの紙──数式の解体方法と簡易化について図式で表したもの──に目を落とすが、こうした分解・簡易化による理解しやすいように落とし込むことはケルシーより上手いのではないかと少しだけ思った。
もっとも総合力で言えば年の功もあり、彼女に軍配が上がるのだが。
気合いと根性とかいうふざけた理由で現実を蹂躙する不条理であるGだが、忘れられがちなものの本質的には学者側だ。資料に目を通す際のコツと理解するための効率的なプロセスはかつて様々な本を読み漁っていたら自然と身についたし、そこに傭兵としての経験を積み重ねることで更に理解力を向上させた。そしてバベル時代ケルシーやワルファリンに師事する中で先鋭化されており、そんじょそこらの研究者とは比較にならないレベルで頭脳は完成されている。
非常に高度な専門知識が必要とされる資料すらある程度読んで噛み砕ける上に、専門性の塊と呼べるラテラーノ銃の解体・整備・改造までできるのだ。
非常にハイスペックな男である。
……まあ、本人の傾向の所為で「学者として大成する可能性が極めて高いのに、それらの才能を全部投げ捨てるどころか無駄なことにフル活用した挙句、とっくに限界まで伸び切った二流の傭兵を趣味でやっている」ようなものなのだが。
なおワルファリンに師事したと言っても本人たちの間柄は師匠と弟子というよりも悪友のような関係であったと記しておく。
「芸術の話……そうだな、音楽に関係することの方が共通の話題があっていいか。フロストリーフ、お前は歌を歌ってみて思ったことがあるか?」
「急だな。まあ、聞いている音楽ほど上手くいかないとは常々思うよ」
「その通り。芸術とは即ち、研鑽によって生まれる。例え天才的な素質があったとしても磨かねばただの石塊だ。だがそれと同時に評価すべきところがもう一つある。何かわかるか、レッド」
レッド自身、芸術というものに興味はあまりなかった。確かに趣味嗜好はあるが、そこに芸術が絡んだことはあまりない。だがここで問われている意味を考えて──
「やる気」
できることとやりたいことは違うと理解しているから、とりあえずこれじゃないかと告げてみる。
「正解。やりたいことだからやっているんだ、これがやりたいんだという思いのこもった作品は熱を持つ。芸術とは単なる上手い下手ではない」
「確かにな。どれだけ歌が下手でも、不思議と聞き入ってしまう曲は沢山ある。趣味ではないはずなのに魅力的に感じて、ついつい聞いてしまう」
「レッドもある。狩りに適さない格好や武器から目を離せないとき、ある。好きでも嫌いでもないのに」
「それはレッドが、そこに篭った熱を感じ取ったからだろう。物に込められた人の心を確かに見つけ出したんだ」
フロストリーフが優しく告げると、レッドは何かの答えを見出したのかそれとも尻尾を掴んだのか、口元を若干緩めた。
そんなレッドを見て、『完成』しつつある気配を感じ取ったのか一瞬だけ日食が起きたものの、Gは己が欲望を鎮める。結局レッドに構っているのはウルフハンターとして作られたであろうレッドが、人の心を完全に手に入れた挑むべき存在になるのが待ち遠しいだけ。
もちろん彼個人として、何故か放って置けないという父性めいた理由もあるが──それと同時に殺意が沸き立っているから。
『殺意と共存できない感情はない。そして殺意はたった一つの感情だけで破滅的に加速するものであり憎悪、嫌悪、怒り、悲しみといったそれらよりも遥かに危険な、天啓にも似て、だが決して理解できぬものである』と彼が匿名で書いた心理学書のように。
「──さて、レッド。ここで大切なのは熱を、つまり心を感じ取ることであるが、同時にそれが善意か悪意かを判断するのも忘れてはいけない。それによって芸術品に向けるべき感情が決まるからな」
「込められた心の善し悪しは難しいはず。だってそれが物ならある程度予想するけど、映像や音声なら、いくらでも偽れる」
「そうだ。エフイーターのように役柄を羽織ってもなお熱が溢れ出る存在であれば混ざり合ったそれを見分けるのは難しい。紅茶やコーヒーに入れたミルクを分離することはできないし、その味がどちらのものかを判断するのも至難の業だ」
フロストリーフは酒を飲む都合、たまにバーで箸休めの紅茶を振舞っているGと出会うことがある。まずはゆっくりと淹れてから冷めるまで長い時間をかけて飲み、もう一杯となって初めて砂糖やミルクをほんの少しずつ入れていくのは何故かと常々疑問ではあったが、味の変化などを楽しみ理解するためだったのかと納得がいった。
この前なんてセイロンとシュヴァルツを交えて紅茶談義をしていたが、彼女から見れば意外な趣味に見えた。
──今度紅茶をゆっくりと飲んでみよう、と思ったり。
「まあ完全に理解しろなんて言わんよ。だが目の前に現れた芸術の後ろ側に少し思いを馳せるだけで、より楽しみ方や深みが増すというものだ。何故? どうして? 何のために? ──それらを含めて味合わねば、損というものだろう」
「深み……」
「例えばそう、オマエで言えば尻尾だな。ループスの尻尾を単にモフるのもいいが、どんな手入れをしていたらこんなにもフカフカになるものかみたいなことを考えると、結構楽しいだろ?」
「なるほど。今度からレッド、やってみる」
「じゃあこれから数学と行こうか。フロストリーフ、手伝ってくれ」
「……残念」
「芸術の話はもう終わりなのか?」
もうちょっと深いところも聞きたかったと言わんばかりのフロストリーフに対して、Gは少しだけ微妙そうな顔をした後。
「飴と鞭だ。気になるなら終わった後にでも話そうじゃないか……と言いたいところだが、まぁ、なんだ……多分、暇は無いと思うからもうしばらく後になるだろうが……あれだ、いつかだ。うん」
モゴモゴと答えづらそうに、何処かの怖い半身を思い浮かべながら、ふにゃふにゃとした言葉を発したのであった。
授業を終えて、休憩がてらスコーンと紅茶を三人で楽しんでいる中で、フロストリーフはふと思い出した。レッドはGからケルシーの匂いがすると言っていたなあ、と。
(……結局二人はどういう関係なんだろうな?)
考えてみればよくわからない。親しげに話しているような場面は見たことないし、更に言えばケルシーとGの過去の話などほとんど知らない。Wやエンカク、モスティマやブレイズなどのいわゆる明確な会話になる組ですら、その関係を言葉に表すのは難しい。特にWと話す時のGは、最もわからない姿をしていると言っても過言ではない。アーミヤとドクターに対しては比較的わかりやすいが、逆を言えばそれだけである。
(聞いてみよう)
フロストリーフ。
その辺、割と気になる年頃であった。
「G。ケルシー先生とはどういう関係なんだ」
「一方的に湯たんぽ代わりの抱き枕にされる間柄?」
「……なあ、その……それって……つまり……」
「冗談だ。別にそういった関係ではない。互い後腐れは無いが、学者としての師匠と弟子だ。理性的に判断してこそ研究者というもの。そのような獣の如き振る舞いを、是とするわけにはいかん。そうしたものを否定する側であるからこそな」
そうは言うものの、一回だけ酒の勢いでワルファリンとやってしまったことがあったが、完全な事故であった。それ以外は全てWである。それ以外の女の影も形もない。
「師弟関係だったとはな。道理で教え方や解説が似ていると思った」
「そういえば何故だフロストリーフ。芸術の話をやたら聞きたがったのは」
モッキュモッキュ……ズズ〜ッとしているレッドを尻目にGは素直な疑問をぶつける。するとフロストリーフは少しだけ視線を逸らしてから、恥ずかしそうに小さく一言。
「……バンド、やってみたくって」
「バンドか。ヴィグナに聞いてみたらどうだ? 方向性が同じメンバー集めには苦労しそうだが、幸い楽器が弾けるのは多いからな。数撃ちゃ当たるだろうさな」
「G。レッド、楽器弾くとしたら、大変?」
「大変というわけではない。何事も反復練習と言ったろう。楽器を音楽に合わせて弾くこと自体は研鑽するだけでなんとかなる。だが問題は、楽譜を正確に読み取りどの音が正しいのかを瞬時に判断するというだけでなく、使う楽器を己に馴染ませるようにチューニングすることだ」
なんか実感篭ってるなぁ……と二人は感じたがその通り。
バベルの頃だがScout、Ace、G、Wでバンドを組んだことがある。ただの罰ゲーム程度の話であったが、四人で慣れない楽器と楽譜に四苦八苦しながら、バラバラの方向性で大揉めして、片手で足りる回数演奏したっきりで解散してしまった。
その時の担当はScoutがベース、Aceがドラム、GがギターでWがボーカルだった。が、本当にやりたかったのはScoutがギター、AceとGがベース、Wがドラムというボーカル希望不在という有様。
それはもう燦々たるものであり、この話をすると途端にみんな不機嫌になるほどであった。
今ではもう古き良き、過ぎ去りし思い出なのだが──
(……葬送歌がてら、Wを誘ってやるのもいいか)
だからこそ、受け入れられるような気がした。
しんみりしたのは少しだけ。
「フロストリーフは落ち着いた曲が好みだったな。本気でやりたいならやはり、ヴィグナを頼れ。専門家というものはこういう時に頼るものだ」
「そうだな。勿論1日2日で出来るとは思ってもいないし、戦闘訓練よりもある意味では過酷かもしれないが──挑まないというのは、夢に失礼というものだろう」
「そうでなくては」
「じゃあ、レッドもバンド作る。ライバルバンド、必要。もう色々決めた」
え、早くない? と二人が困惑していると、レッドはえへんと胸を張ってから。
「エイヤフィヤトラ、メインボーカル。ホシグマ、コントラバス。シャイニング、ベース。グラベルとヴィグナ、ギター。エクシア、ドラム。アスベストス、リードボーカル。ブレイズ、演出担当」
「待つんだレッド。ブレイズに演出担当なんてさせたらロドスが燃えるぞ」
「……レッド、オマエこのメンバーでは音楽性が違いすぎるというか……」
「でもヘドバンするエイヤフィヤトラ、見たい。二人は?」
何処でそんな言葉を学んだ? と二人は頭を抱える。レッドが善意でエイヤフィヤトラをボーカルに推しているのは流石にわかる。聴力が蝕まれている彼女にこそ、声を出し音を聴く喜びを大きく感じて欲しいという気持ちはわかるのだが──実際Gもエイヤフィヤトラの論文を読み敬意を払っており、普段の彼からは信じられないほど紳士的な態度で接しているし、彼女の聴力に関して色々と心配している──しかしなんだろう、エイヤフィヤトラってそういうキャラじゃないよねと二人だって思う。
でもそれはそれとしてノリノリでマイク持って楽しそうにヘドバンする彼女は見たいとは思うけど。
「え、ええっと……G。どうする?」
「どうもなにも、ドクターとアーミヤに告げるぞ。レッドの純真無垢さを利用して妙なことを吹き込んだヤツがいるとな。フロストリーフは洗い出しを頼む」
「了解した」
「……エイヤフィヤトラの歌声、レッド、聞いてみたいな」
純粋に彼女の歌声が聴きたいと願う赤ずきんの狼女をとりあえずはスルーして、休憩終わりを起点にフロストリーフとGは行動を開始したのであった。
一方その頃。
「──ケルシー、何か弁明を頂戴」
「意外と白いのだな、彼の肌は」
戦争が始まりそうだった。
「人の相棒と酒を飲んだまではいいわ。けど、何? 口説かれてそのままの勢いで抱き枕にして寝た?」
「安心しろ。肉体関係には発展してない」
「逆に安心しないわよ。あんたたちに限っては、ヤると後腐れないから綺麗さっぱり終わりにできるけど、そうじゃないならそうならないってことだからね」
「何をそんなに苛立っている。最後に選ばれる運命は自分だと声高らかに宣言していただろう。ならば構えていればいいものを」
「それはあんたがあたしのGを、運命から変えようとしているからよ。あいつはこう生きて、そう死ぬという以外にあり得ないのにね」
「──彼はお前のものではない」
「あいつはあたしのものよ──」
「あたしのGは、他の誰にも渡さない。あいつと共に生まれて、あいつと共に生きる。それこそがあたしの運命なんだから」
「運命とは後出しの予言だ。先んじて言うものではない。全て終わった後に、明確な理由が見当たらない時にのみ理由となり得る、間に合わせの概念だ」
「平行線ね。とにかく、人の男に唾と匂いを付けないでくれる?」
「彼から付けられに来ているような気もするがな。まあ善処しよう」
「……で、どういう風に口説かれたのよ」
「……それを知ってどうする? 向こうはその辺りの記憶がほぼ無いぞ」
「いいから教えなさい」
「まあ、いいだろう」
「あいつ……」
「あまり怒ってやるなよ。今回は私に非があるのだからな」
「わかってるわよ。これであいつを責めるほどバカな女じゃないわ。ああでも……」
「あいつ、そんなこと言うんだ」
「私も驚いたぞ。あんなことを言ってくれるなんてな」
「ま、いい機会だったんじゃないの?」
「確かにいい気分転換にはなったとも」
なんだかんだ仲のいい二人でしたとさ。
Gくん
たまに臨時教師してる人。ギター担当
忘れがちだけど学者としてはハイスペック。できないことは超一流の戦士になることくらい
教養がある上に話術もそこそこなので、雑学博士としては楽しい奴
レッドちゃん
モフりたい欲望の赤ずきん
Gくんとは割と友好な関係を築いている。彼女にしてみても、たまにやるティータイムは結構好んでいる
フロストリーフ姉貴
色々とキャラの濃いキツネ
変人Gくんがまともに喋ってまともにしているのがとにかく意外だった。音楽愛好家だったので芸術の話をしつつ、バンドやってみたいなと思った
ティータイムは中々に楽しかった
ケルシー先生
酔った勢いで口説かれて、Gくんを湯たんぽ代わりにして寝た人
マーキングするつもりもなかったが、しかし思わぬところで役得だった
W姉貴とはGくん性の違いから揉めるものの、変なところで変に仲がいい
W姉貴
思わぬところでメス猫に自分の運命がマーキングされていたことに流石に起こった人。ボーカル担当
ただケルシー先生がどんな風に口説かれたとか、その辺は気になった。半身が自分に見せない部分の情報収集も怠らない、運命の鑑
ヘドバンするエイヤフィヤトラ
アークナイツの某MADを参照