ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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自分は今

日本を代表してやって来てるってこと

忘れるな。




死神、英国入り パブと横丁

8月末。

英国へ留学をするため、刀原はロンドンに来た。

 

日本の成田国際空港から飛び立った飛行機は、ロンドン・ヒースロー空港に降り立つ。

 

流石の魔法族といえど長距離の移動には、文明の利器を使うしかないのだ。

 

英国の首都たるロンドンに着いたその足で、彼は兼ねてより貰った地図を頼りにロンドンの街中にある寂れたパブに行く。

 

見た目は黒く、潰れている様にも見えるこのパブの名は『漏れ鍋』

 

英国の魔法族が集まる場所である。

 

刀原はある人と、ここで待ち合わせをしていたのだ。

 

「お初に御目にかかります、ショウヘイ・トウハラです。呼びにくいと思うのでトーハラで大丈夫です。本日はよろしくお願いいたします」

 

「丁寧な挨拶ですね、よろしくミスター・トーハラ。日本人は礼儀正しいという話しは本当のようですね。」

 

「日本男子として当然のことです。ミネルバ・マクゴナガル教授」

 

ある人とはミネルバ・マクゴナガルのことだ。

 

ホグワーツの副校長を勤め、変身術教授、更にホグワーツにある四つの寮のうちの一つ『グリフィンドール寮』の寮監。

 

ホグワーツは極東よりやってくる留学生のエスコート役に、本来は忙しい筈の彼女を抜擢したのだった。

 

刀原の挨拶に微笑みを持って受けたマクゴナガルは、にこやかに歓迎を伝える。

 

「長旅ご苦労様です、ようこそイギリスへ。お疲れではありませんか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうですか、では早速参りましょうか。必要なものは多いですし、時間がかかります」

 

こうして二人は漏れ鍋に入るのだった。

 

 

 

 

漏れ鍋の中はいかにもパブらしく、酒を飲む客、宿泊客、なんかよく分からない客などで大賑わいだった。

 

そんな客達の話題は『生き残った男の子』の話で盛り上がっていた。

 

聞くところによると「彼が……ポッターさんが帰還したのは、実にめでたいこと」だの「私、握手出来たの」だの言っていた。

 

やはり有名人なのだな、生き残った男の子のポッター君は。

 

刀原は呑気にそう思っていた。

 

英国魔法界の英雄話をそうやって小耳に聞いていると、やがてカウンターでターバンを巻いている人物と出会う。

 

「ミスタ・トーハラ。この人はこの秋より、闇の魔術に対する防衛術を担当なさるクィレル教授です。クィレル教授、こちら日本はマホウトコロから来た留学生、ミスタートーハラです」

 

そしてマクゴナガルに、クィレル教授を紹介される。

 

「トーハラです。クィレル教授、今年よりよろしくお願いいたします」

 

「ど、どうぞよろしく、ミスター・トーハラ」

 

刀原がそう言い手を差し出すと、クィレルは神経質そうに握り返した。

 

怯えすぎでは?ああ、これか。

 

刀原は、自身が腰に差している斬魄刀を見て怯えていると判断した。

 

「大丈夫ですよ、クィレル教授。やたらと抜いたりしませんよ」

 

そしてそう言うが、クィレルはあいかわらず怯えっぱなしであった。

 

「アルバニアで不幸な目にあったそうなんです」

 

マクゴナガルが小声でそう言い刀原は納得した。

 

しかし……

 

クィレル教授…なんか亡霊に取り憑かれていないか?あれが怯えの正体?

 

刀原はクィレルの後ろにいる"謎の亡霊"に気を止める。

 

「その……取り憑いてる亡霊、祓いますか?」

 

死神見習いとして虚を見ることも、斬魄刀で切り冥界へ送り祓うことも、ある程度は出来る。

 

気になった刀原は思わずそう聞くも、大きく目を見開いたクィレルはより怯えてしまう。

 

「だ、大丈夫ですよ。ミ、ミスター・トーハラ。お、お気遣い、あ、ありがとうございます。」

 

そして断られた。

 

なぜ断るんだ?まあ、確かに頼りないかもしれないし……ここでやっても迷惑か

 

刀原はそう思った。

 

「では、希望されるのであれば学校ででも行えるので」

 

そしてそう言い、先を急ぐことにした。

 

 

 

漏れ鍋のには中庭があった。

 

その中庭の一角にある煉瓦の壁に、二人は向かう。

 

「ダイアゴン横丁へ行くには必須なので、よく見て覚えて下さい。」

 

マクゴナガルはそう言うと杖を取り出し、刀原に示すようにゆっくりと煉瓦の壁を叩いた。

 

すると煉瓦は音を立てて動き、やがて煉瓦のアーチに変わる。

 

先に広がるのはごった返す魔法使い、魔法具を売る店が並んだ街並みが広がる。

 

「ようこそ、ダイアゴン横丁へ」

 

マクゴナガルの一言で、刀原はダイアゴン横丁へ踏み出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ごった返しの中暫く歩けば、中央に一際でかい建物が見えてきた。マクゴナガルはその建物を指し示した。

 

「あれがグリンゴッツ銀行です。日本魔法界のお金も振替出来ると思いますが…大丈夫ですか?」

 

「大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 

そう言ったマクゴナガルに刀原は大丈夫だと伝えた。

 

日本魔法界にも同様の銀行が存在しているため、刀原はそこで事前に両替しておいたのだ。

 

マクゴナガルは満足気に頷き、次の建物であるマダム・マルキン洋装店に刀原を連れて行く。

 

ここではホグワーツの制服一式も購入できるのだ。

 

刀原にマダム・マルキンを紹介したマクゴナガルは、採寸の邪魔になるだろうと隣の店に教科書を見に行く。

 

そしてマダム・マルキンは、流石と言える手捌きで着々と採寸を進ませた。

 

マダム曰く……どうやらここにも噂の生き残った男の子のポッター君が来たらしい。

 

大人しそうな子だったという話を聞きながら採寸は終わりを迎えるのだった。

 

採寸の合間に教科書を買って来てくれたマクゴナガルにお礼を言うと、刀原は魔法動物ペットショップを見ながら兼ねてよりの質問をした。

 

「ホグワーツにはカエル、ネコ、フクロウが許可されると聞いたのですが、隼は許可して頂けるのでしょうか?」

 

日本魔法界では公的な物はフクロウに、私的な物は隼に任せる事が多い。

 

現在では日本魔法界の西洋化に伴い、隼は少数になって来たのだが……刀原は小さい頃から隼を飼っていたのだ。

 

「そちらのやり方は伺っています。フクロウ小屋で過ごすことになり、フクロウと生活することになりますが……それでもよろしいですか?」

 

「大丈夫だと思います。ウチの子は賢いので」

 

「それならば許可が降りるでしょう」

 

どうやら大丈夫だと安心しながら、今まで買ってきた物を速やかに確認する。

 

羽ペンと羊皮紙、魔法薬学に必要な道具一式、材料一揃い、確認項目にチェックを入れていると、一つだけ買ってない物があった。

 

「杖はどうするのですか?日本にもあると聞いていましたが」

 

マクゴナガルがそう聞くと刀原は頷く。

 

確かにマホウトコロ入学と同時に西洋魔法が解禁される為、自前の杖がある。

 

モミジに朱雀の羽、二十五センチ、堅実。

 

西洋魔法や鬼道を使う際には、頼れる存在として使ってきた。

 

しかしやはり西洋魔法を使うには西洋の杖かと思い、思い切って買うことにした。

 

その旨をマクゴナガルに伝えた所、オリバンダー杖店を紹介されたのだった。

 

 

 

 

店に入ると、静かで何処となく神聖な感じがするも……少し埃っぽい店の奥から、店主のオリバンダーが「いらっしゃいませ」と言いながら現れた。

 

こんにちは、と返事をした刀原に対してオリバンダーはふと杖を出し、メジャーで刀原の腕の長さなどを測り出す。

 

そして右利きかな?と言われ、はい、と答えると再び店の奥に行き、暫くすると数箱を小脇に抱え戻って来る。

 

「杖が持ち主を選ぶのじゃ」

 

そうオリバンダーは言うが……既に何回も試しに振ってダメだった事から新しい杖は絶望的、と刀原は思い始めていた。

 

しかし、何故か何処となく喜び顔のオリバンダー。

 

「なんか嬉しそうですね?」

 

と聞くとオリバンダー曰く。

 

「今日は難しいお客様が多い、ポッターさんも難しかった。君もだ、トーハラさん。だが大丈夫、必ず見つかりますよ。」

 

とのこと。

 

噂のポッターさんも難しいかったのか…。

 

どうやらオリバンダーは、見つかりにくいと俄然やる気を出すらしい。

 

その後も長考しながら「うーむ」だの「しかし」だの、なにやら言っていたオリバンダーだったが……やがてピンと来たらしく……一本だけ持って戻ってきた。

 

「ヤマナラシに青龍のたてがみ、三十四センチ、清廉潔白。これならば……どうぞ」

 

刀原は杖を手に取った瞬間、確信した。

 

これは自分の杖だと。

 

そして軽く振れば、杖から青白い光が溢れ輝く。

 

それを見てオリバンダーは誇らしげで、マクゴナガルもほっとした表情をした。

 

「この杖の芯材は、日本の杖職人から譲り受けた物だったのです。どうやらイギリス人には青龍のたてがみは合わないらしく、この杖はずっとあったのですが……。トーハラさん、日本人のあなたなら大丈夫だと思いました。」

 

「そうでしたか……ありがとうございます。大切に使わせてもらいます。あの、もう一本の杖ですが……」

 

「そのモミジの杖は薬学や変身が得意なようだし、そのヤマナラシは戦闘に強い。使い分けると良いでしょう」

 

「そうですか、ではそれを踏まえて使い分けます。ありがとうございました」

 

かくして刀原はヤマナラシの杖を受け取り、箱の散乱を片付けたあとで杖の代金を支払い、オリバンダーの店を後にしたのだった。

 

「さて…これで必要な物は一通り揃いましたね?」

 

「はい、揃いました。マクゴナガル教授」

 

そう返事をすれば、マクゴナガルは微笑んで最後の確認をする。

 

「よろしい…ではミスター・トーハラ、再度確認です。あなたの希望で“一年生として”ホグワーツに来てもらう事になっています。ホグワーツには9月1日にキングズ・クロス駅の9と4分の3番線から出発するホグワーツ特急に乗れば行けます。当日、ホグワーツ魔法魔術学校にてお待ちしていますね。」

 

「はい、本日はありがとうございました。」

 

「こちらこそ、会う日を楽しみにしていますね。」

 

そう言うとマクゴナガルはポンッと姿をくらまし、去っていった。

 

そういえば散々噂になっていたポッター少年には会わなかったな。

 

刀原はそう思いつつ9月1日を楽しみにするのだった…。

 

 





早速の感想、修正指摘等ありがとうございます。
よく初歩的なミスをするのでありがたいです。

まだ明かせない疑問点には、答えられないのですが、出来るだけ感想には返信致しますのでよろしくお願いします。

では次回は
駅と特急です。

次回も見ていただけると嬉しいです。

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