ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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門番はよく選んで決めよ

弱点が知られた門番は、門番ではない

入る味方を食す門番は、門番ではない

弱点を敵に教える門番は、門番ではない

無能な門番は最大の敵になりうる。












死神、諦める。 フラメルとドラゴン

 

クリスマス休暇も終わり、ホグワーツには沢山の生徒が戻ってくる。

 

その中には、当然ハーマイオニーも含まれていた。

 

そしてハリーとロンは兎も角、刀原までも夜間外出をしていたことにハーマイオニーは驚愕していた。

 

「ショウってば、朝に帰って来たんだ」

 

「ええっ?何してたのショウ?」

 

「ダンブルドア校長とお茶会をしてたと、何度言えば分かる」

 

「何も深夜にやらなくてもいいじゃない?」

 

刀原は全く反論できなかった。

 

 

新学期と同時に、クィディッチの練習も再開される。

 

雨の日、風の日、雪の日も。

 

彼らの気合を抑える事はできないらしい。

 

ずぶ濡れ、泥だらけを全く気にせず練習するチームに、刀原は感心していた。

 

次の試合はグリフィンドール対ハッフルパフ。

 

そんなクィディッチの次の試合は、あろうことかスネイプが審判をするということになったらしい。

 

三人はスネイプが試合にて、ハリーを狙ったりケチを付けたりするのでは、と危惧していた。

 

どうすればいいんだ、と三人は頭を悩ませた。

 

「試合が始まったら瞬時にスニッチを取って、あっという間に試合を終わらせてしまえばいい」

 

そして刀原の一言に、ハリーは活路を見出した。

 

 

そんな助言をした刀原はというと……ハグリッドに、鬼道を容赦なくぶっ放せる場所は何処か?と聞いていた。

 

ハグリッドは禁じられた森しかないと答えたが、直後に生徒が行っちゃなんねぇと言われた。

 

そこで刀原は、ダンブルドアに許可を貰うことにした。

 

あんまり深い所に行くのは駄目じゃぞ?

 

刀原は許可を得た。

 

 

 

刀原は休暇が終わろうとも談話室という暖かい場所から離れ、今までのように肌寒い空き教室で刃禅をする気にはなれなかった。

 

休暇中にも双子が面白がって攻撃をしてきたが、強く薄く霊圧を結界の様に纏っていれば、襲撃が成功することはない。

 

 

反撃も『這縄』で拘束すれば事足りる*1

 

これらを見て他の生徒達もちょっかいを出すのを辞めた。

 

 

ハリー達のクィディッチの試合も近づき、自分の鍛錬場も決まった。

 

三人は懲りずにフラメルを調査し続けているが、錬金術の本は自分が借りている(確保している)

 

大丈夫だろう。

刀原は油断していた。

 

子供の好奇心*2は計り知れなかった。

 

刀原はそのツケを払うことになる。

 

 

 

 

 

「ちょっと来て、ショウ!」

 

そう言ったハーマイオニーは、昼食の為に大広間に居た俺を容赦なく連れ出す。

 

その手には大きな本を持っていた。

 

そのまま、嫌な予感が拭えない俺を図書室へと連行する。

 

そしてハーマイオニーは、既にいたハリーとロンの二人と合流すると若干興奮した様子で語り始めた。

 

「三人とも。ついにニコラス・フラメルの正体が分かったの」

 

「んでその本?」

 

「そうよ。これ、随分前に借りた本。軽い読み物だけど」

 

「軽い?これが?」

 

ロンが呆れたように言えば、ハーマイオニーはムッとした表情で返す。

 

「…ここよ、『ニコラス・フラメルは賢者の石を作り出した人物である』って書いてあるわ」

 

あーあ、とうとう見つけちゃったか。

 

「「何それ」」

 

「……本読まないの?あなた達」

 

言うな、ハーマイオニー。

 

「賢者の石は恐るべき力を秘めた物体で、如何なる金属をも黄金に変え、命の水を生み出す。これを飲めば不老不死になれる」

 

「不老不死?」

 

「現在存在する唯一の石は、ニコラス・フラメル氏が所有している」

 

「うむ、ニコラス・フラメル、御年665歳。世界最高峰の錬金術師。確か…フランス在住で、ダンブルドア校長とも共同研究をしている筈だ」

 

「そういうことよ…ってショウ、知ってたの?」

 

あ、やべ。

 

「知ってるんなら言ってよ!」

 

「いやーごめんな、ハグリッドに口止めされてて。*3それに、俺に聞いてこなかっただろ」

 

「確かにそうだけどさ…」

 

「まあいいわ、見つかったんだし。それよりも、フラッフィー(三頭犬)が守っているのはこれよ!あの扉の向こうにあるのは、賢者の石なんだわ」

 

見つかったのなら諦めるっきゃないね。

 

 

 

その夜、俺はこっそりハグリッドの小屋を訪ねる。

三人にフラメルと賢者の石のことがバレてしまったことを言うためだ。

 

「そうか、バレちまったか…」

 

「すまん、ハグリッド」

 

「ショウが責任を感じることはねぇ。べらべらとしゃべっちまった、俺が悪いんだ」

 

「それにはフォローが出来んが……。そう言えばハグリッド、さっきから何を温めてる?」

 

「聞くな、と言ってもお前さんは分かっちまうんだろうなぁ」

 

かなりでかい卵、これってもしかして。

 

「……ドラゴンの卵、といったところか」

 

「まあな、お前さんはまるでシャーロック・ホームズみてぇだなぁ」

 

「俺は探偵じゃない。洞察と推理とかには良い師匠が居るだけだよ。んで?確かドラゴンの飼育には免許がいる筈だよな?持ってんの?」

 

「いや?持っちょらん」

 

おいおい、まじか。

 

駄目じゃ(違法飼育じゃ)ねぇえか…」

 

「しょうがねえだろう」

 

「それで済む話じゃないだろう、どこで手に入れた?」

 

「パブで貰った、知らない奴から」

 

「ええー」

 

「ちなみにハリー達も知ってるぞ、もうすぐ孵ることも伝えてある」

 

そんなキメ顔で言われても……。

 

「…」

 

そんな顔(ジト目顔)すんな、大丈夫だ」

 

「…孵ったらどうすんだ?大きくなるのはあっという間って聞いたぞ?この小屋で隠し切れないだろ」

 

この小屋、吹っ飛ばなければいいが。

そんな俺の心配を全く意にも返さず、ハグリッドは目先の卵に夢中だ。

 

「はぁ………。まあ、孵化したら考えるか……」

 

俺はドラゴンに対しても諦めた。

 

やがてハリー達三人もやって来ると、卵は孵化した。

 

 

 

 

ノーバートと名付けられたドラゴンは、すくすくと大きくなっていった。

 

手遅れになる(小屋が崩壊)前に、ドラゴンをなんとかしなくては。

 

ぐだぐだぐちぐち言うハグリッドに「ダンブルドア校長に迷惑がかかってもいいのか!」と一喝し、俺たちは対策を考えるのだった。

 

そんな中、不用意に手を出したロンがノーバートに噛まれ、手が二倍に膨れ上がってしまうという事件がおきる*4

 

取り敢えず師匠から貰った軟膏タイプの薬を塗り、回道までしたが……即効性があるわけでもなく、ロンに口止めさせた上で医務室に放り込んだ。

 

医務室の主、マダム・ポンフリーがロンの怪我の理由を特に聞いてこなかったことが幸いか。

 

彼女の腕なら、傷跡一つたりとも残さず治療してくれるだろう。

 

 

 

ロンを医務室に放り込んだ日の放課後、俺は彼のお見舞いに訪れる。

 

放り込む直前、放課後に来てくれと言われたからだ。

 

マダム・ポンフリーは一瞬渋い顔をしたが、俺が応急処置をしたことは知っているので通してくれた。

 

ロンの怪我の治りは遅かったが、内容が内容なのでポンフリーの質問(尋問)に沈黙を決め込むしかなく、そんな患者(ロン)に一般的な処置しかできないのが難点の様だった。

 

「ハリーとハーマイオニーと行ったとき、マルフォイに僕たちがノーバートをチャーリーに託そうとしていることがバレたみたいなんだ」

 

「あいつはまた、余計なとこに鼻が利くな」

 

事ある事に粗を探そうとするマルフォイに、俺とロンは呆れる。

 

そしてバレてしまった場合、面倒になる。

 

ドラゴンナイトエクスプレス(ドラゴンを深夜に処分しようぜ)作戦は、絶対に実施しなくてはならないのだ。

 

ちなみにチャーリーとはロンの兄の一人で、ルーマニアにてドラゴンキーパー*5をしている。

 

ロン達三人はチャーリーに手紙を出し、ノーバートを深夜に天文台にて受け渡そうと考えていたのだ。

 

俺は素直にダンブルドア校長に事のあらましを説明し、手を打ってもらおうと説得したのだが…。

 

「ダンブルドア先生にそこまでしてもらうのは申し訳ねぇ。先生方には黙っててほしいんだ」

 

とハグリッドに言われたのだ。

 

「申し訳ないと思うなら、ドラゴンを違法飼育すんじゃねぇ!」

 

思わず一喝してしまった俺は悪くないと思う。

 

 

 

 

「DNE作戦*6の決行は今夜でいいんだよな?」

 

チャーリーの弟たるロンは負傷して医務室から出られないが、刀原はハリーとハーマイオニーと共に、まだ寒い校庭にて最終の作戦会議をするのだった。

 

「ショウは確か、透明マントみたいなのを持っているんだよね?」

 

そう言ってきたのはハリー。

刀原は頷く。

 

「個人用だけどな」

 

「でも、ハリーのマントは大きいでしょう?私たちとドラゴンを隠せると思うわ」

 

「それじゃあ俺はサポートをするよ、ピーブズ対策も兼ねてね」

 

ホグワーツのポルターガイスト、ピーブズ。

 

お騒がせ幽霊として名高いが、刀原にちょっかいをかけてきたことは今のところ一度もない。

 

刀原は、おそらく本能的に自身の持つの斬魄刀をピーブズが恐れているからだろうと思っている*7

 

「それにドラゴン、結構重いぞ。俺が浮遊呪文を使うよ」

 

ドラゴンは今も順調に成長し、そこそこの重さになっていた。

 

「でもハグリッドの小屋から塔まで、結構な距離があるわよ?大変じゃない?」

 

「運搬に手間取って、時間が掛かるよりかはマシだと思う」

 

「確かにそうだね、ごめんショウ、お願いするよ」

 

「おう、任せろ」

 

作戦はこれで決定となった。

 

 

 

 

誰もが眠る丑三つ時…という時間でもないが、すっかり夜になったころ。

刀原は先行してハグリッドの小屋に向かう。

 

小屋に着けばハグリッドがおいおいと泣いていた。

 

だが刀原が来たと分かれば……覚悟を決めたのか、それとも諦めたのかは分からないが少しだけ泣き止み、箱を取り出す。

 

箱にノーバートと何故かテディベアを入れ、最後の別れとばかりにゆっくりと蓋を閉める。

 

その光景を見て、刀原も罪悪感が出る*8が……ここは心を鬼にする。

 

やがてハリーとハーマイオニーが合流し、最終確認をして準備完了。

 

よろしく頼むと言ってきたハグリッドに見送られながら、作戦開始となった。

 

 

 

作戦などと銘打っているが、実態は運搬である。

 

唯一の懸念事項と思われたマルフォイも、先ほど塔に行く途中で捕まっているのを目撃した。

 

ピーブズも管理人のフィルチも来ない。

 

ドラゴンの受け渡しも成功した。

 

ハリーとハーマイオニーは、やり遂げたことを確認して上機嫌だった。

 

「よし。それじゃあ俺は、ハグリッドにちゃんと引き渡した事を伝えに小屋に戻る。成功したからといって、警戒を怠るなよ?」

 

「うん」

 

「分ったわ」

 

「んじゃな、おやすみ」

 

刀原はハリーとハーマイオニーと別れ、ハグリッドの小屋に戻った。

 

戻ってしまったのだった。

 

 

 

 

「ノーバートはちゃんと行ったか?」

 

「おう、ちゃんと渡した」

 

「そうか、良かった。…まあ、なんだ、俺も今になって気が付いたんだ。俺は確かにドラゴンを飼いたかった」

 

「うんうん」

 

「だがノーバートの事も考えなくちゃなんねぇ。免許持ってねぇ俺が育てきれる保証はどこにもねぇんだ」

 

「凶暴性もあるが難易度の問題もあると聞いたぞ」

 

「そうだ、他のドラゴンやキーパーの奴らと暮らした方がずっとええ」

 

「そうかもな」

 

「だから、ショウ。お前が良心の呵責に苛まれることはねぇんだぞ?」

 

「…俺、そんな顔してるか?」

 

「ああ、俺も伊達に何年もお前さんより歳食ってねぇし、多くの生徒も見てきた。いかに歳以上の実力を持っててもな、お前さんが心を鬼にして、俺を心配して言ってきてるってこと位、分かるってもんだ」

 

「すまなかった」

 

「謝らねぇでくれ、俺はお前さんに感謝してるんだ。また失敗をしなくてすんだからな。ありがとう」

 

「そう言ってくれるだけで、救われる気分だよ」

 

「お前さんは大人になるのが早いんだ、もっと周囲を頼ってもええんだぞ?」

 

「それを言うならハリーとかに喋ったり、違法飼育すんなよな?」

 

「それは、すまん」

 

「まあいいさ、過ぎたことよりその対策を。だよ」

 

「そうだな。やっぱお前さん、いい師に恵まれたな」

 

「全くだよ」

 

 

 

 

「さてそろそろ戻るとしますかね…」

 

「おう、気を付けろよ。捕まるんじゃねぇぞ?」

 

「大丈夫、へまはしないよ」

 

「だろうがな」

 

「……ところでハグリッド」

 

「なんだ?」

 

「卵は知らない奴から貰ったと言ってたな?」

 

「ああ、そうだ。パブでな、賭けに勝って貰った。そいつも卵を持て余していたみてぇだった」

 

「そりゃあドラゴンの卵だもんな…」

 

「どうしたんだショウ?そんな考え込んで」

 

「いや、どっか引っかかるんだよな…」

 

「引っかかる?」

 

「ああ、そもそもなんでそいつ、ドラゴンの卵なんて持ってる?入手するだけで一苦労だろう」

 

「確かにな。まあひょんなことから手に入れたんじゃねぇか?持て余していたみたいだったしな」

 

「…考えすぎかな」

 

「さあ、もう帰った方がええ、送っていくぞ」

 

「そうだね。すまんがよろしく頼むよ」

 

「おう、任せろ」

 

 

 

 

 

翌朝、俺は目を見張った。

 

スリザリンは兎も角、グリフィンドールの点が下がっていたのだ。

 

下がった点数は150点。

 

聞けばあの後ハリーとハーマイオニーは、あろうことか透明マントを着用せず寮に戻ったらしい。

 

警戒を怠るなと言ったのに…。

 

その二人で50点ずつ。

 

もう一人はネビル。

 

彼は寮の合言葉を忘れ、寮に帰れなくなったところをあえなく御用となったわけだ。

 

これは、まあ、しょうがない。

 

「「ごめんなさい」」

 

謝る二人にとりあえず…。

 

「ばっかもーん!!」

 

どうせ、マクゴナガル教授にねっちょりこってり絞られているはず。

 

あと一言二言で勘弁してやろう。

 

 

 

 

*1
鬼道も腕力もない彼らに『這縄』を解くのは無理

*2
お前だって十分子供の年齢だろう

*3
アイコンタクトで

*4
ノーバート…ノルウェー・リッジバック種の牙には毒がある

*5
簡単に言えばドラゴン使い

*6
Dragon night express 作戦名を考えたのは自棄になった刀原

*7
ピーブズを魂葬出来るかどうかは試してみないと分からない

*8
刀原は手遅れになる前にドラゴンを手放すよう、ハグリッドに言っていた




主人公は実行犯を完全には断定していません。
ダンブルドアは犯人までは教えてくれませんでした。

感想、考察、ありがとうございます。
そしてお待ちしております。

次回は
森での会敵
次回もお楽しみに
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