アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

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うぉ、デカデカアークナイッなので初投稿です


エレーナは、デカいかも、しれない

 どうも。

 記録無き未完走の王、ガバ走者です。

 本日も廃棄都市の牢獄からお送りします。

 

 >……そういえば、モスティマは結局どうしたのだろうか。まだフラフラと旅をしているのだろうか。ロドスとなってから、各地を回ってはいたが、それでも彼女と出会うことすらなかった。

 エクシアのようないいケツの女に思わせぶりな態度だけとは、オマエも罪深い女じゃないか? 

 

 何言ってんだこいつ。

 

 >まあヤツもヤツで複雑だからな。相当の悲劇は経験しているが故にああなったのだろう。

 ……寝言で言ってたあの名前、女の名前だったな……オマエも運命と出会ったのか? わからずじまいだが。

 あれからあまり時間は経っていない。聴こえてくる会話は龍門がどうたらこうたら。大方主力を誘い込んで本拠を叩くのであろうが、それをわからぬ向こうでもあるまい。なれば、やはり──落とすか。

「彼だ」

 と、思案していると聴こえて来るのは鬱陶しいジジイの声。まーた誰か連れてきたらしい。

「……また来たのか。って、コータスの女だと? おいおい、しかもソイツ知らんぞ。Guardやあの暗殺者ならともかく、顔も名前も知らんヤツを連れてきてなんとするつもりだ、ウェンディゴ」

「少し、話すと、いい。私だけ、では、飽きも、するだろう」

「……マジで? そんだけ?」

「では、外す。Wには、伝えて、おく」

「おい待てよジジイ!?」

 

 うわ、珍しいですね。こいつからこんな言葉が出てくるのも。

 

 >「……苦労するなウサギ女。ジジイの道楽に付き合わされるなど。オレのことはWのペットとでも聞いたか?」

「ロドスのブラッドブルード──異質な怪物とは聞いている」

 奇妙な話だが他にやることもない。仕方ない、癪だが話でもするか……

「さて、楽しくお話でもしようか……で、オマエ誰だ」

 問いかけてみれば、探るような視線と共に静かに告げられる名前。

「フロストノヴァ。お前は」

 ──まあ、名乗る名前などたった一つだが。

「Gだ。なるほど、オマエがあのウェンディゴの拾い子か。オレから何を聞き出したかったのかは知らないが、人選ミスじゃないか?」

 哀れみで声をかけてみれば、返ってくるのは困ったような顔だけ。まさかジジィのヤツ、自分の娘にロクに教えずにただ話してこいって言ったのか? まったく度し難いな……

 

 頼むぞーフロストノヴァー。

 このバカの歪みの原因に俺を近づけてくれー。そして次の走りへのデータ収集をさせてくれー。

 もっと疾く走りたい、走り切りたいんだ俺は。

 一度も成功してないから。

 

 >「──鉱石病の治療が可能になったとして、感染者は虐げられなくなるのか」

 まるで現実を教えるかのような語り口調だ。上から物を言う感じ。しかしその実、淡々と現実を告げているようにも見える。ああ、単純に言えばわからないヤツに言い聞かせてるとか、そんなもの。

 大抵のヤツらは、それでもと吠えるか無理だと諦めるかだが──

「知らん」

 オレにそんなことを聞く、という時点でまず愚かとしか言えない。もっと言えば、そんなことはオレたちロドスの管轄外だ。

「無責任な」

 軽蔑と共に吐き捨てられるが、知ったことでは無い。そもそもロドスは鉱石病の治療を目標に掲げ、そのために努力しているのであって、一言足りとも『感染者の地位向上を目的としている』などと言っているわけではないのだから。

「当たり前だろう。オレらはやるだけやるが、感染者を理解するかしないかなんぞ他人が決めることだ」

「働きかけを行おうなどはしないと」

「オマエらがそれを言うのか? 感染者は制御不能の化け物だとチェルノボーグを焼き尽くして、民衆に知らしめたオマエらが」

 ──平行線だ。焼いた分際でオレらに戯言をほざくクソテロリスト共と、助けなかった分際で自分たちに戯言をほざくクソッタレ共。分かり合える筈などない。互いのことを理解できる筈もない。殴って言う事を聞かせる短絡的なヤツらと、地道に活動を続けて根本から変える長期的なヤツら。ここの何処に交わる点がある。

 しかしこれはジャブだ。本質的な話ではない。

「くだらん茶番はする主義じゃない。単刀直入に来いよ」

 だから、防御を捨てて殴り合うとしよう。

「パトリオットはお前のことをやけに気にかけている」

「あっそ。で?」

「私にはその理由がわからない。こうして見るとますますだ。いや、何故お前のような奴がロドスにいるのかがわからない」

「事の成り行き。それ以上でも以下でもない。前身の組織への義理立てだ」

 ──ふむ、そういうことか。ならば、色々と引っ張り出してやる。何処で物を言わせていたかは知らんが、かつてカズデルで最も忌み嫌われた怪物を甘く見ないでもらおうか。

「オマエはなんでここにいる。いや、もっと言えば何故戦う」

 まずは、思想を確認する。レユニオンではない。コイツ自身の思想だ。

「感染者の自由のために」

 だが迷う事なく繰り出される一言は、組織的な物だ。まあ当たり前だ。

「自由? 自由とは不自由だ。囲いの外に出ればまた新たな囲いが。世の中はそうなっている。例え自由を求めて不自由な暗闇から這い出ても、その先の荒野という名の自由は、自覚した途端に不自由へと変わる。哲学には終わりがない」

 だから重箱の隅を突く。

「何が言いたい」

 怪訝な顔を見せた瞬間を逃さず、話のスケールを大きくしていく。

「終わりなき戦いへと漕ぎ出していく覚悟があるのか? 決して讃えられぬ闇の道を。世界の全てを敵に回してでも覇道を突き進む決意が。こうしてここに立っているってことは、そうと定めてこうしてるんだよな?」

 無論、そんな考えなんて無いのは百も承知だ。あるならこんなことする筈もない。

「そんな大層な考えは無い。ただ助けたいから立ち上がっただけだ」

 ただこの手の連中はえてして、やれ「手の届く範囲を守りたいだけ」だの「身内を守るだけ」だのと言う。そして実際言ってくれた。

 つまりレユニオンの始まりは、ただ感染者が感染者を保護していただけの組織。虐げられる苦しみを知る者が虐げる側に回る理由──自分たちが嫌う存在と同じ者になるなど、たった一つ。

「それでオチがテロリストとは。単に大切なお仲間が殺されて理想吐けなくなっただけか。もういい、興味も失せた」

 要はこれだ。無論、これが外れていても文句は無い。何故なら訂正される。

「まるで一度でも折れた者には価値が無いとでも言いたげだな」

 ──どうやら当たっていたようだな。フロストノヴァの態度を見ればわかる。立腹しているのであれば、間髪入れずにこうまで棘の立つ言葉を投げてくることもあるまい。

 普通、否定するならオレの否定をするだろう。だがこの女は、自分以外の連中に対して投げ付けられた侮蔑の言葉に反応した。

「事実だろう。綺麗事一つで世界は救えないとわかっていながら、それでも進んだならばありとあらゆる不条理と悲劇は背負って然るべきだ」

 とはいえ、オレの返す刀に変わりはない。それを背負って歩いていた者を、一番よく知っている。もっともテレジアと比較するな、と言われればそれまでだが、彼女程の覚悟が無ければ進めないのも事実。

 あの大馬鹿野郎なら、例えケルシーが死のうがドクターが死のうが背負って進む。それが破滅と知っていても。

「人一人には限界がある」

 目の前のウサギは、実に平凡な事を言い放った。つまらない、凡人の戯言を。

「限界とは超越すべき線に過ぎん」

 そんなものは、その先があるという素晴らしい証明にすぎん。乗り越えてこその限界、踏み砕いてこその限界。

 無理だなんだなど、やらないヤツの言葉だ。やって出来なかったヤツは、『できなかった』と言う。そしてこうと定めればそうなのだ。

 一蹴したが、しかし何が癪に触ったのか、フロストノヴァはより強い口調でオレに問う。

「──では、前に立つ者の最も大切な者が死んだら? それも最も無残な形で、善意を裏切られる形でだ」

 やけに具体的だな。ふむ……

「まず人間なら泣いて悲しむべきだろう」

「……何?」

 ──ごく、普通のことを告げた。

 これは医者としての知見でもある。

「感情を抑圧するなど危険なことだ。憎悪にしろ悲哀にしろ、降り積もった感情を一旦全て吐き出してしまう方がよほどいい。それが無意味な復讐だとしても、死んだ者に何を言われようが自分が決めたことならやっても文句はあるまいよ」

 よく復讐は良くない、などと言われるがくだらん話だ。復讐することが悪などと、だからどうした? したいと思ったならすればいい。自分にとって大切な何かを踏み躙ったならば、それを殺すことに何の躊躇いがあろう。殺すのだ。そうでなければ他のことが考えられないならば。

 他者の事情? 知ったことか。そんなものは皆殺しにしてから考えればいい。後悔も懺悔も、全て終わった後に来るモノだ。強者も弱者も、その悉くを鏖殺するんだ。

 まあ組織の頭領ならば話は別だ。特に平和主義を掲げているのなら。殺害は極めて特殊な理由以外では許容してはならない。途端、恐るべき存在となるのだから。ま、隠し切ればいいんだが。

「驚いたな。そんな言葉が出てくるとは」

 折れるな、と言った手前否定するとでも思っていたのか。

「無論それで止まっていいとは思わんがね」

 それを前へ進む一歩に変えることができないのなら意味が無い。自力にしろ他力にしろ、前に進むしかないのに立ち止まる理由もあるまい。

 ただ。

「──ところで、だ。どうしてそんなことを聞いた?」

 わざわざこんな条件を付けたことがひっかかる。

「……気になったからだが」

 誤魔化すように、やや沈黙を保ってから告げる。一言、切って捨てるように。

「いいや違うな。オマエはオレの言葉に反感を覚えた。だから踏み込んできた。大切な者が死んだらどうすると。咄嗟の質問だ。尋ねた後に動揺が見られた。それにしてはやけに具体的な条件付けだ」

 

 大丈夫か? フロストノヴァ姉貴突き崩すなよ……! 

 

 >逃がしはしない。土足で踏み込む。

 その程度の隙を、このオレが見誤る訳が無い。

「そこから推測するに、この条件は比較的最近あったことだ。それも身近に。──いや、どちらかといえば可能性か。起きたことには起きたが、単なる事実としてしか知らず、中身が何なのかはわからずじまいと言ったところだな。自分からはやや遠い人物に起きた悲劇か?」

 答えは沈黙。帰ってくるものは何一つとてない。

「まあいい。話を戻そうか。復讐は蜜の味だ。平穏を失い、友を失い、家族を失い、生きる意味すら失った者に舞い降りる唯一絶対の正義──現実にあるどれほどの傷薬を以てしても、これほど傷を埋めることに特化した物はあるまい。自らの尊厳を取り戻し、全てを穢した相手を底知れぬ絶望の淵へと叩き落とす快楽は、この世の何よりも勝るのだからな」

 もっとも、俺には理解できなかったが。復讐よりも先に最強が現れたが故に。

「ただ、復讐とは埋めるだけだ。治すわけではない。その悲劇にピリオドを打つだけ。しかも埋めると言っても上部だけだ。更に復讐は一度消費すれば消え失せる儚いもの。復讐を成し遂げたという刹那の自己満足……それこそが復讐の先にある虚しさの正体だ。埋める物はまた別途見つけなければならない」

 我が運命がそうであるように、復讐とは新たなる目的を見つけるための旅路だ。

 埋まらない、と自覚している者は果て無き復讐を得る。そして自らさえも復讐の対象とし、全てを殺し尽くした果てに心臓を抉り出して死ぬ。そういうものだ。

「あの龍女の下に着いて良い──少なくとも我が戦友たちはそう考えた。つまりマトモで、そして何よりもそれなりの理想を掲げていたのが絶対だ」

「戦友? サルカズ傭兵たちのことか」

「そうだ。彼らは怨敵にして戦友。皆すべからく、同じ未来を異なる旗の下に目指した存在。掲げる理想が確かでなければ首を叩き切っているとも。どちらの陣営であってもな。ぬるま湯育ちのキサマらとは比べものにならん──あの地獄に身を投じた、カズデルのサルカズを舐めるなよ」

 もっとも、命令があるなら切らんだろうが。テレシスの介入があるであろうことは確かだ。

 W単体ということはあり得ない。そして世渡り上手のヘドリーとイネスがテレシス陣営に渡り、そして個人としてあの女を拾わないことなど、無い。

「と、なれば単純だな。サルカズは後発組だろうし、その前のタイミングで龍女の理解者でも死んだんだろう。そして復讐したのかは知らんしわからん。ただ憎悪を激らせるに相応しい何かがあって、心の傷は復讐の美味に埋められたんだろう」

 でなければ、一気に武力に傾倒するわけがない。それとなく連中からレユニオンの変化を尋ねておいてよかった。こんなところで役に立つとはな。

「そして新たな復讐先を求めている──という線は違うな。計画的だ、あまりにも。天災に紛れてチェルノボーグを奪取。そのまま寝床にして龍門への難民を利用した侵攻作戦。それを以て計画的な復讐という表現もあるだろう。しかしそれはおかしい。狙うべき要所がわかってるなら、もっと効率的に狙い撃ちができる。暗殺部隊もいるなら、そういう使い方をするのが筋だろう。だがそれをしていないということがミソだ」

 ──そう、ここだ。

 やっているのは合理的な殲滅戦だ。ゲリラの強襲戦ではない。じっくりと時間をかけて相手を翻弄し、捨て駒たちが時間を稼いでいる裏で都市コードを出しながら特攻。戦争の引き金をチラつかせながら盤面を拘束し、仕留める。

 オレの目的が龍門の殲滅なら必ずこうする。

 何故なら自分が死のうが死ぬまいが、絶対に滅びるからだ。

「怒りに身を任せている、これも違う。その行動は合理的だ。行き当たりばったりのものではない。しかしオマエたちと来たらどうだ。実につまらない大義名分を掲げて暴力を正当化し、更に盲目的に従うだけだ。自分は正しいことをしている、という確信も無い。ただ誰かに虐げられたから自分より弱い誰かを虐げて強者の側に立ちたいだけだ。実に醜い。より強い者を喰らい自らがそれになるという発想さえないバカどもが」

 冷気が部屋に伝わってくる。……冷気系のアーツか。研究そのものはあまり進んでいないな。いいサンプルだが、あのジジイの拾い子ともなれば流石に手を出すのは気が引ける。

 ──テレジアの関係者でなければ、無視したものを。

「脱線したな。それを引っ込めろ」

「軽々しくそのような表現をするのはやめてもらおう。もっとも、理解できるとは思ってもいないが。だが命を握っているのは私だ」

 怒り。恐るべき無表情と絶対零度の声色に込められているのは、灼熱の憤怒だ。それは本当にこのコータスが自分の守るべき者の為に戦っているということの証明。それは気高い在り方と言うべきなのだろう、個人としては。

 ああ、オレとしては好きだが──秩序はそれを受け入れない。どのような理由であれ、暴力は秩序の前に駆逐されるだけ。コイツらは、最早国際的なテロリストなのだから。

 ……そういう意味では、オレは運が良かったとでも言うべきか。

 だが結局何もしなかったヤツらの事など、何一つとて理解できない。いいや、したくもない。それに──

「サルカズにそれを言うのか? 感染者も非感染者も関係無く、同じ大義の違う旗の下で殺し合い、最後に国は消え果て、勝者もヴィクトリアに雲隠れせざるを得なかった。失っても簡単に手に入ったオマエこそ、文字通り全てを失ったオレたちの何を理解できるというのだ」

 キサマらの地獄など、憎悪無く殺し合ったあの戦場と比較すれば子守唄に等しい。

 まぁ、オレがあの内戦で失ったのはテレジアだけなのだが。コイツらがふざけたことをしなければ、Wがアイツを殺さずに済んだものを。まったく……

 

 お前本当に最悪だな……身内同士で憎悪無く正義だけで殺し合いするよりかはマシとか滅茶苦茶嫌な発言すぎる。

 しかも被害者ぶってるわけでもなく、ただただ事実を並べてる。

 でも内心では嬉々として闘争に身を置けるから全然苦しいと思ったことはない。なんなら親は自分の手でぶち殺して、虐待されていたことに対する復讐の念さえ持ったことすらない。

 そんな風に育って俺も鼻が高いよ……

 

 >「……まぁいい。これ以上の不幸自慢は不毛だ。話を続けようか。結論として、これは陰謀だ。歴史の裏で糸を引く蜘蛛の巣。だがここでも一つわからないことがある。そんなタペストリーを作り上げられる程には人間味の無い存在に対して、感情に振り回されるだけのオマエたちが信頼を置けるか? 当然無理だ」

 こんなにも感情的なヤツらが信頼を置いた、という事実一つで見えてくる。何か精神操作系のアーツでも食らったとでも仮定しなければ辻褄が合わないこの現実が。

 あのジジイすら頭を下げることを是とした相手がこんなことをするものか。今の今まで生きているものか。

「武力ではダメだとして、一線を越えることがなかったが、その時を境に超えてしまった。しかしそのまま、まるで歴戦の将のように淡々と策略を立てて実行している。どうにもその姿にピントが合わん。いきなり別人になった、と言った方が適切なくらいには」

 そろそろ頃合いだろう。敢えて尋ねる。

「どう思う?」

「お前が知る必要は無い」

「そうか。じゃあ話は終わりだ。いるんだろう? W」

 ──話はそれで終わった。Wがさっさとフロストノヴァを帰らせる。

「よかったの? あんなに言って」

 戻ってきた彼女は、珍しくムキになったオレの態度を刺してきた。それは嘲笑うものではない、純粋な疑問。

 かつてオレたちがまだ確固たる名を得る前に、ぼんやりと交わしたやり取りの時に見せたものだ。

「自分たちの身を守る為に何を一つ害を与えてない連中を攻撃する筋違いなヤツなど知ったことか」

 まあ確かに、無関心であることは罪であろう。無自覚な罪だ。

 だが他者を気遣う余裕が、今日だけを生きる者にあってたまるか。普通の人間には、明後日の未来よりも、数時間後の食事や睡眠がキチンと取れるかの方が大切なのだから。

 ──ごく当たり前の話、自分の身の回りと同じように、大地の裏側で起きている出来事を受け止められる筈など、ないのだ。

 しかしWは何かに気づいたように、尋ねる。

「あんたが言えた義理?」

「十把一絡げにするな」

「……ふぅん。まぁいいけどね〜」

 こんなヤツらと異なることくらい、オマエが一番良くわかってるだろうに。

 

 まあ矛盾はしてないからね……

 最強になるために無差別な攻撃はしたことがない。ちゃんと敵は選んでますよ、ええ。

 

 >「ジジイはどうした」

「知らないわよ。慰めてるんじゃない?」

「戦況は?」

「そろそろ。でもそう決まったわけじゃない」

「……わかった。で、アレは?」

 そう尋ねれば、返ってくるのは深いため息。そして冷たい現実。

「見たけど結構やばいわね。あんたの書いた図面と睨めっこしてみたけど、現在の状態を保っているので精一杯。下手に取り外すと根本から壊れかねないわ」

 それは同時に、もう無理な使い方ができないということ。Wももう、次の武器を調達する方へシフトしているのは目を見ればよくわかる。

「耐久性に難ありとは分かっていたが、ここまでとはな。ブレイズが心配していたわけだ」

「あんたに振り回された程度でぶっ壊れる物なら、あの糞猫が使ったら一瞬でへし折れるでしょうね」

 そもそも試運転段階でブレイズからは「これ絶対壊れるよ先生」って言われたのだ。だがここまでとはな。多機能故の脆弱性とはよく言ったものだ。駆動系も耐久性を確保したつもりだったが、あの程度の戦いで破損するようではまだまだ実用性に欠けると言わざるを得ない。

 やはり攻撃用兵器はシンプルな物に限るな……

「そういえばあれ、鍛えてるみたいだけどあんたより強いわよ。どーすんの?」

「喰い殺す」

 一言、迷いなく告げる。

「ロドスで雁字搦めになってんのに? やめておきなさいG。もう傭兵じゃないのよ。それに、ジェヴォーダンの獣でも」

 何を今更。

「だからどうした? オレがオレである限りは、オレだ」

 殺すことに、複雑な理由などいるものか。オレがオレ足ればそうである。それは皆も知るところだろう。

「それでこそあたしの運命よ」

 満足そうにWは笑った。

 それでこそ、と。何も悩むことはない、と。

 誰に何を言われようとも崩れない存在こそが、最強なのだと。

 

 Wがそう言うくらいにはもう揺らぎが酷くなってるってことは、なんとか生存ルートに乗ってきているな。これで続けられそうだ。

 いやぁ、一安心ですね。

 

 しかし──やはり何処だ、何処が原因だ? Wか? いや違う。Wは原因ではない。それどころかむしろ加速させた! ならモスティマ……これも違う! じゃあ誰だ、ケルシーたちが付け入るだけの隙を与えやがったのは何処のどいつだ!? 

 完璧だったのに何故だ。完全なるコシチェイを見なきゃ自分の歪みに気付けないくらいには頑固な男を作れたのに、どうして他人の付け入る隙をそのままにしている! 

 仮にこの隙が、Gを作った最初の試走から在り続けたのであれば、俺は絶対にこのチャートおよびキャラクター構想では記録が出せない、完走できないということになってしまう……! 

 

 初見のパトリオットが見抜いたんだぞ? 選択肢が無いってことは、俺の意志が介在する余地が無いんだ。つまり何をしようとも理解される。

 それだけ大きな隙だぞ? それを何故見逃し続けた? 俺の視線は何に誘導された!? 

 

 クッソ、そこさえわかれば……でもわかってどうする? 

 結局、こうするのが一番だと試算に試算を重ねて導き出したチャートだぞ? 

 それを否定されては、チャートそのものが失敗だったってことになる。また1から作り直しだ。

 

 いや、しかし。

 

 それが、なんだと言うのだ。

 

 ──この後の全ての行動で次に繋がる有力な情報が出るかもしれないので。

 

 

 続行します。

 

 

 

──

 

 

「ボジョカスティ、なんなんだ。あの悍ましい化け物は」

「そういう、男だ。そう、とだけ、理解、しておけ」

 

 ──何故と問われればそう、としか答えられない。

 パトリオットはGがそういう人間だと理解したから問題などないが、フロストノヴァはそうではない。彼女たちのような、苦しみ足掻き、やっと立ち上がった人間とは対極に位置する存在だ。

 

 生きとし生けるもの全員持っている、「己は一体、何者になるべきなのか」という問いに解を出せない、一つに生き方を定められない自己への漠然とした不安。この答えを見つける時など、人生が終わるその時であるというのは当然だろう。

 仮にすぐ見つけて実行できたとしても、本当の答えなど知らず分からず、簡単なことで次の答えを見つけられる。挙句の果てに見出した答え、そのどれもが誤りかもしれないという可能性に怯えることになる。

 しかも答えを必要とする時に限って時間が無いのが現実だ。死んでから後悔すればいいとはよく言うが、そう考える前にその絶対性が脆弱ではないかと考えるだけで、答えは脆弱性を帯びる。

 

 故に死んでから後悔できる者とは、究極の夢想家において他ならない。それは現実に馴染めないはぐれ者か現実を超越した逸脱者……この二者のみ。

 零か無限の一方しか存在しない、それこそ御伽噺の登場人物かのような規範の権化。まさに美学や哲学といった抽象的物事の境地たる彼らだけが、自らが見出したたった一つの冴えた答えに殉教し、運命の喉首を締め上げる権利を有するのだ。

 何故なら、現実に随伴する筈の大小の煩悶や苦悩がゴッソリ抜け落ちている。それが何者にも触れられぬ幻想故に。

 

「あんな怪物を、狂気を、どうしてそのままにしている……!」

 

 感情の揺れ動きや命の勘定から解き放たれ、無尽の執念を以てあらゆる条理を噛み千切る魔物。『絶対に殺し、滅ぼし尽くす』という唯一の誓いだけが、あの男の中身だとわかった。

 それは本物の怪物だ。人間性を捨てて、そういうものだからこうなのだという。嵐が吹く、地震が起きる、火山が噴火する、天災が降り注ぐ──そういった現象。

 

 パトリオットから話を聞いて、そして直接会話したフロストノヴァが抱いたのは、その意味不明さに対する嫌悪感だけ。正気と狂気より織り成される純粋だが異質な構造が、螺旋を描いて一本の線となっている。

 理解できない。最強を目指すが故に万人を滅殺するなどということが。

 それは途方もない企てであり、真なる恐怖を知る者や「常識的な」人間ならば、嗤い出すか投げ出すであろう目標。

 まずはできることから始めたレユニオンですら戦慄する、できないことを初めから行う凶行。

 

 だが、たった一人で世界の全てと戦い、運命のままに死んだ"魔王"に魅せられた『少年』は、これこそが己を救い得るたった一つの冴えた答えだと確信し、猛者たちの血に塗れた路が己にとっての全てだと、躊躇なくこの冥府魔道に身を投じたのである。

 

 その内側は知らずとも、一度も迷わずにその道を選んだことは察したが、だからと言ってそれを賞賛などできない。現実を理解し、こんな筈では無かったことばかりの世界を知っているのにも関わらず、それに打ちのめされた者を無価値な弱者と断じる姿勢が、彼女には許せなかった。

 

「士爵と、殿下は、優しい人、だからな」

 

 そんな男を何故置いているかなど単純なことだ、とパトリオットは答えを告げる。

 

「たったそれだけの理由だと?」

「それだけの、理由だ」

 

 ……あの二人なら決して見捨てないだろう。だからこうして自分が見極められるくらいには、隙が生じている。

 若き日にGと出会っていれば、彼に世話を焼いただろうことは簡単に想像できる。それほどまでに彼は無鉄砲で若い。息子を思い出すような芯の強さに、テレジアとよく似た方向性の苛烈さ。折れず、迷い無くその道を進み続けられる強さ。

 

「もっとも、私は、彼に、親近感を、抱いた。お前から、聞いて、益々だ」

 

 そしてなによりも己と通ずる、宿痾がある故に。その言動から見える悍ましき死屍累々の所業に嫌悪感を抱きながらも親近感を覚える。

 ウルサスの伝説的な兵士たるパトリオットではなく、カズデルのサルカズたるボジョカスティとして。

 同じ道を進み続ける者であると確信する。

 

「……やめてくれ、父さん。あんな奴と一緒だと、自虐しないでくれ。父さんは──!」

「そう、ではない。私と、彼は、自分の、定めた道を、決して、裏切れない。そこなのだ」

 

 それを自虐と受け取ったフロストノヴァだが、彼にとってはそうではない。自虐ならばその程度のことではない。

 本当に父親が娘に言い聞かせる様に、言葉を続ける。

 

「私は、この先を、理解している。賢い、お前だ。わかっている、筈だろう」

「……」

「お前には、選択肢が、ある。逃げる、立ち向かう、追従する……それこそ、無限に。だが、私と彼には、そんなもの、一つだって、存在し得ない。何故か、わかるか」

「頭が、硬いから」

 

 直球な物言いに苦笑する。

 

「そうだ。しかし、言葉が、適切では、ない」

 

 真理を突いた言葉だが、この場合は適切ではないと、ゆっくりと訂正していく。

 

「正しいことを、正しいとき、正しいように、行い一度も、微塵も、間違えない。設計図通り、の生き方を、絶対として、それ以外は、何一つとて、認めない。こうと決めた、道から誤差、程度でも、外れた途端、道そのものを、間違えたとする。それが、我々の、変えられぬ、宿痾。そして最期、運命のままに、死ぬのだ。こう生きて、そう死ぬ。そういう、人種だから」

 

 するとその道を外れてしまったらどうなるのか──いくら思考してもフロストノヴァ、否エレーナにはわからない。

 そもそも、設計図通りに生きるということが理解できない。

 

「だが、それでもなお、我々が、こうして、葛藤と、煩悶に、揺れ動きながら、生き恥を、晒しているのは、未だ、捨て切れぬ数多、の未練と後悔、があってこそ。故に死に場所、だけは、決して、間違えない。そう決めたから、我々は、ここにいる」

 

 死を選びたいほどの重圧、後悔。それを背負ってなお、何故ここに立ち続けているのか。死に場所だけは間違えないため。

 彼にはわかる。Gはもう既に、始まりに近い時に、一度己を裏切った。しかしそれを振り切って前に進んでいるが故に全てが狂っているのだと。

 そして、その歪みの原点が。

 

「エレーナ。私たちは、馬鹿なんだ、止まれないんだ。そうと定めた、その時から」

 

 だが時期が違っていようが、辿っている道は全く同じである。最後には雁字搦めになって動けなくなり、前に進むしかなくなる。立ち止まることも周りを見ることもできずに、運命のままに死ぬ。

 そうやって初めて、自分たちは満足行く死に場所を得られる。

 故にその道を歩いてしまった者としてやらなければならないのだ。

 

「彼の、真の道に繋がる、ものを示して、やらねば、ならない。それが、サルカズの、ボジョカスティ、として為すべき、最後の、使命だ」

 

 息子を殺した時に思ったのは、殺さなかったらという未来。

 何故殺すことになったのかと言えば、部下と共に病を隠蔽したことが根底にある。

 そして何故その選択をしたかと言えば、愛する息子の為。

 家族への気遣いが、巡り巡って家族を殺した。

 他にいくらでもどうとでもやり様はあった。だが隠して見守ることこそが正しいことだと信じて選んだ。

 

 息子を裏切った、妻を裏切った、感染者となった戦友たちを裏切った──なんとでも形容できるが、なによりも裏切ったのは己自身。

 テレジアの思いを汲み取り切れず、ケルシーの気遣いを信じ切れず、渡った果てでも殺戮と破壊しかできない自分こそが、無益な殺生を行わずに愛する者たちと静かに生きて死にたいと願っていた自分を、最も裏切ったのだ。

 

 現実に翻弄されながら取捨選択を積み重ねた自らの道を、傷だらけで無様な人生を誇ることなどできない。

 重すぎる後悔が血肉となり、それらは棘となって自身を責め恨み続け、痛みと共に己という存在を呪う。この茨の道はどんな選択をしようとも、最初の一歩に後悔を感じている時点で永劫に苛み続ける。

 

 しかし望んでいなかろうが、肯定できなかろうが、在ってよかったなどと、口が裂けても言えなかろうが、今この背を押しているのは、刻まれた過去の痛苦と無数の苦難だ。

 肯定、否定、葛藤、後悔──それらをただ己の一部であると受け止めて、己自身と向き合う覚悟になった。

 

 故にボジョカスティは恥に塗れて進軍する。

 愚かで矮小で、どうしようもない大馬鹿野郎として、幻想を飲み込んだ現実として強者となり、残酷な運命を超えんとする者への試練として立ち塞がる。

 それを選んだ。陰謀があろうがなかろうが、そうすることでしか、正しい己の死に場所が得られないから。

 

「父さん……」

「エレーナ。これだけは、させてくれ。私を、向き合わせて、くれ。もう一人の、私と」

 

 だがそれでも。

 己と同じそれが正しいと信じ選択するが故に、自らが犯した過ちを──『愛する者を信じた正義と運命のままに殺す』などという、悍ましい"正解"を、殺し合う運命を選び続ける男女に選択させたくない。

 

 それが、自分の悪癖を更に悪化させて先鋭化させた挙句、それこそが救いとなってしまうほど悲惨な環境に身を置いていた存在ならば、尚の事だ。




Gくん
クッソ最悪な話術で巧みに情報を引き出した人。
「親を殺され採掘場に送られました」という人に対して言う言葉が「かわいそうだね。でも憎めるだけでマシでしょ?」で腹の中では「じゃあ衛兵殺してウルサス潰すくらいやれよ」とか思ってる。人の心とか無いんか?
しかもロドスはあくまでも鉱石病を治療する組織で別に感染者の地位向上を目的としているわけではないとか、綺麗事言うなら折れるなやとかフロストノヴァ姉貴に向かって言う。ドクぴを見習え。
珍しくこいつが最悪過ぎて中々筆が進まなかった。グラグラなのに隙を見せてくれないの最悪だぞお前。

フロストノヴァ姉貴
最大の被害者。多分この人にボロクソ言う二次ってウチくらいだと思うの。
パト爺に事情を話され、どんなもんかと蓋を開ければ最悪の存在だった。それでも彼女なりに父の助けになろうと思ったが、まるで理解できなかった。
そもそも始まりが「両親を国に殺され、悲惨な環境で死を待つだけだったが、ある時大人に助けられた少女」に「誰一人として味方が存在せず、悲惨な環境で死を待つだけだったが、ある時たった一つの冴えた答えを見出した少年」を理解するのは無理難題というもの。
『失っても簡単に手に入ったオマエこそ、文字通り全てを失ったオレたちの何を理解できるというのだ』というGの彼女に対する不幸自慢は、無意識的な敵意の表れなのかもしれない。
早くドクぴに癒されてほしい。

パトリオットおじいちゃん
独自解釈の結果、Gくんと同じタイプの大馬鹿野郎になった人。
多分、静かに生きて死にたかったんじゃないかなぁ……って。
色々と抱えてそれでも進軍していたら、昔世話になった人たちが可愛がっている、自分そっくりな歪みを持って自分そっくりな道を正しいと信じて歩もうとする若者が現れた彼の心境や如何に。
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