まず、第一発見者を疑え
次に、王道を疑え
最後に、ありえない者を疑え
だが、罪を問うのは証拠が出てからだ。
ピクシー戦線からあっという間に日が過ぎてゆき、間も無く10月が迫ろうとしていた休日。
そんな安息の休日の早朝。
いつもの朝練を終え、今日は何をして過ごそうかと思案していた刀原は、向かいからやって来た赤い集団*1に拉致られた。
そしてある人の説得を受けていた。
とは言っても刀原は頑として受け付けない。
刀原と共にいるハリーは、心底申し訳ないと言った顔だった。
「ショウ!是非ともクィディッチチームに入ってくれないか?ハリーに聞けば身体能力が高いって聞いた。良い選手になれるだろう。それに日本のチームは優秀だからね」
そう言うのはオリバー・ウッド。
クィディッチチームのキャプテンだ。
彼の目的は二つ。
一、身体能力が高い刀原なら良い選手になれる、その為戦力強化に繋がる。
ニ、刀原が握っているであろう日本のクィディッチチームの戦術や運用方法が欲しい。
だが。
「嫌だ、無理だ」
ウッドの説得など意にも返さない刀原。
何故と聞くウッドに、刀原は説明する。
「確かに日本のトヨハシテングは良いチームなのだろうし、マホウトコロでもクィディッチは盛んだった。だけど俺は日本ではクィディッチをやって無いし、箒もろくに乗ってない。戦術など知らないし、技術も無い。諦めてくれウッド」
大体自分用の箒を持ってないし、と刀原が言えばウッドも押し黙るほかかなかった。
そんな感じで競技場へ向かう途中、スリザリンチームと遭遇する。
グリフィンドールの寮監であるマクゴナガルは大のクィディッチ好きで有名で、去年ハリーの負傷により優勝杯を逃した事を悔やんでいた。
そして去年優勝したスリザリンの寮監であるスネイプは絶対優勝杯死守の意向らしい。
スリザリンチームのキャプテン、マーカス・フリントの手にある許可証*2が良い証拠になっていた。
そして彼らには恐るべきスポンサーもいた。
スリザリンチームが揃いで持っているのはニンバス2001と言う性能が良い箒らしく、新しいシーカーに着任したマルフォイは鼻高々に…。
「どうだ、僕の父上がチーム全員に買ってくれたんだ。このニンバス2001を。グリフィンドールも資金集めして買ったらどうだ?君たちの箒は……」
言い終わる前に、クィディッチチームの諸場争いに興味がない刀原が、ひょこっと顔と口を出す。
「おはよう、マルフォイ…お前、そんな事言ったら、金でシーカーの地位を買ったみたいな感じじゃないか…それで良いのか?」
「ショウ…なんでいるんだ?君はクィディッチには興味無さげだったが…」
「ああ、ウッド…グリフィンドールチームのキャプテンに拉致られた」
「それは…大変だな」
マルフォイは若干面食らったような顔をしたが、刀原のウッドを親指で指しながらの説明に納得し、同情する様な顔をした。
だが、直ぐに真面目な顔に戻す。
「んんっ、ともかくだ。ポッターのニンバス2000よりも、僕達のニンバス2001の性能の方が格段にいい。何せ最新型だからね。それにグリフィンドールのクイーンスイープなんかと比べれば……」
「いつものマルフォイに戻ったな」
マルフォイがグリフィンドールを馬鹿にしようとご高説を言う。
刀原はそんなマルフォイを放置し、ぼそっと言う。
「「ショウ、いつからマルフォイなんかと交友を結んでるんだ?」」
先程までのやり取りを聞いていたフレッド・ジョージの双子はそう聞いてくる。
「なんかって…あいつ、あんな高飛車な言い方してるが、根はいい奴だぞ?仲間思いだし、貴族らしくあろうとやり過ぎて、素直じゃなくなってるだけだろうね」
マルフォイを見ていると、虚勢を張っているだけだろうって分かる、と刀原は言う。
「「見たって分かんないよ」」
刀原の思いは通じず、双子は否を言う。
そんな会話をしている間にもマルフォイの話は続く。
「…持っている箒を慈善事業の競売にかければ、博物館が買い入れるだろうさ」
「そんな大層な箒がなくたって、グリフィンドールは負けたりしないわ!こっちの選手は、純粋に才能で選手になったのよ」
スリザリンチームが爆笑する中、ハーマイオニーがきっぱりと反論する。
「応えなきゃならんな?ウッド?」
刀原は横にいたウッドを小突きながら言う。
「勿論だ。ハーマイオニーの期待に応える為にも、僕達は勝つ」
ウッドが握り拳を作った時だ。
「だ、誰もお前の意見なんか求めてない。この…『穢れた血』め!」
「な」
「よくもそんなことを!」
「マルフォイ思い知れ!」
「ちょい待て」
双子のウィーズリー兄弟が飛び掛かろうとするが、刀原が阻止する。
「ショウ、止めるな!」
「なんで邪魔するんだ!」
「暴力沙汰になったらクィディッチなんか出来無くなる!ここは耐えて、試合でぶつけろ」
試合なら事故となるだろ?
刀原がそう耳打ちすれば双子は納得する。
だがロンが呪文を出す為、杖を出すのは止められない。
「あ、待てロン。その杖で呪いなんかやったら…」
「ナメクジ食らえ!うわっ!?」
「遅かったか…」
カンカンになったロンが呪いを掛けるも、刀原の懸念通りに自爆し、口からナメクジを吐き始めた。
「ロン!」
「大丈夫?」
吹き飛ばされたロンの元にハリー達が駆けつける。
スリザリンチームが笑う中、同じくニヤニヤしていたマルフォイに刀原が近づく。
「な、なんだショウ?」
「いや…なんだ、痛い所を突かれたからと言って
「な、なんだと!あまり調子に乗るなよショウ!」
刀原の言葉にマルフォイはたじろぐ。
「それと、これは日本の友人の師匠からの受け売りだがな…あまり強い言葉は使わない方が良い。弱く見えるからな」
マルフォイの威嚇など意にも返さず刀原は警告する。
「ショウ!ロンをハグリッドの所に連れてかなきゃ。手伝って!」
「ああ、直ぐ行く!」
ハリーの救援要請が聞こえ、刀原は返事をする。
「さて、じゃあ最後に…お前も友人だとは思っているが、あんまり俺の友達を侮辱すんなよ?ドラコ・マルフォイ?」
そう言って刀原は少しだけ霊圧をぶつける。
「ッ!わ、悪かった…」
「分かればよろしい、以後気をつけてな」
刀原はマルフォイが絞り出した謝罪を聞き、ニッコリとしながら受け入れ、ハリーの元へ向かった。
「全部出しちまえ」
一番近いハグリッドを頼った答えがこれだった。
ハグリッドはそういうと、洗面器を差し出す。
「うぇ」ボトッ
ロンは苦しみながらナメクジを洗面器に吐く。
自爆した都合上、呪文がどの様な効力を及ぼしているか不明瞭な為、自然に収まるのを待つしか無い。
「んで?誰を呪おうとしたんだ?」
「マルフォイだよ。意味は分からなかったんだけど、ロンやフレッド、ジョージ達が怒ってた…」
ハグリッドの問いにハリーが答える。
「穢れた血……だそうだ。噂には聞いていたが、本当だったんだな」
ハリーの答えに刀原が補足する。
「そんなこと、本当に言ったのか!」
「どう言う意味なの?」
「私も分からなかったの」
「ハリー、ハーマイオニー…確かに本には載ってない事だし、載らんでええ事だ。本当は知らなくても言いんだが……」
ハリーとハーマイオニーの質問にハグリッドはお茶を濁す。
「要するにマグル生まれに対する呼び方の、最低の汚らわしい言葉だそうだ。場合によっては、半純血にも使われるらしい。多分俺たち日本人をジャップって呼ぶことと同意義だな」
刀原の答えにハグリッドも頷く。
「ショウの言う通りだ。それは最低最悪の、侮辱的な言葉だ。魔法使いの中にはな、マルフォイ一族みたいに純血だってことが、彼らより偉いって思ってる連中がいるんだ」
刀原はあくまで知識として知っていた為、ハグリッドの言葉で更に使用が忌みされている言葉だと理解する。
「日本には無いの?」
ハリーが日本にはあるのかと聞いてくる。
「少なくとも、聞いた事はない。日本は魔法族が少なくて、覚醒魔法族…
「え、そうなの?」
「てっきり純血かと思ってたわ」
「まあ、死神の純血と鬼人の純血だな。刀原家は純血の死神の家系。母方は鬼人族の名門、鈴鹿家だな」
ハリー達は刀原を純血だと思っていたらしい。
「鬼…」
「それってジャパニーズクリーチャーの…」
しかもマグル出身である為、日本の一般的な鬼のイメージを想像している。
「なんの話だ?」
「?」
ハグリッドやロンは分からないらしい。
「ああ、日本魔法界にいる鬼は見た目、完璧に人間だぞ。前髪上げたら、ちょっと角が生えてる感じ。俺は刀原家の血が濃いから角無いし、霊圧がより多くなって、本気になったら白髪になっちゃうくらいだって」
刀原が説明するも反応は薄い。
「…人、食べない?」
ハリーが聞いてくる。
「食べねぇよ…」
刀原が項垂れながら言えば漸く信じてくれた。
刀原の血筋はさておき、ハーマイオニーは目に見えて落ち込む。
「俺たちのハーマイオニーを見ろ…成績だってショウと並んでトップだろうが」
「しかも俺は数年先を行っているのにだ*3」
「そうだよ、それに今までどれだけハーマイオニーの知恵に頼ってきたか!ハーマイオニーがいなかったら去年、僕たち死んでるよ」
「ハーマイオニーがいなきゃ、間違い無く今頃蔓に絞め殺されてるよ」
刀原達四人からの賛辞に、ハーマイオニーは嬉しそうに頬を紅潮させた。
「それにしても…マルフォイに呪いをかけると面倒そうだからな。ある意味失敗してよかったのかも」
「確かにやっこさんの親、ルシウス・マルフォイが学校に乗り込んできおったかもな」
息子にあんな高そうな箒をチーム分買うのだ。
モンペなのは言うまでもなかろう。
「マルフォイ…折角見直したのに…ガッカリだ」
ピクシー戦線以降、ハリーとマルフォイとの仁義なき戦いは一定の膠着状態となっていた。
「まあ確かに、言って良い事と悪いことがあるのは事実だな。だがハリー、擁護するつもりは無いが、あいつもバツが悪そうにはしていた。咄嗟に出てしまった言葉って感じかな?最後に悪かったと言っていたしな」
「だとしてもだよ」
「そうだなぁ」
刀原の言葉に、そうだとしても許せないとハリーとハグリッドが言う。
まあ確かにな、と刀原も返す。
刀原にも貴族の知り合いがいるが、彼らは貴族のプライドにかけて、そんな事は言わない。
だが日本にも選民思想でやたら血の優劣をつけたがる馬鹿げた貴族はいた。
反乱とそれの鎮圧によってほぼ壊滅したが。
「まあ、あいつもまだ子供って事だ」
刀原がそう言ったら「おまえさんも子供だ」とハグリッドに言い返された。
10月に突入しクィディッチシーズンと、寒さと、ハロウィンが迫ったある日。
廊下で刀原がハリーに話しかけられる。
「絶命日?」
「そう、次のハロウィンで殆ど首なしニックが五百回目の絶命日らしくてね。それで、地下牢でやるパーティーに誘われたんだ…」
刀原の問いにそう答えたハリー。
曰く、グリフィンドール付きのゴースト、殆ど首なしニックことサー・ニコラスが、今年で五百回目となる命日にパーティーを開催するとの事。
ハリー達三人はそのパーティーに参加すると決め、刀原もどうだい?と言われているのだ。
「うーん、五百回忌という単語には興味があるけど…」
「ショウ、避けられてるもんね…」
そう、刀原はゴースト達から避けられていた。
ーーーーーー
刀原とゴーストとの話は去年の入学時まで遡る。
刀原がホグワーツに来た日のこと。
ハリー達新入生を迎え入れようと、颯爽と登場したゴースト達は全員ぎこちなかった。
殆ど首なしニック以外は次第に軽快となったが、彼は終盤までぎこちないなさが取れなかった。
見かねたパーシーがどうしたんだ?と尋ねた。
「そ、その、日本の少年が持つ剣が、怖いのです」
殆ど首なしニックはこう答えた。
ーーーーーー
彼らゴースト達曰く。
斬魄刀とそれを使う刀原はまさに黄泉への案内人の様な感じらしく、いつ斬られ、冥界へ連れて逝かれるのか不安で不安でしょうががない。
とのこと。
現にピーブズは今も接触して来ないし、ゴーストも積極的には来ない。
確かに、斬魄刀には虚や亡霊を払う力がある。
おそらくで試したことは無いが、ホグワーツのゴースト達にも有効なのだろう。
彼らにとって刀原は文字通り、死神の鎌を持った死神*4なのだそうだ。
かくして刀原はビンズ*5以外のゴーストから恐れられ怖がられているのだ。
そんな刀原が絶命日パーティーにゲスト参加した場合、会場はパニック決定だ。
去年のトロールパニックに匹敵するかも。
「…辞めとくよ。代わりにパンプキンディナーをネビルと一緒に確保してやる」
去年、トロールパニックを終えたハーマイオニーはゴタゴタの中でもネビルがしっかり死守したパンプキンディナーを食べている。
「あっちでもご飯出るんじゃ?」
ハリーは大丈夫だろうとタカを括るが…
「甘いな。良いかハリー?ゴースト達のパーティーだぞ。ゴーストが食える物、用意するわけ無いだろ」
刀原の指摘に納得したのだろう。
「確保お願い」
とハリーは言った。
「任せろ」
刀原はニッコリ笑う。
そんな様子を見たハリーは安堵し、話題を変える。
「…そう言えばショウ。この前の夜、なんか、声、聞こえなかった?ロックハートもロンも聞こえなかったって言ったんだ」
ハリーはロックハートとの罰則の最中に掠れるような声が聞こえたと話す。
「声?いや…聞こえなかったな」
「そっか、やっぱり気のせいなのかなぁ」
刀原が分からないと答えれば、ハリーは自分の気のせいなのかと首を傾げる。
それは刀原も同様だった。
うーん、何かの合図か。
よからぬ事の始まりか。
刀原の頭にドビーの警告がよぎるが、とりあえず置いておいた。
置いておいてしまった。
来るハロウィン。
ハリー達はニックの絶命日パーティーで不在だが、ネビルやシェーマスといった寮の面々と共に、刀原はパンプキンディナーを楽しんだ。
ハリー達の事情は寮の皆に説明して彼らの分も確保し、去年食べ損ねたカボチャプリンまできっちり平らげれば、ディナーも終了となり、当然ながら去年の様な事件は起きなかった。
筈だった。
事件は既に起きていたのだ。
管理人フィルチの猫であるミセス・ノリスが石となって発見されたのだ。
しかも第一発見者は、ハリー達ときた。
事件現場の廊下には一面に水が広がっており、壁には血文字が書かれていた。
『秘密の部屋は開かれた。継承者の敵よ気をつけよ』
居合わせたマルフォイが叫ぶ。
「継承者の敵よ、気をつけよ!次はお前たちの番だぞ、マグル生まれ!」
期せずしてマルフォイと同タイミングで現場に来ていた刀原は、直ぐに吊るされている猫を確保する。
フィルチは自分の飼い猫が、死んでいるかも知れないことになっている事に激しく取り乱す。
「石になってる…だが死んではいない。多分大丈夫だと思うが…」
「ほ、本当か!死んではいないんだな!?」
刀原の言葉にフィルチが聞いてくる。
「ええ、確固たる確証は無いですが…」
どうぞ、と刀原が猫を渡せばフィルチは労るように抱きしめ涙を流す。
ちょうどその時、ダンブルドアが各教授陣を引き連れて、大勢の生徒の波を掻き分けてやって来る。
ダンブルドアは猫、フィルチ、刀原、ハリー達、最後に壁の文字の順に見て頷いた。
「ふむ…アーガス、一緒に来なさい…トーハラ君とポッター君達も、共にな…」
「ならば私の部屋が一番近いですから、そこへ行きましょう」
そう言ったのはロックハート。
群がる生徒たちの波は再びモーゼの如く割れ、一行はロックハートの部屋に向かった。
「トーハラは…うちの猫が、どうやら石になったようだと…。だが、死んではいないらしいとも…」
ロックハートの部屋に着き、フィルチが半泣きになりながら部屋にある机に猫を置いて言う。
ダンブルドア達がフィルチにそう言われチラリと見れば、刀原は杖を右手に持ちながら猫を解析していたところだった。
「トーハラ君、どうじゃ?」
「うーん…まず、やはり微かに生命反応が感じれますから、死んだ訳ではありませんね。おそらく…生きたまま石になり今は仮死状態、といったところでしょうか?」
ダンブルドアがそう聞けば、刀原は苦い顔をしながらそう解析結果を言う。
「あと回道をかけてますが、効いている様子も無いです。まあ…僕の技術が未熟*6だと言われたらそれまでですが…」
「いや、我らは使う事すら出来ぬ術じゃ。文句など付ける事すら出来ぬよ」
刀原が付け足せばダンブルドアはそうフォローし、フム、と言って猫の様子を刀原と一緒に調べ始める。
「トーハラ君の言うとおりらしいの…。アーガス、やはり猫は死んではおらんよ。石になっただけじゃ」
ダンブルドアがそう告げると、フィルチは安堵したのか近くの椅子に崩れ落ちた。
「そういえばダンブルドア校長…薬草学のスプラウト教授が、マンドレイクを育てていました。あれは確か…石になったものをもとに戻す効果があるとか。それで元に戻すことが出来るのでは?」
ハッフルパフの寮監、スプラウト教授は薬草学の教授だ。
彼女の授業においてマンドレイクの植え替えをやったのは刀原達二学年生なのだ。
「うむ、ミスタートーハラの言う通り、マンドレイクならば問題なかろう。魔法薬の先生たる我輩が作ろう」
チラッとロックハートの方を見ながらそう答えたのはスネイプだった。
スネイプもロックハートが英雄などでは無い事を見抜いているらしい。
なお、そのロックハートは自分の本と、正規の教科書と思しき本を両手に四苦八苦しながら授業を行っている。*7
やったのは自分では無いとは言え、彼の本は参考本になり得たのだった。
「ならば何故、私のミセス・ノリスは石に…」
治せると聞いて一安心した被害者…被害猫の飼い主、フィルチがそう言う。
「すまんがの…何故こうなったのか、わしには分からんのじゃ。トーハラ君の意見は?」
「そう、ですね…まず鬼道ではありません。考えられるのは縛道ですが…縛道の一から九十九まで、このような効果の縛道は無かった筈です。というか霊圧の痕跡がありません。無論、あとで鬼道衆総帥で大鬼道長の握菱鉄裁殿に一筆書きますが、答えは同じかと…」
刀原は日本で最高クラスの鬼道使いで、知り合いの握菱鉄裁に意見を聞くと言う。
「ミスタートーハラ。確か、日本にはオンミョージという方もいたはず…彼らはどうですか?」
刀原の言葉に考え込む一同だったが、ここで沈黙を貫いていたロックハートが口を開く。
「!ああ、陰陽師ですか…」
刀原は一瞬目を見開くが直ぐに考え込む。
「どうなのですか、ミスタートーハラ?」
マクゴナガルも半分驚きながら刀原に聞いてくる。
「確かに、陰陽道とその使い手たる陰陽師の可能性が無いとは言い切れません…。彼らは呪いのプロですから…」
刀原はかつて、両親の呪いを解く為日本陰陽道*8の最高峰、土御門家に接触し実際に治癒の為に来てもらった事まである。*9
その時ちゃっかり土御門家当主に、マホウトコロではやらない陰陽道を教えて貰ったのは内緒だ。
「ですがそもそも陰陽師の数は少ないうえ、これほどのものとなると日本では三人ぐらいしか思いつかないです」
「そんなに使い手が限られますか…」
刀原の言葉にマクゴナガルが反応する。
「では、彼らということは無いのですかな?」
「スネイプ教授の指摘は最もですが…正直、日本防衛の要の一つでもある彼らが日本を離れるとは考えにくいです。第一に動機が無い。当然、陰陽道はそこら辺の人が使える術でも無いですし、術印や札といった痕跡も無さげです。陰陽師の可能性は極めて低いかと」
スネイプの問いに刀原が答える。
「ふむ、あり得んとは思っていたが違うようじゃな。やはり……」
教授達と刀原のやり取りを見て、ダンブルドアが熟考する。
「ダンブルドア校長?」
考え込むダンブルドアに刀原が聞く。
「いや、なんでも無い。さて、ポッター君達…。君たちは何か見たかの?」
刀原にそう言って、ダンブルドアはハリー達を見た。
ハリー達は顔を見合わせ、説明を始めた。
ハロウィンに居なかった理由…首無しニックの絶命日パーティーに参加していたこと。
何やら声が聞こえた事。
その声を追ったら事件現場だった事。
怪しさがあるとはいえ、相変わらずハリーを目の敵にするスネイプが疑うも…。
「西洋魔法のプロ、ダンブルドア校長が分からないと言い、僕が極東魔法でも無理といった以上、ハリーが実行するのは不可能では?」
と刀原が反論し…。
「疑わしきは罰せずじゃよセブルス」
とダンブルドアも擁護したため、ハリー達は放免となった。
「どうせ寮でハロウィンの続きをやっているだろうし、帰ってよろしい」
そう言ってハリー達はダンブルドアに帰された。
だが。
「ああ、トーハラ君は残ってくれまいか?」
刀原は残ることになったのだった。
ーーーーーーーー
各教授達は警戒のために巡回することとなり、俺はダンブルドア校長と共に校長室へ移動した。
「ダンブルドア校長、犯人に心当たりありますね?」
「流石じゃのう、わしが熟考しておったからかの?」
探りを入れれば、ダンブルドア校長はにこやかにわらいながらそう言う。
「それで心当たりとは?」
「なんじゃと思う?」
質問を質問で返しやがった。
出された紅茶を片手に考える。
現場の文字。
「…秘密の部屋は開かれた。継承者の敵は気をつけよ……。なるほど、秘密の部屋を開けた者、ですか…」
「素晴らしい、わしもそう思う」
秘密の部屋ねぇ。
「質問しても?」
「何なりと。分かる範囲じゃがな」
よし。
「秘密の部屋とは?」
「ホグワーツの創設者の一人、サラザール·スリザリンがこのホグワーツの何処かに作ったとされる部屋じゃ」
スリザリンが対敵対者用に作った部屋か。
「何がその部屋にはありますか?」
「スリザリンの敵を排除する怪物がいるそうじゃ」
怪物…怪しいな。
「怪物の正体は?」
「すまん、それは分からん」
まあ、だろうな。
「過去に開けられましたか?」
秘密なんだろ?
開けられたとは思えんが。
「うむ、開けられた。犯人も分かっておる」
「hai?」
はい?
過去に、開けられたぁ!?
しかも、犯人が分かってるだってぇ!?
「mazikayo、hannninn、soituzyann」
(マジかよ、犯人、そいつじゃん)
「ショウ、英語で喋っておくれ…」
「あ、すみません。つい思わず」
「そいつが今回の犯人なんじゃ…」
「わしは冤罪だと思っておるのじゃ」
冤罪ねぇ。
「ちなみに誰ですか?」
「誰じゃと思う?」
また返してきやがった。
英国にホグワーツ以外の知り合い、いねぇな。
「まさかホグワーツ関係者とか言いませんよね」
笑いながら言う。
ないない。
あるわけ無い。
「そのまさかじゃ」
「ファ?」
今なんつった?
「プ、プリーズ リピート」
「片言になっておるぞ…?今一度言おう、前回開けた者はホグワーツにおる」
何やってんのこの人?
聞き間違いじゃなかったのか…。
「何年前ですか?」
「約五十年前じゃな」
五十年前ねぇ。
年齢的に考えると…。
あれ?
そういや、あの人ホグワーツを卒業してないって言わなかったか?
「まさか、ハグリッド…」
「そうじゃ」
なるほど……。
うん、冤罪だな。
ありえん。
「問題は三つ。一つ、誰が開けたのか。二つ、どうやって開けたのか。三つ、怪物の正体は何か。ですね」
「誰が襲われるのかは、良いのかの?」
「スリザリンの敵対者。つまりマグル、或いはマグル生まれ。気になる点は、何故まず猫を狙ったのか、ですが…」
「思い当たる点でも、あるのかの?」
「日頃から巡回している影響で地理を把握し、管理人フィルチさんの目と言っても良い。要するに、敵は索敵役を潰したかった。だと思います」
怪しげなものを見れば、即フィルチに報告する猫。
実に優秀な索敵役だ。
「成る程の、索敵役か…確かにそう言われて見ればそうじゃの」
「あと、怪物に関しては蛇の可能性大では?」
「スリザリンのシンボルかの?」
各寮にはシンボルとなる動物があり、スリザリンの蛇だ。
「ええ、むしろそれ以外ないと思いますが」
「確かにの…よし、調べてみよう」
「あと、校長が持ってる五十年前の資料を見たいです。ハグリッドがやらかした事、その時の怪物の正体、被害者。そして、解決した人と怪しかった人」
まず見ないと分からん。
「分かった、あとで見せよう」
「お願いします」
対策はここで一旦止めとなり、今日は解散する事になった。
ーーーーーーーー
「しかし、また君の師匠達にこってり絞られることになるのう…」
ダンブルドアはそう言って深くため息を吐く。
刀原の予想通り、昨年の一件でダンブルドアは元柳斎らに絞られたらしい。
目に見えて元気を失うダンブルドア。
ドンマイ…。
今回のダンブルドアは無罪だと師匠達に言おう。
刀原はそう心に決め、寮に戻った。
主人公の推理力が有れば、仮想敵は簡単に分かってしまう。
と思いたい。
犯人からすれば、真っ先に倒す相手ですね。
寮の確執?知ったことでは無い!
そんな主人公と友好関係を結び、穢れた発言で睨まれた為、マルフォイは穢れた発言はしないでしょう。
感想、考察、意見、指摘ありがとうございます。
そしてお待ちしてます。
では次回は
ホーミングブラッジャー ポリジュース薬
次回も楽しみに