ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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人の人生には運命がある
進むべき道がある

その先の道に行くのは

僕ではない
彼女でもない

その先に行くのは君だ









死神、賢者の石を守る 決着

 

今この学校に陰謀の魔の手が迫ろうとしている。

だがそれを知っているのは極めて少ない。

 

その数少ない知っている者の一人、刀原は…。

 

「そのような訳で、僕は嗅ぎ煙草を知りません」

 

目の前にいる変身学の教授を説得していた。

 

 

ついに始まった期末試験。

刀原にとっては簡単だった。

 

だが悩ませたものはある。

 

そのうちの一つであるフリットウィックの試験は、パイナップルをタップダンスさせることだった。

 

足がないパイナップルにどうやってさせろと?

 

刀原は少しだけ悩んだあと……とりあえずヘタを左右に振るよう飛び跳ねさせ、その後くるんと回転させながら反復横跳びさせた。

 

これってバレエでは?と刀原は思ったが、フリットウィックが笑顔になったのでとりあえず成功とした。

 

 

問題はマクゴナガルの変身学だった。

 

内容は鼠を嗅ぎ煙草入れにすることだったのだが。

 

嗅ぎ煙草とはなんぞや?

 

刀原は嗅ぎ煙草という物を知らなかったのだ。

 

日本で煙草と言えば、紙巻き煙草と刻み煙草、煙管位しかない。

 

葉巻なるものが舶来品としてあるぐらいだった。

 

「嗅ぎ煙草って何ですか?」

 

刀原はさんざん記憶を辿った結果、そんなものは知らないと結論して*1事情を説明しマクゴナガルの説得を試みた。

 

「それならば仕方ないですね」

 

刀原の説得は成功し、結果違う物を変える事になったのだった。

 

 

 

 

生徒達を苦しめた試験も終わり、ホグワーツは晴れやかな空気で満ちていた。

 

それは天気も同様で、晴天の心地良さが生徒達を癒す。

 

刀原も湖畔で緑茶片手に伸びやかに過ごしていた。

 

フラメルに、ドラゴンに、森の探索。

 

刺激的な毎日も嫌では無いが、こういう穏やかな日の方がいい。

 

…そういや、ハリー達は何処に行った?

 

またなんかしてなきゃいいけど。

 

そう刀原が思っていた矢先、三人がやって来る。

 

「ショウ!ここに居たのね。試験はどうだった?」

 

「嗅ぎタバコ以外大丈夫だった」

 

「嗅ぎタバコ?日本には無いの?」

 

「無い、はず。見た事無いしな。そういうそっちの試験はどうだった?」

 

「ショウまでハーマイオニーみたいに言うの?ハーマイオニーったらさっきから、失敗したとか、もっと早くからやるべきだったとか言うんだよ」

 

「実際そうよ」

 

ハーマイオニーは試験対策勉強を十週間前から始めていたのだ。

当然、刀原も含めた三人はそれに付き合うことになったのだった。

 

「まあまあ、今日ぐらいゆっくりしたら?」

 

「そう、ね。そうしようかしら」

 

刀原の一言にハーマイオニーも賛同し、三人は刀原の側に座る。

 

「確かに試験もそうだったけど、石の事とかドラゴンの卵の事とか忙しかったしね」

 

ロンの一言でハーマイオニーに溜まっていたハグリッドへの鬱憤が吹き出る。

 

「ハグリッドには困ったものだわ。ドラゴンを無許可で育てようだなんて。一歩間違えたら犯罪よ!」

 

「ハーマイオニー……?一歩間違えるまでもなくあれは犯罪だぞ」

 

「ハグリッド、ずっとドラゴンを育ててみたいって言ってたから…」

 

ハリーが苦笑いしながら言う。

 

「ああ、確かに…言ってた…な」

 

刀原は賛同しながら何かを思い出す。

 

「ショウ?」

「どうした?」

 

ハグリッド、ドラゴン、三頭犬、賢者の石の守り。

 

「そうだよ……。何故気付かなかった!」

 

刀原は遂に気付く。

 

「何が?」

 

「いいか三人とも。ドラゴンは各魔法省が厳重に管理、監視している。事故とかが起きない様にな。それなのにドラゴンの卵なんて代物、普通はそこら辺の奴が持っているはずないじゃないか」

 

「…確かにそうだ」

 

「でも偶然じゃない?」

 

「そう、俺も最初はそう思った。しかしだ、ハリー、ハグリッドはずっとドラゴンを飼いたかったと言っていたよな?」

 

「うん」

 

「ずっと欲しがってた物を偶々持ってる奴がいる。しかも其奴は持て余してると来たもんだ。挙げ句の果てに「賭けで勝てば譲りましょうか?」なんて言って来た。結構な金になるかも知れないのにだ」

 

「…話が旨すぎるんだ!」

 

「そういう事だハリー!」

 

「だとするとやばいぞ。ハグリッドの所に行こう」

 

「行きましょう!」

 

 

 

 

「其奴はドラゴンの面倒をみれるのか聞いて来た。それでフラッフィーに比べたらドラゴンなぞ楽なもんだ、って言ったよ」

 

「フラッフィーに興味持ったの!?」

 

「まあな、魔法界でも三頭犬はそう滅多にいるもんじゃねぇ。日本でもそうだろ?」

 

「まあ、確かに日本には居ないな」

 

「そうだろう、実際に奴も驚いてた。んで言ってやったんだ、フラッフィーなんか宥め方さえ知ってりゃ、お茶の子さいさいよ。ってな」

 

「宥め方?」

 

「簡単な事だ。フラッフィーの場合は、ちょいと音楽を聞かせてやればすぐにおねんねしちまう」

 

「それも言ってやったのか」

 

「ああ」

 

「「「………」」」

 

「いけねぇ、内緒だった…」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 

 

 

「あんの野郎…」

 

俺は激怒した。

 

かのザルな門番(ハグリッド)に後で鉄槌(仕置き)を下そうと決意した。

 

ハリー達は大慌てで校舎に引き返したし、俺は呆れて頭痛がした。

 

フラッフィーの手懐け方が漏れたとあれば、賢者の石が危ない。

 

「ダンブルドア先生に知らせなきゃ」

 

「よし、校長室に行くか」

 

幸いにも俺は、ダンブルドア校長と茶飲み友達になっているので、校長室の合言葉を知っている。

 

だが、校長室には反応がない。

 

だったらという事で、マクゴナガル教授の元に駆け込むのだが…。

 

「ダンブルドア先生ならお留守です」

 

やはりダンブルドア校長は居なかった。

 

なん…だと…。

 

三人も顔を見合わせる。

 

「魔法省から緊急のフクロウ便が来て、急ぎロンドンに立たれました」

 

緊急のフクロウ便…間違いなく犯人の罠だな。

 

「でも…」

 

「待てハリー」

「ショウ?」

「ここで言っても、どうせ取り合ってくれん」

 

「ここは一旦、出直そう」

「分かった…」

 

「どうかしたのですか?」

 

マクゴナガル教授が心配そうに聞いてくる。

誤魔化さなきゃな。

 

「いいえ、大丈夫です。ではマクゴナガル教授。お手数をおかけしますがダンブルドア校長に、ハリーとトーハラが会いたがっていたと、お伝えください」

 

俺は三人より一歩前に出て伝える。

 

「……分かりました。必ずお伝えします」

 

マクゴナガル教授は頷き、一旦納得するフリをするが…。

 

「そういえば…トーハラ、残ってくれませんか?

あなたに少し聞きたいことがありました(あなたはここに残り事情を聞かせなさい)

 

三人にのっぴきならない事情があることを看破する。

流石だな…。

 

「分りました、僕に答えられる範囲であれば。三人とも、そういう事だから先に帰っててくれ」

 

「分った…」

「うん…」

「失礼します…」

 

俺はマクゴナガル教授の意を汲み取り、三人を帰すのだった。

 

「一体何があったというのですか?」

 

「……実は、三人は賢者の石がこの城にあり、そしてそれを盗もうとしている存在を知っています」

 

「なんと…どこでそのことを?」

 

「元々は三人が誤って禁じられた廊下に行き、その奥の部屋で三頭犬と遭遇したことから始まるらしいです。そして三頭犬が居た部屋の床に、隠し扉が有ることに気づいたそうです」

 

「それだけですか?」

 

「いいえ、ハグリッドと三頭犬の話をしたところ、彼がニコラス・フラメルに関連することだと漏らしました。おそらくうっかりだと思いますが…」

 

「あなたが以前、私に聞いてきたのはそういう事でしたか…」

 

「申し訳ありません。あの時は確認も含めて、でした。それに最終的に彼らだけで調べ、結論を出しましたので…」

 

「遅かれ早かれ、ですね」

 

「ええ、ちなみにダンブルドア校長はこのことをご存知です」

 

「そういえば、あなたはダンブルドア先生と茶飲み友達だと伺っています」

 

「はい、その際に伝えました」

 

「それで?ダンブルドア先生に伝えたい事とは?」

 

「おそらくハグリッドが三頭犬の手懐け方を犯人に漏らした可能性が高く、状況は極めて危険で切迫しているという事です」

 

「なんとまあ………。」

 

「お気持ち、お察しします」

 

「ありがとうトーハラ……さて、三人にお伝えなさい。石の守りは万全なので心配することは無いと」

 

「了解しました」

 

納得するとは思えんがな。

 

 

 

「石を守ろう。今夜だ」

 

はい、駄目でした。

 

マクゴナガル教授からの伝言を伝えたにも拘わらず、ハリー達三人はやる気に満ち溢れていた。

 

聞いたところによると、三人は俺と別れた後にスネイプ教授と遭遇したとのこと。

 

「企みでもあるのかと、怪しまれますぞ?」

 

などと怪しげな感じ*2で言ってきたらしい。

 

「スネイプは間違いなく今夜にでも石を盗もうとしているんだ!」

 

いやだからスネイプ教授だと決まった訳では…。

まあ、もういいか。

 

 

 

 

 

 

夜、俺はベッドから起きる。

 

師匠達から特別にと渡された死覇装に着替え、斬魄刀を腰に差し、外套を肩に羽織る。

 

そして先に寝室から談話室に降りた。

三人はまだの様だ。

 

暇なので近くの椅子に座り、刃禅を始めることにした。

スーっと息を吐き霊圧を練り、斬魄刀と対話する。

 

すると、階段を降りてくる音がしてきた。

 

だが、目を開けると……なんとネビルではないか。

 

「ショウ?まさかショウも寮を抜け出すの?」

 

な、なんでバレた?

俺が言い訳をする前に、都合悪く三人もやって来てしまう。

 

「君たちもだろ?また抜け出すんだね?またグリフィンドールの点が減っちゃうよ。ぼ、僕戦うぞ?」

 

その意気や良し。

師匠ならこう言うのかな?

 

素晴らしいな。

感動的だな。

 

でも、無謀だな。

 

「ネビル、すまんな」

 

俺はそう言うと霊圧を強く込め、ネビルに自身が切られたというイメージと殺気をぶつける。

 

直後、ネビルは膝から崩れ落ちる。

 

だが、

「い、行かせないよ…」

ネビルは立ち上がりかける。

 

すごいな。

 

「素晴らしい、君は最高の騎士だな。少し、少しだけ君を見くびっていたみたいだ。だけど…」

 

俺はネビルの顔に手をかざす。

 

「『居眠り』」

 

ネビルは既に限界だったらしく、あっという間に意識を飛ばす。

そして崩れ落ちたネビルを近くのソファーに寝かせる。

 

「何をしたの?」

 

ハーマイオニーが聞いてくる。

 

「師匠から教わった鬼道の一種だ。霊圧が自分より下なら一発で失神させられる」

 

「…ショウってたまにおっかないよな」

 

「そうか?」

 

師匠達よりかはマシだと思うがな。

 

 

 

場所を知っている三人に先行して貰いながら、一行は四階の右の廊下に着く。

 

刀原がこの場所に来るのは初めてだったが、何処と無く不気味な気配がすると思った。

 

早速入った例の部屋には当然の如く三頭犬がいて、刀原たちの方を姿が見えないのにもかかわらず、ぐるぐると唸っていた。

 

そして犬の傍にはハープがあったが……今の所、音を鳴らしてはいなかった。

 

刀原は恐らく犯人が置いていった物だと考察する。

そしてそう確信し、ハープの方へと歩き出した。

 

「使えるものは容赦なく使ったほうが良い」

 

ハープは犬の目の前にあったが、犬は刀原に気が付く様子が全くない。

 

刀原はモミジの杖を取り出し、ハープを数回叩く。

 

するとハープに元々設定されていたのか、ポロンポロリンと音楽を奏で始めた。

 

そして犬は瞬く間に目がトロンとし始め、やがていびきをかき始めてしまう。*3

 

犬が完全に夢の世界に行ったのを確認した三人は、マントを脱ぐ。

 

それに合わせ、刀原も外套の迷彩を解除する。

 

「スネイプが置いて行ったのかな…」

 

ハリーは、スネイプの恩恵を受けるのに若干抵抗があるらしく、苦笑いをしていた。

 

だが刀原が犬の傍にあった隠し扉を開ければ、瞬く間にその表情は消える。

 

扉の下を覗き込めば、中はどこまでも暗く、階段もロープも無かった。

 

「よし、それじゃあ僕が先行するね」*4

 

ハリーは底知れない暗闇に一瞬だけひるんだ様だったが、すぐに飛び降りる。

 

そしてあっという間に闇に飲み込まれたハリーだったが、遠くからドシンという音と大丈夫だと知らせる声が聞こえる。

 

その後ロン、ハーマイオニーの順に穴に入り、最後に刀原も飛び降りた。

 

 

 

 

最初は悪魔の罠という植物だった。

ハーマイオニーが火を起こそうと戸惑ったが、ロンが珍しく一喝した。*5

 

最終的に俺とハーマイオニーの魔法で攻略した。

 

二番目は羽が生えた鍵。

クィディッチで伊達にシーカーをしてないハリーが、箒で鍵を追跡した。

 

鍵は全力で逃亡を図ったが、敢えなく御用となり、難なく攻略となった。

 

三番目は現実で行う魔法使いのチェス。

ロンの天才的なチェスの腕前が披露させるも、最終的にロンは自らを犠牲にする戦略を使うしかなかった。

 

その後ロンが乗るナイトの駒が、クイーンの駒によって文字通り粉砕されるも、戦略通りにハリーが直後にチェックメイトして勝利した。

 

ロンは命に関わるような負傷が運よくなかったので、俺は軽い回道をし、先に進むことになったのだった。

 

チェスの部屋から出ようとした時。

気配で分かった。

 

この奥に、トロールがいる。

 

案の定扉を開けると、むせ返るような酷い匂いがしてくる。

 

広い部屋だった。

ハロウィンの時の女子トイレよりも。

 

ならば存分にやれる。

 

「いいか、俺が奴の動きを止める。その隙に二人は奥の部屋を目指すんだ」

 

「駄目よ、ハロウィンの時より大きいサイズなのよ。ここは三人で…」

 

「それこそ駄目だ」

 

単独で相手をすると言えば、即座にハーマイオニーが反対するが、俺はその言葉を遮る。

 

「ロンも言ってたろ、石を取られてもいいのかと。いいから行け、ここは任せろ」

 

「………分かった」

 

「ハリー……分かったわ。無理しちゃ駄目よ」

 

ふふ、偶には俺が年長者ってとこを見せなきゃな。

それに…。

 

()()()()()()()()からね。

 

 

俺は頷くと、詠唱を始める。

 

「自壊せよ ロンダニーニの黒犬 一読し 焼き払い 自ら喉を掻き切るがいい」

 

止めるためには完全詠唱。

 

「縛道の九『撃』!」

 

今の今までトロールが違う方向を向いていたので、不意打ちの恰好となった。

撃は綺麗に決まり、トロールを封殺する。

 

だがやはりハロウィンの時と同様、その場しのぎにしかならないらしいが…。

 

その隙に二人は先の部屋に進んだ。

 

「君臨者よ 血肉の仮面 万象 羽搏き ヒトの名を冠す者よ…」

 

トロールは逃がした二人より、自らを動けなくした元凶の俺に向かい始める。

撃も持たなさそうだ。

 

だが、これもハロウィンの時と同様だ。

 

「真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ」

 

遅い。

 

「破道の三十三『蒼火墜』!」

 

トロールに蒼い炎が迫り、防ぐすべもなく炎に包まれる。

 

だが火傷を負いながら今だ健在の様だ。

更に怒り狂い、こちらに向かってくる。

 

「…想像以上にヤバいな」

 

だったら。

 

至近距離、いやほぼゼロ距離で撃ち抜く!

 

跳躍し、瞬歩で一気に距離を詰める。

 

「『一骨』!」

 

そしてトロールが瞬歩に戸惑っている間に、重じい直伝の白打の技をがら空きの腹に打ち込む。

 

「グガァアアア!?」

 

トロールの悲鳴が聞こえるが容赦はしない。

 

「破道の六十三『雷吼炮』」

 

打ち込んだ直後手を開き雷吼炮を撃ち込んだ。

 

一骨の衝撃も加わり、トロールの巨体が吹き飛ぶ。

そして壁に激突する。

 

少しだけ煙が上がるもすぐに晴れ、そこには完全に貫通とは行かないまでも腹に穴が空いたトロールが姿を現す。

 

だが……。

 

「グ、グガァア…」

 

まだ、諦めないのか。

 

「…仕方ない、か……」

 

縛道で封殺しても安心は出来ないし…。

ここで始末する他ない…。

 

俺はここで初めて斬魄刀を抜く。

そして

 

「両断せよ『斬刀』」

 

始解する。

一歩一歩ゆっくり進み、壁にもたれ掛かっているトロールの前に行き…。

 

「許せよ、トロール」

 

俺はトロールの首を切り飛ばした。

 

 

 

 

斬魄刀に付いた血を払う。

霊圧を見て、ハリーもハーマイオニーも無事なのを確認する。

 

「とりあえず先に進むか」

 

俺は斬魄刀を納めること無く歩を進めようとするが。

 

「いや、その必要は無いぞ、ショウ」

 

と言う言葉に止まる。

俺をショウと呼ぶ者に老人は一人だ。

 

「来ましたか、ダンブルドア校長」

 

振り向けばダンブルドア校長が拍手してくる。

 

「トロールの討伐、見事じゃ。それがショウの始解かね?」

 

ダンブルドア校長は称賛しながら尋ねてくるが。

 

「いいえ、違いますよ。さっきのは疑似的な始解です。」

 

答えは否だ。

 

「僕の斬魄刀は刃がない。だから本来持っている筈の刃を持って貰う為、疑似的な始解をしたんです。僕の斬魄刀の始解にはちゃんと刃がありますからね」

 

俺がこう答えると、ダンブルドア校長は妙にキラキラした目で聞いて来る。

 

「疑似的な始解とは?」

 

「斬魄刀の始解は()()()()を呼ぶ事で発動するんですが……。さっきやった疑似的な始解とは、要するに()()()()()()()()()を呼んだんですよ」

 

ちゃんと斬魄刀のお許しは貰った上での行為だ。

 

「そうかそうか、なるほどのう」

 

…しかし随分と悠長だな。

 

ん?

こっちに誰か向かって来る。

 

この霊圧…ハーマイオニーか。

 

「ショウ!大丈夫?」

 

ハーマイオニーは心配そうに聞いてくる。

 

「ああ、大丈夫。なんともないよ

 

「そう良かった…って、ダンブルドア先生!?」

 

ハーマイオニーはここでダンブルドア校長に気が付く。

 

「ほっほっほ、今晩は、ミス·グレンジャー」

 

ダンブルドア校長、心なしか涙目になってないか?

 

「こ、こんばんは…じゃないわ!ダンブルドア先生!ハリーがこの先に行って…」

 

ハーマイオニーが律儀に挨拶するがそれどころでは無いことに気が付く。

 

「うむ、分かっておる。ショウ、グレンジャーさんと前の部屋にいたウィーズリー君を頼めるかの?」

 

この対応、手出し無用って訳か。

まさかと思っていたが、予想的中とは。

 

「…分かりました」

 

納得出来ないがな。

俺はダンブルドア校長をジト目で見ながら*6斬魄刀を納めたのだった。

 

 

 

 

かくして、賢者の石をめぐる攻防戦は一応の終わりを見た。

 

俺はハーマイオニーと巨大チェス盤の上で「さっきダンブルドア先生が、向かって行ったんだけど…」と言っているロンと合流する。

 

ハーマイオニーに目立った外傷はなく、ロンの傷もマシになっていたので回道をかける必要もなさそうだった。

 

その後、完全に失神しているハリーを連れたダンブルドア校長の先導を受け、ハリーとロン、ついでにハーマイオニーが医務室に放り込まれた。

 

俺もそうなりかけたが、ダンブルドア校長の口添え*7もあってお世話になることはなかった。

 

俺はダンブルドア校長と()()()をする為、校長室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
西洋大好き雀部副隊長も持っていないと思われる

*2
その言葉、そのまま返したいと思ったらしい

*3
刀原は「チョロいなこいつ」と思った

*4
刀原は「俺が先行するか?」と聞くがやんわりと断られた

*5
「火が無いわ」というのに対し「それでも魔女か!」と言った

*6
ダンブルドア校長は懇願するような目で見てきた

*7
説明を求める意味も含め、霊圧をダンブルドア校長にだけ少しぶつけていた




余談ですが
クィレルと主人公を会敵させるわけにはいきません。
別にクィレルを切り捨ててもいいんですが…
ハリーの活躍が無くなっちゃうので…
あと、ヴォルデモートを逃す筈ないので…

感想・考察ありがとうございます。
そしてお待ちしております。

次回は
賢者の石編 終幕
次回もお楽しみに






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