アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

26 / 40
クリぼっちだったので初投稿です
最近執筆してなかったのでリハビリも兼ねて軽いのを書きました


パロディモード:混沌聖夜・馬鹿騒

「───今日はクリスマスだな」

 

 泥沼化したカズデル某所の戦場。

 

「ヘドリー、どうしたのよ」

「いや、不意に思い出しただけだ」

 

 戦況は膠着状態。

 遮蔽物に隠れながら隙を伺うヘドリーのボヤきにいの一番に反応したのはイネスだった。

 

「あらクリスマス。いいじゃない。歌いながら殺し合いでもしてみる?」

「……殺し合いかはともかく、この状況でなら僅かな時間を稼げるかもな」

 

 Wは茶化すように提案し、横でリボルバーに弾丸を装填しているGは例によって冷酷に告げていく。

 

「で、どうするんだヘドリー。迂闊に手を出すべきではないが───」

「無理をするべきではないな。許可するまで撃つなよ。だが……W。人員は好きに使って構わないからトラップを。向こうも同じ考えだろうな」

「りょーかーい」

「G。先陣を切れるか?」

「問題無いが……イネス、手を貸してくれ」

「足並みは揃えなさい」

「ああ」

 

 その時であった。斥候が帰還する。

 

「ヘドリー。ターゲットはどうやら孤児院に寄付するサンタを装っているようだ。子供も見えた」

「子供……あまりいい気はしないな」

 

 変に巻き込むとなればややこしいことになる。

 特に子供というものは、大人にとっての癒しのようなものだ。下手を打てば作らなくていい敵を作りかねない。さて困った──

 

「ヘドリー。オレに任せろ。すまんが武器を頼む」

「!? おい、G!」

 

 Gは武器を預け、そして去っていく。

 ───故に現れたのは。

 

 ブラックサンタだった。

 

 長い時間が過ぎても人はそう簡単に変われるものではない。

 

「クリスマスよ」

「邪魔だ」

「クリスマスだね」

「退いてくれないか」

「クリスマスだが」

「あんたに渡すもんはない」

 

 そういう行事など心底から興味が無い。

 そしてこういう平和なひと時というものに身を浸した時、どうしたらいいかわからない。

 なので素気ない対応をする。

 ───この男はそういう生き物であった。

 

「ドクター」

「どうした?」

「仕事を寄越せ」

「……まだやるのか?」

「仕事」

「無い」

「じゃあなんか雑用、パシれ」

 

 製薬会社であるロドスには、クリスマスなどただの平日だ。というか祝日など存在しない。年中無休だ。

 

 ただそんな彼らとて諸々の都合上、仕事の無い日がそれに該当することもある。

 そして戦いの申し子、異端のサルカズ、最強の信奉者たるGは───平和なひと時に一息付く日に限って仕事の無い日になってしまう、そんなジンクスがあった。

 クリスマスのこの日も例外では無く、彼は休日を自主返上してドクターの補佐をやっていた。

 

「世間はクリスマスだってのに、働き者はいるものねぇ?」

「第一、顔も知らんヤツのことを祝ってどうする」

「風情が無いわね。詩とか本には興味を示すのに、どうして祝日には興味ないのかしら。そういうところよ、まったく」

 

 そして今日の秘書はなんとW。

 運の無い男である。

 心底からどうでもよさそうなGを見て、ため息を吐くW。そんな二人に挟まれてはさしものドクターとて。

 

「二人ともサボっていいんだけどなあ」

 

 ───別に何とも思わない。

 

「断る。流石に浮ついた子供たちの前に現れたくない」

「お断りよ。平和ボケした連中の平和ボケを眺めるのがいいのであって、一緒に踊るのはごめんだわ」

 

 このサルカズ語を一般的なテラの公用語たちに直そう。

 

 G『子供たちに悪影響及ぼしたくない』

 W『嫌いなヤツが楽しいところに現れて欲しくないでしょ?』

 

 サンタみたいなカラーリングの女とブラックサンタみたいなカラーリングの男はなんだかんだ言って気遣い上手なのだ。

 

「はいはい、二人ともそーなんですね」

「なによその言い方」

 

 サルカズ語3級なドクターにとっては、この程度の翻訳は手遊びに等しい。

 

「あ、そうだドクター。そこのバカの面白エピソード教えてあげる。クリスマスにちなんだね」

「やめろ」

「まだあんたたちと出会う前にね、依頼がたまたまクリスマスと被ったのよ。依頼内容はごく単純、ある人物の暗殺。方法は問わないけどスマートにやってくれって至って普通の暗殺依頼。ただ一つ問題があってね」

「要塞とか?」

「そいつの居場所が民間居住区……それも難民たちを受け入れている場所と隣接してたのよ」

 

 伝えられた状況から素早く戦場を描き俯瞰。彼らの能力と作戦目標を考えてから、問題となっている部分を組み込んで──対抗策まで考えそうになったのをカット。

 

「なるほど。狙撃は難しく、Wはできないこともないが犠牲が大きすぎる。Gではまず無理。そして他の傭兵たちも手をこまねいた。というところか」

「せーいかーい。賢いわね、さすが『ドクター』」

 

 ウキウキとしたWとは正反対の、普段より輪をかけて沈んでいるG。彼に纏わる面白エピソードとは言うが、一体何なのか────ドクターは続きを促す。

 

「もういいだろ」

「で、結局あたしたちは作戦を強行した。潜伏がバレるのも時間の問題だったから、民間人への影響を無視せざるを得なかった。いくらサルカズ傭兵って言ってもね、そういうのは好まないのよ。あたしやこいつは例外だけど」

「で、オチは公衆の面前で殺したブラッディクリスマスだったのか」

「いいえ。この話はここからがミソなのよ」

「W」

 

 静止の声を無視してWは笑顔のまま続ける。

 

「ターゲットはサンタの格好をして子供たちと触れ合ってた。子供たちは無邪気にはしゃいでたわ。目の前のサンタが多くの恨みを買っている奴とは知らずにね。そんな状況にあたしたちは困り果てた。傭兵に付いた悪名ってのはそう簡単に取れない。特に傭兵部隊が再編成したばかりだと、民間人の前でサンタを殺した傭兵団なんて評価は足枷になる。商隊を襲うのとは訳が違う。何をしでかすかわからない傭兵なんて誰でも怖がるでしょ?」

 

 商隊を襲うのはまだ合理的だが、無関係な人物の前で暗殺するのはあまり良くない。特にその関係性が不明瞭な場合など、変なところで妙な恨みを買う恐れもある。更に言えば、スマートな暗殺とはそういう暗殺ではない。強硬手段を取るということは、それ相応リターンが無ければならない。

 

「そこでこのバカは───」

「黙れ」

「近くにあった商店でサンタの衣装を買って着替えて、その男を素手でぶちのめしたの。うろ覚えのクリスマスソングを歌いながらね」

 

 え、なにそれ。

 ドクターの頭は混乱した。

 

「……」

 

 嘘かと思って件の人を見たら無言で顔を逸らした。気まずそうに。ということはどうやら────真実らしい。

 なんとも言えない空気を投げ捨てるが如く、カラカラと笑いながらWはその珍事の仔細を語り始めた。

 

「あれ笑っちゃったのよ、みんな。黙って武器を預けて神妙な顔で移動したと思ったらサンタのコスプレして現れて、その次はクリスマスソング適当に歌いながらターゲットに向かってローリングソバット。そのままマウント取って気絶させて持ち帰っちゃうんだから」

「つまり?」

「こいつにサンタやらせない?」

「やらせよう。───ケルシー!」

 

 鶴の一言に合わせて、色々なバカたちが飛び出してきた。

 Gは固まった。生きていて誰にも見せたことのない表情で困惑している。

 

「話は」

「聞かせて!」

「……もらった」

「W! ケルシー! ブレイズ! ロスモンティス! レッド! エンカク! スズラン! Gにジェット・セット・エクストリーム・アタックをかけるぞ!」

 

 ドクターの掛け声と共にバカたちが一斉に襲いかかってくる。

 

「待てレッドとエンカクは──は? スズランとロスモンティスだと!?」

「いい機会だから、いい加減に意地張るのをやめたら?」

「クソ、オマエほどの女が何故だロスモンティス!」

「木彫りのおじさん、サンタさんだったの!?」

「おじさんサンタさんじゃないからね!? おじさんはサンタさんのカッコしたことあるだけだよ!」

「お前、前におじさんはやめろとか言ってなかったか?」

「やかましいぞエンカク!」

「あら、おじさんらしい趣味じゃないG」

「何処がジジくせぇんだ!」

 

 バカな──!? と叫びながら人の海に溺れていくG。

 一体誰がこんなことを、と思って辺りを見渡せば物陰から見える蒼と紅の頭。なるほどなるほど……と認識した彼は有らん限りの怒号を飛ばした。

 

「モスティマァ! エクシアッ! テメェらなァ!」

「いやあ、クリスマスくらい慣れないことしたらどうかなって」

「サンタやれば仕事増えるよ〜」

「そういう意味では──うぉぉぉぉぉっ!?」

 

 そしてロドスでは、仮面のサンタが誕生したとさ。

 

 

 そして仮面サンタは散々辱められた後、ガックリと肩を落としながら同胞の所へと救いを求めに行った。

 

「……酷い目にあった」

「妾の勝ちだなクロージャ」

「くっ、なんでもっとこう抵抗してくれないのG」

「Wに何でもするとか言われてはなぁ」

 

 ぼけーっとした顔でそんなことを呟かれては、ワルファリンとクロージャも唖然とする。そんなことで釣られなさそうなこいつが、どうしてそれで諦めたのか。

 

「ナニをさせるつもりだ? G」

「んー……ミニスカサンタのコスプレでもさせて写真撮って顔見知りたちに見せてやるかねぇ」

「ぶっふぉ……あのWのミニスカサンタ姿ってちょっとなんか、キツくない?」

「普段の悪ぶりようから考えれば……ククッ、いかんな。そんなものを見たらケルシーでも笑いそうだ」

 

 どんな反応をするのかとワクテカするブラッドブルードたち。

 

「あ、あんたら……」

 

 しかし半身が何処へ行ったのかと追いかけたWはそんな会話を耳にしていたわけで。

 

「え、なによG。あんた可愛い女の子のサンタ服とか見たかったの?」

 

 ニヤニヤとしながら即からかいに移行する彼女の変わり身は流石としか言いようがないが、一方で詰められている彼はどうでもよさそうに一言。

 

「いや別に」

「は?」

「似合わなさそうだから、着せてみたかっただけだが。そもサンタ服が似合うのはクロージャだろうしな」

「妾はブラックサンタという方であろう?」

「オレもな。そこのバカは……何を着ても色気なぞあるわけでもなし。クロージャの方が可愛げがある」

「……待って? 私消極法?」

「然り。というかオレらみんなサンタってガラじゃねえだろ。サンタクロースというかサタンクロースだろう。吸血魔、戦闘狂、爆弾魔、機械狂。ほら、サンタも近づかないラインナップ」

「吸血魔……いや吸わなきゃダメだろう、種族的に」

「爆弾魔って、あたし爆弾しか使えないわけでもないんだけど?」

「機械狂じゃないもん! 人並みには他の物に興味あるよ!?」

「……なんとでも言ってろ。とりあえず、オマエらが色気ありそうな格好をしても目の保養にもなりやしない、萌えないゴミってのには変わらんからな」

 

 刹那、WがGにタックルをしかけてマウントを取った。その表情は羞恥とか嫉妬とかなんかこう色々混ざっている。流石に萌えないゴミ呼ばわりは効いたようだ。

 一方ワルファリンは「まあそうなるな」と納得しているし、クロージャは「萌えないゴミ……」と沈んでいた。

 

「萌えないゴミに欲情したあんたが言えた口かしらねぇ?」

「それとこれとは話が別だ。退け」

「何よ昨日だって散々楽しんだクセに」

(性の6時間?)

(6時間だろう)

「誘ったのはオマエだろう」

「乗ったのはあんたよ」

「どうしてもって言うからだろうが」

「その割には準備が良かったじゃない」

「丸1日入り浸ってたアホの所為だ」

 

 こうして始まった口喧嘩はいつまでも終わらず、結局どっちかが話題を変えなければならなくなる。付き合いきれないとばかりに、グダグダと惚気てるんだか愚痴を言ってるんだからわからないバカ2名を捨てて、賢いブラッドブルードたちは各々のリフレッシュスポットへと向かうのだった。

 

「……元を正せばオマエが!」

「いいやあれはあんたよ!」

「いつまでやっているんだお前たちは……」

 

 4時間後、様子を見に来たケルシーによって、この口喧嘩は終わりを迎えたそうな。




Gくん
木彫りのおじさん
さんた・にこらうす様を本当にやった人
ミニスカサンタのWを見たかった

W姉貴
Gくんの黒歴史を暴露した人
まんざらでもなかった

ドクター
クリスマスも仕事の人

ケルシー先生
クリスマスも仕事の人
バカ一号

ブレイズ姉貴
クリスマスにはシャケを食べる派
バカ二号

ロスモンティス
クリスマスはドクターと過ごす派
バカ三号

レッド
クリスマスはサンタ役をやりたい派
バカ四号

エンカク
クリスマスとかどうでもいい派
バカ五号

スズラン
クリスマスは楽しみな我らの光
植物エリアで木彫りをしているGを『木彫りのおじさん』と呼ぶ
エンカクに木彫りのおじさんをサンタにしよう作戦を吹き込まれ、乗った
バカ六号

ワルファリン
ブラックサンタならやってくれる人
クリスマスよりハロウィン派

クロージャ
クリスマスとか関係無い人
萌えないゴミは流石に効いた

ジェット・セット・エクストリーム・アタック
某有名な三連星のフォーメーションのパロディ
わかった人は破壊神
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。