ハリー・ポッターと日ノ本の死神   作:シオンカシン

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希望を持て
幸福を持て
仲間を持て
誇りを持て
自信を持て

抱えるすべてを持って

目にもの見せてやれ。





死神、考慮する。炎の雷と守護霊

ハリーは敗北した。

吸魂鬼に。

恐怖に。

 

 

ハリーは吸魂鬼に襲撃され約二十mほど自由落下し、その直後ハッフルパフのシーカーであるセドリック・ディゴリーがスニッチをキャッチした。

ディゴリーは意図せぬ決着に不満だったらしく再試合を要求したが、受け入れられることは無かった。

 

ハリーの不幸はそれだけでは無かった。

 

忠実な相棒であったニンバス2000が大破したのだ。

ニンバスはハリーが滑り落ちたあと完全に制御を失い、そのまま『暴れ柳』に衝突したのだ。

その結果ニンバスは残骸となり、初の敗北も相まって、ハリーは凄まじく塞ぎ込んだ。

 

 

そんな中、刀原と雀部は暫く注目の的になった。

 

刀原は一年生の時にトロールを血祭りにあげ、二年生の時にはバジリスクと対峙したという事で、何かと武勇と噂が数多くの生徒に知られてはいた。

だが刀原がノーコメントをつらぬいていたこともあって噂止まりであり、当然ながら事実かどうか怪しむ者もいたのは言うまでも無かった。

ましてや雀部は今年からホグワーツにやって来た新参者であり、二人が噂どおりの実力があるのか疑問視されていたのだ。

 

だがクィディッチの試合中の出来事であった事で、その噂が現実味を帯びた。

 

刀原は怒れるダンブルドアと共にハリーを難なく救出した。

雀部は『守護霊の呪文』を使わずに吸魂鬼の集団を、謎の雷の剣で壊滅させた。

 

注目されない訳が無かった。

 

あの魔法(鬼道)はなに?

君が持っていた雷の剣は何だい?

等々…。

 

刀原と雀部は噂好きのホグワーツ生に質問責めにあい、逃げるハメになった*1

 

 

 

「どうしてあいつら(吸魂鬼)は試合に来たのかな」

 

医務室にてハリーは悔しそうに言う。

吸魂鬼が来なければ勝算は十分にあった試合だ。

かなり悔しいはずだし、相棒(ニンバス)まで失ったのだから当然の疑問だろう。

 

「クィディッチの試合は生徒の皆を興奮させる。ディメンターにとってあの手の感情の高まりはご馳走ですごく魅力のあるやつなんだよ」

 

「兼ねてからダンブルドア校長は奴らをホグワーツに入れてきませんでした。まあ、それは生徒たちの事を思えば当然の措置なのですが……、吸魂鬼にとってはご馳走が目の前にあるのにおあずけを食らっていた様なものだったのです」

 

「そんな獲物に飢えた奴らは、試合の大興奮という魅力に抗しきれなかった。そんなところだろうな」

 

ハリーの質問に見舞いに来ていた刀原と雀部が交互に答える。

 

「アズカバンは酷い所なんでしょうね……」

 

刀原の情報を受けたハーマイオニーの呟きに「実際にそうだってパパが言ってた」とロンが言う。

 

「まあ、監獄はどれも酷いものだからしょうがないし、因果応報なのだから同情は出来ないが、ディメンターに看守をさせるのは疑問だな」

 

刀原がアズカバンの在り方に苦言をする。

 

「どうしてだい?」

 

「ディメンターは先の一件の様に、とても御し切れる存在ではありません。英国魔法省が管理下に置けているのも、おそらく()()()()()()()()()()()()()()()()という契約をしているからです。ですが、それよりもディメンター側に旨味のある契約……例えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という契約となればアズカバンを放棄する可能性は十分にあり得ます」

 

ロンの疑問に雀部が代わりに答える。

 

「雀部の言うとおり、ディメンターはそれだけ危うい存在だということだ」

 

刀原も肯定した。

 

 

「とりあえず、ハリーは次のクィディッチの試合に勝つためにも新しい箒を用意しなきゃ」

 

「そうだよ『流れ星』*2なんか使うつもりか?」

 

ハーマイオニーとロンはハリーに言う。

しかし刀原は、クィディッチの試合にまたもディメンターが現れる可能性も考慮していた。

 

 

「ショウ、ライカ。お願いがあるんだけど……。ディメンターと戦う方法を教えてくれないかな?」

 

刀原のディメンターに対する心配はハリーにも伝わっていた。

そのためハリーは、刀原と雀部にディメンターに対抗するための方法を聞き出そうとした。

 

「ロン達から聞いたんだけど、ショウとライカは汽車であいつを追い払ったって聞いたんだ」

 

「まあ、確かにそれはそうなんだが…」

 

「難しいんですよね。あの魔法…」

 

ハリーの期待した顔とは対照的に、刀原と雀部の顔色は冴えなかった。

 

刀原と雀部のディメンター対策は『守護霊の呪文』『斬魄刀』『鬼道』である。

鬼道はまだ試されていないが、斬魄刀に関しては雀部の『雷霆』が有効だったことが分かった。

だがハリーは鬼道も斬魄刀も使えない。

 

つまりハリーが習得できるのは必然的に『守護霊の呪文』となる。

 

刀原と雀部は当然ながら使えるこの呪文はかなり難易度が高く、習得にはかなりの技術がいる。

二人がその呪文を伝えるのは簡単だが、習得させるにはやはり西洋魔法に明るい人物に頼った方が良いと考えた。

 

「とりあえず、ルーピン教授にお願いしたらどうだ? なんと言っても腕のいい教師なんだからな」

 

「それがいいと思います」

 

二人はハリーにルーピンを推薦した。

 

その後、ハリーがほくほく顔で「来学期から吸魂鬼防衛術(守護霊の呪文)を教えて貰えることになった」と言った。

 

 

 

 

十一月の終わりにはクィディッチでレイブンクローがハッフルパフにペシャンコに負かされた。

ハリー達グリフィンドールチームは一試合も負けられないが、優勝争いから脱落したわけでは無かったので首の皮一枚残ったといった感じだろうか。

 

校内に吸魂鬼は影すら無かった。

ダンブルドアの怒りに加え、吸魂鬼を物理的に撃退した雀部を恐れているのだろう。

闇の魔術に対する防衛術の授業ではルーピンが欠席するようになった。

代打となったスネイプは何故か範囲ではない狼人間についての授業を行い、挙句法外な宿題を出し、クラスの思いは『早くルーピンが復帰しますように』で統一された。

なお、その法外な宿題は復帰したルーピンによって撤回されることになった。

 

学期が終わる二週間前には校庭がキラキラ光る霜柱に覆われ、ついでとばかりに城の中はクリスマスムードに満ち溢れた。

 

そして学期の最後の週末、再び残されるハリーと別れ刀原達はホグズミードに向かった。

 

十二月ともなれば当然ながらホグズミードの雪に覆われていた。

巨大なクリスマスツリーに魔法のキャンドル、扉につけられたクリスマスリース等々。

あいにくの吹雪の中ではあったが、日本では味わえない本場ヨーロッパのクリスマスムードに雀部は終始興奮気味だった。

 

一行はまずハニーデュークスに行き、そこでハリーへの土産を選ぶ事にした。

 

「これなんてどう?」

 

「随分と真っ赤なキャンディーだな?」

 

ロンが面白そうに手に取ったのは真っ赤なペロペロキャンディーだった。

 

「それって、もしかしなくても血の味がする奴では?」

 

「駄目よ。きっと吸血鬼用ね。ハリーは吸血鬼じゃないから喜ばないわ」

 

何故こんなものが置いてあるのか分からないお菓子も多い。

 

「じゃあこれは?」

 

そうロンが言いながら手に取ったお菓子『ゴキブリ・ゴソゴソ豆板』などはいい例だった。

 

「駄目だろ」

 

「絶対イヤだよ!」

 

刀原が否定すると同時に否定の意見が出る。

やけに聞きなれた声だった。

 

「ほら、()()()()()()()()()()()()、違うとこに、向かいましょうか……」

 

雀部がそう言っているが実におかしい。

彼女も言ってることがおかしいことに途中で気が付いたらしい。

 

ハリーがそう言ってる?

 

四人が振り向けば、目の前にはハリーが居た。

 

「ハリー!?」

 

「な、え、ど、どうして、どうやってここに?」

 

どうやってここに来た?

刀原は疑問に思うと同時に頭が痛くなった。

 

 

ハリー曰く、フレッド・ジョージの双子から渡された羊皮紙『忍びの地図』を使ってここに来たらしい。

 

余計なことを。

 

当の本人であるハリーとロン以外は頭を抱えた。

ハリーはどうやら、自身が英国魔法界を揺るがしている凶悪犯に狙われているということを自覚してないらしい。

 

しかし、来てしまってはしょうがない。

 

折角のクリスマスinホグズミードをハリー抜きで過ごすことに罪悪感もあった為、ハリーを強制送還することは無かった。

だが外は猛吹雪であり、ハリーは迂闊にも防寒着を持ってきていなかったため、五人は『三本の箒』に逃げ込むことにした。

 

幸いにも三本の箒は暖かく、ぐびっと飲んだ温かいバタービールは最高の一杯だった。

 

しかし、新たな来店者に一行は冷や汗をかくことになった。

やって来たのはマクゴナガル、フリットウィック、ハグリッド、そしてコーネリウス・ファッジ。

ハリーを見られたら不味い面々であるのは言うまでも無い。

 

刀原が確認して目配せすれば、意図を読んだ雀部が即座にハリーに目くらまし呪文をかける。

トドメとばかりに刀原が『曲光』をかければハリーは完璧に見えなくなった。

 

 

 

マクゴナガル達四人の話題はシリウス・ブラック関連だった。

 

まず吸魂鬼について。

 

「吸魂鬼は怒っていた…ダンブルドアに対してね。そして怯えてもいた。日本から来た少女が、日本の魔法使いが持っている刀で吸魂鬼を消し炭にしたからだ」

 

ファッジは戸惑いを隠さずに語った。

 

「ライカ・ササキべ嬢ですな。トーハラ君と常に行動している可愛らしい女の子ですが、吸魂鬼に文字通り、()()()()()様は美しかったですな」

 

フリットウィックが頷きながらそう言う。

その評価を聞いて雀部は嬉しそうだった。

 

「ミス・ササキべが出来るのでしたら、トーハラも出来ることになるのでしょうか?」

 

マクゴナガルの疑問にハグリッドは頷く。

 

「そりゃあ出来ると思いますだ。ショウの実力は知っとるつもりです」

 

ハグリッドは刀原が吸魂鬼を難なく仕留められると思っているらしい。

 

「そうなの?」とハーマイオニーが小声で聞けば「理論上はな」と刀原も返した。

 

そして話題はブラックに移る。

 

内容は日本魔法省外務部と情報捜査部が集め、刀原と雀部が英国に来る前に聞いていた内容だった。

 

ブラックがハリーの両親の親友だった事。

そしてハリーの両親を裏切った事。

追いかけてきた友も爆破した事。

 

しかし、新情報があった。

 

「小指一本だと?」

 

ファッジが漏らした言葉。

それは日本魔法省が掴めなかった詳しい情報だった。

 

ピーター・ペティグリューが爆殺され、僅かな肉片しか残らなかったのは知っていた。

だがその肉片が何なのか不明だったのだ。

 

だがファッジ曰く、残ったのは小指一本だけらしい。

 

何か引っかかる。

 

刀原は頭の中で発生したもやもやを抱えながら、呆然としているハリーをハニーデュークスまで送った。

そして机上の空論に過ぎないことも承知で推理を始めたのだった。

 

 

 

 

ついに来たクリスマス休暇。

その一日目のお昼までハリーは塞ぎ込んでいた。

両親の仇と判明したブラックについてだ。

 

ハリーを励ましに行ったロンとハーマイオニーはそこでハリーに生まれた黒い感情……復讐についての考えを聞いたらしい。

そして話題を変えるためにハグリッドの小屋に行き、お茶会などをしたとのことだった。

 

一方、刀原は雀部に新たに生まれた疑問を話した。

そして彼女の助言を受けダンブルドアと接触し、ブラックとピーターの関係と一連の流れを聞いていた。

 

つまり。

 

ポッター家が狙われていることが分かる。

ポッター夫妻の親友だったブラックが『秘密の守り人』*3になる。

しかしブラックは裏切り者で、ヴォルデモートに秘密をバラす。

ポッター家、襲撃にあう。

ところがヴォルデモートは敗北し、ブラック逃亡。

だがポッター夫妻の親友だったピーターが、ブラックを追い詰める。

そしてピーター、返り討ちに。

周囲のマグルごとピーターを爆殺、ブラック逮捕。

 

という一連の流れだ。

 

ダンブルドアは掴んでいた情報は正しいと言った。

ピーターの残骸が小指一本しか残らなかったこともだ。

 

刀原には一つの仮説が生まれようとしていた。

しかしその仮説には大きな欠陥があり、どうしても崩せないものだった。

理論上は成立するその仮説は秘中の秘とし、雀部にのみ共有されることになる。

 

 

クリスマスにはケーキ、ディナー、ツリーなども必要だが、やはり何といっても欠かせないのはプレゼントだ。

刀原と雀部の元にもかなりの量のプレゼントがやって来ていた。

 

日本からは護廷十三隊の各隊長達とマホウトコロの友人達から。

どうやら日本でも英国魔法界のお菓子は人気らしい。

イギリスからはウィーズリー夫人やハグリッド、マルフォイなんかからも来た。

無論、有難く頂戴した。

 

刀原と雀部がプレゼントを開封していると、突如、歓声が上がる。

興奮気味のハリーとロンが見せてきたのは『ファイアボルト(炎の雷)』という競技用の箒だった。

 

「確かこれ、ダイアゴン横丁でハリーが釘付けになってた箒ですね?」

 

雀部の言葉で刀原も思い出す。

ハリーはダイアゴン横丁で自由の夏を謳歌している際、夢中になって見ていたという物だと。

 

「差出人は?」

 

「分からない。カードも無かったんだ…」

 

最高級の性能を持つ最新型ともなれば金額は相当なものになる。

刀原は当然差出人が気になったが、ハリーは不明だと答える。

 

「ルーピンじゃないか?」

 

「まさか、そんなはずないわよ」

 

ロンがルーピンではないかというが可能性は低いとハーマイオニーが言う。

 

そんなハーマイオニーは何やら思案顔だった。

雀部もだった。

そして刀原も差出人不明の最高峰の箒を睨むように見ていた。

 

 

「さっきの箒……あれはシリウス・ブラックが送ってきた物じゃないかしら」

 

クリスマスディナーの前に話があるとハーマイオニーに言われ、刀原と雀部が聞いた内容はそれだった。

 

「ハーマイオニーも同じ様に考えていたか。実は俺たちもそう思っていたところだった」

 

刀原もハーマイオニーに同意見だと伝える。

 

「ブラックが未だに校内の何処かに潜伏していれば、ハリーがニンバスを失ったことが小耳に挟んでいる可能性は十分にあります。挟んでいなくてもハリーにとっては最高のクリスマスプレゼントですからね」

 

「格好の餌になる、という訳だ。何はともあれ、用心すべきだしな」

 

雀部と刀原が交互に言う。

先ほど三人が思案顔だったのは、ブラックが寄越したトラップの可能性についてだった。

 

確かにハリーはニンバスを失い、新たな相棒が欲しい所だった。

まあ、例えニンバスを失っていなくとも、乗り換えるに足る箒であることに変わりはないが。

 

「問題はあの二人よ。ハリーってばイマイチ警戒心が足りないのよね…。大人しく箒を調査させてくれるかしら?」

 

ハーマイオニーがそう言えば、三人の表情は苦い顔で統一される。

 

「無理だな」

「無理ですね」

 

「まあ、そうよね……」

 

ハリーは念願の箒を手に入れてウキウキの様だし、ロンが大人しく受け入れるとは到底思えない。

しかし、万が一があっては遅いのだ。

 

「とりあえずマクゴナガル先生に伝えてみるわ。調査だけだもの。性能が落ちるとかではないでしょう」

 

ハーマイオニーはそう言う。

 

マクゴナガル教授…ここは私用を捨ててくれるだろうか?

刀原はマクゴナガルのクィディッチ好き(狂い)を知っているため、イマイチ嫌な予感が拭えなかった。

 

 

結果から言えば、マクゴナガルはちゃんと教育者としての責務を果たした。

だがハーマイオニーとハリー、ロンの絆には溝が生まれた。

 

ハリーはハーマイオニーが善意でやった事だと分かっているようだったが、自身の身柄よりファイアボルトの性能劣化に気掛かりの様だった。

ロンはハーマイオニーにカンカンに腹を立てていた。

彼からすれば、新品のファイアボルトを分解*4することは、まさに犯罪的破壊行為だと言うことだ。

 

そして懸念通りに激おこになった二人を叩き潰したのが刀原だった。

 

「ハリー。ファイアボルトと自分の命、どっちが大切だ?」

「なあロン。ファイアボルトとハリーの命、どっちが大切だ?」

 

刀原の意見は正論中の正論なのだが、それで納得出来れば苦労はない。

 

かくして、プレゼント(最高峰の箒)が文字通りバラバラにされるハリーとロンと、最近段々と機嫌が悪くなってきたハーマイオニー*5にはさりげない冷戦構造が出来上がったのだった。

 

 

 

 

休暇も明け、授業は再開された。

 

クリスマスに体調をまたも崩したルーピンは未だ完全復帰したわけでは無さげだった。

しかしハリーに対して約束した『守護霊の呪文』についての特別授業はしっかりと行われ、第一回目だというのに中々の結果だったらしかった。

 

そんなルーピンに刀原と雀部はある一つの確信があったが、別に支障が出る事では無いとして、見逃すことにした。

 

ハリーのファイアボルトは、未だに分解検査から戻って来なかった。

ホグワーツではハリーがファイアボルトを手にしたことと、分解検査の為に泣く泣くマクゴナガルに引き渡したという噂が流れていた。

 

グリフィンドールチームのキャプテンであるウッドはそれに憤慨し、マクゴナガルに対して説得を試みたが、あえなく失敗に終わった。

マルフォイはハリーに同情すると言い「万が一の場合は僕のニンバス2001を使え」などと言ったほどだった。

 

 

そして刀原とハーマイオニーの読みは外れ、ファイアボルトには何もなかった。

マクゴナガルはハリーに返す際に激励していった。

 

「何もなかった?俺の杞憂だったみたいだったようだ…すまんかったな。何はともあれ良かったなハリー。次の試合、期待してるぞ」

 

刀原もそう言ってハリーを応援した。

 

 

ハリーはルンルンだった。

遂に帰って来たファイアボルトを試したくて、ウズウズしている様に見えた。

 

だがそのルンルン気分は数時間後、爆砕される。

 

「これ、スキャバーズの血だ!傍にあったのは何だか分かるか?」

 

「い、いいえ」

 

ファイアボルトに興奮し、一端ベットに戻ったロンが動揺した様子で談話室に戻って来る。

 

あったのは赤い血と、オレンジの毛……クルックシャンクスの毛のような物だった。

 

終わった。

 

刀原はロンとハーマイオニーの仲に決定的な亀裂が入り、修復は困難を極めるだろうと思った。

 

 

 

 

スキャバーズは死んだ。

とはロンの言葉だ。

 

だが確固たる証拠(死体)が無い以上、断言出来ないとは刀原の意見だった。

その為、ロン対ハーマイオニーの冷戦に刀原は中立を宣言した。

そしてロンにはハリーが味方になり、ハーマイオニーには雀部が味方になり、長期戦の様相になった。

 

だがクルックシャンクスがスキャバーズを()()()()()()()かなど、どうでも良いといえるイベントがやって来た。

 

グリフィンドール対レイブンクローの一戦だ。

そしてファイアボルトの御披露目でもあった。

 

試合はグリフィンドール有利で進んだ。

 

ファイアボルトはその名と値段に恥じぬ働きをした。

実況係のリー・ジョーダンはホグワーツでの宣伝大使に雇われたかのようにマクゴナガルの叱咤の声を無視してファイアボルトの素晴らしさを語っていた。

 

まさに鬼に金棒だった。

 

そしてハリーはディメンターのちゃちな仮装をしたクィディッチスリザリンチームに守護霊の術を完璧に決め、スニッチを取った。

 

グリフィンドールは沸きに沸いた。

次の試合……スリザリンとの直接対決に勝利すれば優勝の可能性が大いにあるからだ。

 

そして宴会が行われた。

 

誰も止めようとしない宴会はマクゴナガルが午前一時頃にやって来た事でお開きになった。

全員は興奮冷めやらぬままベットに入った。

 

 

そして。

 

「うあああぁぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇぇ!」

 

というロンの大絶叫で、はね起きることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
あまりバラさないでね、と止められている

*2
学校から借りれるおんぼろ箒

*3
ポッター家は『忠誠の術』という魔法で守られていた。

『秘密の守り人』は術が錠前だとすれば鍵となる人のこと

*4
調査のためだと忘れているかもしれないが

*5
刀原と雀部はその理由を知っていたが




1ガリオンが約800円。
ファイアボルトは500ガリオン。

つまりファイアボルトは約40万円。

お金がある方はいかがですか?
ダイアゴン横丁で購入出来ますよ。


感想、考察、ご意見、評価。
ありがとうございます。
そしてお待ちしております。



では次回は
予言と動物たち
次回もお楽しみに
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