アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告 作:W姉貴に負けたい人
──いや、違うんです。
エルデンリングやってたのもあるけど、いざ道が決まっても筆が中々進んでくれなかったんです。
マスターデュエルやってたけど。9章来たけど、10章近づいてきてるけど。
てなわけで本編進めていた時よりも遥かにスローリィでグダグダな進みですが、それでも暇潰しの足しになれば幸いです
>「っ、……」
「おはよう、G」
冷や水をぶちかけられたらしい。見知らぬ部屋でバケツを片手にオレを見るWが目の前にいる。
ここは──どこだ? 前線基地ではあるまい。ならば……
「チェルノボーグ、か」
「惜しいわね。正確にはチェルノボーグから外れた廃棄都市よ」
どうも、キング・オブ・ガバリストです。
前回は──わかりません。何故あんなガバが生まれたのか。ただチェルノボーグに連れてこられてしまった時点でチャートは崩壊しました。
>「で、これは何のつもりだW」
「だから言ったでしょ。こっち来いって」
「……グルか?」
「いいえ。別に大したことはないわ。利害の一致よ」
「オレ一人と引き換えにオマエが帰るなら儲け物と考えたのと、内部に送り込む算段か。で? ミーシャはどっちが貰ったんだ」
「死んだわ」
Wの一言で思考が停止する。
「……は? 待て。何故死んだ? あり得ん、どっちにしろ保護するのが思惑に……」
あり得ない。保護をするのが双方の目的。何故それが、どうなって死んだというのだ。
「……言葉をミスったの。実弟のアレックス──スカルシュレッダーが生かすために戦死したし、更にあいつだって別にレユニオンに着かなくていいって言ったのにね。スカルシュレッダーになって──結果戦死したわ」
「は、はは……バカバカしい。そんな簡単に自身の舵を他人に任せるとは」
Wらしからぬ表情は、自分のミスを責めるものか、あるいは死んだミーシャへの哀悼か。
「……どれくらい経った」
「1日も経ってないわ。ここはあたしが請け負ってる場所。だからほとんど顔見知りよ。それなりの扱いは保証するわ」
更に言えば、武装はエルガレイオン一本。ロクな整備もできないし、これから用意するはずだったメタ武装ももう手に入りません。開発がストップしています。
無茶した分の治療も自然治癒のみであるため、フルスペックの7割で行ければいい方でしょう。
>「チェルノボーグを落とすのか」
「可能性としてはあり得なくもないわ」
「まあ、オレならそうする。それだけだ……エルドスたちはどうした」
「知らないわ。でも責任は取らされてると思うわよ」
「──ケルシーと連絡は取ったか。オレの手元にはヤツとのホットラインがある」
「取りたくもないわ。ていうか何? あのクソババア、あれと連んでるってワケ?」
「そうだが」
「気でも狂ったのかしら」
「それで? タルラと事を構えるのならば、オレ一人では限界があるんだが」
「タネはあるわ」
「……そうと決まったわけではないだろう」
「タルラに全幅を置いてるスカルシュレッダーが違和感を感じるのよ? そしてあんたもヘンな顔してる。だったら最悪を想定して先を打つべきだわ」
うげぇ、これタルラ直行コースだな……勝てるようにするためのアレコレも全部パァだから敗走確定。死なないようにするか、特攻か石棺入ってしまうか……
>……とはいえ、牢獄に囚われた捕虜という扱いには変わりない。
Wの古い知り合いで、そこまでロドスには興味が無いという態度故に、寝返れとは言われるだろうが──さてどうやって命を繋いだものか。ヘマをする前にヘマを0にするのがオレの流儀だったが、まさか部下に後ろから殴られるとはな。
ただあのバラバラ具合から察するに、幹部同士も情報共有をあまりしていないと見える。極秘裏に連れてきたのであれば、一応の安全は保証されているだろう。
というか……上裸じゃないか、オレ。道理で寒いわけだ。
「服は?」
「尋問するって名目よ」
「返せ。風邪引く」
「あんたバカだから風邪引かないでしょ」
「水かけは別だ。もっといい方法があっただろうに何故こんな方法で叩き起こした」
「だって、ねぇ? 弱ったあんたが見たいんだもの。それにしても少し痩せたわね」
「デスクワーク中心の生活だったからな」
「らしくないことして退屈だった?」
──
>退屈だ
別に
──
まあ、もう修正不可能だし突っ走りましょうかねぇ……石棺にでも入ってもらって、魔王にでもなってもらいましょうか。
>「まあ、そうだな。とても退屈だったよ」
だが彼女は何やら気付いたようで、らしからぬ穏やかな表情をしている。
「その割には楽しそうじゃない」
「あり得んな」
「はー、すぐそういうこと言うんだから。それにしても──」
複雑そうに、しかし嬉しそうに。あるいは──心地良い失望と共に。
「変わったわね」
彼女はそう、優しく告げた。
「そういうオマエは何一つ変わらんな」
「話を変えない」
「変えてない」
……なんだ、その顔。
んんん……?
なんか、予想してたのと違う。
>「まあいいわ。ちょくちょく顔は出すから、ちゃんと構いなさいよね。でないと──殺しちゃうから」
楽しげにWは去っていく。
……会えて、しまった。自分の中の熱が急激に冷めていくのがわかる。殺すだのなんだの息巻いていたが、しかし──いざこうして顔を合わせて変わらないのを知ると、少し安心する。
Wには変わって欲しくなどない。この女はずっとこのままでいて欲しい。ヤツがオレに変わったと言ったならば、何処かオレは変わってしまったのかもしれない。
だが、どうした。捻じ伏せよう、そんなこと。オレは最強を目指す者。修羅となることを是とした者。こう生きて、そう死ぬのだ。それ以外の道を行くオレなどオレではない。最強たるを探究し、最強として生き、最強として死ぬ。その為に同族どもを殺して回ったのだ。追手を返り討ちにし、それがどんな存在であろうと喰らい尽くしてきた。
アレがオレの運命なれば、そうなるしかないのだ。
なあ、ケルシー。オマエが手を差し伸べた愚者とはそういうモノだろう? わざわざ、他の方面を視界に入れろと言わねばならないほどの存在とは、そういう愚か者でなければならない。
……待て、なんでこいつ、こんなにも『そういうものとはつまりこういうもの』みたいな思考をしているんだ?
あり得ない筈だ。この最強の幻想からの脱却は、Wが横にいる状態でタルラを目撃するのが条件。だから自力では脱却できないし、ケルシーに薮を突かれて蛇を出したんだろう。
おかしいな……何かが。
>……脱獄はやめておくか。
下手に抜け出して追い詰められては問題だ。
味方には優しいが敵にはキツい。典型的な犯罪者気質の集団で無闇矢鱈に動く事自体が無謀。
まあやれないこともないが、やってどうなる。敵陣のど真ん中で何をしろと言うのだ。それにWが相手だ。そう身構える必要もあるまい。
仮に殺しに来るならば、嬉々として殺すまで。
ただ、それだけだ。
待てよ? 行けるか?
これもしかして、生存ルートワンチャンある?
ここで仮に掴み取ったら、それは偉大なる兄貴よ、ご照覧あれぃ! ってことじゃん? やれたら今後祈祷力が試される場面でブースト入るってことじゃん?
知り得たか? チャートのリカバリーをってなるじゃん?
やってみせろよ私!
なんとでもなる筈だ!
ノーミスだと!?
>しかし武器はどうしたものか。暗殺に付き合わされるとなると、壊れかけのエルガレイオンでは無理がある。
……いや待て、パーツの調整さえできれば大剣で固定にはなるが、それでも十二分だ。
あとは、対となる剣の一つや二つを調達できれば……いや、無い物強請りか。
まあいい、やれるだけやってみるさ。
──なあ、ケルシーよ。オレは……オマエの小指には救われんなどと宣ったがそれは構って欲しかっただけなのか? いいや、違うな。アレは、敵が増えて嬉しいだけだ。
そうでなければなんだという。オレはそうなのだ、そうあるべきなのだ。
でなければテレジアが、ケルシーが、Scoutが、Aceが、クロージャが、アスカロンが、ヘドリーが、イネスが、オレに対してあんな反応をする訳がない。
そしてオレ自身が、今ここにいることすらできない。それを裏切ることなかれ。故に我は闇の底で産声を上げた怪物なれば。
……なるほどな?
こいつ、もう揺らいでたのか。
どのタイミングで揺らいでいたのかは知らないけど、とにかく揺らいでいる。
あー、だからケルシーからは言えないんだ。一言、「Wを殺したくなどないんだろう」とか「テレジアをその手で殺すこと以外にも、テレジアと共に歩む未来を見ていたかったんだろう」って言えば即終了なんだけど、それ言っちゃうとGくんにとっては自己矛盾になっちゃう精神性してる所為で、暴走どころが「そうだ、腹を切ろう」ってなる可能性の方が高すぎるし。
なるほどなぁ、ブレイズ姉貴がやたらと「私を見ろー!」するわけだ。すごく緩やかでも効果あるやり方だ。
となると、このGくんを突き崩さずに意識改革を起こすには三つの条件がある。
1. 戦闘時は決して迷わず殺すからダメ。精神面での隙が一切無い、完成された怪物だからNGなので戦闘時でないこと。
2.自分の運命を受け入れた上で色んな事に心惹かれつつも、それでもと決めた道をひたすらに進み、惨たらしく死のうが関係無いと言い切って死ねる人であること。
3.Gくんが殺したい、尊敬する、喰らい尽くしたいと思うのが正の感情を由来とする相手であること。そしてそれなりにシンパシーの感じる相手であること。
────無理ゲーじゃね?
まず1がキツい。戦闘時でないという条件一つで、できるメンツが限られる。
そして更に2が重くのしかかる。運命受け入れてその為に生きて死ねる奴なんかいるわけねーだろ。誰もが生きる為に頑張ってんだ、死ぬ為に頑張ってんじゃねーんだよ。
ついでに究極の3だよ。このキチガイがシンパシー覚える相手でズケズケと物を言って挙句納得させられる、平常時に会える相手とかいるわけねぇだろうが。
は?
"あの"けるしこですら「言えば死ぬ」って躊躇うのに、それを他の奴らでやれと?
W姉貴は絶対に言わない。だって彼女はずっと自分を助けてくれたGくんに最高の形で借りを返すためだけに、何も言わずに運命として相対してくれているんだから。
モスティマ姉貴はどうなんだって? あの人への感情は「好き」(幼少期のそれと同じ)だから、向こうが迂闊なことを言うと切腹丸になるのは変わらない。
それにそもそもモスティマ姉貴はそんなこと言わないし夢の中で死ねる様にってぶっ殺す。
言えるとしたら死んだ時のテレジアか、テレジアを殺した時のドクターだけど両方ともいないし、そもそもあの場面に立ち会うこと自体クッソむずいし。
「それでも生きる」じゃなくて「だから死ぬ」……テラの大地でその精神を持っている奴なんていねーよバーカ。
基本的にみんな「頼まれなくたって生きてやる」だわ。誰が生きる為に戦ってんだわ。どんな敵だろうとも、死ぬ為に戦ってる奴なんて一人も存在しないんだわ。生きる為に血を流し、生きる為に殺してるんだわ。
そんな風に思考誘導し固定化した人だーれだ?
オレだよオレ!! ハンバーグだよォ!!
というか何処だ、何処で揺らいだ? そもそも揺らいだ原因は何処にある?
このキャラクターは揺らがないように調整した。だからこんな頑なになっている。だからこうして頭を抱えていることになる。
それはつまり、俺の調整方針は正解だったということだが──怪物となって失敗した時と基本骨子が共通しているにも関わらず、意図的に揺らがせた前回とは異なり、最低限の人間性だけを引っ張り出す筈がこうまで揺らいでいるのは想定外だ。
これは知るべきことだ。
Gが何処で揺らいでしまっていたのかを。
ミスとは言い難い。想定よりも早く出会ったWとも必要最小限の接触および期間であったし、更に言えばあの時点で自発的に離れたのだから我ながら見事な引き際だったろう。
なれば、何が原因なのだろうか。ケルシーやブレイズに突かれ続けて揺らぐほどのヒビとは、なんだろうか。
さて、そういうわけでとりあえず脱獄タイミングを伺いましょうかね。
もっとも脱出ではありません。エルガレイオンの整備です。いかんせんあんなポンコツでタルラと真っ向からやり合うのは無謀ですから、できる限りの調整はしなければなりません。
でも生存ルート踏むってことは最大の武器である妄信と狂気と執念が無くなって凡百のサルカズ傭兵(雑魚)に成り下がるってことだよなぁ。どうするんだよお前。ガチガチに精神武装して初めてそれなりには戦えるってのに。
なんとか維持できないかなあ。まあ最悪尻尾巻いて逃げましょ。
>……しかしまあ、やることないな。せいぜい看守の確認だが、顔見知りということは余程の事でもない限りは融通が効くだろう。
手錠と鉄球鎖は自力で破壊できるからどうでもいいとして、風邪を引くのは不味い。大人しく静かにして、体力回復に努めるとしよう。
あ、こりゃ思ったよりも体力消耗が激しかったな。
というわけで色々加速。寝たり起きたり動いたり壁を確認したりなんだり。1日経ったくらいですかね。
……って、あり?
待って、あの人影は──
>この足音は、誰だ? 二人……それもデカい。騒つく声も聞こえる。想定外の事柄が起きたらしい。
……チッ、面倒なことになったのか?
しかし事態はそう単純ではなかった。オレの前に現れたのは、それこそオレが書物の中でしか知ることのなかった伝説の存在。
「アンタ、ウェンディゴか」
「如何にも」
ウェンディゴ……サルカズの中でも古き存在、消え果てた筈の者。如何なる理由かはわからないが、横にウルサス人の部下を連れてココを訪ねてきた。
「だがウルサスだ」
「何故、わかる」
「見りゃわかる。横のヤツウルサスだろ? だってのに随分と仲良くしてる。これは実質的に種族が同じってモンだろ」
──もっとも、あの内乱に顔を出さなかったということは、そういうことなのだろう。レユニオンの中でも一際武装が違うことが見て取れる。
しかしこの感じは……
「喉は鉱石病だな。その服装から推測するに、源石と身体の割合は3対7くらいか。ケルシー程正確ではないが」
職業病だな。まさか敵地で敵の容体を確認するなど。
ただポロッと出た名前に、そのウェンディゴはしばしの沈黙の後に、感傷に耽るように呟いた。
「……懐かしい、名前だ。士爵とは、どのような?」
「上司と部下、師匠と弟子、あるいは──同じ旗の下へ集った同志」
「下がって、くれ。彼とは、サルカズとして、話したい」
その言い草はある種の回帰だ。オレを警戒するのか、部下の方はジロリと観察した後に
「……了解しました、大尉」
随分とお行儀良く下がった。これでこの場にいるのはブラッドブルードの中の鼻つまみ者と、サルカズを捨てたウェンディゴという訳だ。
「大尉、か。やはりウルサス正規軍からの反乱部隊。それが何でこんな先の無いテロ屋やってる? ウェンディゴともなればその知識は生きる図書館だ。武器を捨てて器用に生きることもできたろうに」
「生憎と、それは、できない」
「……ケルシーの知り合いってのは、どうしてこう……」
頑固者ばかりだ。死んだヤツも生きているヤツも皆。
「なあ、ウェンディゴ」
「どうした。ブラッドブルード」
──その問いはある種の同族意識からか。
「故郷の一部を焼いた気分は」
衝動的だった。この言葉を口にしていたのは。オレがまさかこんな問いをすることになるとは。
「今更、何も、感じない」
「かつてからとは。筋金入りだな」
「感染者、だからと、虐げる者に、かける慈悲は、無い」
「……ウルサスを選んだのは間違いだったな」
この男がレユニオンに加担した理由はウルサスだからだろう。国の行く末を憂い、反乱を起こすというのはよく理解できる。オレもまた国の行く末を巡る戦乱に身を投じていたが故に。
キサマはそのようにして、テレジアと事を構えるとしたのか? なあテレシスよ。未来を憂いて行動を起こしたのには変わりあるまい。そういう意味では──似た者同士なのだろう。流石は兄妹と言ったところか。
「人生に、間違いなど、無い」
ある意味では感傷に耽っていたからか、即答された言葉に対して悪態が出てきた。
「テレジアみてぇなこと言いやがって」
「彼女を、知っているのか」
……意外そうな発言だ。失礼なヤツめ。噂に聞くロドスのバーサーカーがテレジアを知っていて何が悪いというのか。
「昔の部下の一人だ」
「元々は、Wたちと、共に?」
「まあな」
「……君は、違う。あらゆる、サルカズとも。何故、"光"を求める」
「ウェンディゴ、その先を言う義理は無い」
切り捨てた。この男に話してやる理由が無いというのもあるが──何故かわからないが、不快だった。
本当に、自分でも困惑する程に不快な感情。この男の発言を聞きたくないと本気で思うくらいには容赦無く叩き切った。
「また、来る」
来るのかよ……ヘンなヤツだな、このジジィ。
……パトリオットか。
使えなくもない、か? 上手くやれば突き崩してくる筈だ。
よし、ここはパトリオットを中心にしていくか。でもパトリオットでわかるか? 最初の歪みが。
まあ生存ルート乗せないと話にならんか。
とりあえずパト爺とお話するとしましょう。
てな訳でまた加速〜
>「来たぞ。ブラッドブルード」
「暇だな、ウェンディゴ」
Wは忙しいらしく、顔見知りどもは冷やかしてきた。どうでもいいと唾を吐きかけて追い払い、手錠を外したり付けたりして遊んでいたが、この訳のわからんジジィはまたやってきた。
「……さて、今日の話題は何にするか」
「私は、ロドスの、オペレーター、を知っている。サルカズ、傭兵たちから、単身で、逃げ延びられた、男だ」
誰のことかなど言わずともわかる。だが、オレにとってのあの男について知ったような口を聞くならば、それは誰であれ何であれブチ殺すと決めているのだ。
「ほう、その男について何を知った気になったかは知らんが──」
「彼の、最期を、見届けた、人物が、いる。私の、隊に」
……意味合いがわからなかったが、しばらく考えてそれに行き着いた。
「ウチから裏切り者が出たとはな」
別にどうでもいいのだが、裏切り者とは。やれやれ。何を言ったのかは気をつけねば。
お?
風向き変わってきたな?
>「……で、そんなヤツの話題出してどうした」
「彼が、話を、したい、そうだ」
出てきたツラは最近入ってきた新人。
覚えているぞ、キサマは──
「お久しぶりです、G先生」
「どのツラを下げてきた、Guard」
「……相変わらず、厳しい人ですね」
一番ケツの青かったヤツ。それはもちろん、向いていなさそうという意味だが。
どうも擦り切れたようには見えんが……大方、Wあたりが手を貸したんだろうな。流石に直接Scoutから何かを伝えられているならば、あの女が手を貸さないワケもない。
しかし、裏切り者か。
────
>話ぐらいはしてやるか
話すことなどない
────
よしよしよしよし……ご照覧あれ!
>「ふん、血迷ったか。こんな歪な泥舟に身を委ねるなどと。あのウェンディゴといいどいつもこいつも」
「先生。俺を助けてくれたScoutさんは──」
「どうせWの一味が殺したんだろ。で、手を貸せって?」
「……そういう、わけではありませんが」
「あのウェンディゴが隊長なら命令には従うことだ」
珍しくもない。オレが何度、同族の死を看取ってきたと思っている。
そして殺してきたと思っている。慣れたよ、その手の切り替えは。
ただ、向こうはどうやら違うようだ。
「憎いとは思わないんですか」
まあ……仲の良さは周知の事実だったからな。
ふっ、ああなる前はほぼ全員に蛇蝎の如く嫌われていたし、アスカロンには剣を向けられた挙句、クロージャには半ば謀殺されかけたし、色々と思うところはあるワケだが。
それでも真摯に向かい合ってきたのだ、コチラも真摯に対応せねば、無作法というモノ。気付けば馴染んでいた。いや──正確には、向こうが受け入れていたか。
……居場所、というモノを指して言うならば、バベルは唯一の居場所だったのかもな。
戦場以外で、と付くが。
「別に。何を期待していたかは知らんが、WがScoutを殺すなど、余程の理由がなければ有り得ん。そして当人たちの間で同意と納得があるならば、オレがやれ復讐だなんだと騒ぎ立てる必要は無い。それが運命なのだから」
「どういう意味ですか」
「そのままの意味だ。あんなに懐いていた男を殺すなど、あの女が重大な理由無くするまいて」
「どう見ても狂人ですよ」
「アレはアレで可愛い女だ。まだまだ観察が甘い。広い視野を持てと言ったろう」
アレほど可愛い女もいるまいよ。必死になって狂ったフリをして、完全に"W"となっているのだ。それを可愛いと言わずにして何と言う?
やれやれ、戦術面は問題無かったが、人を見る目の方も鍛えてやるべきだったか。
「……先生はどうしてしまったんだろうか」
「これが、素の、彼、という、ことだ」
「なんだが、イメージと違う。厳格な人だと思ってたのに」
「オレはずっと昔からこんなのだ。何をイメージしていたかは知らんが、そもそもオレはサルカズ傭兵だ」
立場にあった振る舞いはしていたからな。Guardがそう思うのも無理は無い。
「では何故、学者の道を先生は選んだのですか?」
ならばこそ、その質問は当然か。
「学者として才能があった。ただのそれだけだ。あとはまあ、ケルシーの手伝い。その程度。目的も無い。せいぜいがオレの役に立つと思ったからくらいだよ」
「今も戦士を続ける理由は」
「最強となるためだ」
──ああ、ほら、いつも通りだ。
「……さい、きょう……?」
その理解し難い目。鬱陶しい。吐き気がする。哀れみ、あるいは、悲しみ。そんなモノをオレに向けるな。どいつもこいつも、オレの見出した答えを軽んじる。ふざけるなよ。
「理解する必要は無い。ただそれはそういうものなのだと、単なる事実として認識しろ」
驚くほど素早く出た言葉は、現場を見た新人オペレーターに告げている言葉とよく似ていた。
「先生、それは──それはつまり、全てを葬り去るということですよね」
「ああ」
「一切の例外無く」
「当然」
「先生は、あんなに仲の良かった人たちでさえも、最強の為に捧げるというのですか!?」
やかましい。
「だからどうした。そうと定めた。ならばこうする。それだけだ」
「思考停止もいいところだ! 先生、あなたは……何故そうなったのですか!」
「ハナっからこうだった。勘違いするな」
ばっさりと切ってみせれば、何やら唖然とした様子。まったく、これだから面倒くさいんだ。いわゆる普通の人間ってヤツは。理解できないクセに入り込んでくるんじゃない。オレの内に。
「はぁーいそこまでー。面会は終わりでーす。帰ってくださらない?」
「W!?」
「あ、そうそう。あんたの娘が探してたわよパトリオット」
「そういう、こと、らしい。戻ろう」
「……また来ます、先生」
「不毛な話をするつもりなら二度と来るなよ」
何やらつまらなさそうなWが割り込んで話は終わった。助かるのだがやけにタイミングがいい。
あ、新衣装もらえたW姉貴だ。
新衣装可愛いっすね。
>「面会時間なんてあったのか?」
「別に無いわ。ただあんたが不機嫌そうだから助け舟出してやっただけ。それにしても随分可愛がられてるみたいね、パトリオットに」
「愛国者が反逆者とはな。笑えない冗談だ」
「化け物が医者よりマシでしょ?」
ケラケラと笑うWは、紙とペンを渡してくる。
「やって欲しいことあるならそこに書いといてね」
「オレは捕虜だぞ?」
「捕虜? 冗談。あんたはあたしの半分よ。何があっても、何になってもね」
小悪魔チックに微笑みながらウィンクまでしているが、何をしているやら。まったく可愛くない。
「ねえ、パトリオットに名前を聞かないの?」
「パトリオットってのは、ウルサスである為の名前だろう。サルカズとして向き合うなら互いに名乗る必要も無い。オレもヤツも、死んだ存在だからだ。あの瞬間は単なるサルカズの亡霊に過ぎん」
「じゃあ今は違うの? あたしの前はサルカズじゃないんだ」
「オマエの前では"ただのオレ"だ。オマエもまた、"ただのオマエ"を見せるように。互い刹那の逢瀬。されど永遠なればというわけだ」
「……ねえ、そんなにあたし出てた?」
「オレから見たらだが。オマエから見れば、オレが一瞬には映らないようにな」
なんでこいつこんなに小っ恥ずかしいことをシラフで言えるの?
面白いんだけど。
>はーん、と何やら納得したようにWは頷くと急に首を掴み、そのまま爪跡をつけた。なんでだ急に。というかどうしたW。
「泥棒猫の匂いより、あたしの痛みの方がいいでしょ」
「甲乙は付け難いな」
などとは言うが、まあどっちもなんというか、むず痒い。更に言えば、よくわからん。ブレイズは擦り寄って匂いを付ける猫だが、この女は噛み付いて傷跡を残す悪魔。比べようもない。
……タイプが違う。
「……さて、これだ」
「ふぅん? あれそんなのなんだ。てっきり普通の剣かと思って雑に投げちゃったけど」
「マジか」
「悪かったわ。でもわかんないんだもん。質実剛健で枯れた技術に信頼を置くあんたがそんなヘンテコ武器に手を出してたなんて」
それを言われてはなぁ……確かにあの手のモノは趣味ではない。なんなら作る時も割と抵抗はあった。実験兵装故と無理矢理に納得させていたが、まあアレだ。
「色々あったんだ」
……個人的には、固まるまでもうちょっと粘りたかったんだがな。さっさと書いた紙を渡す。
「この手順通り?」
「ああ」
「そ。わかったわ」
……そういやあ、どうやったらGくんとW姉貴だけの呼び名ってわかるんですかねえ?
ずっとノイズが掛かっててわかんないんですよね。どんなデータでも見れない。
なんでだろ。
>「おい、──」
「今はやめて、──」
互いに唖然とした。二人きりで気が緩んでいたということでもない。流れるように古い呼び名を呼んでしまったし、それに対して古い呼び名で返ってくるなど。もはや反射だな。
ミスしてしまったら片方が気付かねばならないなど、面倒な関係性になったものだ。
「すまん。他意はなかった」
「いいわ別に。あたしも言ったし」
さて、ここからは共通の敵を相手取るのだ。ならばかつてのように行こうか。
……そんなのだから呼んでしまったのか?
「"最後に勝つ"のはオレたちで」
「"最初に笑う"のはあたしたち」
「「ならば敵は無く、屍山血河を広げるだけ」」
不敵に笑い合い、スイッチを入れる。
どうせ近いうちに挑むことになる。ならば気合を入れておくものだろう。
……さて今回はここまで。
ご視聴ありがとうございました。今後も私の探究の旅にお付き合いください。
私も、やったんだからさ(無言の圧力)
Gくん
実はとうの昔から揺らいでいた人。いつから揺らいでいたかはまだ不明。
こうと決めたらそう貫く、それが達成できないなら意味が無いとする精神性故に、異なる道筋を見ていたと自覚するだけで自決しかねない危うさを持っている。
「何故この手の面倒なヤツの対処法を知るケルシーが慎重だったのか?」のアンサーが、この極めて不安定な精神である。勿論、戦闘中にはそんなことおくびも出さないので味方にしか刺せない。
バベルに入りたての頃は素性が素性なのでアスカロンやクロージャに危うく殺されかけたりした。Scoutからも吐き捨てられるくらいには敵視されていたが、戦闘から離れた途端にその揺らぎが簡単に顔を出していたので、最終的に受け入れられるだけの理由になった。
その揺らぎ故にテレジアやケルシー、ドクターには可愛がられていた。
W姉貴
ペットなGくんに手と足の枷を嵌めた人。
Gくんの揺らぎをいの一番に感じ、その歪み故に破滅するしかないと知りながら、それを選んだ男に救われたのだからと、敢えて放置し続ける。その果てに殺してやるのが最高の恩返しだからと。
故に運命である。
パトリオットおじいちゃん
W姉貴が捕虜にしたロドスのサルカズがいる、という眉唾物の噂話からフラリとやってきた隙な人。(隙じゃない)
異質な精神性を有し、懐かしい名前を出したGくんに興味が湧いている。
ただのボジョカスティとして話しかけている、このルートのキーパーソン
Guard兄貴
何気ない疑問からGくんの内面に踏み込んだ人。
パトリオットおじいちゃんでは引き出せない部分を引っ張り出したファインプレー。