ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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戦闘は泥臭い物だ。
決闘の作法などは余裕がある者がする。

だが最低限の礼儀はすべきだ。
お辞儀をし、名乗りをあげよ。





死神、決闘クラブに参戦する。

パパラッチコリンが石となってしまった件は瞬く間にホグワーツ中に知れ渡り、生徒は恐怖に包まれた。

何しろ今まで被害が猫だったのに対し、遂に人が被害にあったのだ。

 

誰もが他人事ではいられなくなったのだ。

 

そして犯人が秘密の部屋を開けた事も確実となり、継承者の敵、つまりマグル生まれの生徒達の恐怖は特別だった。

一年生は特に怖がり、ロン曰くジニーも様子がおかしくなっていると言うことだった。

 

そして生徒の間で大流行したものがある。

いわゆる継承者に対する対策グッズだ。

 

かく言う刀原にもフレッドとジョージの双子からジャパニーズ的な物として、お札やら御守りやらの作成依頼がやってきた*1

 

そんな中ハリー達三人が作成しているポリジュース薬の作成は刀原が取り寄せた魔法薬の材料もあって順調だった。

 

完成はクリスマス頃の予定との事。

 

そして調合中も四人で話し合いをする。

ハリーやロンは刀原が何故ダンブルドアと一緒にいたのか聞いて来たが、お茶会に呼ばれていただけだと言えば納得した。

 

 

 

そんなクリスマスも迫るある日。

人だかりが出来た玄関ホールの掲示板に張り紙があった。

 

「決闘クラブを始めるんだって!今夜だ!」

 

そう興奮したように言ったのはロン。

他の生徒達の殆どが興味津々らしい。

 

「決闘クラブねぇ?」

 

刀原は考え込むように言う。

 

「ショウは興味無いの?真っ先に参加しそうだけど?」

 

そんな刀原を見てハリーが聞いてくる。

 

「…俺ってそんなに好戦的な人だと思われてる?ちと心外なんだが、それは…」

 

「ごめん、ごめん。そんなこと無いよ」

 

刀原は少し項垂れ、ハリーはフォローする。

 

「…まあ、いいや。とりあえず教える係がロックハートじゃないことを祈るだけだ」

 

まともな事にならんからな、と刀原は言い放てば、ハリーも頷いた。

 

 

 

「mazika…」(マジか)

 

刀原は決闘クラブに来たことを若干後悔した。

少なくとも日本語を出すくらいには。

 

会場となった大広間に行くと寮の長テーブルは端に寄せられ、中央に縦に長い舞台のようなものがあった。

中には大勢の生徒達。

 

「やあやあ皆さん、 ようこそ決闘クラブへ!」

 

そんな中、マントを羽織り大仰にお辞儀をして登場したロックハートに、未だ目が覚めないファンの女の子達は黄色い声を上げる。

だがそれは全体の一、二割ほどであり大半はうんざりした様子だった。

 

「では早速、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう!」

 

ロックハートもそうだろうが、生徒達の嫌われ者の一人とされるスネイプがロックハートの横に立っていたことも原因の一つだろう。

 

最近は真面目にやっているが、演劇口調が抜けずに一々大仰に自分語りをするロックハート。

言わずと知れたスリザリン贔屓で特にグリフィンドールを敵視するスネイプ。

 

まさに嫌われている教授の二大巨頭見参と言った感じだ。

 

刀原はロックハートの英雄譚の真実(彼がポンコツだと言うこと)を知っている分、よくもまあノコノコとこの場に来れたな、と半ば感心していた*2

そしてよくスネイプは了承したなとも思っていた。

 

「スネイプ先生は決闘についてご存じだそうで。模範演技のために、勇敢にもお手伝いを名乗り出てくださりました。ああ、ご心配なく、終わった後でもみなさんの魔法薬の先生はちゃんと存在しますよ!」

 

とロックハートは高らかに言う。

 

スネイプそれを受け苦虫を噛み潰したような表情になる。

おそらく確実に激怒しているようだが、鋼の精神で堪えているらしい。

 

「お前が消されないといいな?」

 

と刀原が吐き捨てる

 

「どっちもやられちゃえばいいと思う」

 

とはロンの言葉だ。

 

「そうだね」

 

とハリーが同意する。

 

 

そして始まった模範演技。

杖を構えてから、3つ数えたら術をかける、というロックハートの説明があった。

互いに殺す気はないと言い張っているが、スネイプの方はそうでもない。

寧ろ、校長からの指示が無ければ屍にする気満々だと、刀原は推察した。

 

「では行きますよ。1…2…3!(ワン…ツー…スリー! )

 

「『エクスペリアームズ!(武器よ去れ!)』」

 

スネイプの『武装解除』が炸裂し、ロックハートが吹き飛ぶ。

直後スリザリン生から歓声があがり、ロックハートを快く思わない他の寮の生徒からも歓声が上がった。

 

「皆さん分かりましたか?あれが『武装解除呪文』です。この通り、私は杖を失ったわけです。あの術を生徒に最初に見せようとしたのは、素晴らしいお考えだと思いますよ。スネイプ先生、お見事です」

 

上から目線が抜けていないが、今までならさらに余計なことを言っていた可能性は高い。

刀原はそう思った。

 

だがしかし、スネイプには当然ながら尺に触り、ロックハートに向けて殺気を出す。

そしてその殺気が、彼の厚いバリアを貫通してようやく到達したようで…。

 

「それではスネイプ先生、生徒を2人ずつ組にします。お手伝い願えますか…」

 

ロックハートはいそいそと生徒達を組にし始めた。

 

 

 

 

「杖を構えて!私が三つ数えたら、相手の武器を取り上げる術をかけなさい…取り上げるだけですよ!では、1…2…3!」

 

ハリーがマルフォイと組んだ事で、俺はクラッブとゴイルの二人を纏めて相手取ることになったのだが…

 

「やれやれ…『エクスペリアームズ!(武器よ去れ!)』」

 

たっぷり三まで待ったにも関わず、クラッブとゴイルはモゴモゴ言っていた。

最も、彼らに遅れを取るような鍛錬をしている筈もない。

きっちり吹っ飛ばした。

 

だがその他の生徒達の惨状は凄まじかった。

 

まずはハリーとマルフォイ。

どうやら武装解除以外の術を使っていたようで、スネイプに止められていた。

だが当の本人達はお互いに、中々やるな、的な雰囲気を出していた。

 

ハーマイオニーは対戦したミリセント・ブルストロードとキャットファイトと言うべき取っ組み合いの大喧嘩。

 

ロンの杖はやはり暴発して、対戦したシェーマスにひどい貧血を起こしていた。

 

他にも煙が出たり、異臭が出たり。

まさに死屍累々の大広間。

 

スネイプ教授が煙を消したりして対処していたり、ロックハートがあわあわしているうちに、何とか事態は収まった。

 

「さて、数組ほど誰か進んで模範演技をしてくれる組は居ますか?」

 

ロックハートは次に、生徒同士でやって貰いましょうと代表者を募った。

 

しかし、誰も名乗り出ない。

よし。

 

「スネイプ教授。不肖ですが僕ならば手本となれると思うのですが、如何ですかな?」

 

俺が名乗り出れば、ハリーやハーマイオニーも驚いていた。

 

「…よかろう。来たまえ、トーハラ」

 

スネイプ教授は一瞬考えた後、受け入れた。

 

よしよし。

 

スネイプ教授の許可も得た為ジャンプして、先ほどスネイプ教授とロックハートが模範演技した舞台に行く。

 

舞台に降り立ったはいいが、おそらく誰も俺とやりたがらない筈だ。

 

ハリー、ハーマイオニー、マルフォイ。

実際に誰しもが顔をプイッと横に向く。

 

スネイプ教授も周りを見回すが、大袈裟にお手上げといったように肩をすくめた。

 

「しかし困りましたな。トーハラとまともにやれる生徒はここにはいないようだ。どうですかな、ロックハート教授?お相手をして差し上げては?」

 

スネイプ教授は半ばニヤニヤしながら言う。

 

「成る程、確かに闇の魔術の防衛術の教授から、直接ご指南頂けるのは光栄ですね」

 

俺も少しニヤニヤしながら言う。

 

ロックハートは声をあげなかった。

だが顔は青かった。

 

確実に負ける。

先程スネイプに負けた醜態をなんとか誤魔化したばかりだ。

二度目は流石に苦しいだろう。

 

そんなことを思っているんだろう。

 

今、ロックハートは頭の中で状況の打開を図っているのだろう。

そして少し考えた末…。

 

「いやいや、ここはスネイプ先生に譲りますよ」

 

スネイプ教授に擦り付けることを閃いたらしい。

 

だが、それこそが俺の目的だ。

 

「…では、スネイプ教授。是非とも御指南をお願い致します」

 

ロックハートから擦り付けられ、俺は元からそのつもりだったことを悟ったのだろう。

スネイプ教授は今日一番の苦い顔をして一言、「……よかろう」と言った。

 

しかしすぐさま鋭い眼付きになり、舞台の中央に向かってくる。

 

「いいぞ、そう来なくっちゃな」

 

俺はボソッとそう呟きながら、ヤマナラシの杖を右手に持ち、中央に向かう。

 

スネイプ教授…いやスネイプは杖を顔の中心に掲げ、また下に下ろす。

そしてお辞儀をする。

いわゆる英国流ってやつか。

 

郷に来ては郷に従え、と言うが…。

 

俺は杖を掲げず、常に下げたまま「グリフィンドール生、刀原将平」と名乗りお辞儀をする。

しかしお辞儀をしながらも相手は見続ける。

 

「あれが日本のやり方か…」

 

誰かが言う。

決闘の前に名乗るのは流儀だからな。

 

さて。

 

双方いい感じの距離を取り、構える。

スネイプは杖を上から下ろすように。

 

対して俺は杖を正眼に構える。

ついでに霊圧も上げる。

さらに刀を構えたようなイメージを出す。

 

ピクリとスネイプが動く。

それじゃまずは軽い挨拶と行くか?

 

スネイプに対して霊圧と、切ったと言うイメージを叩き込む。

昔、やち姉に散々やられた技だ。

 

直後スネイプがガクンと動き、自身の右肩をなぞる。

だが右肩には何も無い。

当然、血も出てなんか無い。

 

俺はニコッと笑う。

 

なお、防がれなかったと言うことは。

実際に切れる可能性が高いらしい。

これもやち姉に教わった事だ。

 

スネイプは僅かに表情を変える。

そして…。

 

「『エクスペリアームズ!(武器よ去れ!)』」

 

睨み合いは不利と判断したのか、ロックハートに打ち込んだ時よりもスピードを上げ《武装解除呪文》を打ってくる。

 

「『プロテゴ!(守れ!)』」

 

だが追いつけるスピードだ。

《防御呪文》で防ぐ。

 

「『エクスペリアームズ!(武器よ去れ!)』」

 

「『プロテゴ!(守れ!)』」

 

だがお返しの《武装解除呪文》は防がれる。

流石だ。

 

「『インペディメンタ!(妨害せよ!)』」

「『プロテゴ!(守れ!)』」

 

妨害呪文に…

 

「『ステューピファイ!(失神せよ!)』」

「『プロテゴ!(守れ!)』」

 

失神呪文。

 

スネイプと俺との呪文の応酬は泥沼化した。

だが、そこはホグワーツの教授。

 

バシッ!

無言呪文を打ってきた。

 

バン!

ならばこちらも無言呪文で防ぐ。

 

だが、手数と練度はあちらが上だ。

 

「ちぃ!」

こっちが防戦一方になって来やがった。

つーか早ぇ。

 

攻撃が出来ねぇスピードだ。

こりゃあ本気にさせたか?

 

だったこっちも解禁だ。

出すつもりは無かったがな。

 

「両断せよ!『斬刀』」

 

鯉口を切りそのまま左手の逆手で斬魄刀の斬刀を抜き、擬似始解する。

名前の略称なので、斬魄刀の能力は使えない。

だが刃を出せば良い。

 

「よいしょっとぉ!」

 

そのまま体を回転させ、逆手で斬撃を放つ。

スネイプは一瞬戸惑ったが…

 

「『プロテゴ・マキシマ!(完全防御せよ!)』」

 

直ぐに防ぐ。

まあブラフだがね。

 

逆手から順手に持ち替え、右手に杖、左手に斬刀を持つ体勢にする。

 

ビシッ!

無言で武装解除しにかかるが。

 

バスン!

当然防がれる。

 

ビシッ!ビシッ!

直後、スネイプが猛烈な二連を打って来るが、

 

パシュン!パシュン!

と左手の斬刀で切り裂く。

 

スネイプは目を見開き、益々打ち込んで来るが…

パシュン!パシュン!パシュン!

俺の剣技に隙はない。

 

そしてジリジリと斬刀で防ぎながら接近する。

当然間を縫って《妨害呪文》や《武装解除呪文》を打ち込む。

 

スネイプも防ぎながら打ち込んで来るが、最早手数の差は無くなった。

さらに崩す為に鬼道も解禁する。

 

「破道の四『白雷』!」

 

「ッ!『プロテゴ・マキシマ!(完全防御せよ!)』」

 

白雷は惜しくも防がれるが、体勢を崩すことには成功する。

 

バシッ!バシッ!パシュン!

 

スネイプが打ち込んで来たタイミングで打ち込む。

打ち込まれた呪文は切り裂く。

 

そして俺が打った《武装解除呪文》は命中し、スネイプの杖が飛ぶ。

その隙は逃がさない。

一気に距離を詰める。

 

そしてスネイプの首元に斬刀を突きつけた。

 

「……見事…だな」

 

苦い顔をしたスネイプの敗北宣言を受け、俺は勝利した。

 

だが使うまいと思ってた斬魄刀を抜き、鬼道も使った時点で、俺はある意味敗北していた。

それは西洋魔法だけの勝負なら、スネイプ教授が優っていたと言う事だ。

 

「まだまだ鍛錬が必要だな、俺は…」

 

俺は斬魄刀を収めるながらそう思った。

 

しかし、少し疲れた。

それはスネイプ教授もらしい。

大きく肩で息をしている。

 

俺もフゥーっと息を吐き、ハリーの元へ戻る。

 

「これ以上強くなってどうするの?」

 

ハリーが聞いてくる。

やべ、声に出てたか。

 

「あと…あれって模範演技でしょう?ハイレベル過ぎて模範にならないのだけど?」

 

ハーマイオニーがおずおずと聞いてくる。

周りを見れば、ロンもマルフォイも頷いていた。

 

「や、やっちまった…」

 

二学年生に唱えてないのに出る呪文(無言呪文)をやれと?

あと斬魄刀は君しか持って無いよ?

鬼道なんか使えないよ?

 

こう言われている気がする*3

やらかしたことを、俺は悟った。

 

 

 

 

 

「では次はポッター、ウィーズリー、どうだね?」

 

刀原対スネイプの対決で出来た余韻も過ぎ、半ば空気となっていたロックハートが手を叩きながら言う。

 

「待て、ウィーズリーの杖では簡単な呪文でも惨事を起こす。ポッターを粉々にして医務室送りにしかねない」

 

刀原はスネイプの一見辛辣な言葉に激しく同意した。

先程のシェーマス然り、蛞蝓の件然り。

暴れ柳によって大破したロンの杖はセロハンテープで杖の形を留めていたが、もはや正常な動作をしなくなっていたのだ。

 

正直、危険物になっていた。

 

「代わりに…マルフォイではどうかな?」

 

そうこうしているうちに、スネイプはハリーを負かす相手としてマルフォイを選んでいた。

ここの所、マルフォイが言った穢れた血という発言以外、ハリー対マルフォイの小競り合いは無かった。

まあ、先ほど決闘の練習相手同士だったが。

 

「さっきの決着と行こうか、ポッター」

「望むところだ、マルフォイ」

 

クィディッチ戦はハリーが勝った。

さっきの練習は引き分けた。

 

「…フッ、良い好敵手の関係みたいだな」

 

このまま友人関係になってくれれば俺としても楽なんだが。

刀原はそんなことを思いながら同級生の練習を見た。

 

 

結果から言えば、ハリーとマルフォイの決闘は引き分けに終わった。

最初は二人とも武装解除呪文を使用していたが、熱くなったのだろう、次第に鼻呪い呪文や歯呪い呪文、くすぐり呪文などを使い始めた。

決闘は刀原対スネイプの時と同様に泥沼化したが、事態は簡単に動いた。

 

「『サーペンソーティア!(蛇よ出でよ!)』」

 

マルフォイが蛇を召喚したのだが、その肝心の蛇がハリーではなく周囲の生徒達を威嚇し始めたのだ。

 

「動くなポッター、マルフォイ。我輩が追い払ってやろう」

 

マルフォイ(召喚者)ハリー(対戦相手)では対処できないと判断したのだろう。

スネイプがそう言って前に出てきたが、ここで要らない仕事をしようとしたものがいた。

そう、ロックハートである。

 

「私にお任せあれ!『ヴォラーテ・アセンデリ!(蛇よ、去れ!)』」

 

珍妙な呪文を唱えたロックハートだったが、盛大な音と共に蛇を浮かせて叩きつけただけで終わった。

当然ながらなんの解決にもならず、蛇はブチギレモードになった。

 

そして蛇はシューシューと威嚇して、近くにいたジャスティン・フィンチ=フレッチリーに目掛けて襲い掛かろうとした。

するとハリーがおもむろに蛇に近づき、何やら囁き声みたいにシューシュー言いだした。

 

語りかけているようにも見えたが、傍から見れば操ったり嗾けている様にも見えた。

 

兎にも角にも蛇はジャスティンを襲うことは無く、動きも止めて大人しくなり、最終的に我に返ったのスネイプの呪文で消えた。

 

かくして決闘クラブは何とも言えない空気のまま、お開きとなった。

 

 

 

だが問題はそう簡単では無かった。

蛇を嗾けられたと解釈したジャスティンが怒って出て行き、困惑した様子のハリーもロンやハーマイオニーに引っ張られて出て行った。

 

距離があったため、三人に置いて行かれた恰好となった刀原は壇上で立っているマルフォイと話したのだが。

 

「ふうん、ハリーはパーセルマウスなのか…」

 

「まさかポッターが…」

 

マルフォイも困惑していたのだ。

 

パーセルマウスは蛇と会話することが出来るという能力、パーセルタングの持ち主のことだ。

当然ながら基本的先天性の為パーセルマウスは希少で、数は少ない。

 

そして有名なパーセルマウスはサラザール・スリザリン。

つまり、昨今話題になっている継承者がハリーだと疑われる、ということになる。

 

「マルフォイ、一応聞くが…継承者はお前か?」

「ち、違う。断じて違う。信じてくれ」

 

刀原は霊圧を出しながらマルフォイに聞くが、マルフォイは怯えながらも刀原の目を真っ直ぐに見ながら言う。

 

刀原は直感だが、嘘は言っていないと判断した。

 

「分かった。なんかあったりしたら教えてくれ。今は少しでも情報が欲しい」

「わ、分かった」

「頼んだ」

 

マルフォイにそう言うと、刀原は未だざわつきが収まらない大広間を後にして、ハリー達と合流するために移動した。

 

 

移動した先…グリフィンドールの談話室にハリー達はいた。

ロンやハーマイオニーは、パーセルマウスがどんな対象として見られているのかを理解していないハリーに説明している最中だった。

 

「パーセルマウスって日本にはいないの?」

 

英国では珍しいと言っていたハーマイオニーの言葉を聞き、ハリーは刀原に訴えるように聞くが…。

 

「分からん」

 

と刀原は答えた。

 

「良く白蛇と一緒にいた奴が後輩にいたんだが…。接点は無いし、無口な奴らしいから、其奴がパーセルマウスなのかは分からない」

 

現実は非情だった。

ハリーはがっくりと項垂れる。

 

刀原やハーマイオニーは、ハリーが継承者の恐れ有りとの疑いがかかるかもしれない、と伝えた。

そしてそれは間違いではなく、翌日からハリーは数奇な目と、疑いの目で見られるようになった。

つまり、第一発見者だという事でただでさえ微妙だったハリーの立場がさらに悪化したのだった。

 

 

ハリーの不幸は更に続く。

 

決闘クラブで悶着があったジャスティン・フィンチ・フレッチリーとゴーストの『ほとんど首無しニック』が襲われ、石にされたのだ。

 

しかもハリーは今回も第一発見者となった。

ホグワーツの生徒達は、その理論に重大な欠点があるにも関わらず、ハリーを継承者と断定したのだった。

 

 

 

 

 

奴さん(継承者)はハリーを犯人に仕立て上げるのが目的なのか?」

 

「ショウはそう思うのかね?」

 

恒例となりつつあるダンブルドアとのお茶会兼捜査会議において、刀原は疑問を投げかける。

 

「いや…そんな事しても意味がないはずです。ハリーは仮にも闇の帝王を退けたと言われている訳ですから。 しかも彼はグリフィンドール生。スリザリンの継承者とは真逆にいる者の筈…。捜査の撹乱でしょうか?」

 

「じゃとしたらお粗末じゃの」

 

「そうとしか言えませんね…」

 

うーん、と刀原は考え込む。

今日のお茶として出した日本の緑茶はダンブルドアに好評で、お茶受けの羊羹もダンブルドアは嬉しそうだった。

 

そんな暖かかった緑茶もとうに冷めても刀原は長考していた。

ダンブルドアも刀原の思考に邪魔しないようにと静かだった。

 

「50年前の事件…。犯人はハグリッド。怪物の正体はアクロマンチュラ。動機…不明。被害者…マートル・ワレン。ん?マートル?」

 

刀原は何処かで聞いた事のある名前を聞いてみれば。

 

「嘆きのマートル、彼女じゃよ」

 

ダンブルドアが嘆きのマートルだと言う。

 

「ああ、それでゴーストに…」

 

無念だろうな、そりゃ。

刀原は心の中で合掌した。

 

 

「スリザリンの部屋…スリザリン、蛇、怪物の候補は?」

 

「すまん、分からんのじゃ。石にする能力を持つ蛇はあんまりおらんらしい」

 

「石、余りいない、か……。被害者の周りは?持ち物は?猫は周囲が水浸し。コリンは周りは何も無いが、カメラを持っていた。なおカメラは壊れていた。ジャスティンは?周りは何もなく、持ち物も特になし。ゴースト…ゴーストは半透明…。統一事項は?見る。成る程な…」

 

「ショウ?何か分かったのかの?」

 

「なんとなく、ですが。怪物を見たら石になる…いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()。それが怪物の能力ですね。となると、怪物の正体は…」

 

 

「「バジリスク」」

 

「じゃの」

 

「ですね」

 

だが怪物の正体が分かっても、根本的解決にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ちゃんと断った

*2
呆れてもいた

*3
大正解である




感の良い主人公は嫌いだよ。

思ったんですが、この主人公って真っ先に狙われませんかね?
実力、推理力、真っ先に消したい奴の筈です。
作者が継承者ならそうします。

ああ、でもそうすると…おしまいですね。
小説的にも。
命的にも。


感想、考察、意見。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。

作者の都合により、更新が二週間に一回のペースになってしまいますが。
何卒ご容赦を。

では次回は
事態急変
次回も楽しみに
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