アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告   作:W姉貴に負けたい人

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何が妄想で、何が現実なのか?

それを確かめる術はただ一つなので初投稿です。

や、大陸版は11章とかグローバル版は10章とか、コーデとかアニメとか、色々熱くなってきましたよねアークナイツ。
そして僕はノソノソと書いている。でももうすぐ終わらせられるんだ!!


うぅ……タルラ……負けるとこ、ご照覧あれぃ!!

 どうも。

 四天の記録を統べ、第五の無慈悲が君臨する究極走者です。

 

 この前、同じように試走してくれた方がいたんですよ! ここまでで得た情報全て学会にぶん投げてみたら、ギャルゲーレギュRTAを走っている兄貴が挑戦してくれたんです!! 

 今まで綿密なチャートでキャラを攻略してきた兄貴が挑戦して私に言ってくれたんですよ!! 

 

「無理ゲーやんこんなん。ところでこのRTAをソロで走ると決めた理由は?」

 

 もろちん、「仲間に情が湧くと敵を倒す邪魔になるし、そもそも仲間なんて作ってる暇なんて無いでしょ。そいつも倒すんだから」って返したんですよ。

 そしたら

 

「全殺害は現実的じゃないなんだから、仲間作った方が絶対良いって。判定勝ちで好敵手関係いいじゃん」

 

 とか抜かしやがったのでギャルゲーレギュ兄貴と喧嘩しました。

 ま結局、一番エッッッッッなケルシー先生はどんなケルシー先生かを議論した後、一番エッッッッッなケルシー先生を見る攻略RTAで勝負して負けました。さすがレコードホルダーは格が違った。

 今度W姉貴攻略RTA挑んで無慈悲してやりますともええ。私の方が理解してるもん。

 

 ちなみにソロ全殺害チャートも走ってみたそうですが、曰く「こんなん真面目に走ろうすると頭おかしなるで」とのこと。は? 最強という名の称号は、正気じゃあ手に入らないんだよなぁ!? 

 たった一人を最速で攻略するために、あんたが人の心が無いようなマッチポンプ上等のチャート組んでるのと何一つ変わらんだろうに。むしろこっちは本音で(ぶち殺すと)向き合っている分、良心的でしょう? 

 好きだろうが嫌いだろうが、それを偽ることなく殺すんですから! 

 

 さてー、話を戻しましょうか。

 

 例によって独房からです。

 暇になりすぎて筋トレしてます。

 

 >「……暇だな」

 ちょこちょこ流れてくる噂話を聞くに、龍門では派手にやっているらしい。まぁ誘い込まれて始末されるのだろうが。

 スラムのあの有様、纏めて掃除するにもちょうど良かろう。

 "荷物"は知らん。だがもうそろそろだろう。

「元気?」

「まぁな。それでどうした」

「……そろそろよ。着替えなさい」

 投げ入れられる上着、そしてレユニオン戦闘員の仮面と衣服。

 ──どうやら、仕事の時は近いようだ。

「幹部は?」

「みんな龍門。あたしとパトリオットが残る」

「使い捨てる気か。裏切らない、裏切れないジジイと外様の傭兵を主力にすれば……と。合理的だ」

 手錠と足枷を破壊、力任せに引き千切る。そうして拘束を解除してから着替える。少し視界が狭いが、堂々としていれば意外とバレないものだ。

 Wが扉を開け、ようやくオレはこの狭い檻から出ることができた。

「娑婆はどう?」

「身軽だな。オマエを除けば」

「武器は自力で調達しなさいよ。あたしがいちいち案内してちゃ怪しまれるから」

「わかった」

 まぁ、やることはシンプルだ。そう悩むこともないだろう。

 

 さぁてここから始まりますはヒットマン。

 でもイタズラハゲみたいに万能でもなければおじ↑サム↓ほど強くも無いし、ダンボール箱ほど超人でも無いのがこのGくん。せいぜいがヤンちゃんレベルです。

 まあ頑張りましょう。こんなんでも私レユニオンスパイRTA走ったことありますんで、テクも知識もあるんですよ。フンス。

 

 >「すまねぇ、クロスボウがぶっ壊れた。どうも不良品を引いたみたいだ。なんかあるか?」

「予備の武装はなかったのかよ」

「コッチにはパトリオットさんもいるし、余計な事はしない方がいいかと思って、余ってた武器は龍門攻撃隊に渡したんだ」

 ……雰囲気が変わった。これは、バレたか。いや怪しまれているというところだろう。

「あぁ、もちろん個人的にだぞ?」

 

 あ、バレましたねこら。

 運が無い。殺すのが手っ取り早いけど殺したら殺したで判定を超える必要がある。さてこういう時の安定チャートって言えば──そう、大人しく従って気絶させてしまうことですね。

 

 >「……そうか。ちょっと着いてこい」

 そしてこういう場合、無用な混乱を避ける為に内密に処理するものだ。例えバカどもの集まりだとしても、それくらいはあって当然だろう。

「バレないとでも思ったのか。妙な嘘吐きやがって。裏切ったのか、それともスパイか」

「……オレを忘れたのかよ? 全く……」

「黙れ。そしてゆっくりと振り向け」

 振り向いても、まずは仮面を剥がして誰かを確認しなければならない。そして剥がされると同時に──

 ────

 始末する

 >黙らせる

 ────

「お前──!?」

 首を掴み引き寄せてから膝蹴りを叩き込む。直後肘打ちで追撃し、さらに蹴り飛ばす。そして念入りに更にもう一発拳を打ち込み、沈黙を確認する。

 

 手間をかけさせるなよ、たった一人に。大勢待ってんだからな。

 ……やっぱ殺すか。いや、それはそれで面倒だ。このまま早いところ終わらせるとしよう。

 

 ──さぁて、黙らせたのでしまっておきましょう。ガサゴソとそこいらにあった箱に押し込み、仮面を被って武器探しと。いやあ、向こうから武器庫に近いところへ案内してくれたのだけは感謝しておきましょう。ここまでくればバレる心配もありません。

 さーて、できればツリー解放してある武器とかがいいけど何があるかなー。

 

 ……おっと、レユニオンの前衛隊が使用している剣ですね。ロクに使えたものでもありませんが、無いよりマシですが、本来欲しいものからは遠く離れています。

 なんだかんだGくん、武器は質のいい奴使ってますからねぇ。質が悪いの使う時は数を揃えてましたし。

 

 んー……ウルサス軍正式採用の刀剣か……質はそれなりですね。暫定的にこれ使いますか。

 ああ、援軍忘れガバかと思われているかもしれませんが、私は初めから期待してないだけです。投降を装うのも無理がありますし、どーせ道端でくたばってるのが関の山でしょう。

 というか期待しろって方が無理でしょこんなん。敵陣のド真ん中で味方の援軍を待って内部に潜り込み、制限時間以内に首領を討ち取るとか。あるものでどうにかする算段を立てる方が現実的でしょ? 

 

 昔使ってた二刀流で行くかぁ。これあんまり強くないからやりたくないんだけどなぁ。でも他にいい武器も無いし、仕方ないよなぁ……絶対タルラに勝てないけど生き残れる確率上げる方向で頑張るかねぇ……

 なんか長物ないかなー。ハルバードとか欲しい。大剣でも可能。何でもいいからリーチ取れる武器ないかな。

 ……ないか。しゃーね、状態のいい曲剣と短剣の二刀流で行こ。

 

 武装完了って訳でしれっと警戒しているレユニオン構成員に紛れ込みます。

 それからしばらくはずっと化けているだけなので。

 

 みーなーさーまーのーたーめーにー

 

 女ドクターがクレイディーアとスカジと素ペクターにスマブラ(淫夢)されてる映像でも流しておきますね。

 

 走者上映中。

 

 ……そーれにしても、なんだろう。

 Gくん、裏切りそうな気がするんだよロドスを。絶対アーミヤCEOがクイロンコピーしたと知った瞬間に「挑戦! 最強! だぶち大好き! 愛してる!」って叫びながら斬りかかりそうで……ふぅしぎですね〜。

 いやまあ、そういう風にしたのは私ですけどね、ははは。

 

 ん? 待てよ……? 確かあれって……

 すみません、ちょっと前回の録画見直してきます。気になることがあるので。

 

 ……

 …………

 ………………

 

 あ、ダメだやるわこいつ! 

 だって"最強を目指す"ことはやめてないもん! パト爺の説得があくまでも歪みを指摘しているだけだし、パト爺もこいつもそれを分かって突き進むことを選んでしまうからなみたいな会話してる!! フラグ消化したからもうW横に置いてタルラ見ても変わらない!!! 

 

 終わりです! はいもう終わりです!! クソだよクソ! ははは!!! 

 どうしろってんだよ、この流れで裏切りがデカい壁として立ち塞がるのかよ!! 平穏に終われないじゃん!? 

 俺こっから穏便な縁の切り方と、テレシス陣営への頭の下げ方と、9章以降のロドス対策考えなきゃいけないの!? もう後ろからアゾって終わりでいいかな!? ダメだよね!! みんな山あり谷ありのエンターティイ↑メントが大好きだもんね! 俺も好き! 

 

 俺が始めた物語だから俺が責任取らなきゃね! 

 はい。

 

 はぁ……

 他のこと考えよ。

 

 部下たち生きてるかな。生きてればいいな。五体満足だと尚更。武器とか持ってきてれば最高。

 ギリギリ入れなくもないくらいでしょうけど……ま、現実的でないからやっぱ期待するだけ無駄か。

 

 >連中に紛れて警護に参加してWを待っていると、案外早くその時は訪れた。

「ちょっとあんた、着いてきなさい。人手がいるわ」

「了解」

 何故かすぐに見つけられたが、あまり気にしないことにしよう。どうせ臭いだのなんだと訳のわからん理由で見分けられたのだろうし。

 

 うん、まぁ君バター犬だもんね。

 飼い犬だもんね。

 

 >「……どうだ?」

「無理。流石にキツいって。それどころかロドスの仕事が急遽入れられたみたいで、二人きりの狩りになりそうね」

 

 あ、遅かったみたいですね。でも生存してるらしいから上々ってところです。……これ後で間に合う条件とかを検証しよ。あんまり知らないし。それをベースに検証用のテストデータから細かい条件見てこうかな。

 

 >二人だけでやれるのか。敵は無いにしろ勝てる勝てないは別の話だ。

「厳しいな」

「二の矢よ」

「了解。眺めている。指示は」

「しくじっても生きて合流なさい」

 他に選択肢も無い。やるしかない。

「……いいのか?」

「二人で死ぬ気? 舐め腐ってるならそれを利用するだけ。種を割ってタマネギの皮を剥く作業も必要よ。手札は全部使うわ」

「わかった。オマエに従う。……やってみせよう」

 やるだけやる。それしかない。ならばやる。それがオレたちだ。

 

 さて。

 あとは正直皆さんご存知の7章8章が始まってしまうわけですが、こうなった以上私やGくんは流れに沿った運転くらいしかできません。なのでW姉貴が先行して負けるまでは加速します。

 そして先に言いますと、後はもうロドスのモブ Aくらいなので見所さん以外は全て加速して飛ばします。知ってる物語と流れを二度も三度も見る理由は人それぞれにしろ、横に知らんモブが生えてる程度の差分なら飛ばすでしょう? そういうことです。

 

 と言っても、見所さんはたった一つ、タルラ戦くらいですけどね。

 さて、じゃあGくんの最後の勇姿を見ましょうか。

 

 ────

 

 愚かこそ、馬鹿の故。

 力こそ、覇者の故。

 

 周囲に惑わされず己を通す、才能の差を努力で覆す、どれだけ絶望的であっても諦めない。 その悉くを試練と捉えたならば、後は超越するだけ。

 鍛えた五体と技、培った経験と勘、そして天運を見切る力と、強い意志力と精神力さえあれば、後は恐れるモノなど何もない。

 

 ──そうして輝きを放つ者を、腐るほど見てきた。

 そしてそういう者ほど、早々に死んでいった。

 

 夢半ば、というものですらない。

 夢に殺され、現実を受け入れられず、幻想のままに消えていく。未来ある若者たちが、思い描いた夢に押し潰され、現実にへし折られ、そして最後に居場所が失くなってしまう。

 ──"彼"もまた、そうした若者たちが潰れていくのを悲観していた。"彼"が信じる救済者とは、まさにそのような逆境であっても力を削がれることの無い、究極の存在であった。

 

 そして今、身体としている哀れな龍もまた、『へし折れた』存在だった。

 元々『かなりの素質』はあった。そして『かなりの下地』を揃えてくれた、実に素晴らしい龍だ。

 

 無知な感染者。

 雁字搦めで動けない馬鹿。

 都合良く動いてくれる強力な駒。

 全てを利用すればそう難しいことではない。

 知る頃には手遅れというもの。

 何やら可愛らしいサルカズが色々やっているようだが、やれることはタカが知れている。

 

 ──詰みだ。

 

「……ほう。噂には聞いていたが、ロドスの狂人がWと組みしているとはな」

「──なるほどな。実物を見て感じるが……炎という能力は単純故に厄介だ」

 

 しかし、その詰みの中で足掻く連中には面白いのが一人だけいた。

 ──今、二人に増えたが。

 

「二人で掛かれば良かったものを」

「現状では確実な排除手段は無いのでな。一矢でダメなら二矢、三矢と用意しなくてはならん」

 

 なんでもないように、連んでいた相手を見捨て後詰めとして出てきた吸血種の若造。

 見るからに平凡で、何処にでもいる二流の傭兵。永き世界を見てきた"彼"からすれば、ここに立っているのが不思議でならない程に──弱い。

 

 それがどうして、あのサルカズが態々連れてくる相手になるのか。

 珍しく個人的な興味が湧いた。

 時間を稼げばパトリオットも来ることだ。勝ちは揺るがない。ならば少しばかり、雑談に興じてもいいだろう。

 

「その割には、Wを見捨てたようだが」

「アイツについて知った風な口を効くな。特にこの、オレの前ではな」

「まるで対等かのような言い草だが、貴様わかっているのか」

「なんだ? オレがヤツとは吊り合わんと言いたいのか。くだらんな。オマエの価値観では、ということだろう。本人がどう思っているのかこそが本題だ」

 

 不快そうに、そして雑に話を断つ。

 どうやら本当に、自分以上にWを理解している存在などいないと言わんばかりの態度は、奈落の如き深さを感じる。

 そうなると、眼前の相手は絞られた。

 

 Wが奇妙な反応を示すサルカズ。

 凄まじい戦闘能力のブラッドブルード。

 ──ロドスの狂人。

 

「確か、獣殺しだったか」

「まさか知っているとは思ってもいなかった」

「貴様の殺戮の噂はよく聞いているとも。それで、Wに属している貴様が何故ロドスにいる? 忠誠を誓ってるわけでもあるまい」

「まぁな。ついでに言えばWが止めると言ったからここに立っているだけだ。オレ個人としては別に"コレ"がどうなろうと知ったこっちゃない」

 

 爪先で床を叩きながら、本当に興味無さそうに告げる男の姿は随分と滑稽でもあった。

 まるで勝ち目が無いのを言い訳するようでもあり、あるいは自分の保全にしか興味が無いかのような。

 

「ならレユニオンに降れ。サルカズの傭兵だろう。金は出す」

 

 そういうものは引き込むに限る。故に口約束でも十分だとしてそう言ってみたが。

 

「オレは傭兵だが、金だけで決めるほど愚かじゃないんでね」

 

 これまた、何やら面白そうな気配がした。

 

「では何を望む」

「最強という名の称号」

「果て無い旅路だ。道行く全てを殺してもなお足りない」

「だが焦がれた。ならばやる。そういうものだろう? 憧れは止められない」

 

 ──馬鹿だ。

 イカれている。その中でもとびっきりに。

 理論・理屈として破綻している。それを即答し、愚かと知りながらもそれこそが王道と定めている。人間として当然に、他にも心惹かれている物もあるだろうが、それはそれとしてその願望こそ第一としている。

 "彼"の中でも該当する種類の人間は少ないが、しかしこれは──完全に初めてだと言っても過言ではない。

 

 過去見てきた者たちは、皆一同に原点と経験を併せ持ったが故に、愚かなる者として覚醒していた。

 

 だが、この男はまるで違う。

 一眼見ればわかる。若すぎる。まさに若造、小僧。もっと言えば幼子。そういうレベルだ、"彼"の目から見れば。

 

 故に"無い"。

 

 決意を後押しする経験が、それを選び続ける経験が、抜け落ちている。その域に達する為に必要な経験が無い。そう言わざるを得ない。

 しかしこの即答、そしてこの馬鹿さ加減。ならばそれは、生まれ持っての強靭な決意と素質だけで、既に答えと完成形を見出しているに他ならない。

 確かに二流だ。どれだけ血を吐いても、超一流や規格外にはなれない。無理をすればその辺で野垂れ死ぬような、何処にでもいるありふれた、平凡な戦士に過ぎない。

 だが──原初より完成され尽くした、人の域を超えた意志力と精神力は、まさに特異点に他ならないだろう、と素直に評価する。

 

 例えば、素晴らしい戦士がいたとしよう。

 敵に敬意を払い、義に熱く、名も知らぬ誰かの為に戦えるような存在だ。

 そう至るまでには、幾百の経験がなければならない。いきなり零が百になるような夢幻が生まれるような土壌は、現実には存在しないのだから。

 

 が、その男は"そういうカタチ"が先に在った。言うなれば先に百があり、その百の中身を詰め込む人生だ。

 決意のままに生きて、決意のままに死ぬ。

 猿真似だの後追いだの、過ちだの愚行だのは一切関係無い。己の全てを懸けて挑むとしたら挑む。

 是非とも使いたい程には素質がある──が、こういう人種が己を捨てるその時とは死する時に他ならない。非常に惜しい。

 

「惜しいな」

「それは光栄だな。ウェンディゴの爺サマが頭を下げるに相応しいと判断される程の、我が同胞たちが即座に首を取らない程の、そんな理想を掲げて全てを裏切ってみせた──棺の中の骸骨サマ」

「ほぅ?」

 

 ──気付かれている。

 

 "彼"の心は久しぶりに踊っていた。

 強敵、久しく覚えていなかった感覚。単純な武力ではなく、しっかりと情報を整理し、真実を考察できる存在。それこそが真の強敵だと。

 ……ただ舌戦ではあるが。

 

「タカ派の下儲けだからというのは知っている。しかしタカ派ということは、政治闘争の場にもいたであろう爺サマが気付かない筈がない。そうなるとオマエ──いや、『タルラ』という存在は一体何なのか? とりあえず抜き出してみれば、自分諸共死ぬかもしれないってのに自爆特攻をさせる……典型的なタカ派だ」

 

 まずは事実が並べられる。しかしただの事実だ、故に"彼"は何も語らず反応もしない。

 

「そうだ、オマエという存在は特別な誰かである必要が無い。感染者の大義名分を掲げる必要すらない。チェルノボーグを落とし切れて、ついでに適当などっかに都市を落とせるヤツなら誰でもいい」

 

 なんでもいいし、どうでもいい。

 結果的に新しい展望があればそれで、という考えが透けて見えるぞと、若きブラッドブルードは指摘する。

 

「感染者の地位向上などというあやふやな目的を大義名分として掲げているクセに、タカ派の下儲けをやっているのか。そして配下のヤツらとの信頼関係があるのか。洗脳にしては違う。ありゃ本気だ。オレにはわかる。だが所々疑問はある上に、やり方がまるでゲリラだ。確かに戦争を理解し、戦争に身を投じた者だけが行える戦術」

 

 理想のままに生きて死ぬ者たちを率いる捨て石。

 チグハグなのにしっかりと歯車が回っている。

 それは異なる存在と化した、ということに他ならないのだと、単なる事実として告げる。

 

「──そしてオマエを見て理解したよ。天上から見下ろして自身を含めた何もかもを平等に扱うその姿勢。未来を求めている筈の連中なのに、今を変えることにしか興味のない行動。別に『タルラ』じゃなくてもいい。なのに他のヤツらは『タルラ』であることを求める」

 

 ……『オマエ』は誰だ。

 哀れな女に潜む者よ、何故己を誇ることをしない。能力があるのにも関わらず。

 そういった視線であった。

 

「今を変えるのは未来のために。より良い明日のために、自分が変えてやる。自分が救うんだ。"それ"が無い。やるのは自分なのにな。条件も何もかもをわかってんなら自分がやってやるって気兼ねの一つや二つくらい見せるのが、愛国者ってもんだろう?」

 

 ──オマエは一体何をしている? 

 ウルサスを救う特別な誰かであらんとしないのは何故だ? 

 

 単なる疑問。

 しかし、眩しい疑問でもあった。

 

「──確かにそうだな。だが私にはそれができない。国を憂いておきながら、こうすることしかできない」

 

 結局、できない。

 "彼"は自分が、あくまでも現状を打破することしかできない存在であると深く認識している。様々なモノを見てきたからこそ、己の不足を知るが故に、己の役回りに徹するのだと。

 

「だから地盤だけ揃えて他人に託すと? 温いぞ。できるできないではない。やるのだ。道理を蹴り飛ばし、現実を踏み躙る不条理に成り果てることを是とし、自分が賭けられる全てを差し出し、掴み取る」

 

 しかし光へと殉教する者は、それがどうしたのだと切り捨てる。"やる"と定める。ならば"できる"のだと、己がそうであるならお前もそうだと告げる。

 

「それができない。やったから知っている」

 

 それは数百年前に通り過ぎた道だと、諦観を伝える。

 

「くだらん。やれるようにしろよ」

 

 それは理由にならない。改善を繰り返して前へ進むのだと、当たり前に語る。

 

「貴様と私では、見たものが違う」

「要するにすごいヤツを見てコイツよりできない自分はゴミだって卑下してるんだろ」

「事実だ」

「そのままにしておくのか。わかった欠点を」

「改善もできん。貴様ならわかる筈だろう」

「性格的な話じゃないだろう」

「ならば心の問題とでも言うのか」

「そうだ」

 

 水掛け論が続く中で、それは心の問題だというある意味の極論が提示される。

 心か、ならば──"彼"は、端的な答えを告げる。

 

「心の問題ならば、私はそういう生き物だ」

 

 お前がそうであるように、私もそんな生き物だ。それが答えだ、それが真理だと断ずる。

 だからこうしているのだと示してみれば、若きブラッドブルードは鼻で嗤い。

 

「なら滅んじまえ、そんな国」

 

 長くを見てきた賢者が救えないなら死ね、と実に"らしい"ことを告げた。

 

「オマエがアレコレやっても、結局は他人任せ。ならオマエが立てばと言えば無理だと言う。だったら何をする必要も無い、あるがままに滅びて死ね。かつてカズデルがそうであったように、地図からウルサスの名前が消えるだけだ。そして生まれる何某かを祝福するといい」

 

 盛者必衰の摂理に従い消えるがいい。そしてそれを苗床として、また新たなるウルサスが生まれるだろう。

 生まれるには、一度死ななくてはならないこの世の常。永くを知る者ですら延命できないなら、死ぬべき時が来たのだと、"彼"が絶対に認められないことを、実に愉しそうに告げた。

 それを祝福せよ、生まれる者全てを祝福せよ。それが悪であろうが善であろうが、世界が壊れていようが、苦痛と絶望があろうが、それでも新しい命が生まれることは尊いのだと。

 そんなある種ラテラーノ的な──サルカズらしからぬ価値観で、不死の黒蛇に対してジェヴォーダンの獣は嘲る。

 

「それはさせんよ」

「じゃあやれよ」

「できないと言ったが」

「なら指を咥えて見てろ」

 

 ──水と油。

 

「首を突っ込むな、未来が腐るぞ老害」

「過去を知らずに、未来を知るか小僧」

 

 ──炎と氷。

 

「すごいヤツには焦がれて当然。自己と比較して卑下するなど愚か者のすること」

「英雄たる者を見て自ら以上とするならば、その者にこそ託すことが必定」

 

 ──光と影。

 

「貴様は見たことがあるのか? 不当にも自らを傷付け、瀕死に追い込んだ者を『殺してはならない』とした、ただの感染者を。あの聖女の如き女の前では、私の存在など霞む」

「誰でもないオマエにそこまで言わしめる女とは、さぞ素晴らしい女だったんだろうな。素直に哀悼の意を表するよ。だが──だからといって自分がしない理由には決してなり得まい」

「では貴様はどうだ? そうした相手と出会い、存在の差を、器の差を、格の差を感じたことは?」

「あるさ。だからこそ、それを喰い殺したい、超えたいと奮い立つ。世界はまだ広いのだ、オレには更なる高みへと昇る機会が与えられているとな。そっくりそのまま返してやろう──オレはそういう生き物だ」

 

 決して交わらざる存在。諦められないからこそ夢を己が為す悪魔と、諦めたからこそ他者を信じる悪魔。

 どちらも他者の存在が必要になる。しかして、それが自ら喰い殺して養分するか──それに自らを潜ませてそれとなく誘導するか。

 

「……ククッ」

 

 ──焦がれるならば託し潜む。

 

「ハッ──」

 

 ──焦がれるならば喰い殺す。

 

「失せよ小僧。夢見心地のままに死ね」

「くたばれ亡霊。墓の下でカビてろ」

 

 どちらにせよ、互いに互いが嫌いなのだ。

 同族嫌悪でもあり、相反する者として。

 狂える者は狂える者こそを憎む。故に滅ぼし合う。

 

 彼我の力量差は明確だったが──そんなもので挑むのをやめるなどという選択肢があるのならば、こんなところに立ってもいないだろう。

 

 ……刹那の死闘が始まる。

 

 一歩。

 Gが踏み込む──元来の闘法である曲剣を順手に、短剣を逆手に持った独特なもの。

 

 二歩。

 タルラが構える──爆弾の所為もあって不用意にアーツが使えないが、仕留めるには剣技で十分。

 

 三歩。

 二人の視線が交差する──短剣が前に、曲剣は後ろに。

 

 四歩。

 タルラが踏み込む──より素早く、より疾く、一太刀で迎え撃つ為に。

 

 五歩。

「──!」

 刺突と斬撃が同時に煌めく。

 

「……!」

 二刀ごと潰す剛剣が閃めく。

 

 六歩。

 曲剣が逆手に切り替わり、刀身を滑る。

 

(防御の為ではなく、仕留める為の短刀か──なるほど)

 

 このまま行けば曲剣が右腕を裂き、流れるように短剣で首を裂かれ死ぬ。

 しかし繊細なアーツコントロールを持ってすれば奇策を突破する程度、そう難しいことではない。

 

(ならば熱で、溶かし切る)

(熱で溶かし切るしかないのはわかっている)

(そのまま首元を掴み、燃やす)

(そして殺すなら燃やすだろう、喉を掴み上げて)

(──無論見切っているだろう)

(しかしこれは予定調和だ──)

 

 それを理解しているのは二人とも。

 

((それしか選択肢は無いのだから))

 

 こうなった以上それしかない。

 

(その均衡を崩すとなればオレからだが)

(それをすることはないだろう)

(向こうがそれを望んでいる以上)

(向こうが確実に仕留めたがっている以上)

(だがこのままでは──)

(──読み合っても無駄というわけだ)

((ここは考え無しに行くしかない))

(……などと考えれば読まれて終わる)

(かと言って読み合いをやめればそれまで……)

(ではどうするか? まぁそんなものは決まっている)

(ならば私の選択など、初めから一つしかない)

 

 互いに邪悪な笑みが浮かぶ。

 

((踏み倒す))

 

 青光と赤光が交差。素早く発動した互いのアーツが互いのアーツを阻害したことで、即座に発動を停止する。

 潰し合う技を見せたところで意味が無い。剣技に移行したが、それも一瞬。刀剣が重なり合って火花が散る──それだけで、タルラが退いた。

 いくら龍とはいえ、尋常ならざる出力を誇るサルカズ、それもブラッドブルードの腕力はそうそう受けられるものではない。更に言えばアーツで強化されているのだ。何度も何度も殴り合えるわけではない。

 僅かな打ち合いで有利の取れる短剣を使っていないのだ。付き合ってやる道理も無い。

 器用に受け流せるとしたら、その癖や腕力を十二分に把握した上で、長年殴り合った相当な馬鹿者に限る。あるいはその負荷を麻痺させて無視するか──それくらいだろう。

 

(炎熱系ともなればコントロールはしくじりたくあるまい)

(なるほど、嫌な相手だ。確実に殺す術を会得している。最悪の殺戮者の字は伊達ではないか)

(されども、Wがしくじる相手。無策で挑んで勝てる筈など無い)

(やはり二流だが、こういう相手は爆発されると面倒だ。確実に消すしかあるまい)

(自爆は選択……できんな。オリジナルキーごと吹き飛ばしかねない)

(諸共に、というのはまずい。まだ死ねない)

(狙うのは瞬間と瞬間の隙間)

(相手が狙ってくるのを返すだけ)

 

 刹那に鞘走るが如く両者は再び接敵する。

 二度も三度も同じ手が通用する相手ではない。しかし奇策を打ったところで所詮は付け焼き刃、素直に相手を上回るしかない。

 もっともタイムリミットがある以上、博打を打つのは──Gだけだ。

 

「──やるしかないよな」

「来るしかないだろう──」

「が」

「、しかし」

「「負けると分かっていても、勝ちを目指す性分だな」」

 

 片や自嘲、片や嘲笑。

 読まれ尽くした殺し合い。

 制するのは防衛であり、能力で勝り、技量で勝るタルラ。

 

(古代アーツ、現代アーツ……物理的な現象として現れるものと、効果として現れるもの。同じ源石と感染者の組み合わせでありながら、何故こうまで違うのか。全員同じ素質で全部同じ事ができるが、引き出し方はそれぞれ異なる為に、氷山の一角を切り取って異なる性質を発揮していると仮定する。ならば、出力方法さえ変えてしまえば一人が複数かつ同一のアーツを持つことも可能なのではないか──しかし、所詮は仮説だ。更に言えば学術的な裏付けのある仮説ですらない。だが創造する神がいて、創造された存在があって、自然と生まれたものがあり、全てを蝕む源石があり、そしてアーミヤが複数のアーツを身に付けているのだから……)

 

 おいおいおいと唖然とする天啓は、"そんな選択肢"が出てきたことに頭が止まる。

 いやそれマジ? 土壇場にも程があるけど土壇場すぎるでしょ? 確かにアーツの進化はそういうルートを辿るけどさぁ……など考えたのは刹那。

 彼もまた、全てを殺して最強になるバカなのだから──ま、いっかくらいのテンションで破滅的な選択を喜んで行う。

 

 再び稲妻が弾ける──ただし、蒼ではなく漆黒の稲妻が。

 源石から人体・アーツユニットを通して発現するのが現代アーツ。儀式によってなされるにしても通す物は変わらない筈の古代アーツ。結局違いがわからない。

 違いがわからないなら、時代を逆行すればいい。源石がよくわからないものだった時代のやり方で行えば──天啓は舞い降りる。

 

「──馬鹿な、貴様は……」

 

 結果、それが間違っていてそれで破滅しようが関係無い。仕留めると定めてやればやれるのだ。

 刀剣に纏わりつく黒い光。それが何なのかは想像が付くが、仮にそうだとしたら受け切れないし、仕留められる。それだけは何としても避けなければならない。

 

 両手に構え、その一撃を受ける。

 受けた刹那、アーツを発動する。刀剣が叩き折られそのまま両断されるよりも早く。

 爆発、そして吹き飛ばされるGとタルラ。小規模なものとは言え、直撃を受けたのだ。それを分かっている者と分かっていない者では、受ける被害は異なる。更に片方は無茶な方法で無茶苦茶な事をした以上、普段ならば隙とならないものが、隙になる。

 息を吐く間も無い刺突──逃げ場は無い。ならばどうするか。

 

「……オレの負けか。だがッ」

 

 飛び降りる。Wが落ちた場所から、寸分違わぬように。

 

「戦争の勝ちは譲らんぞ、亡霊──!!」

 

 それは自暴自棄などではない。

 絶対に生き残り、貴様の野望を打ち砕くのだという、決意。

 この高さなら通常生きてなどいられないだろうが、こういう類はどうせ生きている。そして戻ってくる。気にするだけ無駄というものだ。

 何故ならそういう人種だから。

 

「……しかし、貴様では届かぬ」

 

 だが間に合うものではないと、"彼"は淡々と告げるのだった……

 

 タルラの、『運命』が来ることを知らずに。




Gくん
認めたところで変わる理由が無いから変わらないんだよなァ!?
結局変わることの無い人。世界の全てが最初から敵なのだから、全てに挑むのだ。

不死の黒蛇
バカ丸出しのボケナスに少し興味が湧いたらアホだったので消すことにした
滅ぶべくして滅ぶなら受け入れよう! とか言われて認められる訳も無し。

走者
苦しみ続けるバカ。学会内ではかなりおかしいヤツ
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