アークナイツRTA参考資料「W姉貴のしっとり確率」ついでに「最強の伝説」トロフィーRTAの中途報告 作:W姉貴に負けたい人
>車を運転してシエスタに辿り着く。……本当のところ、どうせ極秘任務なのだろう。カズデルを離れて武装したまま、あえてシエスタに行く理由など、それくらいしかない
まあ実際そうです。
W姉貴はお仕事でシエスタに来ていますが、割とフリーの時間があるのでGくんを誘いました。なので別に傭兵の装いでもいいんですよね、本来なら。二人とも不ぅ思議ですねぇ〜……?
>シエスタは事実上の永久中立地帯のようなものだ。無闇矢鱈とデカい揉め事を起こせば場所そのものが敵になる。そのため諜報員の合流地点としてよく選択される。──迂闊なことをすれば、オマエも死ぬぞと。噂では死体は火山に投げられて消されるらしいが……
簡単に説明するとシエスタは観光都市である以上、イメージを激しく損なう不祥事にはめちゃくちゃ厳しいです。何せ都市の売りを、商売を汚されるわけですからね。何処ぞの鉛筆1本で3人殺したバーバ・ヤーガな殺し屋のホテル並みにこう……アレです。逆にそういうことをしなければ問題ありません。
>そしてそんな裏を知らずに、表では感染者も非感染者も区分無く気楽に楽しんでいる。オレはそういうこの都市が苦手だ。ここにオレの居場所が無いから
そうだよ(確信)
君は戦場にしか存在できない魔物だからね、しょうがないね。
>周りを眺める。浮き足立つ連中ばかり。モスティマと来た時もこんな感じだった
「楽しくなさそうね」
「空気が苦手だ」
「そう? まああたしも違和感あるわ。でも仕方ないわ。必要だから。それに慣れれば楽しくなれそうよ」
「……慣れないんだ」
その言葉を聞いた瞬間、Wは目を丸くした後に心配するような声を出した
「来たことあんの? こういう場所に興味の無いあんたが? 仕事以外で?」
「ああ。まだこうなる前に一度」
W姉貴も戦争! 暴力! 最強! 以外考えないGくんがシエスタに仕事以外で来たことが信じられないみたいですね。当たり前だよなぁ?
さてここで選ぶ選択肢は……
────
ノーコメントだ
誰でもいい
無視する
>知り合いのトランスポーター
────
会話を広げるためにらしくないことを選びます。W姉貴はちゃーんと拾ってくれる優しい人ですからね
さぁ、Gくん解体ショーの始まりや……
>「知り合いのトランスポーターだ。詫びを兼ねて此処を訪れた」
まあ別に隠すことでもないか……
「女?」
「よくわかったな」
Wの勘は異常に鋭いところがある。まあそういうオレもWのことはよくわかるのだが。お互い、声だけでも痩せたかどうかとかがわかる
「あんたが好きそうなタイプね」
「わかるのか」
「ええ。あんたのことだから。どーせ超常的な感じなんでしょ?」
図星だ。しかしモスティマのことは話してないのになんでそこまでわかるんだろうか。表情こそ変わっていないが、拗ねるような視線を感じる
「そういうオマエは彼女に夢中だな」
「今、それは関係無いでしょ」
「話しかけたいのに話しかけられない。彼女が自然にあるだけで、胸は高鳴り視線は逸れる。まるで炎に向かうように」
「──黙りなさい」
本気の怒りを滲ませて、Wは胸倉を掴んできた。
「これ以上やたらポエミーに表現するなら、本気で殴るわよ。いい?」
「わかった。やめよう」
恋を知った幼子のようだとか表現してみたら、どんな反応をするだろうか。まあ、怒り心頭なWにそんなことを言うのは自殺行為だ。なんとか機嫌を取らねば
前々から思ってたけどGくん割とポエマーなところあるわね?
ではここから好感度上げ等々には関わりませんが、こっちのお仕事をしていきましょう。W姉貴がGくんを連れて来たのは、一緒に来たかったが4割で護衛6割です。テレシス側のスパイからデータを受け取ることになっているのですが、安全に受け渡しができる場所なんてシエスタくらいしかないし、それは敵もわかっているのでネズミが紛れ込むわけです。
で、ネズミ駆除の専門家としてGくんは頑張らないと行けません。鼠がもう一匹……(剣聖並感)
さて、GくんはW姉貴と接触する前の3年で鍛えた技に収容所も真っ青な拷問術・リアルガチの内臓攻撃・効率的な人体破壊・恐怖を与える殺し方・折り畳んで上げる・首を千切り断面に爆弾を仕込んだ生首爆弾などの物騒なモノもありますが、暗殺術の類も一通り覚えております。なのでパッと見れば敵がある程度……
>……見つめる。視線を区分して遮断して、血の匂いがするヤツを区分していく。その中で無機質な視線を探して行き……誰一人として見当たらない。
……んん? このデータでこのイベント行くと毎回敵いないなぁ。乱数が固定されてる。もしかして、乱数固定可能なイベントと乱数固定不可能なイベントが存在している……? 後で再調査ですねクォレワ……これから大量の略してほもと略してれずが発生しますよ。ヴォエ!
>驚いた。敵を区分することにかけては得意だと自負しているオレが完全に見つけることができないとは。認識阻害のアーツか、あるいは凄まじく鍛え上げた技術か……どちらも楽しみだが、億が一本当にバレていないという線もある。……だとしたらつまらんが
こうなると絶対にいません。ドクター暗殺RTA兄貴曰く「0章でそれが出たらファウストくんとメフィストくん襲来で死亡確定みたいなもんだが特殊なそういう場面でもなかったら絶対安全やで」だそうです。
となればもう好きにし放題! でもキャラと肉体関係ある時にシエスタで宿泊するのはよろしくありません。ご無沙汰だともっとよろしくありません。メガトンコインです。ねっとり食べられます。今回W姉貴と関係だけはあるので選択しないようにします。
>「……どう?」
「見たところネズミはいない。オレたちより上か、本当にいないか」
Wも怪訝な顔をしている。確かにここまで自然に視線一つも見当たらないとなれば、キリングゾーンにいるかキリングゾーンが存在しないかの二択だ。
ここは……誘い出すか。どうやったものか……
────
映画館で群衆に紛れる
海側で群衆からあえて浮く
>ショッピングモールで群衆を見る
────
上二つはどっちもロスいので下ですね。水着に悩むW姉貴だとか、ポップコーン片手に退屈そうに映画見ながら手でちょっかい(意味深)かけてくるW姉貴とかが見たければ、自分でたしかみてみろ!
>室内で、密閉されない……ショッピングモール。誘い出すには持ってこいだ
「W、時間は」
「あるわ。何処へ」
「ショッピングモール」
「了解」
……なあ、W。オマエ、シエスタ楽しみだったんだな? 更に浮足立ってるぞ。それでも警戒を怠ってないのは、流石だ
ちなみにショッピングモールだとエフイーター(頼むからモンスターを人間に戻さないで)の本が買えます。読むとステータス上がります(ありがとうエロパンダ)彼女が鉄意六合拳の習得に何を見出して、どんなコツがあったのか赤裸々に乗ってますからね。役に立たないわけがない。
これ目当てでもあります。
>手を握られる。デートのつもりなのだろうか。肉体関係はあっても、オレたちの間にそんな感情は無いが
嘘つけ絶対あるゾ
>……Wに手を引かれる。時々、オマエのことがわからなくなる。でも、それでこそWだと思う自分がいて──やめろ
気が付けばショッピングモールに着いていた。Wと別れ、お互いに位置を把握して群衆の動向を見る。……やはりいない
さて、ここでやるべきは「イフリータでもわかる! エロパンダのカンフー講座」が乗ってるエフイーターのグラビア本買うことです。
>「武術を身に付けたワケとその極意」……? 女優が? 女優は武道を身に付けるものなのか? どう見ても女優のグラビア雑誌なのだが、それには似合わない堂々と腰の入った構え。──立ち読みでは隙を晒す。買うか
考えてみてください。仏頂面で傷痕もチラチラしているイケメンが人気カンフー女優のグラビア本を神妙な顔で眺めた後、決意したように手に取って購入する姿を──ギャグでしょ? エロ本を買う子供かな?
真剣な表情でそれはどうなの君。
>店員はこの女優のファンなのかと聞かれて、適当に誤魔化したが別に知らない。ただ強いて言えば、前にモスティマと見た映画で見かけたような、それだけ。生きる世界が違う者を知る必要はない
……それにしても、俳優というのは難しいものではないだろうか。身体をこう、と作らなければならないなどと。ただ鍛えればいいというわけではない。維持──頭の中であの女優の身体を浮かべて、彼女の努力に敬意を表した
エフイーター姉貴のカンフー、同じ土台であれば今のGくんではWブースト前提でしか抜けません。すげぇ! まあ別に邪道戦法使ってしまえばブーストなくてもいいんですけどね。
>「どう?」
「見えん」
「……本当にいないっぽいわね」
「オマエはオマエの方に集中しろ」
買い物袋をぶら下げたWと合流し、荷物を受け取りつつ時間との兼ね合いはソッチに任せたと言外に告げる。思ったよりも時間を潰していたようで、確認したWはオレを現場へと連れて行く
あとは受け取って帰るだけなので加速。
ということで場面は移り変わりデータを受け取って確認して別れて車の中です。結局短時間の滞在で、観光らしい観光なんてしていませんけどね。内戦中ですしね、当たり前だよなぁ?
>「思ったよりも楽に終わったな」
「あいつの情報が何処まで信用できるかの方が重要よ」
「ドクターの能力を鑑みれば、そう難しいことではない。アイツの戦術指揮、戦略眼はまさしく最強に他ならない」
「汚れ仕事ばっかりよね、あたしたち」
「できるのがオレたちだけだからだ」
雑誌を取り出し、眺め始める。グラビアはどうでもいい。インタビューは何処だ
「……ねぇ、視界の隅にチラチラ映るやたらセクシーなウルサスは何?」
運転しているWが、ガラスに反射した雑誌に気が付いたようだ。視線は向いていないが、声は冷たいし、面白くなさそうな雰囲気を感じる
「人気女優のグラビア本」
「そんなものに頼らず処理する方法知ってるでしょ」
「ああ。で?」
そういう目的は一切無いから心底どうでもいいと言葉だけで伝えてみれば、Wは大きくため息を吐いた後、不機嫌に染まった表情と視線をチラリと向けてきた
「あんたはいいわよね〜。声をかけても気分じゃないとか仕事道具の整理とかで無視する癖にそーやって名前も何も知らないウルサスのエロ本読んでる」
「グラビア本だ」
「何? 胸と尻のデカい女が好みなの?」
「どうでもいい」
「じゃあなんで読んでるの」
「カンフーの達人だ。写真で見てもその技量が読み取れる。そうした点のインタビューが載っているから買った」
「の、割には表紙は水着じゃない。しかもキャッチコピーは『話題のあの女優のセクシー&カッコいいショット大特集』。どう考えてもそういうものでしょ」
「オレは向上に役に立ちそうだから買っただけだ」
うるさい女だな……突っかかってくるな
「そんなことを気にするくらいならテレジアへの愛をしたためたポエムでも書いてろ」
「ねえ、車から落とされたい?」
「冗談だ。やめろ」
流石にこんなくだらんことで死にたくない。と、そんなことを考えていると車が突然止まった。敵かと思ったがそうではない。もうすぐロドスに着くのに、Wが自分の意志で止めた。
「どう──」
言葉は紡げなかった。シートから身を乗り出したWが、無理矢理に唇を奪っていた。口内に舌が侵入してくる。しばらくして彼女は離れて、昂りに染まった顔で一言
「久しぶりに疼くから、いいでしょ?」
「精神修行について書かれていたから、実践しようと思っていたんだが」
「ダメ。あんたの都合を優先させてあげたのよ、あたしの都合を優先しなさい。それくらいの甲斐性は昔からあるものねぇ?」
「……ここでかぁ……?」
「あんたの部屋で、ね」
「どっちにしろ興が乗らん」
「拒否権があるとでも? そんな本を読むくらい溜まってるんでしょ」
「だから違うって……」
──昔からそうだ。こうなったWはオレの気持ちなど無視して疼きを満たす。何処か楽しげにしているコイツを見て、それがテレジアと会えることであって欲しいと思いながら、雑誌にまた視線を落とした
Foo↑ これはもうノスタル爺するしかねぇよなぁGくん! ほらW姉貴が据え膳用意してくれたんだから、食わねば男が廃るだろ! ……と言いたいところですが、W姉貴から逃げます。でないとしっとり率が上がりません。W姉貴という温もりから逃げているとちゃんとW姉貴にアピールしなくてはなりませんからね。
>ロドスに戻った。Wは報告に行った。面倒だ、逃げるなら今のうちだろう。さっさとどっかへ行ってしまおうと人気の無いところを目指して……嫌な顔と会った
「なんだ、ワルファリン」
「悪名高い『ジェヴォーダンの獣』が、まさかそんな格好をしているとはな」
言外に笑い者だぞと告げてくる同族を見て、ため息を吐いた
知ってるけどジェヴォーダンの獣って誰だよ(ピネガキ)
>『ジェヴォーダンの獣』……古い呼び名だ。──と会う前、3年で同族を数百ほど強くなるために殺した折に付けられた仇名。自分の呼び名など気にした覚えもないが、最強を目指す己の在り方に合っているようで、気に入ってはいた
「獣が服を着るなと?」
「別にそういうわけではないぞ、G。妾はただ単に、お前がそうしていることが面白く見えただけだ」
「……」
腹が立つ。殺してやろうか
「冗談だ、そんな顔をするな」
どうどう、と馬でも扱うように微笑を浮かべてオレを宥めるワルファリンに舌打ちをする。コイツは苦手だ。が、その知見は凄まじく、何度も授業を受けている
「しかし似合っているぞ。ああ、確かにそれならばお前も獣にも傭兵にも見えぬな」
「褒めてるのかバカにしてるのか」
「褒めているとも」
同じブラッドブルードであるワルファリン姉貴とクロージャはある意味ではW姉貴以上に関係あります。なにせGくんはたった3年で数百名ものブラッドブルードを殺戮した狂人、『ジェヴォーダンの獣』ですからね。最初はとてもビビられましたとも。
>医師のワルファリンとエンジニアのクロージャ。同じサルカズのブラッドブルード……血より闘争のオレ、血より機械のクロージャ。ワルファリンから見れば随分と変わり者なようだ。もっともオレもクロージャも、血を飲まないわけではないが──頻度は極めて少ない。
「おいクロージャ、ちょっとこっちへ来い」
さて目の前のブラッドサッカーは余計なことをしてくれたわけだが……悪戯好きの子供みたいな顔を浮かべていやがる
「はーい。どうしたのワルファリン? あ、G。その格好は……」
「何か言いたいことがあるのか?」
「ううん」
「あるんだろ?」
「別にないってば! どうしたの、そんなに気にして」
W姉貴絡みだと即バレるからです
>しばしクロージャは沈思黙考し──一言。
「Wとデートでもしたの?」
「何? なんだお前ら、熱いひとときを過ごしたのか。そうかそうか。それならばその気合いの入った格好に納得が行くというものよな?」
「さっさと黙れ。ジェヴォーダンの獣の由来を知りたいか」
「ワルファリン、Gはそういうの好きじゃないんだからやめなよ……Gも落ち着いてってば。ああもう、なんであたしがこんな立場やってるかなぁ。──でもさ、似合ってるし素敵だと思うよ」
「何が!?」
「服装だけど」
「あっ、ああ……なんだ、その……そうか」
調子が狂う。適当なことを言ってこの場から抜け出した。疲れる。なんだこれは。こんなものオレではない。そんなことより早く逃げなければ。藁にも縋る思いでケルシーを訪ねる
「G、どうしたんだその格好は。似合っているが──」
「感想は要らない他に方法はなかった」
「私は今のように感情を露わにする君の方が好みだがな」
「ケルシー!」
「何が不満だ?」
「……クソ、どいつもこいつも……」
「──驚いた。Gってそういう格好も似合うんだね」
……忘れていた。テレジアはほとんどがケルシーと共にいる。ケルシーを訪ねるという選択した時点で失敗だったのだ
「、テ……テレジア」
「きっと自分の為とかじゃないよね。あなたはそういうことはしないから。となると……Wの為?」
「──違う」
「G」
「違う。オレは、恥をかかせるのが嫌だった。それだけだ」
テレジアは見透かしたように目を伏せた。やめろ、やめろ。鏡のように映すな。炎の如くあればいいんだアンタは。見るな、オレの暗闇を──
「その辺りは私にはわからんが、ところでG。来客だぞ」
「はぁい、G。あたしを放っておいて同族二人と楽しく談笑。その後ケルシーとテレジアにお披露目? あたしを無視してあんな雑誌を読んでた事といい、随分と好き勝手してくれるわねぇ」
……ああ、そうだ。このテレジアのストーカーが此処に来ない筈がない。ケルシーに気付かれないように影からテレジアを眺めるしかできないヘタレ娘は此処に必ず来る。そこにオレがいれば──
「すまん二人とも。邪魔をした」
さっさと離れる。捉えられても逃げ切れば問題無い。テレジアの苦笑をバックにこの場を去ったが……
「逃げんなっつーの」
やはり追いかけてくる。ムキになってないか? 自分で慰めておけばいいものを
「知らぬ存ぜぬ心底どうでもいい」
「言っておくけどAceたちの飲み会は無いって。残念だったわねぇ?」
「なら外で空気を吸うまでだ」
「タバコ? ならあたしもご一緒するけど?」
逃げられん……かったるそうにしているオレを見かねたのか、Wは耳元で──
「あたしの血、飲みたいクセに。久しぶりに飲みたいんでしょう? ほら、お互い似たようなもんじゃない……ね?」
……その日は結局、抵抗を諦めて渋々と本能に身を任せた。どれだけ何を言おうとも、シエスタを訪れた時から、アイツの血が飲みたかった。そうでもしなければ、あの居心地の悪さを忘れられそうもなかったから
……いやぁ、お似合いですねぇ。
少し短いですが今回はここまで。次回はもう少し時間が経ったところから再開します。
おま◯けとして、へドリー兄貴の回想を垂れ流しておきます。
ご視聴、ありがとうございました。
────
『G』という傭兵は、かなり奇特な傭兵だ。
今の『G』の過去の名前は、『ジェヴォーダンの獣』。たった3年でカズデルのブラッドブルードの実力者数百名を殺し尽くした同族殺しだ。
それが戦場に現れて、一切の区分無く攻撃して辺り一面を血に染めている……だからその首を取ってこいという依頼を受けた俺たちは、そこでジェヴォーダンの獣と交戦し──『G』を失った。
ジェヴォーダンの獣の異常なまでの猛攻と耐久力、アーツ出力、精神を蹂躙する戦術……数と練度、装備と条件──全てが有利なのに、如何なる理由かはわからないまま獣に蹂躙されていく。死を覚悟しながらひたすらに抵抗をする中で、その獣を前にGはこう言った。
「おい、小僧……俺と一騎討ちをしろ」
しばらくの交戦で正気を失ったのかと思ったが、違った。イネスは絶句し、部下たちも驚愕に満ちている。
そして獣はピタリと動きを止めて、告げた。
「名乗れ傭兵」
「G。お前は」
「ジェヴォーダンの獣」
「お前の目、飢えてんな。覚えがあるぜ、その飢えを……いや、俺とお前に共通する飢えを満たせるとしたら、互いの命だろうな」
俺は耳を、そして目を疑った。
あのGが楽しくてたまらないと声を震わせ、子供のように目を輝かせている。
あの獣が嬉しくてたまらないと笑顔を見せて、憧れの存在と出会ったように感動している。
「お互い求めているものは崇高で、刹那的で、快楽的で、麻薬のように甘美な破滅に彩られているもの──違うか?」
「正しいさ偉大な先駆者。アンタは、勝利を求めているのか?」
Gは変わり者だった。サルカズの傭兵なんて、言ってしまえば思考停止の結果だ。なりたい自分になるとかじゃない。そうしなければ生きられないから……というだけ。だがGは傭兵になって名を馳せることを目的とし、そのために傭兵になった。
あいつは笑って言っていた。『日々のくだらない生活になあなあで満足して、ちっぽけな幸福を有難がって抱えている人並みの生活なんざ家畜にでもやらせておけ。それが賢いなら俺は馬鹿で十分』と。
そんなあいつが全く理解できなかった。訳の分からない別の何かに思えた。でも今は、ちゃんと人の形に見える。
「当然。他にいるモンあっか、小僧」
「魂が叫んだならそれで十分だ」
「俺はよぉ、俺の存在をこのカズデルに轟かせたい。俺という存在を、この大地に刻み付けたい。そのためにお前の首を欲したわけだ」
「オレは最強の字を現実のモノにする。最強という伝説を、オレという現実にして、現実から現実を超えた超越者になる」
二人が笑い合う。まるで同じバカを見つけたとでも言わんばかりに。
そして互いに武器を構えて──
「最強に敗北は無い。だからブチ殺させてくれ。死んでくれ。オレはアンタを──
「いいぜ、俺に勝てたら俺を喰え。奪え、毟れ、丸呑みにしろ! この名前、財産、職業、経歴──全部お前にくれてやる。だがお前が俺に喰われたら……」
「構わないさ。オレの存在、オレの強さ、全部オマエが使えばいい。ジェヴォーダンの獣という同族殺しの首で、誰もが忘れられない炎になって大地を焼き払えよ!」
「それでこそだ! 悪名高い獣をぶち殺した傭兵なんて英雄みてぇなもんだしよォ!」
わからない。
全くわからない……が。
この二人は意気投合している。互いに互いの存在を、殺した方が食い尽くして一体となることを望んで認めている。そんな様子を見て誰も手を出したくなくなった。狂っているが……魅せられたという言葉が正しいかもしれない。
自分がこう、と決めたことを貫き通す。その道中で死んでもいい。そのためならば全存在を賭けられる。
無明にも感じられる──歩むべき道も、貫くべき祈りも見いだせない生き方。 それを自覚しながら、疲れ続けることを怠惰に受け入れる毎日。
そんな疲れ果てた傭兵の世界で、久方ぶりに見た生の光。"頑張って生きる"というシンプルでとても難しい行為。
獣を恨むということはあまりできなかった。感心したからだ。あのイネスでさえも沈黙して見ている。正直感心こそすれど、俺はこのように生きられるとは思えないし、できないだろう。だが……
自分は一体、何者になればいい?
その答えを見つけられることはないと思っていたが、答えを見つけた奴らがいる。
「俺はお前のように──」
「──オレはアンタのように」
それは一つ、俺への救いになった。
答えは出せる。迷いながらでもいい、でもひたすら生きていれば死ぬ頃には見えてくる。なあなあで生きてても、いつか必ず。
「「量産型を超えた存在になるんだよォォォ──ッッッ!!!」」
そして2人の愚者が激突する。お互いの全存在を賭けた、究極の決戦。
壮絶な殺し合いの末にGは獣に喰らい尽くされ、獣はGとなった。
「傭兵の武器を引き継ぐ人物は、同時にその傭兵の名をも引き継ぐ」という慣習がサルカズの傭兵の間にはある。
これはそれすらを超えた相互理解。
互いにその存在に焦がれ合い、殺し合うことで一体となる儀式。喰らうというのは嘘ではない。Gは息の根を止められる前に遺言を残した。
「これからはこいつがGだ。こいつをGとして使え、隊長。俺はこいつの中にいるぜ」
なんだそれは。殺した相手の中にいる? 訳が分からないが──そこには凄まじい狂気が宿っていて、それは違うとは誰も言えなかった。
「やれよ小僧」
そしてGとなった獣はGに求められていた役割を果たし続けた。
……『W』と出会うこととなった、あの時まで。
新たなWとGは旧知の仲だった。
いや旧知なんてものじゃない。誰が見たって家族のようにも、戦友のようにも、恋人のようにも見えるそんな関係。Wと接している時のGは、あの獣と呼ばれGと喰らい合う儀式に嬉々として臨んだ狂奔の存在とはかけ離れていた。
何処にでもいる誰かのように、Wの一言一句にあれやこれやとくだらない茶々を入れ、Wの行動を理解する。一度戦闘になれば、長年連れ添った戦友として無言で背中を預け合い、互いを補い合う抜群のコンビネーションを見せる。
たった一人の修羅道を突き進む魔物ではなかった。当たり前に人の温もりを知っている、何処にでもいる誰かだった。イネスはその正体を見て、たった一言だけ俺に言った。
「へドリー、Gのことだけど」
「また追い出せとかそういう話か」
「いいえ。そうじゃない。Wと接しているあいつにこっそりアーツを使ったの。それで、あいつが何なのかわかった」
「興味深いな。聞こう」
「ただの子供よ」
その言葉を聞いて、血の気が引いた。
子供……? あれが、子供? イネスは何を言っている。
「いいへドリー。冷静に考えて。『こうなると決めて、そうして死ぬ』って、裏返せば人生はこうでなければならないっていう理由が無いとダメってこと」
「……つまり、彼は──迷えないと?」
「そういうこと。自分はこの為だけに生きて死ぬんだっていう目標が無いと、あいつは生きられない。子供がヒーローになるんだって言うのは簡単でしょ? ヒーローになるために努力してて、途中で物語のヒーローにはなれないと知ったら、それでもと現実的に考えるか諦めるか」
俺だったら諦める。いや……諦めた。
だからこんな生き方しかしていないし、答えが見つからなくて彷徨っている。イネスもそうだ。Wはどうなのだろうか。彼女は──Gとは違うようだが、何かを探しているようにも見える。
だが、Gには第三の選択肢があった。
「──諦めなかった。現実的にするのではなく、幻想を現実にすることを望んだ」
「大正解。Gは最強の二文字の為だけに生きて死ぬ。幻想を現実にするために」
「……その道を行く先は、自分を超えた何かになる未来じゃない。自分を捨てた何かになってしまう未来だ」
例えGの心がそのままであっても、幻想の中の最強の二文字に取り憑かれてしまえば幻想の中の怪物になることしかできない。
それを望んでいるのならば、それを変えることができないならば、何処かで誰かが殺して──いや喰らってやらねばならない。そういう男が確かにいたんだという、生きた証拠にならねばならない。
「Wには伝えないわよ。あいつが理解してないはずがない」
イネスはいつになく真剣だ。
しかし何故、Wがそれを理解していると思っているだろうか?
「どうしてそう言い切れる」
「女の勘」
「……はぁ、そうか。俺たちにできることと言えば、幻想だけじゃなくてたまには現実も見てやれと示すことだけか」
くだらない交流、些細な言い争い……それらだけでも十分にその役割を果たすだろう。
「手のかかる弟ってのは、こういうものなのかもな」
「私には無いもの強請りをする子供に見えるけどね」
選択肢を与えられて、幻想の怪物になる道を選ぶのであれば──その時は、俺たちで葬ろう。
それがせめてもの、純粋な子供の眼差しに救われた大人としての務めだ。
「Gがどうするにしろ、今は今を考えなければな」
「それならまず、GとWに朝っぱらから戯れ合うのをやめろって命令してくれないかしら。あの雰囲気苦手なのよ」
「命令で止めるならとっくにやってるさ」
あれを止めることはできない。
何故ならあれは、二人の逢瀬なのだから。そんな無粋なことをできるほど、俺は人の心を捨てていない。
時系列的にはW姉貴が盗撮する前です
先代の「G」
傭兵になることが必要に駆られてという理由ではなく、ひたすらに自己顕示欲を満たすために傭兵になった馬鹿。そんな同レベルの馬鹿は所属していた傭兵部隊には存在せず、腕は確かだが奇人変人の類という評価をされていた。
彼の部隊が「ジェヴォ―ダンの獣」討伐依頼を受け、そこで最強の信奉者と出会い、たった数秒の交戦で把握、意気投合。お互いの全存在を賭け、殺し合いの末に獣に喰われた。