アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

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冒険はどこまでだって続いていくので初投稿です

不意に考えたW姉貴を選ばずにロドスを選んだGくんは……
1.チェルノボーグでScout兄貴と共に裏取引で死ぬ
2.チェルノボーグでAce兄貴と共にタルラに挑む
3.チェルノボーグで脱出時にW姉貴に殺される
4.龍門でW姉貴に殺される
5.モブ落ち(ケルシー先生の護衛枠で)
6.そもそも7章まで出番が無い可能性
7.8章で「なら……魂ごと持っていけ!」(唐突に流れ出す『影をもたらす者〜ハーデス前哨戦〜)でアーミヤCEOが暗黒として覚醒する。(なお死亡済み)

……なあお前、どうしてこう極端なんだい?



小話:光を包む闇

Gとシュヴァルツはお互いに選べなかった道を進むものである。

 

一方は闘争に心惹かれながらも平穏を選び。

一方は平穏に心惹かれながらも闘争を選び。

 

相反する存在であるが、不思議と互いを嫌いになれなかった。

チェンとGは不倶戴天の関係性であるが、似たようなシュヴァルツとは、何故かウマが合った。

Gとしては、あまりこういう表現をしたくないが──チェンがいわゆる「温室育ち」だったからではないか、と原因を推測している。無論、侮っているわけではないのだが、適切な言葉がそういう点しか出てこなかったという問題もある。

チェンは秩序に属する人間である。

故にGは、無秩序から生まれたシュヴァルツとはウマが合うのだろうと考えていた。

 

「……どうだ?」

「渋みが少しだけキツい気もします」

「万人受けは」

「するかと」

 

そんな二人は今紅茶を飲んでいる。Gの淹れた紅茶を。

 

「あの」

「おい」

「「……」」

 

被った。黙る。ややあってから、Gが一言。

 

「……お先どうぞ。レディファーストというヤツだ」

「レディではありませんよ」

「女性はいくつであってもレディだという」

「あら、お上手ですね」

 

クツクツと笑うGに対して、シュヴァルツは彼の狭すぎる友好関係を思い返して──レディなどという可愛らしい言葉の似合う女性など一人とていないなと感じた。そしてレディ呼びされないと不機嫌になる者もまたいないと。

では素のままでこれなのだろうか? 処世術にしてはピンポイントすぎて逆におかしいが……

結局答えは出ないまま、適当なところで思考を打ち切って話を続ける。

 

「何故紅茶を嗜むようになったので?」

「前に言わなかったか、勝利の美酒だったからだと」

「それはセイロン様へ気を遣った言い方でしょう」

「……本当だよ。殺すべき存在を初めて殺した、その後に飲んだのが紅茶だった。だから気に入っているんだ」

 

事実。

彼が血の繋がった汚物を皆殺しにした後、住処に転がっていた紅茶を、充満する死の香りと共に楽しんだのだ。いわば思い出に残る誕生日のバースデーケーキのようなものであり、初めて生の実感を覚えた瞬間である。

──だからGは紅茶を好む。

自分が生まれた日の象徴であるから。

 

……まあ、それとは別に普通に好きというのもあるのだが。

 

「名実共に勝利の美酒だった。あと普通に好きだから。これで満足か?」

 

大した話ではないし、実際大した話にもならない。大事になるところと言えば──精々殺したのが家族であり、徹底的に殺し尽くしたという点くらいか。

 

(……まあ、敢えて言う必要もあるまいて)

 

シュヴァルツの資料を読んだGだが、きっとそれを伝えても大して変わることはないと思っている。だがそれでも言わないのは無駄なことはしない主義でもあるし、同時に無闇やたらに自分を明かすことはしたくない──というのもあるが。

流石に両親と悲劇的な別れをした相手に、嬉々として己の意志で惨殺したことを伝えるなど気が引ける。Gは狂人であるが、それでも他人に気を遣えるのだ。

まあ鈍感なんだけどネ。

 

「本当にそれだけだったんですね」

「それだけの理由だがな」

 

シュヴァルツとしては意外だ。これもまた嘘に塗り固められた言葉だと思っていたから、まさか真実だったなんて。

狂気と憧憬で武装した少年の心のままに生きている男に、結構可愛いところがあるなど想定外にも程があった。こうしたところが意外とモテる理由なのか──

 

「で、あなたからの用件とは?」

 

まあそんなことはどうでもいい。本題は何かと尋ねてみれば、帰ってくるのは妙な表情。バツが悪そうとも、あるいはどう切り出したかと悩んでいるようにも見えるその表情は、Gらしからぬと感じさせる。

そして彼は、一言。

 

「ああ。いや、大した話ではないんだが……オマエ、セイロンおじょーサマの事は妹分認識か?」

 

なんでそんなことを聞くのか。理解に苦しむレベルで当然のことである。呆れながらもスラスラと言葉は出てくる。

 

「……そう、ですね。確かに妹のような雰囲気であると思っています。家族というには、私は血で汚れ過ぎていますから妹分という表現が一番でしょう。無論、従者と主人であることを忘れる時などありませんが」

「そこだ」

 

そう答えたシュヴァルツに、Gはある疑問を提示する。

 

「オレは気になっていたんだが……血で汚れた手で愛しい者を触ることを何故拒む?」

 

……この男は、何を言っている?

シュヴァルツが真っ当な倫理観で否定していることを、Gはして当然だと言わんばかりに拒む理由を尋ねてきた。

彼女は察している──彼はいたって普通に尋ねているだけだと。だからこそ聞き返さなければならない。

命を賭して戦い、血沸き肉踊る死闘に悦を見出しながら、守るべき者の前ではその獣性を抑えられる者として。

 

この眼前の、獣性を是とし心すら憧憬に向かう燃料とする人狼に。

 

「──ならばあなたは、血で汚れながら愛しい者に触れられるのですか」

「当然。罪も罰も知ったことか。愛する者を愛して何が悪い……と、恋愛したことも家族愛も感じたことない男がほざいてみよう」

 

Wは運命だし、モスティマは友で、ケルシーは恩師だ。他の奴らも含めて、そこに敬愛や友愛はあっても、家族愛は無いと思っている。

そもそもGにとって"家族だったもの"は単なる血が繋がっているだけの赤の他人、殺したくて殺した奴らというだけだ。彼は家族愛など、感じたこともない。そもそも親に親らしいことをされず、兄姉に長子らしいこともされたことはないのだ。

……そしてGもまた、平凡なブラッドブルードとして他人の生き血を啜り、平凡な下位者らしく両親と兄姉にねじ伏せられる生活を送っていた。

 

だがある時、たまたま手に入れた本に記されていたクイロンの伝説に、最強を見出した時。最強の字に心奪われた時。

──まず殺さねばと決めて実行した。

家畜がいなければ生きられない、弱者に飼われる強者。食物連鎖の奴隷にも関わらず、愚かにも自らを最強などと騙る汚物。

 

『まず目の前にあった自称最強を完璧に葬ってこそ伝説の始まりに相応しい』

 

必ず殺すと()()()

だから()()()

 

ある時は寝込みを襲い、源石を切っ先とした槍を頭蓋と心臓にぶち込んだ。

ある時は地の利と罠を駆使し、脚を奪ってから解体して臓物を抉り出した。

ある時は敵対勢力を誘導し、疲弊し孤立したところを仕留めた。

ある時は捥いできた首に、源石爆弾を仕込んで目の前で爆発させ生じた隙を突き、肉体を折り畳んでやった。

 

全て殺し尽くし、死に満ち溢れた生家で深呼吸をして、初めて今を生きていると実感できた。そして強者との死闘、全力と命を賭して奪い取った勝利を噛み締めて……最強の字を勝ち取ることこそ己が意味であり価値として、勝利の美酒たる紅茶を飲み干してから、まずは同族殺しを始めた。

 

闇夜に隠れて悪逆を為す?

弱者を狩って強者と威張る?

そんなものは、最強ではない。

目障りな()()()()()()()()共よ、オレの最強の伝説に捧げる生贄としてその命を使ってやろう──それがジェヴォーダンの獣が生まれた日だ。

 

力の差、練度の差、経験の差──それら全てを乗り越えるために自らは憧憬と狂気を燃料として限界を超越して現実を踏み躙る。ロクに知らぬ文字を丸一日かけて解読して得た兵法と知識を元に確実に殺せる状況と方法を導き出し、『全て都合良く進められる状況になるまで』腹が減ろうが喉が渇こうが血に飢えようが心一つでねじ伏せてひたすら待ち続ける。

 

如何にして殺そうか、殺すべきか……そう突き詰める内に、気付けば忍耐と智略は自然となり当然に限界を超越し格上を殺す。生命としては異質な行動と選択を迷いなく選べる存在と化した。

 

だがそんなジェヴォーダンの獣は、懸命に生きようとする死にかけの女に魅了されて眠ってしまったのだが。

 

「詮索はしません。ですが人の暖かみを違う世界に感じるということは、とても──痛いんですよ」

 

日陰でしか生きられないのに、日向に愛しさを覚えて、その度に悲哀の呪縛に嘆く。守るべき者を守ろうとして、仰ぐべき主に従おうとして、隣のメモリ番地に指し示されるのは常に己の手で燃やした本。やめてくれと叫んでも、本棚は倒れて留まる自分に苦痛は追いついてきて、痛みを抱えて明日の自分は勝手に道を歩き出す。

常に真っ直ぐ進み、踏破することしか選択しないし諦めないGに初めて憐憫を抱きながら、シュヴァルツはせめてそれをわかって欲しいと、彼女らしからぬ表情で告げた。

 

そんな彼女に対して、彼は告げる。

 

「『嗚呼、苦痛よ。お前は決して私から離れなかった故。私は遂にお前を尊敬するに至った』」

「へ……?」

「──オレの友が好きな詩の一節だ。これは受け売りだがな、苦痛とは死ぬ時も心の隙間に入り込み、自分と共に整然と横たわってくれる存在だという」

 

呆然とするシュヴァルツに対してGは言葉を続ける。

 

「セイロンとそのオヤジがオマエの苦痛ならば、全部含めて愛せばいい。苦痛は存在するだけで美しいのだから」

 

かつてモスティマが諭したように、彼もまた──血で汚れたことを罪と認識できるだけの良心と良識を備えた者へ、悟りを告げる。

 

「シュヴァルツ、オマエにとって最大の苦痛を愛する方法を見つけるといい。大切に思うとかじゃない、心を蝕む苦痛を受け入れる方法だ。鎖を断ち切り、恐怖と一度でも向き合わなければな」

 

一度でもいい。

罪深さを忘れてそれも己と受け入れるのだ。

 

「光に焼かれることを恐怖と苦痛に思うなら、闇で光を抱き締めてみろ。自分が光になってしまえばいい。一度でもそうすることができれば、何度だってできる。オレに言われなくてもいつかできるだろうが、今すぐにでも求めるならば、たった一度でも断ち切るんだ」

 

──そして、敢えてこの言葉を告げる。

 

「ドン底まで落ちたなら、後は這い上がるだけだ。光に向かって這い上がれ、奈落の深淵で渾沌に呻く者」

 

光に照らされることが痛みならば、光を包んでしまえばいい。飼い慣らすとは何も片方が絶対的な主導権を握ることではないのだから。

 

「……驚いた。そんな言葉が出てくるんですね、あなたから」

「これでも教養はある方なのでな」

「では、あなたは闇で光を包めたと?」

「オレにはオレなりの苦痛と、その愛し方はあったが、オマエのように世界が違うということはなかった」

 

そもそも平穏に心惹かれていたなど、つい最近自覚したばかりでもあるのだ。最強という称号以外やはり目指すつもりなどないが、そういう己もいるということはちゃんと認めている。だからシュヴァルツの悩みというものはわからないのだが、まあ、望まずして自分のような道を選ばざるを得なくなった相手に対する慈悲は持ち合わせている。

それと同時に、『完成』したシュヴァルツに挑んでみたい──という殺意もまた。

 

「まあせいぜい、ドクターや仲間たちと共に悩むことだ。後ついでにあの理想主義にも程よく現実の味を教えてやれ。理想ばかり追い続けているとオレのようになるぞ」

「それは困りますね」

 

「──オマエが暗殺に向かわされるような相手で、オマエを助けながらオマエの手伝いを受け入れられるような男ですら女を愛し子を作ってるんだ。結局、罪深いとか闘争に悦を見出すとか、何も関係ないのさ」

「……つまり?」

「好きに生きてりゃ、後で好きに生きた咎が帰ってくる。遅いも早いもあるものか。好き勝手生きて、その咎を受けて死ぬ。いいじゃないかそれで。人生なんぞそんなもんだ」

 

そう言われても、シュヴァルツにはわからない。好き勝手に生きるということの意味が違うから、Gの語るそれらがあまり見えてこない。そしてそこに決定的な違いを垣間見て、つい苦笑が漏れた。色々と似ているのに向いている方向が根本的に異なり過ぎていて、だからこそその助言だのなんだのが奇妙にも染み渡る。

 

「私にはできない生き方です、それは」

「なるほど。オレにはオマエの生き方ができんな」

 

ケラケラと笑うGを見て、シュヴァルツはこの男は自分以上にロクな死に方ができないだろうなと容赦無く考えた。

好き勝手生きているならば、その分の咎が来るのだと自分で言っていたのだし、それすら受け入れているのだろう。全て、彼女にはできぬ生き方だ。ただ友達としては……それなりに上手くやっていけるだろう。不思議だが。

 

「で、次に淹れる紅茶はもう少し薄めてみようと思うんだが」

「まだやるんですか……」

 

それにしても。

あくなき紅茶への探究心に付き合わされるこちらの身にもなって欲しいと本気で思う。一人でやっているか、それかもう少しフリーにさせてくれと、彼女は研究者の如くまた紅茶を淹れ出したバカに呆れた。




Gくん
実は昔は何処にでもいる小悪党の子供のオマケで生まれたという出自。
つまり望まれぬ子故に父母と兄姉にはほぼいないもの扱いされていた。
平凡なブラッドブルードらしく区分なく血を飲み、平凡な弱者らしく血の繋がっているだけの存在に虐げられていた。
が、覚醒した彼は全てを殺し尽くした。そこで紅茶を勝利の美酒として好むようになり、最強の生贄として贋作の出来損ないたる同族を全部殺そうと画策した。
……まあ、W姉貴と出会って色々変わったんだけどネ。

シュヴァルツ姉貴
家族に恵まれずこの手で殺したGくんとは反対に、家族に恵まれたものの悪意で奪われ傭兵になった人。
不思議と仲良くなれたのが疑問だったから紅茶のテスターを務めるついでに色々聞いてみたが、斜め上の回答とかが飛び出してきてもっと不思議になった。
流石の彼女とて散々誤差レベルの紅茶を飲まされれば嫌になる。
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