アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

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新イベントがケルシー先生のファッションショーだったので初投稿です
みんなはどのケルシー先生が好き? 僕は男装ケルシー先生!


小話:昔話

「アーツユニットを小型化して人体に埋め込み、背中あるいは肩から源石の武器器官を発生。更に擬似的な自立兵器としての運用のため、溶接された外骨格的な存在として認識するための人体改造も行う。こちらは鉱石病を意図的に進行させる薬とその抑制薬を同時に装備した鉤爪と籠手……腕を切除し体内の源石と繋げることで進行度を上昇させずに末期状態のアーツコントロール能力と性能を獲得。および神経系光学繊維化、肉体強化……」

 

 発案をまとめた書類の束。

 どれもこれもが倫理的にも問題がありつつ、そしてあまりにも突き抜けている。

 

「全部ダメだ」

「そうか」

 

 容赦ないダメ出し。それを諦め気味に受け入れる声。

 珍しくGが笑顔でやってきたと思えばこんなものだ。諦め気味にボヤきたいのはケルシーの方だった。暇な時間がようやく出来て、一息付いていたらこれである。まったくひどい話だ。

 一体何に着想を得たのかわからない物の数々。非人道的・倫理的に問題のある行為ではあるが、確かに後々に様々な応用を効かせられるからタチが悪い。趣味なのか実用性を突き詰めたのかわからないから更に困る。

 

「……この格納式の源石剣翼は「ダメだ」……カッコいいのに……」

「そういう問題ではない。普通に考えろ、耐えられない」

「アンタも似たようなもんじゃないか。背中にあんなデカブツ仕込んで」

「私はいいんだ」

「なんだそれ」

 

 それはそれでこれはこれだと、ブーブーと抗議するバカを無視しながらそもそもの問題に呆れながら触れていく。

 

「しかし仮にこんなものを本当にやるとしても、被験者はどうするんだ」

「オレを使えばいい」

「……」

「サルカズの中でも輪をかけて頑丈だし、最悪血を吸えばなんとでもできなくもないからな。ついで本人が発案して本人が被験者で本人が乗り気なんだ。問題なかろう」

 

 ──この馬鹿者は何を当たり前のように言っているだろうか。

 ため息、そして頭を抱えてから天を仰いで、ギロリと睨み付ける。

 

「問題だ」

「えー」

「可愛くない」

「知ってる」

 

 棒読み気味の反応に一度本気でぶん殴ってやろうかとすら思う。昔の危うい頃の方がまだウザくなかったような気がするが、そうしたところが安定して素が出てきているのがいいことだとはわかっているものの、それはそれとして腹が立つものは腹が立つ。

 

(本当に君という男は、こんなのだったな……)

 

 なんでこんなのを気に入ってしまったのだろうか。理由はわかっていても自省せずにはいられない。こんな馬鹿者だと知っていれば──いや、変わらないか。ケルシーがケルシーであり、GがGであるならばこの関係は必然だったと結論付けて、一応納得はしておいた。

 本当に一応だけど。

 

「じゃあコッチはどうだ」

「剣に噴射機構など付けたらどっちの負荷も酷いことになるに決まっているだろう、馬鹿者」

「ならコレ」

「鞘にラテラーノ銃の弾丸発射機構を移植して剣を撃ち出したところで、どうやってそれを掴み取って抜刀術にするんだ」

「……電磁抜刀の負荷を軽減しようかと考えたんだがな……」

「できるのは君だけだ」

「だったらアレはどうだ」

「鞘に刃を付けて、剣と接続することで大剣にしたところで、重いものは重い」

「こんなの」

「……わざわざ7本の剣を分離・合体させることに何の意味が? 嵩張るだろうに」

 

 どれもこれもが卓越した技量に加えて判断力を要求される。限界まで能力を使用できる者が使用することの許されるものであり、そしてそれらは自分の適性というものを無視することで初めて実現される。

 極端なことを言えば、効率的では無い。確かに使いこなせれば効率的になるだろう。が、そこに至るまでが問題なのだ。誰しもが短期間で、慣れ親しんだ武器以外を極められるはずもない。

 それができるのがこの男であり、そんなことができるのはこの男以外に存在しないだろう。

 

「君は昔からそうだが、戦いから離れない限り壊れているな」

 

 なんでそう常識的な部分が変にあるのに、自分の趣味だのなんだのになると、途端におかしくなるのか。バベルの頃からそうであったが、そういうところだけはどうにかして欲しい。

 

「闘争は闘争だ。そうでない場であれば当然空気は読む。明確な敵でなければ不要な殺しは行わないし、理由がなければ女子供だけに留まらず無闇やたらに殺さん。悪意には悪意を、善意には善意を。物事には誠実かつ真面目に。ただそれだけだ」

 

 つまり意味のある殺戮ならば女子供も皆殺しにするということであって。実際意味があるからカズデルのブラッドブルードを全滅させようと殺戮の旅を始めたGだが、特に理由がなければ無益な殺生はしない。仕事は仕事で使命は使命。

 ──グチャグチャに混ざり合ったそれは、人間にあるまじき機械の如き判別である。もはや規範や概念にも等しい。そうしたものになろうとして、さてそれを現実的にした場合はどうなるかを模索しているからこの考えが生きているのか、それとももうそういう思考しかできなくなっているのか……

 

(さて、どちらなんだ)

 

 実のところ、本人もわからんだろうしケルシーだってよくわからない。そもそも最後のお楽しみを取っておくという風に、順序を与えている時点で規範や概念と言ったものから外れているのだ。

 だからそこに関してはわざと見て見ぬフリをしている。多分、その答えを出してしまうとGは完成してしまうだろうから。

 

「でだ、全て認められないぞ」

「……むぅ」

 

 不満げなGを置いておいて、ふとケルシーは思い立った。

 彼女はさまざまなことを知っている。その中でも聞いたことがあった。『ジェヴォーダンの獣』の逸話──彼は一体、何故そのようなことをしたのか。ブラッドブルード殺しは理解できるが……だとすればWとはいつ出会ったのか。

 

「そういえば、Wとはいつ出会った」

「忘れた」

「即答とはな」

「仕方ないだろ。あの頃は時間の感覚すら忘れていた」

 

 そういうとGは黙って紅茶を淹れ始める。ケルシーの執務室に勝手に持ち込んで勝手に置きっぱなしという代物だが、これを片付けられなかったケルシーもケルシーだ。

 そんな様をモスティマに知られたとき、ケラケラと笑われたのは彼女の記憶に新しい。

 

「──あの時は、なんだったか。ブラッドブルードが集まってる集会を皆殺しにしようとしていた時だったな。殺さねば殺さねばと殺意をたぎらせていたオレは、目的地に向かって突き進んでいた」

 

 そんな風に語りながら、紅茶を黙々と煎れて持ってくる。二人でゆっくりと飲みながら、彼は更に言葉を続けた。

 

「その道すがらだ。見知らぬ死に損ないの小娘が倒れていた。ボロ布を軽く羽織った程度、全身に見える傷。まるで潰された虫みたいな有様だ」

「それで?」

「──その瞳には、強い生への執着があった。綺麗だった、美しかった。そんな素晴らしい輝きが失われると思ったら、オレは自分が許せなかった。だから拾って助けた」

 

 そうした自分の行動を口に出して説明した時に、冷静に分析してみれば当時、そして悟った時に見えなかったものが見えてくる。そして現れた真実にGは自嘲しながら、ケルシーに誰にも言っていない本音を語り始めた。

 

「それを思えば、ああ……一目惚れなんだろうな。完璧な敗北だよ、膝を折って手を差し伸べるしかあるまい。だがオレは、アンタも知っての通り口下手な挙句ヘンテコな人間なものでな」

「……うん?」

 

『好きに使え。寝首を掻くのも構わん。できるなら、だが』

 

「嗤ってくれよケルシー。あれは醜態もいいとこだ。よりによって一目惚れした女に向かって『殺す気あるなら殺してもいい』だなんて言うとか、愚者というにも程があるだろう」

「実にらしいじゃないか。笑う理由が無いな、私には。それで君は初めから彼女を選んでいたのか?」

 

 素朴な疑問。運命などとWのことを称するのであれば、最初からそういう気だったという状況だったのか。何処となくそういうわけではなさそうにも見えたから、ケルシーはそこを掘り下げることにした。

 

「いや。選んではいなかったが、コイツなら一応いいかくらいには感じた。そうだな、一人孤高を貫き通して死ぬのもいいが、一目惚れした女に命を奪われて死ぬのも悪くないくらいの話だ」

「そんな彼女がどうして運命になったんだ」

「自分の意志でコイツにはコイツの人生があって、オレに付き合わせる必要は無いから自由に生きてくれと願った。──その時は自分の意志で、自分の願いを優先した。だがある意味では、オレはWから逃げたんだ」

「選んだではなく逃げたか」

 

 違和感のある発言だった。

 逃げたとは、当時の彼らしくない。何もかもを投げ捨てて一心不乱に定めたことに向かって突き進む男にしては、初手からあり得ない行動だ。

 

「こうと決めていると話し合って離れたらなら、逃げたとは言わないはずだ」

「……夜逃げした」

「……だと思った」

 

 バツの悪そうなG。

 呆れ返ったケルシー。

 よく見る光景である。

 

「あのままアイツといたら、オレが何処かで折れてしまいそうな気がしてな。まさに愛しい苦痛だったというワケだ。結局逃げて、戦いの日々を送った。その中でモスティマに助けられたことがある。それが彼女との出会いだ」

「無茶をやったのか?」

「大した話じゃない。3日ほど飲まず食わずで標的を皆殺しにしたが、終わった後に倒れてな。そこを助けられたというだけだ。龍門のスラムで大騒動だったからな、正直殺されてないというだけであの時は驚いたよ」

 

 ──飲まず食わずで皆殺しはあまりにも執念が過ぎる。少なくとも選んで殺してはいたのだろうが、その行動様式は異常そのものだ。

 

「それからしばらくモスティマと行動を共にした。色々とアイツはオレに世話を焼いてくれた。おかげで視野も広がって、ほんの少しだけWに会いに行ってもいいかなとか思ったが──また戦いを選んだ。探しても見つかりそうもないし、オレが覚えてても向こうは忘れているんじゃないかと思ってたしな。そしてオレは……Gになった。もちろんサルカズ傭兵の伝統に則ってGになったわけじゃない。あの偉大な先駆者を、先代のGを殺してヤツから全てを譲り受けた……いや、喰らっただけだ」

 

 喰らうとはどういうことかとは聞かない。あの隊にGとして存在するということはつまりそういうことなのだから。しかしGとなったということは──あえてケルシーは言葉を先取りした。

 

「必然のような偶然か。属していた部隊がヘドリーの指揮する部隊だったから、君たちは再会してしまった」

「正確にはGになってから少ししたら、ヘドリーとイネスがアイツを拾ってきたんだが。……信じらんないが、時間数えてやがったんだ。オレと別れてからの時間。なんだコイツとか思ったけど、そこで初めてオレはアイツを運命だと感じた。あとはオマエも知っての通り。ケルシー先生に教えを請いながら、あれこれと迷って心を決めてもやっぱり最強を目指してしまうバカの完成ってワケだ」

 

 そういう経緯だったのかと納得しながら、しかしケルシーは少しばかり不機嫌であった。『こう死にたい』という欲求しかなくて、そしてそれがバベルの頃になってようやく『こう生きたい』という欠片が出てきたとばかり思っていたが──まさか、ずっと『こう生きたい』という欲求から逃げ続けていたなんて。

 しかも挙句の果てに、時間を数えていたWのことをわからないと言う。前に『アンタも時間数えるんだな』とか言っていたが、そういうことだったのか。思いっきり口をへの字に曲げながら、更なる疑問点について尋ねる。

 

「逃げ回ってその様か。だが何があってようやくそれと向き合うことを決めた?」

「不死の黒蛇。アレを見て愛想が尽きた。過去に色々あって、実際積み重ねたモノはたくさんあるんだろう。しかし──何故だろうな。自分でやってしまえばいいのに、自分はあくまでも思考を操作して他人任せで手段も目的も選ばないと来た。まるでそれはフィクションの悪役だ。それが薄っぺらく見えて、自分が何を目指していたのかを知った」

「世界広しと言えど、彼を薄っぺらいと表現するのは中々いないだろうな。アーミヤでもそのような表現はしないだろう」

 

 紅茶を飲み切り、二人は一息をつく。

 

「スコーンいるか? いるならまた淹れるが」

「いや」

「わかった。──してみれば不思議だな。オレたちの腐れ縁も。狂気の体現者は記憶を失い、永いときを生きる賢者は拗ねる。オレは理想と現実の狭間で揺らぎ、オレの運命は真実を追い求める。なんだろうかね、この奇妙な感じは」

 

 拗ねる。

 ケルシーはそういう表現をされたことが不思議でならなかった。

 

「私は拗ねてなどいない」

「拗ねてるよ。悪巧みに混ぜてもらえず、二人でこっそり物事は実行された。終わったあとにも真実は教えてもらえず、当事者の片方は……本当に死んだのかも怪しいが、とにかく死に、もう片方は記憶喪失。別にアンタがドクターに気があろうが無かろうがどうでもいいが、一人の人間として友達からハブられちゃあ、拗ねると思うがね」

「拗ねてない」

「クククッ、ケルシー……オマエ、ホント可愛いなァ」

 

 ケラケラと笑うGに対して一度本気で殴ってやろうかとも考えたが、そういうのは何か違うと思ってやめた。というよりも永い時間の中でこのようなことを言われたのは初めてでもあった。まあ不快というか気に食わないところあるけど。

 どんな表情を自分がしているのかは知らないが、Gが笑っているということは笑われるような表情をしているのだろう。

 

「何が可愛いんだ。言ってみろ」

「そういうところだよケルシー。努めて冷静であろうとするが、ある時急に感情が現れる。それも微かじゃない、デカい感情だ。けどオマエはそれを微かだと見せかけようとする。これを可愛いと言わずしてなんと言う?」

「……」

「アハハハ、そっぽ向くなよケルシー。別にいいじゃないか、そういうアンタもさ。オレはアリだと思うぜ。いっそどうだ、メイド服あたり着てドクターに甲斐甲斐しく世話を焼いてみるとか──「君は私が彼に対してどういう感情を向けているかわかっていってるのか」……知ってるよ。だが肩を並べて進むって決めたなら受け入れるしかないだろうに」

「メイド服は意外と動きづらい。私は着ないぞ」

「それって一度着たって暗に言ってないか?」

「さあな」

「メイド服のケルシーねぇ……アンタ綺麗だからな。何着ても似合いそうだ。それこそスーツとかでもな」

「……そういうことを、どうしてWに言ってやらない」

「あ? ……別にアイツ、褒めたって面白くないもん。それが当然みたいな態度されたら誰だって何も言わなくなる」

 

 思わず無言になった。

 考えてみれば、GはWの服装について何か言ったことが全くない。一般的なサルカズ傭兵の装いから変えた時も、彼は「あーうん」みたいなことしか言っていなかった。

 その答えがこれだったか。幼少の頃から共に過ごし、たまに洒落た服装もした事があっただろうに、Wは中々素直になれずに「ふふーん」みたいな態度を取っていたのだろう。

 

 確かに、Gでなくても何も言わなくなる。

 

 これはWが悪いな、とケルシーは一つため息を吐いた。

 

「ところで、君はお洒落はしないのか?」

「アンタも大概な物好きだよな……」

「話は聞かせてもらったわ。ファッションショーをやるのよねケルシー?」

「……いや、私はやらない。やるなら二人でやっててくれ」

「嫌よ。あんたのことだからあたしの知らないところで役得するに決まってるわ」

 

 突如として乱入したWを無視しつつ、ケルシーとの口喧嘩から目を逸らして、Gは無言で退出するのであった……

 

「逃げちゃダメよG」

「君が原因なのだからな」

(助けてモスティマ)

 

「てい」

「Mon3tr」

 

「──は?」

 

しかし まわりこまれて しまった !




Gくん
発想が啓蒙+10くらいの発想ばっかりしている人
人として軸がブレているので、仮にアビサルハンターの真相を知ってしまうと嬉々としてやりかねない
ケルシー先生を可愛いヤツと思うくらいには色々ヘン。ちなみに彼の好みのケルシー先生は修道士ケルシー先生

ケルシー先生
新イベントがファッションショーだった人
Gくんのアホ発想を全部ボツったら、色々とからかわれた
拗ねてるとか言われると、流石にムッとする。可愛い

W姉貴
乱入してくるとはとんでもない奴だ
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